ロケーション-アロケーション解析
ロケーション-アロケーションとは
一般的に、立地は、民間企業または公共サービスの効果的な運営に最も重要な要因であると考えられています。民間企業の場合、地元の常連が通う小規模な喫茶店であるか配送センターと世界規模の小売店チェーンを持つ多国籍製造流通ネットワークであるかを問わず、適切なロケーションにより利益を得ることができます。また、適切なロケーションにより、低い固定費および間接費と高いアクセス性を維持できます。学校、病院、図書館、消防署、緊急対応サービス(ERS)センターなどの公共サービスの施設は、ロケーションが適切であれば、高品質なサービスを低コストでコミュニティに提供できます。
ロケーション-アロケーションの目的は、商品とサービスを提供する施設およびそれらを消費する需要地点に関する情報に基づいて、需要地点に商品とサービスを最も効率的に供給できるように施設を配置することです。名前が示すように、ロケーション-アロケーションは、施設を配置すると同時に施設に需要地点を割り当てる 2 つの要素で構成される解析です。
すべてのロケーション-アロケーション解析が同じ問題を解決するわけではなく、最適なロケーションは施設のタイプによって異なります。たとえば、ERS センターにとって最適なロケーションは、製造工場にとって最適なロケーションとは異なります。次の 2 つの例は、ロケーション-アロケーション解析の目的が配置される施設のタイプによってどのように異なるかを示しています。
例 1: ERS センターの配置
救急車を呼ぶと救急車は至急到着するのが当然であると考えられています。緊急対応時間は、救急車と患者の間の距離に大きく左右されます。通常、ERS センターに最適なサイトを決定するときの目標は、救急車が所定の時間枠内に最も多くの人に到達できるようにすることです。具体的には、3 つの ERS 施設をどこに配置すれば 4 分以内にコミュニティの最も多くの人に到達できるかなどの課題を検証します。
例 2: 製造工場の配置
多くの小売店は商品を製造工場から受け取ります。製造する商品が自動車、電化製品、または加工食品であるかを問わず、製造工場はその予算の多くを輸送に費やします。ロケーション-アロケーションにより、全体的な輸送費を最小限に抑えるにはどこに製造工場を配置する必要があるかという課題が解決できます。
ロケーション-アロケーション解析のタイプ
ArcGIS のロケーション-アロケーション解析レイヤには、上の 2 つの例で示したような課題も含め、具体的な課題に対応できるように、6 つの異なる解析タイプがあります。6 つの解析タイプは、次のとおりです。
- インピーダンスの最小化
- カバーエリアの最大化
- 施設数の最小化
- アテンダンスの最大化
- 市場シェアの最大化
- 目標市場シェア
個々の解析タイプの詳細と例については、このトピックの「ロケーション-アロケーション解析レイヤのプロパティ」をご参照ください。
ロケーション-アロケーション解析を実行するワークフローは、ArcGIS Network Analyst で他のあらゆる解析を実行する場合と同様です。
ロケーション-アロケーション解析レイヤ
ロケーション-アロケーション解析レイヤには、特定のロケーション-アロケーション解析に対する入力、パラメータ、および結果が格納されます。
ロケーション-アロケーション解析レイヤの作成
ロケーション-アロケーション解析レイヤを作成するには、[Network Analyst] ツールバーで [Network Analyst] → [新規ロケーション-アロケーション] の順にクリックします。
新しいロケーション-アロケーション解析レイヤを作成すると、6 つのネットワーク解析クラス(施設、需要地点、ライン、ポイント バリア、ライン バリア、ポリゴン バリア)が Network Analyst ウィンドウに表示されます。
ロケーション-アロケーション解析レイヤは、施設、需要地点、ライン、ポイント バリア、ライン バリア、ポリゴン バリアの 6 つの対応するフィーチャ レイヤから構成されるコンポジット レイヤとしてコンテンツ ウィンドウにも表示されます。この 6 種類のフィーチャ レイヤは、それぞれがデフォルトのシンボルを持ちます。このシンボルは、[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスで変更できます。
ロケーション-アロケーション解析のクラス
ロケーション-アロケーション解析レイヤは、6 つのネットワーク解析クラスで構成されます。これらのクラスは、解析レイヤ内に格納されるフィーチャ レイヤです。これらには、ロケーション-アロケーション解析を実行するときに使用されるネットワーク解析オブジェクトが含まれます。
ネットワーク解析クラスは、特定のロケーション-アロケーションについて入力と出力を指定する属性を持っています。属性を確認および編集するには、ネットワーク解析クラス属性テーブル(該当するクラスについてすべてのオブジェクトとその属性が一覧表示されます)、またはオブジェクトの [プロパティ] ウィンドウ(一度に 1 つのオブジェクトとその属性が一覧表示されます)を使用します。
ネットワーク解析オブジェクトのプロパティの表示および編集の詳細
ネットワーク解析クラスには、入力フィールド、出力フィールド、および入力/出力フィールドの組み合わせが含まれる場合があります。入力フィールドにデータを入力すると、ロケーション-アロケーション解析機能がそのデータを使用して解析を設定します。一方、出力フィールドには、ソリューションに関する情報を提供する解析プロセスの結果が格納されます。3 つ目の入力/出力フィールドは、この 2 つの組み合わせです。解析の前にこれらのフィールドの値を設定して、解析で出力値が割り当てられるようにできます。
施設クラス
