重複および非重複近傍の統計情報の計算

近傍解析操作は、各近傍内に含まれるすべての入力セルに指定された統計情報を計算することによって、出力値を算出します。近傍は、入力データを反復処理する変動ウィンドウです。

Spatial Analyst には、処理位置の近傍が重なっている場合と、重なっていない場合という 2 種類の基本的な近傍解析操作があります。

[フォーカル統計（Focal Statistics）] ツールは、重なり合う近傍で入力データセットを処理します。[ブロック統計（Block Statistics)] ツールは、重なっていない近傍でデータを処理します。

フォーカル演算では、処理セルだけが近傍のすべてのセルの計算結果を受け取りますが、ブロック演算では、近傍を含む最小境界範囲内のすべてのセルが同じ出力値を受け取ります。

近傍の形状

指定できる定義された近傍は、任意のサイズの四角形、任意の半径を持つ円、任意の半径を持つドーナツ形、および任意の方向を持つ扇形部分（ウエッジ）です。

これらの幾何学的形状に加えて、カーネルと呼ばれる不規則な形状の近傍を作成することもできます。カーネルでは、近傍のどのセルを計算に含めるかを正確に制御できます。さらに、近傍の特定のセルに異なる重みを与えることもできます。

指定した近傍内にある入力ラスタのセルは、その近傍で実行される計算に含められます。

次に、さまざまな近傍の形状について説明します。

• 四角形

  四角形の近傍の幅と高さの単位は、セル数、またはマップの単位にできます。デフォルトは、3 x 3 セルの近傍です。

• 円

  円のサイズは、指定した半径によって決まります。半径は、セル数、またはマップの単位で指定され、X 軸または Y 軸に垂直に計測されます。

  半径がマップの単位で定義されている場合は、次の方法で近傍の処理に含まれるセルが判定されます。まず、指定した半径値で定義される円の正確なエリアが計算されます。次に、指定した半径値が切り捨てられる円と、切り上げられる円についてエリアが計算されます。これらの 2 つのエリアは指定した半径から得られたエリアと比較され、近い方のエリアの半径が演算に使用されます。

• ドーナツ形

  ドーナツ形の内部にあるセルが、近傍の処理に含められます。内径は、処理セルの中心からのドーナツ形の内円の半径を示します。内径の内側にあるセルは、近傍の処理に含められません。外径は、処理セルの中心からのドーナツ形の外円の半径を示します。外円は、近傍の範囲を定義します。外円の半径と内円の半径との間にあるセル中心がすべて、近傍の処理に含められます。半径は、セル数、またはマップの単位で指定され、X 軸または Y 軸に垂直に計測されます。

• 扇形（ウエッジ）

  扇形部分（ウエッジ）の内部にあるセルが、近傍の処理に含められます。扇形部分（ウエッジ）は、半径と角度を指定して作成されます。半径は、セル数、またはマップの単位で指定され、処理セルの中心から、X 軸または Y 軸に垂直に計測されます。

  扇形部分（ウエッジ）の起点角度は、0 ～ 360 の整数または浮動小数値にできます。扇形部分（ウエッジ）の値は 0 が正の X 軸で、左回りに増加し、円を一周して 0 に戻ります。扇形部分（ウエッジ）の終点角度は、0 ～ 360 の整数または浮動小数値にできます。起点と終点の値で指定した角度を使用して、扇形部分（ウエッジ）が作成されます。扇形部分（ウエッジ）の内部にあるすべてのセルが、近傍の処理に含められます。

• 不規則

  カーネル内の指定されたセルのうち、値が 1 のセルは近傍の処理に含められますが、値が 0 のセルは含められません。カーネルは、テキスト エディタで作成できる ASCII テキスト ファイルです。

• 重み

  不規則な近傍のタイプと同様に、重み付けされた近傍のカーネルは ASCII テキスト ファイルで定義されます。相違点は、カーネルに指定されたセル位置の値が、カーネルの値で乗算されることです。カーネル内の特定の位置を解析に含めないようにするには、その位置に値 0 を使用します。

近傍統計情報の種類

処理対象の近傍内のセル値について、さまざまな統計情報を計算できます。

• [フォーカル統計（Focal Statistics）] では、出力ラスタの処理セルに対応する位置にのみ計算結果が適用されます。
• [ブロック統計（Block Statistics)] では、処理対象の近傍内にあるすべてのセルに計算結果が適用されます。

統計情報	説明
最頻値	近傍で最も頻繁に発生する値を求めます
最大値	近傍の最大値を求めます
平均値	近傍の平均値を計算します
中央値	近傍の中央値を計算します
最小値	近傍の最小値を求めます
最少頻値	近傍で発生する数が最も小さい値を求めます
範囲	近傍の値の範囲を求めます
標準偏差	近傍の値の標準偏差を計算します
合計値	近傍の合計値を計算します
種類	近傍の個別値の個数を求めます

近傍統計情報