コンフィグレーション キーワードのタイプ

一部のコンフィグレーション キーワードは、ArcSDE のすべての DBMS にデフォルトで実装され存在します。その他のコンフィグレーション キーワードは、特定の DBMS の実装にのみ存在します。さらに、ArcSDE 管理者が作成またはカスタマイズできるコンフィグレーション キーワードがあります。

すべての DBMS 実装にデフォルトで存在するキーワード

ここでは、すべての DBMS の実装においてデフォルトで存在するコンフィグレーション キーワードについて説明します。

DATA_DICTIONARY

DBTUNE テーブルの DATA_DICTIONARY コンフィグレーション キーワードには、ArcSDE ジオデータベース システム テーブルの格納を定義するパラメータが含まれています。つまり、これらのパラメータはジオデータベースを作成するときに読み込まれます。システム テーブルの格納を変更したい場合には、ポスト インストール セットアップ実行前に dbtune.sde ファイルでこのキーワードを変更し、ジオデータベースの作成時に変更したdbtune.sdeファイルを指定する必要があります。

システム テーブルの格納の定義は特に、DB2 データベースと Oracle データベースで重要です。DATA_DICTIONARY キーワードにシステム テーブルを格納する表領域が指定されていない場合、一部のテーブルは自動的に DB2 の一時表スペース、またはユーザのデフォルト表領域(この場合は ArcSDE 管理者の表領域/表スペース)に作成されるためです。

ArcSDE のバージョニング モデルには、ArcSDE の 4 つのシステム テーブル(VERSION、STATES、STATE_LINEAGES、MVTABLES_MODIFIED)が使用され、マルチバージョン対応のテーブルへの変更によって発生したイベントが記録されます。ジオデータベースでバージョニングを運用する場合、この 4 つのテーブルとそれに対応するインデックスにはアクセスが集中します。その場合、これらのオブジェクトに関連付けられている DATA_DICTIONARY パラメータを変更して、I/O(入出力)の少ないデータ ファイルを使用した独自の表領域に分離すると、ディスク I/O 競合を軽減することができます。

次の表は、すべての DBMS 実行に共通し、アクティブになる(アクセスが集中する)可能性のある DATA_DICTIONARY テーブルについての説明です。メタデータ検索を使用する場合に非常にアクティブになる可能性があるテーブルについても説明します。テーブルの役割を理解することで、各テーブルとそれに対応するインデックスの格納方法を決定しやすくなります。

テーブル

説明

STATES

バージョン対応の編集中に、Oracle SCN に似た変更番号(ステート ID)を格納します。1 行に 1 つのステート ID を格納します。バージョン対応の編集環境でアクティブになり、数千行から数万行になる場合があります。

STATE_LINEAGES

バージョン対応の編集の系列を示すステート ID の順序付きシーケンスを保持します。バージョン対応編集では非常にアクティブになり、数百万行になる場合があります。

VERSIONS

編集の論理グループ(バージョン)に対応する名前付きの参照を格納します。アクティブにはなりませんが、数千行から数万行になる場合があります。

MV_TABLES_MODIFIED

ステート ID でどのテーブルが編集されたかを示します。バージョン対応編集でアクティブになり、数万行から数十万行になる場合があります。

SDE_XML_INDEX_TAGS

メタデータ検索の XPath インデックスのプロパティを定義します。タグによるコンテンツの検索と、フルテキスト インデックスの再構築時にアクティブになります。数千行から数万行になる場合があり、メタデータの ポータルが大規模な場合、さらに大きくなります。

DATA_DICTIONARY システム テーブル

各 DBMS には、これ以外のテーブルやインデックスのための追加パラメータがあります。使用する DBMS ごとの DATA_DICTIONARY については、以下のトピックを参照してください。

DEFAULTS

名前が示すように、DEFAULTS コンフィグレーション キーワードの設定値は、テーブル、フィーチャクラス、ラスタ データセットおよびインデックスを作成するときにデフォルトで使用されます。ジオデータベース内にデータを作成するときに別のキーワードを指定しない場合や、必要なパラメータが一部欠落しているキーワードを指定した場合は、DEFAULTS キーワードの値が使用されます。DBTUNE テーブルには、ジオデータベースの作成時にすべての設定値を含む DEFAULTS コンフィグレーション キーワードが作成されます。