ロケーション-アロケーション解析の施設は、通常、候補サイトまたは必須サイトを表すポイント フィーチャですが、場合によっては競合施設を表すポイント フィーチャであることもあります。ロケーション-アロケーション解析は、指定された解析タイプおよび基準に従って最も効率的な方法で需要を割り当てるのに最適な候補施設を選択します。
候補施設は、配置するイベントまたは構造に適したロケーションである必要があります。たとえば、配送センターを配置する場合、まず売りに出されている予算内の建築規制が適切な、建設する配送センターを収容するのに十分な面積のある区画を探す必要があります。配送センターを収容するのに十分な面積のあるすでに構造物が建てられている区画を含める必要がある場合もあります。施設の適性を決定するときに考慮する要因の数に制限はありません。
適性解析では、適切な要因の選択と、これらの要因に適合するサイトの検出が行われます。適性解析は、ロケーション-アロケーション解析を設定する前に実行する必要があります。適性解析は、必要に応じて、単純な方法で行われることも複雑な方法で行われることもあります。しかし、適切な候補施設の検出がおろそかにされると、ロケーション-アロケーション解析は、不適切な施設を選択する可能性があります。上の配送センターの例の場合、適切な適性解析が行われなかったために候補施設が調査領域全体にランダムに散在していると、ロケーション-アロケーション解析は、住宅地域などの不適切なロケーションの候補施設を選択する可能性があります。重要なことは、ロケーション-アロケーション解析でニーズに適合する候補施設が使用されるようにすると、ロケーション-アロケーション解析は、特定のロケーション-アロケーション解析タイプの制約を考慮しつつ、コストを最小化し、需要のアロケーションを最大化する 1 つまたは 1 組の施設を候補施設から選択します。
もう 1 つの施設のタイプは、必須施設であり、これはソリューションに含まれる必要があります。新興住宅地域が消防署によって適切に保護されない状態にまで都市が拡大した場合、目標は、既存の消防署を閉鎖することなく新しい消防署を設置することになります。新しい消防署が設置される可能性のあるサイトが候補施設であり、現存の消防署が必須施設です。
競合施設は、[市場シェアの最大化] 解析タイプと [目標市場シェア] 解析タイプのみで使用されます。通常、これは顧客層が同じである競合ビジネスの施設を表します。
各施設には、その重要性または魅力を表すウェイトを割り当てることができます。施設のウェイト値(1 を除く)は、[市場シェアの最大化] 解析タイプと [目標市場シェア] 解析タイプのみで使用でき、その他の解析タイプでは無視されます。たとえば、ある百貨店の売場面積が典型的な売場面積の 2 倍ある場合、その百貨店は顧客にとって 2 倍の魅力があるとします。その場合、その百貨店には 2.0 のウェイトが割り当てられ、典型的な百貨店には 1.0 のウェイトが割り当てられます。施設のウェイトの割り当てに影響する要因の決定とその数量化は、慎重に検討する必要があります。
施設のプロパティ
入力フィールド |
説明 |
---|---|
ObjectID |
システムで管理される ID フィールド。 |
Shape |
ネットワーク解析オブジェクトの地理的な位置を示すジオメトリ フィールド。 |
Name |
ネットワーク解析オブジェクトの名前。 |
FacilityType |
このプロパティは、施設が候補施設、必須施設、競合施設、または選択済み施設のいずれであるかを指定します。これは、以下のリストの括弧内の整数によって表される、値のドメインによって制約されます。
|
Weight |
施設に対する相対的なウェイトの割り当て。これは、1 つの施設のもう 1 つの施設と比較した場合の魅力、利用価値、または傾向を格付けするのに使用されます。 たとえば、ある施設に対して値を 2.0 に設定すると、2 対 1 の割合で、もう 1 つの施設ではなくその施設で買物をすることを好む顧客を獲得できます。施設のウェイトに影響する可能性のある要因には、面積、周辺地域、建物の築年数などがあります。Weight 値(1 を除く)は、[市場シェアの最大化] 解析タイプと [目標市場シェア] 解析タイプのみで考慮されます。 |
ネットワーク ロケーション フィールド
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これらの 4 つのプロパティの組み合わせによって、オブジェクトが配置されているネットワーク上のポイントが示されます。 |
CurbApproach |
CurbApproach プロパティは、施設に到着する、または施設から出発するときに移動が可能な方向を指定します。2 つのポイントの間の最短パスは到着または出発するときに許可されている移動の方向によって異なるため、このプロパティは、施設と需要地点の間のインピーダンスを生成するときに使用されます。 このフィールドは値のドメインによって制約されます。デフォルトでは [車両の両側](0)に設定されており、施設は車両のどちら側からでも訪れることが可能です。車両が特定の方向で施設に到着する、または施設から出発する必要がある場合は、[車両の右側](1)または [車両の左側](2)を選択します。最後の CurbApproach オプションである [U ターンなし](3)は、ロケーション-アロケーション解析では [車両の両側] と同様に機能します。 |
入力/出力フィールド |
説明 |
---|---|
Status |
入力フィールドとして、施設のステータス情報を示します。 このフィールドは、以下に示す値のドメインによって制約されます(それぞれのコード値は括弧内に示されています)。
解析が終了すると、以下のステータス値のいずれかを使用してステータスを変更できます。
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出力フィールド |
説明 |
