ジオデータ サービスと接続環境のレプリカの使用
オンサイトの ArcSDE ジオデータベースにデータがある場合は、データの一部をクラウドのエンタープライズ ジオデータベースに複製することができます。4 MB 未満のデータを複製する場合は、このトピックで説明する接続環境におけるレプリケーションのワークフローを使用できます。
Amazon クラウドの EGDB(エンタープライズ ジオデータベース)からジオデータ サービスを作成し、オンプレミスのジオデータベースからジオデータ サービスにデータを複製した後、オンサイトのジオデータベースに行った変更をジオデータ サービスを通してクラウドのジオデータベースと同期することができます。
ほとんどの場合は、オンプレミス環境にあるジオデータベースに対して編集を行い、クラウドのジオデータベースはインターネット経由でアクセスするユーザに対して読み取り専用にできます。 ここでは、このシナリオのレプリケーション ワークフローを説明します。
レプリケーションのためのオンプレミス データの準備
複製するデータは、以下の要件を満たしている必要があります。
- 空間データはすべて、高精度の空間参照に格納する必要があります。
- 親レプリカに対しては ArcGIS 9.3 または 9.3 のジオデータベースを使用し、ArcGIS 10 のジオデータベースを使用して子レプリカをホストすることができます。ただし、双方向のレプリケーションを使用する場合は、子レプリカのデータを追加したり、親レプリカのジオデータベースでサポートされない機能を子レプリカに導入するような編集を行わないようにしてください。
- 複製するデータの所有者は、以下の手順を行う必要があります。
- レプリカを作成するユーザにデータの書き込みアクセス権を付与します。
- データをバージョン対応登録してレプリカに含まれるようにします。
メモ:
データは完全にバージョン対応である必要があります。バージョン対応登録する際に、ベース テーブル移行オプションを使用することはできません。
- レプリカの一部となる各データセットにグローバル ID 列を追加します。
Amazon EC2 での ArcGIS Server インスタンスの起動
ArcGIS Server のインスタンスをまだ起動していない場合は、ここで起動します。手順については、「ArcGIS Server on Amazon のアクティブ化」をご参照ください。
Amazon EC2 上でのジオデータベースの設定
Amazon 上で ArcGIS Server Enterprise を使用していて、まだ EGDB(エンタープライズ ジオデータベース)インスタンスを起動していない場合は、ここで起動します。手順については、「EGDB インスタンスの起動」をご参照ください。このジオデータベースを子ジオデータベースとして使用します。また、Elastic IP を作成して EGDB インスタンスに割り当てます。
Amazon 上で ArcGIS Server Workgroup を使用している場合は、データベース サーバでジオデータベースを作成して、子ジオデータベースとして使用します。「クラウド内の Workgroup ジオデータベース」の手順 2 ~ 8 に従います。
ジオデータベースへの接続
リモート デスクトップを使用して ArcGIS Server インスタンスに接続し、ArcCatalog からジオデータベースに接続します。

ArcGIS Server Workgroup を使用している場合は、前のセクションで作成したジオデータベースに接続します。以下の一連の手順では、手順 1 を省略してください。
デフォルトの ArcSDE 接続ファイルは、ファイルを作成するときに使用した Windows ログインの、プロファイル ディレクトリ内の ArcCatalog フォルダに格納されます。たとえば、接続ファイルの egdb1.sde が C:\Users\yousir\AppData\Roaming\ESRI\Desktop 10.0\ArcCatalog に保存されています。
ArcGIS SOC アカウントは、ArcSDE 接続ファイルにアクセスできる必要があります。したがって、SOC アカウントがアクセス可能な場所に sde 接続ファイルをコピーする必要があります。
- ArcGIS Server インスタンスで ArcCatalog を使用して、EGDB への接続を作成します。
手順については、「ArcGIS Server インスタンスから EGDB インスタンスへの接続」をご参照ください。
- Windows エクスプローラを開き、*.sde ファイルが格納されているディレクトリに移動します。