DEFAULTS キーワードのパラメータ グループを変更する際には、データの最も一般的な格納設定を表す値を指定します。一般的な格納設定を指定することで、キーワードを定義するたびに、すべてのパラメータを定義する必要がなくなります。たとえば、他のデータとは異なる格納領域にテーブルを作成するためのコンフィグレーション キーワードを作成する場合は、テーブルの格納場所を指定するパラメータを追加するだけで済みます。残りのパラメータ(ジオメトリ格納タイプなど)は、DEFAULTS キーワードのパラメータ グループから取得することができます。

また、DEFAULTS キーワードに特定のサイトで最もよく使用される値を設定すると、ユーザがデータを作成しやすくなります。DEFAULTS キーワードにデータの 95% で必要な設定が含まれているとしたら、残りの 5% のデータを作成する時のみ異なるキーワードを選択してデータを作成できます。

DEFAULTS コンフィグレーション キーワードは、テーブル、インデックス、フィーチャクラス、ラスタ データセットを作成する際に選択することができます。データの作成や読み込みの際にキーワードを指定しなければ、DEFAULTS キーワードのパラメータ グループが自動的に使用されます。

DEFAULTS キーワード パラメータ グループに最初から存在するコンフィグレーション パラメータは、DBMS によって異なります。DBMS ごとの DEFAULTS パラメータ グループの既定の値(カスタマイズなしの場合)については、次のトピックを参照してください。

メモメモ:

以下のトピックに含まれるキーワードとそのパラメータは、DBTUNE テーブル内の内容を示すのではなく、dbtune ファイル記述されている内容です。(たとえば、DBTUNE テーブルのコンフィグレーション キーワードの先頭には、二重のシャープ記号(##)はありません)。

LOGFILE_DEFAULTS

DBTUNE テーブルのログ ファイルのコンフィグレーション キーワードは、ArcSDE ログ ファイル テーブルの格納場所を制御するために使用されます。LOGFILE_DEFAULTS キーワードは、すべての ArcSDEに存在しています。

各 DBMS(Database Management System)の LOGFILE_DEFAULTS キーワードのデフォルト パラメータについては、以下のトピックを参照してください。

一方、特定のユーザ用のログ ファイル キーワードを作成して、ユーザが ArcSDE ログ ファイル テーブルの作成が必要な選択セットを作成するたびに、そのユーザのログ ファイル キーワードの設定が使用されるようにすることもできます。詳細については、「カスタム コンフィグレーション キーワード 」の「カスタム ログ ファイルのキーワード」のセクションを参照してください。

コンポジット コンフィグレーション キーワード

コンポジット キーワードは、同じネットワーク、テレイン、またはトポロジ クラスのテーブルを異なる領域に格納したい場合に使用するキーワードです。たとえば、クラスの中に他のテーブルよりも頻繁に使用されているテーブルがある、またはクラスに飛びぬけて大きなテーブルがある場合に使用します。

コンポジット コンフィグレーション キーワードは、親エレメントとコンポジット キーワード エレメントの 2 つのエレメントに分かれています。親エレメントは接尾辞を持たず、コンポジット キーワード エレメントは親エレメントのコンフィグレーション キーワードに「::<エレメント名>」接尾辞を追加することで区別されます。

コンポジット キーワードは独自に作成することが可能ですが、デフォルトで、NETWORK_DEFAULTS、TOPOLOGY_DEFAULTS、TERRAIN_DEFAULTS の 3 つが定義されています。

ネットワーク コンポジット キーワード

NETWORK_DEFAULTS は、デフォルトのネットワーク コンポジット キーワードの親キーワードです。デフォルトのネットワーク コンポジット キーワードのその他のエレメントは、NETWORK_DEFAULTS::DESC と NETWORK_DEFAULTS::NETWORK です。ネットワークの親キーワードを指定すると、3 つのコンフィグレーション キーワードすべてのパラメータと値が読み取られます。

ネットワーク コンフィグレーション キーワードを独自に作成する場合は、DEFAULTS を他の単語に置き換えます。たとえば、高速道路(highways)に使用するカスタム ネットワーク コンポジット キーワードの場合、次のキーワードを作成できます。

NETWORK_HWY
NETWORK_HWY::DESC
NETWORK_HWY::NETWORK

すべてのカスタム キーワードと同様に、ネットワーク クラスに使用するデフォルト値とは異なる格納パラメータを指定します。この例では、NETWORK_HWY 親キーワードを指定してネットワーク データセットを作成すると、ArcSDE が NETWORK_HWY、NETWORK_HWY::DESC、NETWORK_HWY::NETWORK キーワードの値セットを使用して、ネットワークを構成するテーブルを作成します。