---|---|
DemandCount |
このフィールドには、施設に割り当てられている需要地点の数が格納されます。0 以外の値は、施設がソリューションの一部として選択されていることを意味します。 |
DemandWeight |
このフィールドには、施設に割り当てられている全需要地点の有効ウェイトの合計が格納されます。値は、施設に割り当てられている需要地点の全 Weight 値の合計です。[アテンダンスの最大化] 解析タイプと [市場シェアの最大化] 解析タイプの場合、需要が距離に伴って減少したり、多数の施設の間で分割されたりするため、値は Weight 値の分配合計です。 |
Total_[Impedance] (たとえば、Miles 属性がネットワークのインピーダンスである場合は「Total_Miles」となります) |
このフィールドには、施設と施設に割り当てられている各需要地点の間のネットワーク コストの合計が格納されます。フィールド名の [Impedance] の部分は、ネットワーク属性名に置き換えられます。たとえば、Total_Meters の場合、「Meters」がネットワーク属性の名前です。 |
TotalWeighted_[Impedance] (たとえば、Miles 属性がネットワークのインピーダンスである場合は「TotalWeighted_Miles」となります) |
このフィールドには、施設の累積加重コストが格納されます。需要地点の加重コストは、そのウェイトに施設と需要地点の間の最小コスト パスを掛けたものです。施設の加重コストは、施設に割り当てられている需要地点の全加重コストの合計です。たとえば、ウェイトが 2 である需要地点が 10 マイル離れたところにある施設に割り当てられている場合、TotalWeighted_Miles 値は 20(2 x 10)になります。ウェイトが 3 である別の需要地点が同じ施設に割り当てられており、5 マイル離れたところにある場合、TotalWeighted_Miles 値は 35(3 x 5 + 20)に増えます。 |
需要地点クラス
このフィーチャ レイヤには、特定のロケーション-アロケーション解析レイヤの一部である需要地点が格納されます。一般的に、需要地点とは、施設が提供する商品とサービスを必要とする人または物を表すロケーションのことです。需要地点は、その内部に居住している住民の数によって加重された郵便番号重心であったり、予測されるこれらの住民による消費の量によって加重された郵便番号重心であったりします。需要地点は、ビジネス顧客を表すこともあります。ビジネスに供給する在庫の回転率が高い場合、これらのビジネスのウェイトは、回転率が低いビジネスよりも重くなります。
需要地点は、ロケーション-アロケーション解析タイプの距離カットオフを上書きできます。これは、一部の需要地点に異なるニーズまたは振舞いがある場合に便利です。たとえば、救急車を事前に配置するとき、一般的にはコミュニティのすべての人に 4 分以内に到達できれば許容範囲内ですが、高齢者センターなどがある高齢者の密度の高い領域では、より速い応答(2 分以内)が必要とされます。
需要地点のプロパティ
入力フィールド |
説明 | ||||
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ObjectID |
システムで管理される ID フィールド。 |
||||
Shape |
ネットワーク解析オブジェクトの地理的な位置を示すジオメトリ フィールド。 |
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Name |
ネットワーク解析オブジェクトの名前。 |
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GroupName |
需要地点が属しているグループの名前。このプロパティは、[目標市場シェア] 解析タイプと [市場シェアの最大化] 解析タイプでは無視されます。 複数の需要地点が 1 つのグループ名を共有している場合、解析はそのグループに属するすべての需要地点を同じ施設に割り当てます。 距離カットオフなどの制約により、グループ内の需要地点のいずれかが同じ施設に到達できない場合、いずれの需要地点も割り当てられません。 |
||||
Weight |
需要地点の相対加重。ウェイトの値が 2.0 であれば、その需要地点は値が 1.0 の需要地点よりも 2 倍重要であることを示します。 |
||||
ImpedanceTransformation |
この需要地点のプロパティに割り当てられる値は、ネットワーク解析レイヤの [インピーダンス変換] の値を上書きします。 |
||||
ImpedanceParameter |
この需要地点のプロパティに割り当てられる値は、ネットワーク解析レイヤの [インピーダンス パラメータ] の値を上書きします。 |
||||
Cutoff_[Impedance] (たとえば、Miles 属性がネットワークのインピーダンスである場合は「Cutoff_Miles」となります) |
この需要地点のプロパティに割り当てられる値は、ネットワーク解析レイヤの [インピーダンス カットオフ] の値を上書きします。 |
||||
ネットワーク ロケーション フィールド
|
これらの 4 つのプロパティの組み合わせによって、オブジェクトが配置されているネットワーク上のポイントが示されます。 |
||||
CurbApproach |
