マップ サービスの公開
ArcMap には、パフォーマンスの高い、スケーラブルなマップ サービスを ArcGIS Server に公開するために、ArcMap ドキュメントを最適化および調整できる一連のツールが含まれています。ArcMap ユーザにとって、対話型マップ ドキュメントの表示パフォーマンスを向上させる方法を調べることは重要です。特に、他のユーザと Web 上で共有することを検討している場合には重要になります。
マップの最適化とパフォーマンスが特に関係する、ArcGIS Server の重要なシナリオを以下に挙げます。
- リクエストごとに生成される、ダイナミック マップ サービスのマップ表示パフォーマンスの改善
- キャッシュ マップ サービスの生成に必要な計算時間の短縮化
このヘルプ セクションの目的は、これらの状況やその他の関連する状況で、最適化されたサービスを公開する手順を提供することです。
ArcGIS Server のマップ サービスを公開する
ArcMap には、マップ サービス定義(MSD)を使って最適化されたマップ サービスを分析して公開するための、ツールバーおよびワークフローが含まれています。ArcGIS Server を使用することによって、MSD を使ってより高いパフォーマンスの ArcGIS マップ サービスを公開することができます。これらの最適化されたマップ サービスは、リアルタイムのダイナミック マップ サービスと、キャッシュ マップ サービスの両方をサポートします。
MSD を使用して最適化されたマップ サービスをサポートするために、ArcGIS にはパフォーマンスの高い、スケーラブルなマッピング エンジンが実装されています。これにより ArcMap で設計および作成する高度なカートグラフィを使用して、ダイナミックなパフォーマンスの高いマップ(およびキャッシュ マップ サービス)をすぐに作成できます。この操作は、簡単なワークフローで実行できます。まずArcMap でマップを生成し、パフォーマンスを向上させる分析と最適化を行った後、MSD として保存します。そしてそのMSD をマップ サービスとして ArcGIS Server へ公開します。
ArcMap には、各手順を実行するための [マップ サービス公開] ツールバーが含まれています。
マップ サービス公開ツールバーの使用
[マップ サービス公開] ツールバーは、ArcMap ドキュメントの描画パフォーマンスを分析するのに役立ちます。これは、最適化されたマップ サービスを ArcMap から ArcGIS Server へ公開するための、すべての手順を実行する際に使用されます。
手順
最適化されたマップ サービスの作成と公開のプロセスには、簡単なワークフローが使用されます。
最初に、ArcMap でマップ ドキュメントを設計および作成します。次に、以下の手順を実行して、ArcGIS Server にマップ サービスを公開します。
- [マップ サービス公開] ツールバーで [分析] をクリックして、ArcMap ドキュメントを分析します。マップの分析で特定されたエラーやその他の問題を解決します。この作業を実行する方法については、「マップ描画パフォーマンスの分析と修正」をご参照ください。
- マップ サービスをプレビューします 。
- ArcGIS Server 用の MSD を使用して、マップ サービスを公開します 。
- 上記の手順に従い、長期にわたってマップ ドキュメントを定期的に評価して、マップのパフォーマンスを維持します。
ArcMap から直接公開するためのもう 1 つの方法は、ArcMap ドキュメントを MSD として保存する方法です 。これによって、マップ サービス定義は ArcCatalog または ArcGIS Server Manager で公開できるようになります。
マップ描画パフォーマンスを分析および修正する
[マップ サービス公開] ツールバーを使用してマップ ドキュメントを分析すると、最適化マップサービスの作成前に解決が必要とされる、潜在的なパフォーマンスのボトルネックやマップ エラーを特定することができます。これは、このツールバーで実行できる重要なタスクの 1 つです。
パフォーマンス分析の手順
- まず最初に、ArcMap のメイン メニューを右クリックし、ツールバーのリストから [マップ サービス公開] ツールバーを選択して、このツールバーをオンにします。
- 次に、[分析] をクリックします。
これによって、ArcMap アプリケーション ウィンドウの下部のスクロール パネルに表示される、レポートが生成されます。
