ArcGIS Server によるジオプロセシングの概要

ArcGIS Server は、空間情報のマッピング、解析、データ収集、編集、管理のための広範な、すぐに使用できるアプリケーションとサービスを提供する包括的な Web ベースの GIS です。

ジオプロセシング サービスには、クライアントからアクセス可能なジオプロセシング タスクが含まれています。タスクは、ジオプロセシング ツールボックスまたはツール レイヤが含まれたマップ ドキュメントを公開することにより作成されます。ジオプロセシング サービスのタスクを実行すると、サーバ コンピュータのリソースを使用して、サーバ コンピュータ上でタスクが実行されます。

ジオプロセシング サービスとそのタスクには、インターネットおよび非公開のイントラネットからアクセスします。ジオプロセシング サービスとそのタスクは、ArcGIS Desktop、ArcGIS Explorer、および ArcGIS Server とともにインストールされる ArcGIS Server Manager を使って構築された Web サイトなどの Web アプリケーションで使用することができます。ArcGIS Desktop では、カタログ ウィンドウでサーバに接続し、そのジオプロセシング サービスを表示することができます。ジオプロセシング サービスはツールボックスとして表示され、タスクはツールボックス内のツールになります。

ArcGIS Server は独立した製品ですが、公開されているサービスを使用するためにクライアントが ArcGIS Server をインストールする必要はありません。ArcGIS Server がサーバにインストールされた後は、ツールボックスをジオプロセシング サービスとして公開できるため、インターネット接続を通じて誰でも使用できるようになります。

ArcGIS Desktop でのジオプロセシング サービスの使用の詳細

ジオプロセシングの経験がある場合

ArcGIS Desktop でジオプロセシング ツールを構築した経験がある場合は、ツールを作成して ArcGIS Server に公開するのは簡単です。以下に重要な概念とルールをまとめます。詳細については、「ジオプロセシング サービスの重要な概念」およびこのブックの他のトピックをご参照ください。

  1. ArcGIS Desktop で実行されるモデルおよびスクリプト ツールを、ArcGIS Server 上で実行されるように変更する必要があります。
    • 有効な入出力パラメータのデータ タイプは制限されています。たとえば、入力としてフィーチャクラスを使用するツールは、入力にフィーチャ セットを使用するように変更する必要があります。フィーチャクラスの代わりにフィーチャ セットを入力に使用するようにモデルまたはスクリプトを変更するのは簡単です。
    • ツールは複数のサーバ コンピュータ上で実行できるため、中間データおよび出力データを書き出せる場所に関して特定のルールがあります。中間データおよび出力データを書き出すためのこれらのルールに従うように、モデルやスクリプトを変更する必要があります。
  2. ツールの出力がクライアント アプリケーションでどのように表示されるかについて検討する必要があります。ArcGIS Desktop でツールを使用する際には、出力の表示についてあまり検討しないかもしれません。ArcMap のレイヤを使用して、ツール出力をシンボル表現するからです。ArcGIS Server クライアントが ArcMap の機能を備えていない場合があるため、出力の表示方法について慎重に検討し、適切なシンボルを指定する必要があります。
  3. ジオプロセシング サービスは、高速かつ効率的である必要があります。クライアントは高速なサービスを望み、期待します。ArcGIS Server は一度に複数のクライアントに対処できるため、効率の悪いサービスがあると、サーバが過負荷となる可能性があります。サービスの効率が良いほど、同じコンピュータ リソースを使って対処できるクライアントの数が増えます。実行パフォーマンスを向上させるために、モデルとスクリプトのチューニングが必要かもしれません。

トピックのまとめ

トピック

説明

ツールの共有の概要

ジオプロセシング ドキュメント ブックのツールの共有に関する概要トピック。このモジュールのトピックは ArcGIS Server 固有のものではありませんが、ツールの共有によくある問題について説明します。ArcGIS Server はジオプロセシング ツールを共有する別の方法にすぎないため、このトピックも関係があります。

ジオプロセシング サービスの重要な概念

このトピックでは、ジオプロセシング サービスとタスクを構築し、公開するために知っておく必要がある重要な概念について説明します。このトピックには多くの情報が含まれているため、最初は少し圧倒されてしまうかもしれません。おそらくこのトピックを繰り返し参照する必要があるでしょう。それでもやはり、このトピックから開始し、サンプル サービスをいくつか試してみるとよいでしょう。

ジオプロセシング サービスのサンプルの概要

ArcGIS のチュートリアル データ で提供されるジオプロセシング サービスのサンプルの概要トピック。ArcGIS Desktop でのサービスの構築、公開、使用法に関する情報およびサンプルが多数含まれています。サンプル サービスの 1 つを選んで調査し、それを公開して使用します。サービスを 1 つ理解したら、別のサンプル サービスを試して、各自のニーズに合わせて変更してみてください。

サーバでのジオプロセシングに関連するトピックの概要

このトピックでは、ジオプロセシング サービスの構築に関連する他のトピックへのリンクを提供します。

入力データ タイプと出力データ タイプ

ModelBuilder で変数を作成する、またはスクリプト ツールのパラメータを定義する際には、フィーチャクラスまたは距離単位などの変数やパラメータの値を定義するためのデータ タイプを指定します。ArcGIS Server で使用できるデータ タイプには制限があります。データ タイプについては「ジオプロセシング サービスの重要な概念」にも説明がありますが、「入力データ タイプと出力データ タイプ」ではさらに詳細に説明しています。