CurbApproach プロパティは、需要地点に到着する、または需要地点から出発するときに移動が可能な方向を指定します。2 つのポイントの間の最短パスは到着または出発するときに許可されている移動の方向によって異なるため、このプロパティは、施設と需要地点の間のインピーダンスを生成するときに使用されます。 このフィールドは値のドメインによって制約されます。デフォルトでは [車両の両側](0)に設定されており、需要地点は車両のどちら側からでも訪れることが可能です。車両が特定の方向で需要地点に到着する、または需要地点から出発する必要がある場合は、[車両の右側](1)または [車両の左側](2)を選択します。最後の CurbApproach オプションである U ターンなし)(3) は、ロケーション-アロケーション解析では [車両の両側] と同様に機能します。 |
入力/出力フィールド |
説明 |
---|---|
Status |
入力フィールドとして、需要地点のステータス情報を示します。 このフィールドは、以下に示す値のドメインによって制約されます(それぞれのコード値は括弧内に示されています)。
解析が終了すると、以下のステータス値のいずれかを使用してステータスを変更できます。
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出力フィールド |
説明 |
---|---|
FacilityID |
需要地点が割り当てられている施設のオブジェクト ID。 値が NULL であれば、需要地点は施設に割り当てられていないか、複数の施設に割り当てられています(後者は市場シェア関連の解析タイプのみで可能)。 |
AllocatedWeight |
これは、選択済み施設と必須施設に割り当てられている需要の量です。競合施設に割り当てられている需要はこの値に含まれません。値には、次の 3 種類があります。
|
ライン クラス
ライン クラスは、出力専用のネットワーク解析クラスであり、解析の動作中に解析機能によって生成されるライン フィーチャのみを含みます。これには、需要地点とそれらが割り当てられている施設を接続するライン フィーチャが含まれています。需要地点が複数の施設に割り当てられている場合、需要地点は割り当てられている施設ごとに 1 本のラインで接続されます。需要地点がどの施設にも割り当てられていない場合、その需要地点には対応するラインが 1 本もありません。出力形状のタイプとしては、[直線] または [なし] を指定できます。どちらの場合も、ライン フィーチャは、常に、施設と需要地点の間の最短のネットワーク パスを表すため、コスト関連の属性は直線距離ではなくネットワーク コストを反映します。ネットワーク パスの実際の形状が出力されない理由は、それらがロケーション-アロケーションで必要とされることはほとんどなく、特に大規模な解析の場合は、パスの形状を生成すると、解析時間が大幅に長くなり、システムのリソースを使い果たす可能性があるからです。
ラインのプロパティ
出力フィールド |
説明 |
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ObjectID |
システムで管理される ID フィールド。 |
Shape |
ネットワーク解析オブジェクトの地理的な位置を示すジオメトリ フィールド。 解析レイヤの [出力形状のタイプ] プロパティを [なし] に設定した場合、形状は表示されません。[出力形状のタイプ] プロパティを [直線] に設定すると、施設と需要地点を接続する直線が返されます。 |
Name |
ラインの名前。名前は、施設名と需要地点名が訪れる順序で示されるように形成されます。ネットワーク解析レイヤの [移動方向] プロパティが [施設から重要地点へ] に設定されているときは、名前の形式は [施設名] - [需要地点名] であり、[需要地点から施設へ] に設定されているときは、[需要地点名] - [施設名] です。 |
FacilityID |
ラインが関連付けられている施設の一意な ID。ラインは、常に、1 つの施設と 1 つの需要地点に関連付けられています。 |
DemandID |
ラインが関連付けられている需要地点の一意な ID。ラインは、常に、1 つの施設と 1 つの需要地点に関連付けられています。 |
Weight |
接続されている需要地点(DemandID)から接続されている施設(FacilityID)に割り当てられているウェイト。 |
TotalWeighted_[Impedance] (たとえば、Miles 属性がネットワークのインピーダンスである場合は「Total_Miles」となります) |
施設から需要地点に移動する加重コスト。これは、施設に割り当てられている需要地点のウェイトを Total_[Impedance] 値に掛けたものです。すべての累積属性とアクティブなコスト属性には Total_[Impedance] 属性が伴います。 ラインのジオメトリは [直線] もしくは [なし] ですが、インピーダンスは常に直線距離ではなくネットワーク コストを参照することに注意してください。 |
Total_[Impedance] (たとえば、Miles 属性がネットワークのインピーダンスである場合は「Total_Miles」となります) |
施設から需要地点に移動するネットワーク コスト。すべての累積属性とアクティブなコスト属性には Total_[Impedance] 属性が伴います。 ラインのジオメトリは直線かなしのどちらかですが、インピーダンスは常に直線距離ではなくネットワーク コストを参照することに注意してください。 |
ポイント、ライン、およびポリゴン バリア
バリアは、ネットワークの構成要素を一時的に規制したり、それにインピーダンスを追加したり、そのインピーダンスをスケーリングしたりするのに使用します。新しいネットワーク解析レイヤが作成されるとき、バリア クラスは空です。バリアは、それにオブジェクトを追加するときにのみ設定されます(バリアを追加することは必須ではありません)。
バリアは、すべてのネットワーク解析レイヤで使用可能です。したがって、バリアについては、別のトピックで説明されています。
ロケーション-アロケーション解析レイヤのプロパティ