このレポートは、マップ ドキュメントを最適化されたマップ サービスとして公開する前に解決する必要がある、エラーとその他の潜在的な問題を特定します。レポートには、最適化されたマップ描画パフォーマンスではサポートされないレイヤやシンボル タイプ、表示パフォーマンスを低下させる可能性のある問題に対する警告、およびマップ ドキュメントをマップ サービスとしてパフォーマンスを最適化するのに役立つ、マップ ドキュメントに関する情報メッセージが表示されます。このレポートには、次の 3 タイプのメッセージが表示されます。- エラー メッセージ 。マップ ドキュメントを ArcGIS Server の最適化されたマップ サービスとして公開する前に、修正する必要のある問題です。一般的に、最適化されたマップ サービスではサポートされないマップ レイヤ タイプや表示オプションを、マップが使用している場合にエラーとして表示されます。
たとえば、マップ ドキュメントのエラーには次のものが含まれます。
- ArcGIS Server の最適化されたマップ サービスではサポートされないレイヤ タイプ(トポロジ レイヤなど)の使用
- 表示パフォーマンスが遅くなる可能性のある、高度なシンボル オプション(統計的シンボルやチャート シンボルなど)の使用
- 警告メッセージ 。描画パフォーマンスまたは描画の表示が影響を受ける可能性のある問題です。例を次に示します。
- マップ レイヤのフィーチャクラスの空間インデックスを作成すると、パフォーマンスを向上させることができます。
- ラスタ レイヤの画像形式が、その他の形式よりも描画が遅くなるデータ タイプかもしれません。
- 既存のマップ レイヤがマップの出力座標系にリアルタイムに投影されます。これによって、パフォーマンスが遅くなる可能性があります。共通の座標系を使用すると、マップの描画パフォーマンスが改善される可能性があります。
- 情報メッセージ 。MSD を使用して生成されたマップ表示の描画の違いと、その他の認識すべき情報メッセージを表示します。
- エラー メッセージ 。マップ ドキュメントを ArcGIS Server の最適化されたマップ サービスとして公開する前に、修正する必要のある問題です。一般的に、最適化されたマップ サービスではサポートされないマップ レイヤ タイプや表示オプションを、マップが使用している場合にエラーとして表示されます。
- マップ パフォーマンス分析によって特定されたエラーを修正し、警告メッセージをどのように解決するか決めます。各メッセージを右クリックして、個別の問題をどのように修正すべきかについての簡潔なアドバイスを確認し、ヘルプ トピックにアクセスして問題に関する詳細情報(その他の修正方法など)を取得します。リスト内の太字のアイテムは、各問題を解決するためのデフォルトの方法を示します。
- エラー メッセージと警告のコピーを作成します。
多数のレイヤを持つマップの表示パフォーマンスの問題を解決するのは大変です(一覧表示されるエラーと警告の数が多いため)。このような場合は、エラー メッセージをドキュメントに保存して、後で使用することができます。エラーを選択してその説明をコピーし、別のアプリケーションに貼り付けて、後でそれらの更新情報を管理するのに役立てることができます。
マップ サービスの表示を ArcMap でプレビューする
ArcMap ドキュメントのパフォーマンスを分析し、エラーを修正し、その他の変更を行ったら、マップ サービスをプレビューしてパフォーマンスと応答の速さをテストする必要があります。マップをプレビューすることにより、標準的な ArcMap の表示と、最適化されたマップ サービスによって使用される描画エンジンの間の描画の違いが、マップに影響を与えるかどうかを確認できる場合もあります。
この手順は、[マップ サービス公開] ツールバーの [プレビュー] マップ サービス ボタンを使って行います。具体的な手順は次のとおりです。
マップ サービスをプレビューする手順
- [マップ サービス公開] ツールバーの [プレビュー] ボタン をクリックすると、次に示す [ArcGIS Server プレビュー] ウィンドウが表示されます。
- プレビュー ウィンドウでマップをナビゲートします。これによって、表示パフォーマンスをテストすることができます。