ネットワークは、複数のシステム テーブルとフィーチャクラスによって構成されます。コンポジット キーワードの各エレメントの格納パラメータ セットを使用して、ネットワークのタイプやユーザが実際にキーワードを指定したかどうかによって異なるテーブルを格納します。次の表は、ジオメトリック ネットワークやネットワーク データセットにどのテーブルを格納するのかに影響するネットワーク コンポジット キーワードのエレメントについてまとめたものです。

指定方法

ネットワーク コンポジット キーワード エレメント

NETWORK_<名前>

NETWORK_<名前>::DESC

NETWORK_<名前>::NETWORK

ネットワーク データセットの作成時にネットワーク親キーワードを指定

システム ジャンクション フィーチャクラスと ND_<itemID>_DIRTYAREAS および ND_<ItemID>DIRTYOBJECTS テーブルの格納方法を定義する。

N_<ID>_DESC テーブルの格納方法を定義

その他すべての N_<ID>_* テーブルの格納を定義

ネットワーク データセットの作成時にネットワーク親キーワードを指定しない

システム ジャンクション フィーチャクラスと ND_<itemID>_DIRTYAREAS および ND_<ItemID>DIRTYOBJECTS テーブルは DEFAULTS キーワードを使用して作成される。その他すべてのネットワーク データセット テーブルは、NETWORK_DEFAULTS 親キーワードのパラメータを使用して作成される。

使用されない

使用されない

ジオメトリック ネットワークの作成時にネットワーク親キーワードを指定

孤立ジャンクション フィーチャクラスと構築エラー テーブルの格納方法を定義する。

N_<ID>_DESC テーブルの格納方法を定義

その他すべての N_<ID>_* テーブルの格納を定義

ジオメトリック ネットワークの作成時にネットワーク親キーワードを指定しない

孤立ジャンクション フィーチャクラスと構築エラー テーブルは DEFAULTS キーワードを使用して作成される。その他すべてのジオメトリック ネットワーク テーブルは、NETWORK_DEFAULTS 親キーワードのパラメータを使用して作成される。

使用されない

使用されない

ジオメトリック ネットワーク テーブルとネットワーク データセット テーブルの詳細については、対象の DBMS に関するトピックをご参照ください。

トポロジ コンポジット キーワード

トポロジ コンポジット キーワードは、トポロジ テーブルの格納場所を制御します。ArcSDE インスタンスでトポロジを構築するためには、DBTUNE テーブルに有効なトポロジ キーワードが含まれていなければなりません。トポロジ コンポジット キーワードは、親エレメントである TOPOLOGY_DEFAULTS と、DIRTYAREAS トポロジ テーブルの格納場所を示す TOPOLOGY_DEFAULTS::DIRTYAREAS で構成されます。DIRTYAREAS テーブルは非常に大きなサイズになる可能性があり、バージョン対応のジオデータベースでは頻繁にアクセスされます。このため、ジオデータベースにトポロジを使用していて、バージョン編集を頻繁に行う場合は、TOPOLOGY_DEFAULTS::DIRTYAREAS のパラメータ値を変更して、DIRTYAREAS テーブル コンポーネントを別の場所に格納する必要があります。

同じトポロジに属するデータセットには、同じジオメトリ格納タイプを使用する必要があることに注意してください。そうしないと、ジオメトリの格納方法の違いが原因で、トポロジ エラーが発生することがあります。これらの相違点はほとんどの場合、許容できる誤差の範囲内ですが、1 つ以上のトポロジ ルールへの違反につながる可能性もあります。トポロジの概要については、「トポロジの基礎」のトピックをご参照ください。

トポロジ テーブルの詳細については、対象の DBMS のトポロジの格納に関するトピックをご参照ください。

テレイン コンポジット キーワード

テレイン コンポジット キーワードは、テレイン データセットに対して作成される次のテーブルの格納場所を制御します。

  • DTM_<itemID>_COMPOSITETILES
  • DTM_<itemID>_DIRTYAREA
  • DTM_<itemID>_INSIDETILES
  • DTM_<itemID>_MRFC
  • DTM_<itemID>_PROPS
  • DTM_<itemID>_EMBED_<N>