解析パラメータの設定は、解析レイヤの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスで行います。このダイアログ ボックスには、いくつかの方法でアクセスできます。
ネットワーク解析レイヤの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスを開く方法の詳細
解析の設定タブ
移動方向
ArcGIS Network Analyst では、ロケーション-アロケーション解析を実行するとき、需要地点から施設、または施設から需要地点へのネットワーク コストを計算できます。一方通行(Oneway)などの規制と、移動時間などのインピーダンスは方向に基づき、移動時間に影響します。たとえば、需要地点から施設への移動時間は 15 分であっても、施設から需要地点への移動時間は 10 分である場合があります。[移動方向] プロパティは、どの施設に需要地点が割り当てられるかに影響することがあります。
消防署の場合、消防署から緊急事態のロケーションまで移動する時間が重視されるため、通常は [施設から需要地点へ] 設定が使用されます。小売店の場合、買物客が小売店に到達するまでの時間が重視されるため、通常は [需要地点から施設へ] オプションが使用されます。
ジャンクションでの U ターン
ArcGIS Network Analyst では、U ターンをすべての場所で許可、どの場所でも許可しない、袋小路(行き止まり)のみで許可、または交差点と袋小路のみで許可するように設定できます。U-ターンを許可するということは、車両がジャンクションで方向転換し、同じ道路を引き返すことができるということを意味します。
出力形状のタイプ
解析の結果は、ラインなし、または直線で表すことができます。
- [なし] - 需要の施設への割り当てを表すラインは返されないか、マップに表示されません。これは、多数の需要地点または施設があり、表形式の出力のみが必要である場合に便利です。
- [直線] - 需要を施設に接続するラインが返され、マップに表示されます。
どちらの場合も、ソリューションに含まれるインピーダンス関連のコストは同じであり、最短のネットワーク パスに基づいています(直線距離は使用されません)。
階層を使用
ネットワーク データセットが階層属性を持つ場合、解析に階層を使用できます。階層を使用すると、解析は下位ランクのエッジよりも上位ランクのエッジを優先します。階層解析は、より高速で、運転者が遠回りであっても一般道路の代わりに高速道路を利用する状況をシミュレートするのに使用できます。一方、階層を使用しない場合、ネットワーク データセットの正確なルートが検索されます。
無効なロケーションを除外
このプロパティを使用すると、無効なネットワーク ロケーションを除外でき、有効なネットワーク ロケーションのみから解析レイヤを解決できます。このオプションがオフになっており、ネットワーク ロケーションが未配置である場合は、解析が失敗する可能性があります。いずれの場合も、解析では無効なロケーションは無視されます。
規制
解析の実行中に適用される必要のある規制属性を選択できます。一方通行に従う必要のある車両(たとえば、緊急車両以外の車両)を対象とするソリューションの検索には、一方通行(Oneway)などの規制が使用されます。ネットワーク データセットに重量規制や高さ規制などの追加の規制属性が含まれる場合は、それらの規制も使用できます。
規制属性は動的属性と共に使用できます。たとえば、車高がトンネルより高い場合は、エッジを規制することが可能です。
高度な設定タブ
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [高度な設定] タブでは、解析タイプを選択し、そのプロパティを設定します。施設の種類によって優先事項と制約が異なるため、解析タイプは配置する施設の種類に応じて選択する必要があります。たとえば、消防署の場合、コミュニティのすべての人に 4 分以内に到達できるように施設を配置する必要があります。レストランの場合、可能な限り多くの人が車で 10 分以内の領域に存在し、さらにそのうちの多くが可能な限りレストランの近くに存在しているように施設を配置することで、顧客数の最大化を試みることができます。どちらの例も、ロケーション-アロケーション解析で解析できますが、異なる解析タイプを使用する必要があります(消防署の目的を達成するには [施設数の最小化] 解析タイプが最適であり、レストランの場合は [アテンダンスの最大化] 解析タイプが最適です)。
[高度な設定] タブの設定を使用して、施設を配置するときの制約を変更し、解析の優先事項を操作します。
解析タイプ
この [解析タイプ] プロパティを使用して、ロケーション-アロケーション解析タイプを選択できます。次に、それぞれの解析タイプについて説明します。
解析タイプ |
説明 | ||
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インピーダンスの最小化 (P 中央値) |
需要地点とソリューション施設の間の全加重コストの合計が最小化されるように施設を配置します。下の図の矢印は、割り当てがすべての需要地点間の距離に基づいていることを示しています。 この解析タイプは、商品を小売店に配送する輸送コストを包括的に削減できるため、一般的に、倉庫を配置するときに使用されます。[インピーダンスの最小化] は、選択済み施設まで移動する必要のある全体的な距離を短縮するので、インピーダンス カットオフを使用しない [インピーダンスの最小化] 解析は、通常、他の解析タイプよりも、図書館、地方空港、博物館、運転免許センター、診療所などの公共サービスの施設をより衡平に配置します。 次に、[インピーダンスの最小化] 解析タイプが需要をどのように処理するかについて説明します。