例: C:\Users\Administrator\AppData\Roaming\ESRI\Desktop 10.0\ArcCatalog\Connection の egdb.sde
- *.sde ファイルをコピーして、ArcGIS SOC アカウントがアクセス可能なサーバ上の場所に貼り付けます。
例: D:\GIS Data\GIS Data
- ArcCatalog で新しい場所へのフォルダ接続を追加します。
- カタログ ツリーで [カタログ] を右クリックし、[フォルダ接続] をクリックします。
- *.sde ファイルのコピー先フォルダを参照し、[OK] をクリックします。
フォルダがカタログ ツリーに表示されます。
- フォルダを開き、*.sde 接続ファイルをダブルクリックしてジオデータベースに接続します。
ジオデータ サービスの公開
Amazon EC2 上のジオデータベースからジオデータ サービスを公開します。
ジオデータ サービスは、ArcCatalog または ArcGIS Server Manager から公開できます。以下の手順では ArcCatalog を使用します。
- ジオデータベース接続を右クリックし、[ArcGIS Server で公開] をクリックします。
- ジオデータ サービスを公開するサーバを選択します。
- サービスの名前を入力します。
- サービスが存在するサーバ上の場所を選択します。
- [次へ] をクリックします。
- [ジオデータ サービス] はオンのままにします。また、サービスの他のケーパビリティを選択することもできます。
ジオデータ サービスのケーパビリティについては、「ジオデータ サービスのケーパビリティと許可されるオペレーション」をご参照ください。
- サービスに対して指定した情報を確認します。サービスの URL を記録します。
この URL をブラウザに直接入力することはできませんが、URL の末尾に「?wsdl」を追加して入力すると、Web サービス定義を表示して、サービスが正常に動作していることを確認できます。
サービスは、カタログ ツリーの [GIS Servers] ノード以下に表示されます。
レプリケーションに関するジオデータ サービスの設定
サービスを通してデータを同期するには、レプリケーションを許可するようにサービスを設定する必要があります。
サービスのプロパティを変更するには、サービスを停止する必要があります。
- ArcCatalog で [GIS Servers] ノード以下に表示されているジオデータ サービスを右クリックし、[停止] をクリックします。
- ジオデータ サービスを右クリックし、[サービス プロパティ] を選択します。
[ArcGIS Server - ジオデータ サービス プロパティ] ダイアログ ボックスが表示されます。
- [ケーパビリティ] タブをクリックします。
- [許可するオペレーション] 以下で [レプリケーション] をクリックします。
- [OK] をクリックします。
- ジオデータ サービスを右クリックし、[開始] をクリックします。
オンプレミスの ArcGIS Desktop クライアントへのジオデータ サービスの追加
ジオデータ サービスに複製を行うには、複製を行う Desktop クライアントからサービスにアクセスできる必要があります。したがって、ジオデータ サービスをカタログ ツリーの [GIS Servers] リストに追加する必要があります。

ArcGIS Server インスタンスを停止して再起動する場合は、ArcGIS Server インスタンスの再起動により IP アドレスが変更されるため、ArcGIS Server 接続を再度 ArcGIS Desktop に追加する必要があります。
- オンプレミスのコンピュータで ArcCatalog を開きます。
- カタログ ツリーで [GIS Servers] ノードを展開します。
- [ArcGIS Server サーバの追加] をダブルクリックします。
[ArcGIS Server サーバの追加] ダイアログ ボックスが表示されます。
- [GIS サービスの使用] を選択し、[次へ] をクリックします。
- ジオデータ サービス用のサーバの URL を入力します。
これは、ジオデータ サービスを公開したときに記録した URL です。
- [完了] をクリックします。
レプリカの作成ウィザードを使用したジオデータ サービス経由での複製
ArcMap でレプリカの作成ウィザードを使用して、Amazon クラウドの EGDB にデータを複製します。
- ArcMap を開きます。
[スタート] → [すべてのプログラム] → [ArcGIS] → [ArcMap 10] の順にクリックします。
- Amazon クラウドの EGDB に複製するデータを、オンプレミスの ArcSDE ジオデータベースから追加します。
