ArcGIS Network Analyst 10 の新機能

ロケーション-アロケーション解析

ロケーション-アロケーションによって、需要地点との間で考えられるやり取りに基づいて、複数の候補地の中から運用施設を選択することができます。これは次のような質問に答えるために役立ちます。

ロケーション-アロケーション解析の詳細

ポイント、ライン、およびポリゴン バリア

ArcGIS Network Analyst 10 より前のバージョンでは、バリアはポイントに制限されており、これによって配置されたネットワーク エレメント全体を規制していました。ArcGIS 10 では、ポイント、ライン、およびポリゴン バリアを作成できます。バリアによって移動を規制したり、バリアを使用して基本となるネットワーク エレメントのコストを一時的に変更することもできます。

バリアの詳細

配車ルートの拡張点

複数の休憩

配車ルートでは、各ルートに複数の休憩を追加できます。したがって、運転手の昼食休憩をモデリングするだけでなく、午前や午後の休憩も追加することができます。さらに、さまざまな休憩ポリシーに合わせて設計された次の 3 つのタイプの休憩があります。1 日のうちの指定した時間内(たとえば、午前 10 時から 11 時の間)にとる「タイム ウィンドウ休憩」、累積した移動時間が指定した量に到達する前に発生する「最大移動時間休憩」、累積した移動時間とサービス時間の合計が指定した量に到達する前に発生する「最大作業時間休憩」の 3 つです。

到着と出発の遅延

VRP の [ルート] クラスに新しく [ArriveDepartDelay] というフィールドが追加され、複数の車両が同じ訪問先で停止しないようにすることができます。

配車ルートの詳細

ネットワーク ロケーションでの [U ターンなし]

ルート上のストップや配車ルート上の訪問先などのネットワーク ロケーションには、アプローチ制限に関するプロパティがあります。これは、車両が到着したり出発する方向を、そのネットワーク ロケーションを基準に指定するものです。ここには、新しいオプション [U ターンなし] が追加されました。このオプションを選択すると、車両はどの方向からもネットワーク ロケーションにアプローチできますが、出発するときには、到着したときと同じ方向に移動し続ける必要があります。これは、どの方向からでもストップにアプローチできるけれども向きを変えることのできない大型車両の配車ルートを決定するときに、特に便利です。

U ターンなし
アプローチ制限を [U ターンなし] に設定した場合に許可される到着と出発の組み合わせ

U ターン ポリシーの詳細

ロケーションの読み込み時の [ネットワークの制限部分の除外]

ネットワーク解析レイヤの新しいプロパティである、このチェックボックスをオンにすることで、ネットワーク ロケーションがネットワークの通行可能な部分にのみ配置されるようにできます。これにより、規制またはバリアが原因で到達できないエレメントにネットワーク ロケーションが配置されなくなります。

ネットワーク解析レイヤの詳細

ルート案内の新しいオプション

[ルート案内オプション] ダイアログ ボックスの [差し込みマップ] タブには、次の 2 つのチェックボックスがあります。

[移動方向に回転] チェックボックス

これまでは、ルート案内の差し込みマップは常に北向きでした。今回のバージョンでは、このチェックボックスをオンにすることで、運転手が運転を開始するときに向いている方向に、差し込みマップの向きを合わせることができます。これによって、運転手は頭の中でマップの向きを変える必要がなくなるので、右折や左折をすばやく判断できるようになります。

[移動方向のハイライト矢印を表示] チェックボックス

オンにすると、差し込みマップに矢印が表示されます。

差し込みマップに表示された移動方向のハイライト矢印
緑のラインは、何度も引き返したルートを表しています。矢印は、ルート案内の 1 つの方向をハイライト表示しています。

履歴交通量量データ

交通量は移動時間に影響し、1 日の時刻および曜日によって変化します。さらに、交通量によって 2 つのポイント間の最速ルートも変わってきます。たとえば、1 つのルートがラッシュアワー時に動かなくなる場合、その渋滞を避けて別のルートを選んだ方が速くなります。ArcGIS 10 では、履歴交通量量データに基づいて、ネットワーク データセットをさまざまな移動時間にモデリングできます。この結果、履歴交通量量データをサポートする 2 つの解析(ルート解析および配車ルート解析)によって、より正確な移動時間を作成し、1 日の所定の時刻や所定の曜日における最適ルートを決定できます。