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カバーエリアの最大化 |
可能な限り多くの需要地点がインピーダンス カットオフ内のソリューション施設に割り当てられるように施設を配置します。 [カバーエリアの最大化] は、指定された応答時間内にすべての需要地点に到着する必要のある消防署、警察署、ERS センターなどの緊急サービスの配置によく使用されます。解析の結果が実世界の結果を正しくモデリングするように正確なデータを得ることは、すべての組織にとって重要ですが、緊急サービスにとっては必要不可欠です。 宅配ピザの場合、ピザ レストランとは反対に、特定の移動時間内に可能な限り多くの人をカバーできるところに店舗を配置する必要があります。ピザの宅配を注文する人は、一般的に、店舗までの距離ではなく、広告に示されている時間内にピザが到着することを重視します。したがって、宅配ピザの場合、広告に示されている配達時間からピザの調理時間を引き、カバーエリア内の宅配ピザを注文する可能性が高い人を最大限に獲得する候補施設を選択するように [カバーエリアの最大化] 解析を実行します(ピザ レストランを利用する可能性の高い人は、ピザ レストランまで移動する必要があるため、距離を重視します。したがって、ピザ レストランの場合、[アテンダンスの最大化] 解析タイプまたは市場シェア関連の解析タイプのほうがより適しています)。 次に、[カバーエリアの最大化] 解析タイプが需要をどのように処理するかについて説明します。
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施設数の最小化 |
可能な限り多くの需要地点がインピーダンス カットオフ内のソリューション施設に割り当てられるように施設を配置し、さらに、需要地点をカバーするのに必要な施設の数を最小化します。 [施設数の最小化] は基本的に [カバーエリアの最大化] と同じですが、配置する施設の数が異なり、この場合、それは解析によって決定されます。施設を建設するコストが制限要因でない場合、[カバーエリアの最大化] を使用するのが適切な施設(緊急対応サービスなど)について、[施設数の最小化] を使用すると、すべての考えられる需要地点がカバーされます。[施設数の最小化] は、スクール バスのバス停を選択するためにも使用されます(生徒が自宅により近い場所に別のスクール バスのバス停が設置されるまで一定の距離を歩く必要がある場合)。 次に、[施設数の最小化] 解析タイプが需要をどのように処理するかについて説明します。
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アテンダンスの最大化 |
需要ウェイトが施設と需要地点の間の距離と比例して減ることを想定して、可能な限り多くの需要ウェイトが施設に割り当てられるように施設を選択します。 この解析タイプは、競合ビジネスがほとんど存在しない、またはまったく存在しない専門店にとっては大いに効果的ですが、市場シェア関連の解析タイプを実行するのに必要な競合ビジネスに関するデータを持たない一般小売店およびレストランにとっても効果的な場合があります。この解析タイプが適しているビジネスには、喫茶店、フィットネス センター、歯科医院、診療所、ボウリング場、電化製品店などがあります。公営バスのバス停は、多くの場合、[アテンダンスの最大化] を使用して選択されます。[アテンダンスの最大化] は、施設に到達するまでに移動する距離が長ければ長いほど、その施設が利用される可能性が低いことを前提としています。したがって、施設に割り当てられている需要の量は距離に伴って減少します。距離に伴う減少は、インピーダンス変換で指定します。 次に、[アテンダンスの最大化] 解析タイプが需要をどのように処理するかについて説明します。
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市場シェアの最大化 |
競合ビジネスが存在する状況において割り当てられた需要が最大化されるように特定の数の施設を選択します。その目標は、指定した数の施設で総市場シェアのうち可能な限り多くの市場シェアを獲得することです。総市場シェアとは、有効な需要地点の全需要ウェイトの合計のことです。 市場シェア関連の解析タイプは、配置する施設のウェイトだけではなく競合施設のウェイトも把握する必要があるため、最大量のデータを必要とします。[アテンダンスの最大化] 解析タイプを使用するのが適切な施設の場合も、競合ビジネスのデータを含む包括的な情報を使用できる場合は、市場シェア関連の解析タイプを使用できます。大型ディスカウント ショップは、一般的に、[市場シェアの最大化] を使用して有限数の新しい店舗を配置します。市場シェア関連の解析タイプでは、ハフ モデル(重力モデルまたは空間相互作用とも呼ばれる)が使用されます。 次に、[市場シェアの最大化] 解析タイプが需要をどのように処理するかについて説明します。
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目標市場シェア |
[目標市場シェア] は、競合ビジネスが存在する状況において総市場シェアのうちの特定の割合を獲得するのに必要な最小数の施設を選択します。総市場シェアとは、有効な需要地点の全需要ウェイトの合計のことです。獲得したい市場シェアの割合は手動で設定し、その閾値に適合するのに必要な最小数の施設の選択は解析が行います。 市場シェア関連の解析タイプは、配置する施設のウェイトだけではなく競合施設のウェイトも把握する必要があるため、最大量のデータを必要とします。[アテンダンスの最大化] 解析タイプを使用するのが適切な施設の場合も、競合ビジネスのデータを含む包括的な情報を使用できる場合は、市場シェア関連の解析タイプを使用できます。 大型ディスカウント ショップは、一般的に、特定のレベルの市場シェアに到達するにはどの程度の拡張が必要であるかを把握したり、新しい競合施設が出現した場合に現在の市場シェアを維持するためにはどのような戦略が必要であるかを確認したりする必要があるときに [目標市場シェア] 解析タイプを使用します。通常、その結果は、予算を考慮する必要がない場合に取るべき行動を表します。予算を考慮する必要がある場合は、[市場シェアの最大化] 解析を実行して、制限された数の施設で可能な限り多くの市場シェアを獲得します。 次に、[目標市場シェア] 解析タイプが需要をどのように処理するかについて説明します。