- [分散ジオデータベース] ツールバーを開きます。
[カスタマイズ] → [ツールバー] → [分散ジオデータベース] の順にクリックします。
- [分散ジオデータベース] ツールバーの [レプリカの作成] ボタン
をクリックします。
- [一方向レプリカ] を選択し、[次へ] をクリックします。
- [データ] を [ジオデータベース] に複製するように選択します。
- [開く] ボタン
をクリックし、ジオデータ サービスを参照して [OK] をクリックします。
- レプリカの名前を入力します。
- [[次へ] ボタンをクリック後、レプリカの詳細設定オプションを表示] をオンにします。
- [次へ] をクリックします。
- 使用するレプリケーション モデルを選択します。
- 複製するデータでジオメトリック ネットワーク、トポロジ、リレーションシップ クラスなどのジオデータベース機能が使用されている場合は、[フル モデル] をクリックします(これがデフォルト モデルです)。
- データがいずれのジオデータベース機能も使用せず、子レプリカのデータをバージョン対応にする必要がない場合は、[シンプル モデル] を選択します。
- [次へ] をクリックします。
- 複製するデータの範囲を選択します。
- 現在のマップ範囲に表示されているデータだけを複製する場合は、[現在の表示範囲] を選択します(これが、デフォルトの複製されるデータ範囲です)。
- ArcMap のコンテンツ ウィンドウに表示されるデータの全範囲が必要な場合は、[データの全範囲] を選択します。
- マップでデータを囲むようにグラフィックを描画し、そのグラフィックの内部にあるデータだけを複製する場合は、[現在選択しているグラフィックの境界] を選択します。
- 特定の範囲だけが必要な場合は、[以下の範囲] を選択し、範囲を表す値を入力します。
- [次へ] をクリックします。
- データにリレーションシップ クラスがある場合は、関連データを含めるか除外するかを指定できます。レプリカに含める関連データを指定したら、[次へ] をクリックします。
デフォルトでは、リレーションシップ クラスにより関連付けられた関連データも複製されます。
- [サマリ] をクリックして、レプリカを作成するために指定したすべての情報を確認します。確認が終わったら、[OK] をクリックしてサマリを閉じます。
- いずれかの値を変更する必要がある場合は、[戻る] をクリックして変更を行います。
- 変更が必要ない場合は、[完了] をクリックします。

すべての設定でデフォルト値を使用する場合は、[[次へ] ボタンをクリック後、レプリカの詳細設定オプションを表示] をオフにしてもかまいません。
データがサービスに複製されます。「リクエストされた機能はサポートされていません」というメッセージが表示された場合は、サービスでレプリケーション オペレーションが有効であることを確認してください。
オンプレミスの ArcSDE ジオデータベースにあるデータの編集
オンプレミスの ArcSDE ジオデータベースにあるデータを、通常どおり編集します。他のジオデータベース バージョンで編集を行う場合、編集を子レプリカと同期する必要があるときは、親レプリカ バージョンに変更をポストする必要があります。
編集の同期
一連の編集の後に同期を行うか、指定したスケジュールに従って(たとえば、1 日の終わりごとに)同期を行うことができます。同期する編集が完了して親バージョンにポストしたら、[分散ジオデータベース] ツールバーの [変更の同期] ボタンを使用するか、ジオデータ サービスを利用する同期スクリプトを使用できます。
データを同期するときには、レプリカを作成したデータベース ユーザとして接続するか、ArcSDE 管理者として接続する必要があります。
同期の詳細については、ArcGIS Server ヘルプの「接続環境でのレプリカの同期」をご参照ください。
ArcMap での同期
このワークフローでは、編集された複製データを含むマップを開いています。
- [分散ジオデータベース] ツールバーを開きます。
[カスタマイズ] → [ツールバー] → [分散ジオデータベース] の順にクリックします。
- [分散ジオデータベース] ツールバーの [変更の同期]
ボタンをクリックします。
[変更の同期ウィザード] ダイアログ ボックスが表示されます。
- ウィザードの情報を確認し、[完了] をクリックして同期を開始します。
スクリプトによる同期
スクリプトを作成して、ジオデータベースを同期できます。サンプル スクリプトについては、ArcGIS Desktop .NET SDK の「接続環境でレプリカを同期する方法」をご参照ください。