- 任意で、イメージ形式を指定し、マップ サービスをプレビューするための MSD のアンチエイリアス設定を確認することができます。イメージ形式を設定するには、[ArcGIS Server プレビュー] ウィンドウの右上の矢印ボタンをクリックしてから、[プロパティ] を選択します。イメージ形式を設定するためのダイアログ ボックスが表示されます。このダイアログ ボックスには、MSD に保存されるアンチエイリアスの設定も表示されます。アンチエイリアス プロパティを設定する方法については、下記の「アンチエイリアスに関するマップの設定」をご参照ください。
マップ サービスのイメージ形式の設定について
ArcGIS Server では、マップはサーバ コンピュータで生成されて、一連のイメージ タイルとしてエンド ユーザのアプリケーションにストリーミングされます。ユーザの Web クライアント アプリケーションは、さまざまなイメージ形式(PNG 8 や PNG 24 など)でマップを要求する可能性があります。マップ サービスのプレビューに使用したいラスタ フォーマットを指定することができます。
イメージ形式のオプション。イメージ形式の選択は重要です。マップの配信に必要なネットワーク トラフィック量、イメージ品質、およびイメージの透過表示に影響を及ぼすことがあるからです。次に、イメージ形式のプレビュー オプションについて簡単に説明します。
下記は、使用できるイメージ形式と適切な使用方法をまとめたものです。
- PNG。PNG 8 を選択するためのオプションです。この形式は、他のサービス(上の画像など)にオーバーレイされる透明な背景(道路や境界線など)が必要な、オーバーレイ サービスに使用します。PNG 8 を使用すると、情報を失うことなくディスク上に極小サイズのタイルを作成できます。
257 色以上をマップに使用している場合は、PNG 8 を使用しないようにしてください。イメージ、陰影起伏、グラデーション、透過表示、およびさまざまなアンチエイリアス オプションの場合、簡単に 256 色を超えてしまいます。高速道路標識などのシンボルであっても、エッジ周囲には繊細なアンチエイリアスが使われている場合があり、予想以上にマップの色が増えてしまいます。サービスから要求される主なイメージ形式が PNG 8 である場合は、マップ サービス定義を公開する前に、テキスト アンチエイリアスを含めたアンチエイリアス オプションをオフにする必要があります。
- PNG24。道路や境界など 257 色以上のオーバーレイ サービスにはこの形式を使用することができます(256 色未満なら PNG 8 を使用することをお勧めします)。バージョン 6 以前の Internet Explorer でタイルを表示する場合、PNG 24 のフィーチャの一部はサポートされていないため、PNG 24 は使用しないでください。
- PNG32。道路や境界線などのオーバーレイ サービスに 256 を超える色がある場合、この形式を使用します。出力形式で透過表示を完全に保持したい場合にも、この形式を使用してください。この形式は PNG 24 よりも大きなタイルを作成しますが、タイルはすべてのブラウザで完全にサポートされます。PNG32 では、出力イメージにマップの透過表示フィーチャを完全に保持することができます。最適化されたマップ サービスが ArcMap 内で表示される場合、ArcMap は最適化されたマップ サービスから PNG32 の画像を要求します。
- JPEG。カラー バリエーションが豊富で、背景を透過表示する必要のないベースマップ サービスに使用する形式です。たとえば、ラスタ画像および非常に詳細なベクトル ベースマップはほとんどの場合、JPEG で効率的に処理できます。
JPEG は、非可逆画像形式です。画像の外観に影響をおよぼすことなしに、データが選択的に除去されます。この結果、タイルが極小サイズになりますが、マップがベクトル線画またはラベルを含んでいる場合、ライン周囲に非常に多くのノイズや不明瞭領域が生成されることがあります。そのような場合で、キャッシュ マップ サービスを作成しているときは、[圧縮] の値をデフォルトの 75 よりも大きくしてみてください。90 などのより高い値に設定すると、線画の妥当な品質と、小さなタイル サイズという JPEG の利点のバランスを保つことができます。画像のわずかなノイズを許容するかどうかは、Web クライアント アプリケーションの作成者次第です。JPEG を選択することによって、マップ サービスに費やされる時間と Web 帯域幅の量を減らせる場合があります。サイズを縮小すると、エンドユーザのアプリケーションがマップをダウンロードする時間が短縮されます。