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選択する施設
解析で配置する必要のある施設の数を指定するには、[選択する施設] プロパティを使用します。
検出する必要のある施設の数が必須施設よりも多い場合、FacilityType 値が [必須] に設定されている施設は常にソリューションに含められ、残りの検出する必要のある施設は候補施設から選択されます。
解析前に FacilityType 値が [選択済み] に設定されている施設は、解析時には候補施設として処理されます。
[選択する施設] プロパティは、カバーエリアを最大化するために最小数の施設を決定する [施設の最小化] 解析タイプでは無効です。
[選択する施設] プロパティは、指定された市場シェアを獲得するために必要な最小数の施設を検出する [目標市場シェア] 解析タイプでは無効です。
インピーダンス カットオフ
[インピーダンス カットオフ] は、需要地点を施設に割り当てる最大インピーダンスを指定します。最大インピーダンスは、ネットワークに沿った最小コスト パスによって計測されます。需要地点がカットオフの範囲外にある場合、それは割り当てられません。このプロパティは、店舗に訪れるために顧客が移動することをいとわない最大距離や、消防署がコミュニティのすべての人に到達するのにかかっても許容される最長時間などをモデリングするのに使用することもできます。
需要地点には Cutoff_[Impedance] プロパティがあり、これが設定されていると、解析レイヤの [インピーダンス カットオフ] プロパティが上書きされます。たとえば、施設に到達するために移動してもいとわない距離が農村部の住民の場合は最大 10 マイルであるのに対し、都市部の住民の場合は最大 2 マイルであるとします。この振舞いは、解析レイヤのインピーダンス カットオフ値を 10 に設定し、都市部の需要地点の Cutoff_Miles 値を 2 に設定することでモデリングできます。
インピーダンス変換
これは、施設と需要地点の間のネットワーク コストを変換するための式を設定します。[インピーダンス パラメータ] とともに使用されるこのプロパティは、施設と需要地点の間のネットワーク インピーダンスが、解析でどの施設が選択されるかに影響する度合いを指定します。
変換を適用することで、需要地点から最も近い施設に到達するために移動する必要のある全体的な距離を均等化できます。図書館と診療所については、サービスの均等性が重視されるため、多くの場合、累乗インピーダンス変換が使用され、インピーダンス パラメータが 2.0 に設定された [インピーダンスの最小化] 解析タイプを使用して施設の配置が行われます。こうすると、少数の遠くに居住する利用者または患者が相対的に余分に長い距離を移動する必要がなくなります。
顧客がどこに居住しているかに関するデータを収集する店舗もあります。これを行うと、距離が顧客の振舞いに与える影響が判明します。データを収集することで、店舗はインピーダンス変換を設定し、キャリブレーションすることができるため、将来より効果的にサイトを選択できます。
正確にインピーダンス変換とパラメータを適合させて、優先事項を指定し、需要地点の振舞いをモデリングするときには、慎重な検討が必要で、ハフ モデルや距離に伴う減少などのトピックについても調べる必要があります。しかし、最初のステップは、コストがどのように変換されるかを理解することです。次に、変換のオプションについて説明します。「d」は需要地点、「f」は施設です。したがって、インピーダンスdf は需要地点 d と施設 f の間の最短パスのネットワーク インピーダンスであり、コストdf は施設と需要地点の間の変換されたネットワーク インピーダンスです。ラムダ(λ)は、インピーダンス パラメータを示します。
インピーダンス変換 |
説明 |
---|---|
リニア |
コストdf = λ * インピーダンスdf 注意: [インピーダンス変換] プロパティを [リニア] に設定した場合、リニア変換のパラメータの値を変更しても解析の結果には影響がおよばないため、インピーダンス パラメータは常に内部で 1 に設定されます。 |
累乗 |
コストdf = インピーダンスdfλ |
指数関数 |
コストdf = e(λ * インピーダンスdf) 指数関数変換は、一般的に、インピーダンス カットオフとともに使用されます。 |
以下の一連の図と表では、[インピーダンスの最小化] を使用して、異なるインピーダンス変換およびパラメータを使用した場合の考えられる影響を示します。
リニア変換のパラメータ値は常に 1 です。これにより、コストは変更されず、施設 B がそのコストを最小化します。
施設 |
総コスト(リニア) |
ソリューション施設 |
---|---|---|
A |
3+3+5=11 |
|
B |
7+1+1=9 |
施設 B が選択されます。 |
パラメータが 2 に設定された累乗変換は、距離を増幅して十分に長くするため、施設 A が代わりにコストを最小化します。
施設 |
総コスト(累乗変換、λ = 2) |
ソリューション施設 |
---|---|---|
A |
32+32+52=43 |
施設 A が選択されます。 |
B |
72+12+12=51 |