ジオプロセシング サービスのためのモデルの作成

サーバに公開できるモデルを作成するためのルールをまとめています。

ツール レイヤが含まれたマップ ドキュメントの準備

サービスを作成するには、一般に、ツール レイヤが含まれたマップ ドキュメントを公開します。このトピックでは、ツール レイヤの作成手順をまとめます。

ジオプロセシング タスクの出力シンボルの定義

このトピックでは、クライアントによってサポートされているレイヤ シンボルとシンボル タイプを説明します。

入力フィーチャ セットのシンボルの定義

フィーチャ セットは、ユーザが作成するフィーチャを表示するためのシンボルを定義します。このシンボルにはクライアントとの互換性がなければなりません。このトピックでは、フィーチャ セット シンボルのルールをまとめます。

ジオプロセシング サービスの公開

カタログ ウィンドウまたは ArcCatalog を使ってサービスを公開する方法について説明します。

ジョブ ディレクトリの管理

ジョブ ディレクトリには、中間データと出力データが書き込まれます。このトピックでは、ジョブ ディレクトリの管理について説明します。

ジオプロセシング タスクのデータ アクセスに関する注意事項

ツールが使用するデータには、ArcGIS Server 構成に含まれているすべてのコンピュータからアクセスできなければなりません。このトピックでは、検討しなければならない問題点と、それらに対処する方法をまとめます。

UNIX/Linux 環境用のタスクの作成

ArcGIS Server 構成には、UNIX または Linux オペレーティング システムを実行するコンピュータが含まれているかもしれません。ツールを作成できるのは Windows プラットフォームだけですが、このツールを UNIX または Linux システムに配置して実行することができます。このトピックでは、UNIX または Linux で実行できるツールを Windows で構築する方法を示します。

ジオプロセシング タスクのためのスクリプト ツールの作成

スクリプト ツールはジオプロセシング サービスとして公開できます。スクリプト ツールはモデル ツールと同じルールに従います。このトピックでは、それらのルールを改めて説明し、公開に適したスクリプト ツールの作成手順の一部を示します。

Python スクリプトでのジオプロセシング タスクの使用

スクリプトでサービスを使用する方法について説明します。

ジオプロセシング サービスの空間参照に関する注意事項

空間参照とは、ArcGIS が地理データのマップ投影と座標系を説明する方法です。クライアントはさまざまな空間参照の出力データをリクエストすることができ、ArcGIS Server はすべての変換を自動的に処理します。また、特定の空間参照でデータを出力しなければならないこともありますが、このトピックではその方法を示します。

ジオプロセシング サービスのパフォーマンスのヒント

サービスのパフォーマンスを向上させる方法に関するヒント。

ジオプロセシング サービスの作成と公開時のチェックリスト

ジオプロセシング サービスの作成および公開に関するすべての要件を確認します。

ジオプロセシングの経験があるユーザのためのトピックのまとめ

ジオプロセシングの経験がない場合

ここでは、ArcGIS Desktop またはジオプロセシングの経験がほとんどあるいはまったくない場合のトピックをまとめます。ジオプロセシングを使用することにより、ゼロから作成しなくても、数多くの GIS 機能を Web アプリケーションに提供できることは、すでにわかっているか、聞いていることでしょう。それは事実です。モデルとスクリプトを構築して ArcGIS Server に公開することにより、Web アプリケーションからアクセスできる便利で強力なツールをいくつでも作成することができます。ArcGIS Server の操作を始める前に、ArcGIS Desktop とジオプロセシングについて理解してください。

次の表に、ジオプロセシングの入門トピックをまとめます。

トピック

説明

ジオプロセシングとは

ジオプロセシングの概要

これらのトピックでは、ジオプロセシングの基本前提と主なソフトウェア コンポーネント(ArcToolbox ウィンドウと ModelBuilder など)について説明します。

ジオプロセシング フレームワーク

ジオプロセシングが作業を自動化するための統合開発環境であるのはなぜかを示します。

ジオプロセシング ツール

作業を自動化するための統合開発環境としてのジオプロセシングは、話の一部にすぎません。このトピックは、ジオプロセシングツールとそれらの機能を理解するための出発点です。テーブルへのフィールドの追加から複数のデータセットにまたがる高度な空間解析の実行まで、幅広い機能を実行する数百のツールが揃っています。

ツールの検索の概要

ツールの実行の概要

ツールおよびツールボックスの管理の概要

これらのトピックは、ツールの検索と実行、ツールボックスの管理について説明します。

ModelBuilder とは

ModelBuilder の概要

これらのトピックはモデルの作成に関するものです。モデルはカスタム ツールを作成する方法の 1 つです。

Python スクリプトの作成

スクリプト ツールの作成の概要

スクリプトはカスタム ツールを作成するもう 1 つの方法です。

ジオプロセシングが初めてのユーザのためのトピックのまとめ

3/6/2012