- BMP。BMP は、未処理の描画パフォーマンスを示すためだけに使用される、プレビュー画像表示オプションです(また、これはプレビューのためのデフォルトのイメージ形式設定です)。Web クライアントによって使用されるイメージ形式にかかわらず、マップに対する変更が描画速度全体にどれだけ影響を及ぼすかを確認するためのベースラインとして、BMP を使用することができます。
使用される Web マップ クライアント アプリケーションの設定も担当している場合には、イメージ形式を検討する前に、[ArcGIS Server プレビュー] ウィンドウでラスタ設定をテストすることができます。
アンチエイリアスに関するマップの設定
MSD を使用してマップ サービスを公開する際、マップ サービスの画像品質とパフォーマンスに影響を及ぼす可能性のある、2 つのアンチエイリアス プロパティを設定できます。[ArcGIS Server オプション] ダイアログ ボックスでは、アンチエイリアスのオプションを設定できます。このダイアログ ボックスには、[マップ サービス公開] ツールバーの [オプション] ボタン からアクセスします。
アンチエイリアス オプションを設定するための、以下のダイアログ ボックスが表示されます。
これらのオプションを設定したら、別のプレビュー ウィンドウ を開いてマップ表示を操作することにより、設定をテストする必要があります。
[アンチエイリアス] オプション。アンチエイリアスは、オブジェクトのエッジ付近の前景色と背景色をブレンドして、境界線が滑らかに見えるようにするグラフィックス手法です。マップ表示に不要なアーチファクト(ギザギザのライン、波状のラインやバンド、モアレ パターンなど)が表示される場合に、このオプションを使用できます。
アンチエイリアスに適用されるフィルタリングの量は、パフォーマンスに影響を及ぼします。ただし、フィルタリングが不十分な場合には、不要なアーチファクトを持つ画像が生成される可能性があります。アンチエイリアス オプションを選択することにより、パフォーマンスをそれほど損なわずに、きれいなマップ イメージ ビューを表示することが可能になります。または、時間はかかるがより効果的な手法を選択して、パフォーマンスを犠牲にする代わりに、ニーズに合ったマップ表示を行うことも可能です。
これらのオプションを使って試し、ニーズに合った効果とパフォーマンスを選びます。
- なし - アンチエイリアスは実行されません。
- 最速 - 速度の面で最適化された、最小限のアンチエイリアスが実行されます。
- 速い - 速度の面で最適化され、[最速] よりも品質が高い、部分的なアンチエイリアスが実行されます。
- 標準 - 速度と品質の適度なバランスが取れたレベルです。
- 高品質 - 最も品質の高いアンチエイリアスです。このオプションでは、レンダリングに最も長い時間がかかります。
マップ表示を明瞭にするためのアンチエイリアスが不要な場合、[なし] を使用します。このオプションでは最高のパフォーマンスが実現されるからです。
[テキストのアンチエイリアス] オプション。テキストのアンチエイリアスは、文字のギザギザを減らすために、テキスト フォントのエッジをブレンドするプロセスです。テキストのアンチエイリアスの制御は重要です。アンチエイリアスが多すぎると、テキストはぼやけて不鮮明になり、少なすぎるとテキストはギザギザに表示されます。テキストのアンチエイリアスによってマップ表示のパフォーマンスが影響を受けることはありませんが、テキストのアンチエイリアスは画像サイズに影響を及ぼす可能性があります。
テキストのアンチエイリアス オプションを以下に示します。
- なし - テキスト アンチエイリアスは実行されません。
- 標準 - テキスト アンチエイリアスはフォントでの決定に従って実行されます。個々のフォントには、アンチエイリアスを使用してフォントを描画すべきサイズを定義するパラメータが、フォント作成者によって組み込まれています。
- すべて(推奨) - 個々のフォントのパラメータに関係なく、テキストは常にアンチエイリアスを使用して描画されます。これは推奨設定です。
これらのオプションを使って試し、ニーズに合った効果とパフォーマンスを作成します。マップ表示を明瞭にするためのテキストのアンチエイリアスが不要な場合、[なし] を使用します。このオプションを使用すると、画像サイズが小さくなるからです。
ArcGIS Server にマップ サービスを公開する