インピーダンス パラメータが 0.02 に設定された指数関数変換は、近くの需要地点を優先するため、この場合、施設 B がソリューション施設になります(図はリニア変換の図と同じになるため省略します)。
施設 |
総コスト(指数関数変換、λ = 0.02) |
ソリューション施設 |
---|---|---|
A |
e0.02*3+e0.02*3+e0.02*5=3.23 |
|
B |
e0.02*7+e0.02*1+e0.02*1=3.19 |
施設 B が選択されます。 |
インピーダンス パラメータ
このプロパティを使用して、[インピーダンス変換] プロパティとともに使用するパラメータ(λ)を設定できます。ただし、[インピーダンス変換] が [リニア] に設定されていると、インピーダンス パラメータ値は無視され、代わりに値として 1 が使用されます。詳細については、上述のインピーダンス変換プロパティの説明をご参照ください。
需要地点には ImpedanceParameter プロパティがあり、これが設定されていると、解析レイヤの [インピーダンス パラメータ] プロパティが上書きされます。都市部の住民と農村部の住民で異なるインピーダンス パラメータを指定する必要がある場合があります。これは、解析レイヤのインピーダンス変換を農村部の住民に適合するように設定し、都市部の需要地点のインピーダンス変換を都市部の住民に適合するように設定することでモデリングできます。
目標市場シェア
このプロパティは、[目標市場シェア] 解析タイプのみで使用されます。これは、ソリューション施設で獲得したい総需要ウェイトのうちの割合です。解析は、この数値で指定される目標市場シェアを獲得するのに必要な最小数の施設を選択します。
[累積] タブ
[累積] タブでは、ルート オブジェクトに累積されるコスト属性をネットワーク データセットから選択できます。これらの累積属性は、参考情報としてのみ使用されます。解析は、解析レイヤの [インピーダンス] パラメータで指定されているコスト属性のみを使用してルートを計算します。
累積されるコスト属性ごとに、Total_[Impedance] プロパティが解析によって出力されるルートに追加されます。
[ネットワーク ロケーション] タブ
[ネットワーク ロケーション] タブのパラメータは、ネットワーク ロケーションを検索し、そのプロパティの値を設定するのに使用されます。
ロケーション-アロケーション解析の実行および結果解釈
ロケーション-アロケーション解析レイヤの作成、必要なネットワーク解析オブジェクトの取り込み、および適切な解析プロパティの設定を行った後でロケーション-アロケーション解析のソリューションを決定するには、[Network Analyst] ツールバーの [解析の実行] ボタンをクリックします。
解析が終了すると、ロケーション-アロケーション解析は、[出力形状のタイプ] プロパティが [直線] に設定されている場合はソリューション施設とそれに割り当てられている需要地点の間にラインを描画し、ソリューションに含められた候補施設の FacilityType プロパティを [選択済み] に設定します。
Network Analyst ウィンドウでもライン クラスの名前が更新され、それに含まれているライン オブジェクトの数が表示されます。
解析の実行中、ロケーション-アロケーション解析は、アクティブなネットワーク コスト属性をインピーダンスとして使用して、内部で管理される施設と需要地点の間の OD(起点-終点)コスト マトリックスを作成します。この解析は、課題の考えられるソリューションを解析するとき、OD コスト マトリックスを参照します。
ロケーション-アロケーション解析は一種の組み合わせによる最適化であるため、考えられるソリューションの数が急激に増えることがあります。
候補施設 |
検出する施設 |
考えられるソリューションの数 |
---|---|---|
10 |
5 |
252 |
30 |
15 |
155,177,520 |
50 |
25 |
126,410,606,437,752 |
100 |
50 |
1.009 x 1029 |
500 |
250 |
1.167 x 10149 |
ロケーション-アロケーション解析では課題が組み合わされて解析されるため、網羅的な検索方法は、妥当な検索時間内に適切なソリューションを検出するのには実践的ではありません(特に大規模な解析セットの場合)。したがって、より速く検索を実行するためにヒューリスティクスが使用されます。Network Analyst で使用されているヒューリスティックなアプローチの詳細については、次のトピックをご参照ください。
Network Analyst で使用されているアルゴリズムの詳細
適切な施設を選択し、需要地点を割り当てたら、ロケーション-アロケーション解析はネットワーク解析オブジェクトの適切な出力フィールドに結果を出力します。
ロケーション-アロケーション解析の結果解釈
ロケーション-アロケーション解析が適切に実行されたら、施設、需要地点、およびラインのプロパティを確認することで結果を検証できます。また、結果をより深く理解するために解析クラスを選択する必要がある場合もあります。一般的に、次のような選択が解析後に行われます。
- 市場シェア関連の解析以外の解析タイプの場合、FacilityID 値が検証したい施設の ID と同じである需要地点を選択して、特定のソリューション施設に割り当てられているすべての需要地点を選択します。
- 市場シェア関連の解析タイプの場合、[需要地点] の [ObjectID] と [ライン] の [DemandID] を結合フィールドとして使用してライン属性テーブルを需要地点テーブルに結合して、特定のソリューション施設に割り当てられているすべての需要地点を選択します。次に、検証する FacilityID の値を LALines.FacilityID フィールドから選択します。