ItemID は、特定のテレイン データセットに対する GDB_ITEMS テーブルの UUID フィールドの値です。N は特定の DTM_<itemID>_EMBED テーブルを示します。これらのテーブルは任意の数 (0...n) 存在する可能性があります。

デフォルトのテレイン キーワードは、上記の最初から 4 つのテーブルのデフォルトの格納場所を制御する TERRAIN_DEFAULTS と、DTM_<itemID>_EMBED_<N> テーブルの格納場所を制御する TERRAIN_DEFAULTS::EMBEDDED の 2 つです。

DTM_<itemID>_EMBED_<N> テーブルは、埋め込みフィーチャクラスを格納します。このため、他のテレイン テーブルよりもかなり大きくなる可能性があります。そこで、TERRAIN_DEFAULTS::EMBEDDED キーワードの格納パラメータを変更し、ジオデータベースの格納に使用される DBMS に応じて、これらのテーブルを別の場所に格納するか、異なるるエクステント サイズを指定する必要があります。

ライセンスライセンス:

テレインを作成できるのは、3D Analyst Extension がインストールされ、有効になっている場合に限られます。

テレイン テーブルの詳細については、対象の DBMS のテレインの格納に関するトピックをご参照ください。

ジオメトリ/ラスタ格納キーワード

データの一部が異なるジオメトリ格納タイプを使用したい場合は、データベースでデータを作成またはインポートするときに、別のコンフィグレーション キーワードを使用することができます。ArcSDE for Oracle、ArcSDE for PostgreSQL、および ArcSDE for SQL Server の DBTUNE テーブルと dbtune ファイルには、ArcSDE 管理コマンドや ArcCatalog を使用してデータを作成またはインポートする際にジオメトリ/ラスタ格納を指定できるキーワードが含まれています。

メモメモ:

同じトポロジに属するデータセットは、同じジオメトリ格納タイプで格納する必要があります。そうでない場合には、データの格納方法の違いが原因で、トポロジ エラーが発生することがあります。これらの違いは(たとえばミリメートル程度の)些細なものですが、トポロジ ルールのいずれかに違反する可能性があります。たとえば、SDO_GEOMETRY で格納されたポリゴン フィーチャクラス A と、ArcSDE Compressed Binary(LONGRAW)で格納されたポリゴン フィーチャクラス B があり、それらをトポロジに配置して、フィーチャクラス A がフィーチャクラス B と「重複しない」トポロジ ルールを指定した場合、フィーチャのレンダリング方法がわずかに異なるために A と B の隣接フィーチャが重なってしまい、このトポロジ ルールに違反する可能性があります。

一部のパラメータしか含まれていないキーワードを指定すると、残りのパラメータは DEFAULTS コンフィグレーション キーワードから読み取られます。このため、Oracle のジオデータベースでフィーチャクラスを作成するときに SDELOB を指定すると、SDELOB キーワードの GEOMETRY_STORAGE、ATTRIBUTE_BINARY、RASTER_STORAGE パラメータの値が使用され、B_STORAGE や UNICODE_STRING といったその他のパラメータについては、DEFAULTS キーワードのパラメータの値が使用されます。

DEFAULTS キーワードに格納されているものとは異なるジオメトリ格納タイプを使用するトポロジ、テレイン、またはネットワークを作成する場合は、必要なジオメトリ格納を含むカスタム キーワードを作成する必要があります。たとえば、SDO_GEOMETRY を使用して Oracle データベースに道路のフィーチャクラスを作成する場合、その道路フィーチャクラスを含むネットワークを作成するときにはネットワークでも SDO_GEOMETRY を使用します。そのためには、SDO_GEOMETRY 格納を指定する一連の NETWORK コンポジット キーワードを作成する必要があります。詳細については、「コンポジット キーワードとジオメトリ格納」をご参照ください。

特定の DBMS 実装のみに存在するキーワード

1 つまたは 2 つ以上の固有のデータベースのみにデフォルトで存在するコンフィグレーション キーワードについては、対象の DBMS に固有のトピックを参照してください。

カスタム コンフィグレーション キーワード

ログ ファイルとコンポジット コンフィグレーション キーワードの説明で述べたように、ユーザは自分の使用する特定のパラメータや設定をグループにまとめて、独自のキーワードを作成することができます。詳細については、「カスタム コンフィグレーション キーワード」をご参照ください。


3/6/2012