MSD を保存したら、次の手順は ArcGIS Server を使用して導入するマップ サービスの作成です。ここで説明するワークフローを使用して、ArcGIS マップ サービスを直接 ArcMap から公開することができます。ArcGIS Server のその他すべてのマップ公開手法は、「マップ サービス定義の保存と公開」でもサポートされています(たとえば、ArcGIS Server Manager Web アプリケーション コンソールでのマップ サービスの公開など)。
[ArcGIS Server で公開] ボタンを選択すると、ArcGIS Server で使用するマップ サービスを作成するための次の手順を実行することができます。
手順
- [ArcGIS Server で公開] ボタンをクリックすると、最初にマップのパフォーマンスが自動的に分析されます。これによって、マップに対するあらゆる変更が、マップ サービスで正しく動作するようになります。最終段階で変更が必要になっても対処できます。
「マップ描画パフォーマンスの分析と修正」の説明に従って、このマップ分析レポートのエラーを確認し、修正します。
- エラーがない場合には、以下に示す [ArcGIS Server で公開] ウィザードが表示されます。
このウィザードでは、次のことを実行できます。
- 使用する ArcGIS Server を選択します。
- 作成する新しいマップ サービスの名前を入力します。
- マップ サービスを公開するフォルダを指定します。
- マップ サービスを KML または WMS として使用可能にする場合は、[次へ] をクリックします。使用可能にしない場合は、[完了] をクリックして最後の手順に進みます。
ウィザードの 2 ページ目が表示されるので、このマップ サービスの公開したい追加機能を選択します。
公開したい追加のマップ機能をクリックし、[次へ] をクリックしてサマリを表示するか、[完了] を選択して完了します。 - 作成されるマップ サービスのプロパティを一覧表示する、サマリ パネルが表示されます。例を次に示します。マップ サービスのサマリ情報を確認します。サマリ ページには、マップ サービス定義のコピー先となる、サーバの arcgisinput ディレクトリ内の場所が一覧表示されます。
- 終了したら、[完了] をクリックしてマップ サービスを作成します。
サーバ上でのデータ接続を確認する
公開コマンドは、サービスが使用しているデータ接続を、サーバが参照できるかどうかを確認します。データ接続に問題がある場合には、次に示すようなダイアログ ボックスが表示されます。この問題を解決するための最初の手順として、SOC ユーザ アカウントがデータに対する権限を持っているかどうかを確認します。SOC ユーザ アカウントが読み取り権限を持つ場所に、ファイルベースのデータを移動する必要があるかもしれません。
最適化されたマップ サービスを、UNIX および Linux にインストールされた ArcGIS Server に公開する方法
MSD ファイルを使用した最適化されたマップ サービスを Linux および UNIX に公開するには、上で説明した手順と同様のワークフローを使用しますが、1 つだけ追加タスクが必要になります。マップのファイルベースのデータ ソースに対する UNIX/Linux のパスを使用するために、MSD のデータ ソース参照をリセットする必要があります。このタスクを実行するための手順を、以下で説明します。
手順
- UNIX または Linux 上のマップ サービスのために、データ ソースに対する一連のパスを設定します。マップがエンタープライズ ジオデータベースに格納されているデータだけを参照する場合、データのパスを変更する必要はなく、サービスを ArcMap から直接公開することができます。
- マップ ドキュメントを、マップ サービス定義として保存します。
- ArcCatalog で [データ ソースの設定] コマンドを使用し、Windows のファイル パスを UNIX または Linux のファイル パスと置き換えます。このツールは、ファイル ベースのデータソースのパスを、別のパスに設定するためのものです。データ ソース タイプを変更したり、データのデータ ソースを異なるスキーマを使って変更する(エンタープライズ ジオデータベースのデータをファイル ジオデータベースに移動する、など)ためのツールではありません。
- 更新された MSD ファイルを UNIX または Linux システムにコピーします。
- Server Manager を使用して、最適化されたマップ サービスとして MSD を公開します。