履歴交通量データの詳細

3 次元ネットワーク データセット

ネットワーク データセットが 3D 対応になり、建物内部の通路でモデリングやネットワーク解析を実行できるようになりました。下の図では、建物の 1 階のオフィスから 3 階のオフィスを接続するルートを表しています。

3 次元ネットワークとルート解析

規制を使用することで、車椅子のために階段を避けたルートや、エレベーターを使用しない避難ルートを割り出すことができます。

Z 値に対応する道路や歩道のフィーチャを使用して屋内の通路を接続することで、次のような質問に答えることができます。

3D ネットワーク データセットの解析の詳細

部分再構築

ネットワーク データセットに属するフィーチャを作成、編集、または削除した場合は、変更を反映するためにネットワークを再構築する必要があります。これまでは、変更がどんなに小規模でも、ネットワーク データセット全体を再構築する必要がありました。今回のバージョンでは、再構築プロセスではダーティ エリア内のネットワークのみを再構築します。ダーティ エリアとは、編集されたフィーチャを取り囲むエリアのことです。これによって、大規模なネットワークを再構築するのにかかる時間が大幅に短縮されます。

ただし、ネットワーク データセットのプロパティが編集された場合は、やはりネットワーク全体が再構築されます。

ネットワーク データセットの構築の詳細

ArcMap でのネットワーク データセットのプロパティの変更

ArcCatalog を使用してネットワーク データセットを変更する場合は常に、ネットワーク データセットを参照する ArcMap ドキュメントを閉じて、スキーマ ロックを削除する必要があります。この操作は変わりませんが、ArcMap には新しいカタログ ウィンドウが追加されたので、ArcMap 内でネットワーク データセットを使用して、そのプロパティを変更できるようになりました。ネットワークを変更するために、ArcGIS アプリケーションを開いたり閉じたりする必要がなくなりました。

[ネットワークのアップグレード(Upgrade Network)] ジオプロセシング ツール

以前の ArcGIS リリースで作成したネットワーク データセットがある場合、現在のリリースで新機能を利用するには、ネットワーク上でこのツールを実行する必要があります。ネットワーク データセットがジオデータベース内にある場合は、ネットワークをアップグレードする前に、ジオデータベースをアップグレードする必要があります。

ネットワーク データセットのアップグレードの詳細

[ネットワークのディゾルブ(Dissolve Network)] ジオプロセシング ツール

[ネットワークのディゾルブ(Dissolve Network)] ジオプロセシング ツールは、入力ネットワーク データセットよりも少ないライン フィーチャを使用してネットワーク データセットを作成します。

ライン フィーチャが少ないネットワーク データセットは、より効率的に移動できるため、ネットワーク解析がより迅速に行われます。解析の結果に含まれるネットワーク エレメントも少ないため、ルート ジオメトリとルート案内の生成もより迅速に行われます。

ネットワーク データセットのディソルブの詳細

ArcGIS Server Network Extension

配車ルート、ロケーション-アロケーション、OD コスト マトリックスのサポート

サーバ パラメータのクラスとサーバ結果のクラスが SOAP および GIS Server API で使用できるようになりました。これらを ArcGIS Server で VRP、ロケーション-アロケーション、OD コスト マトリックス ソルバと連動させることで、以前からサポートされていたルート解析、最寄り施設解析、到達圏解析と同様に実行することができます。

REST での最寄り施設と到達圏のサポート

最寄り施設の検出、到達圏解析用に REST エンドポイントが導入されました。

サーバ上へのレイヤの保存

サーバ上に解析結果を保存して、後で既存のソリューションを構築するように求められたときに、レイヤを再利用できます。

ArcGIS Server Network Extension の詳細

関連項目


7/10/2012