ArcMap ドキュメントを MSD として保存する
マップ ドキュメントを分析してマップ サービスをプレビューしたら、マップ ドキュメントを(アンチエイリアスのオプション設定とともに)MSD へ保存できます。[マップ サービス公開] ツールバーの保存ボタン を押します。MSD を作成するための [名前を付けて保存] ダイアログ ボックスが表示されます。MSD のデフォルト名は、ArcMap ドキュメントの名前に拡張子「.msd」を追加したものです。
保存された MSD には、新しい形式としてのマップ定義が、アンチエイリアスおよびテキストのアンチエイリアスの設定とともに含まれます。
ArcGIS Server では、MSD ファイルはパフォーマンスの高い、最適化されたマップ表示エンジンを使用し、スケーラブルなマップが高速で生成されます。MSD は、リアルタイムに生成されるダイナミック マップ サービス(MSD の大きな利点)と、キャッシュ マップ サービスの両方に使用できます。 キャッシュ マップ サービスは、より効率的に MSD から生成されます(マップの生成速度が速いため)。
MSD を使用して作成された最適化されたマップ サービスはパフォーマンスが高く、スケーラブルです。繰り返し行われたテストにより、MSD を使用して作成されたダイナミック マップ サービスは、ArcIMS のマップと比べて少なくとも 25% 高速で動作し、サポートできるユーザ数は 20% 多いことがわかっています。多くの場合、節約できる時間とスケーラビリティはこの数値を上回っています。
ArcMap の標準マップ ドキュメント(MXD)は、ArcGIS Server でダイナミック マップ サービスとキャッシュ マップ サービスの両方として使用することができます。ただし、ダイナミック マップ サービスとしては動作速度が遅く、多数のユーザをサポートするほどスケーラビリティは高くありません。ArcMap の高度な機能(エクステンション レイヤ タイプや特定のシンボル タイプなど)を利用する、非常に高品質なカートグラフィが必要な場合、ArcMap MXD は必要な機能をサポートするので、これを使用してください。地図製作の観点から必要なものを取得することはできますが、描画パフォーマンスは遅くなります。多くの場合、これらのタイプを必要とする、キャッシュ マップ サービス(基本的には事前処理されたマップで、最も早いマップ サービス)を生成する場合には非常に便利です。
各 MSD のソースとして使用された ArcMap ドキュメントを追跡する
最適化されたマップ サービスを公開するには、ArcMap ドキュメント(MXD)を使用して MSD を作成する必要があります。MSD を生成したら、最適化されたマップ サービスの作成に使用された、元の MXD を追跡するにはどのようにすればいいでしょうか。
MSD のソース ドキュメントの追跡は、PDF のソースの追跡(たとえば、PDF の生成に使用された元の Microsoft Word ドキュメント(*.DOC ファイル)を追跡する場合など)に似ています。
MSD 作成時のデフォルト名は、ArcMap ドキュメントの名前と同じ(デフォルトの PDF 名の場合と同様)なので、役に立ちます。この場合、マップ サービス定義ファイルの拡張子は *.mxd ではなく、*.msd です。これらの一対のファイルは、ディスク上に並べて配置することができます。
また、ソース MXD を MSD ファイルのプロパティとして記録したい場合には、ArcCatalog で MSD を右クリックし、次のように [説明] フィールドにマップ ドキュメント名を記録することができます。
マップ ドキュメントを定期的に分析および調整して、パフォーマンスを維持する
長期にわたってマップ ドキュメントを定期的に評価して、マップのパフォーマンスを維持します。
元のデータセットを変更すると、マップ サービス定義を変更していない場合でも、マップの描画パフォーマンスに影響を及ぼす可能性があることを認識することが重要です。インデックスが削除されたり、新しいフィールドが追加および更新されたり、データが別の場所へ移動される可能性があります。
そのため、定期的にこのワークフローを繰り返して、マップを分析し、問題を特定して解決し、最適化されたマップ サービスの高いパフォーマンスを維持する必要があります。
パフォーマンスに影響を及ぼす可能性のある現在の問題を分析および解決することにより、マップ ドキュメントとデータ ソースを定期的に評価することをお勧めします。