マップの保存

マップの保存

マップでの作業が終了したら、マップを保存して ArcMap を終了できます。マップはドキュメントとして保存し、ハード ディスクに格納します。初めて保存するマップでは、名前を指定して、フォルダに保存する必要があります。ArcMap は、マップ ドキュメントの名前に自動的にファイル拡張子「.mxd」を追加します。

マップ上に表示されているデータは、そのマップとともに保存されません。マップ レイヤは GIS データベースのデータ ソースを参照します。これは、マップ ドキュメントのサイズを比較的に小さく維持するのに役立ちます。

マップ パッケージを使用して、マップをそのデータとともに保存することもできます。マップ パッケージを使用すると、マップとその関連データを他のユーザと簡単に共有することができます。詳細については、「マップ パッケージの作成」をご参照ください。

ArcGIS の旧バージョンへの保存

ArcGIS 10 を使用し、既存のマップ ドキュメント(*.mxd ファイル)を開いて保存した場合、マップは 10 で追加された新しい機能を反映するようになるため、以前のバージョンの ArcGIS では開けなくなります。同様に、10 で作成した新しいドキュメントも、以前のバージョンのソフトウェアでは開くことができません。ただし、[コピーを保存] コマンドを使用してマップ ドキュメントのコピーを作成すると、以前のバージョンの ArcGIS でマップを開いて作業することができます。ArcGIS 10 では、ArcGIS 9.3、9.2、9.0/9.1、8.3 の形式で保存できます。ArcGIS 9.0 と 9.1 のマップ ドキュメントは、相互にそれぞれのバージョンのソフトウェアと直接互換性を持ちます。

ArcGIS の新しいバージョンごとに、以前のバージョンでは利用できない機能とプロパティが追加されます。マップ ドキュメント、レイヤ ファイル、または 3D ドキュメントを以前のバージョンの ArcGIS へ保存すると、ファイルの形式が変更され、古いバージョンで利用できないプロパティは削除されます。

つまり、10 から以前のバージョンに保存すると、ArcGIS 10 の新しいソフトウェアに依存する機能がすべて、ファイルから削除されることになります。したがって、9.3、9.2、9.0/9.1、8.3 へ保存した後、古いコピーを使用してもう一度 10 で作業を開始すると、[コピーを保存] の処理で 10 の機能が削除されているため、一部の作業が失われている可能性があります。元の ArcGIS 10 ファイルには、新しい機能がまだ残っています。

また、マップ ドキュメントを以前のバージョンのソフトウェアへ保存するときには、*.mxd ファイルだけが保存されます。*.mxd ファイルで参照されているデータ ソースは、そのまま変更されません。ジオデータベース、データ ソース、および以前のバージョンでの保存については、この後のセクションをご参照ください。

ArcMap と ArcGlobe のレイヤ ファイルArcGlobe と ArcScene のドキュメントも、以前のバージョンの ArcGIS に保存できます。

ジオデータベースと以前のバージョンへのマップ ドキュメントの保存

組織内で複数のバージョンの ArcGIS が使用されている場合は、マップで参照されているデータに ArcGIS がアクセスできるかどうかに影響する可能性があるため、ジオデータベースが関連付けられている ArcGIS のリリースを確認する必要があります。新しいバージョンの ArcGIS では古いバージョンのジオデータベースを読み取ることができますが、古いバージョンの ArcGIS では次の場合を除いて、新しいジオデータベースを読み取ることができません。

たとえば、マップに ArcGIS 10.0 のパーソナル、ファイル、または ArcSDE ジオデータベースのデータが含まれている場合、*.mxd ファイルを ArcGIS 9.3、9.2、9.1、9.0、8.3 で開けるように保存することはできますが、これらのバージョンでは 10.0 のデータを表示できません。同様に、10.0、9.3、9.2、9.1、9.0 のジオデータベースにあるデータは ArcGIS 8.3 では読み取れません。シェープファイル、カバレッジ、およびファイルベースのラスタには、同様の問題はありません。

以前のリリースを使用して作成した既存のジオデータベースは、10 にアップグレードしなくても、10 で開いて使用することができます。ただし、10 で追加された新しい機能を利用するには、既存のジオデータベースをアップグレードする必要があります。ただし、ジオデータベースをアップグレードすると、元のバージョンの ArcGIS で使用するためにジオデータベースを復元することはできません。このため、アップグレードを行う前にジオデータベースのコピーを作成しておきます。

ArcGIS バージョン 10 で作成またはアップグレードしたジオデータベースにあるデータを、古いバージョンの ArcGIS で使用したい場合は、次の 2 つの方法があります。バージョン 10 で、[ファイル ジオデータベースの作成(Create File GDB)] ジオプロセシング ツールを使用して古いバージョンで開くことができる、新しい空のファイル ジオデータベースを作成します。続いて、バージョン 10 で、使用中のジオデータベースから新しい空のファイル ジオデータベースにデータをコピーして貼り付けます。この方法では、古いバージョンで開くことができるジオデータベースを作成します。ただし、新しいジオデータベースでサポートされているアイテムが古いバージョンでサポートされていない場合、古いバージョンで使用するジオデータベースにそのアイテムを貼り付けることはできません。別の方法としては、バージョン 10 でデータをレイヤとしてマップに追加し、レイヤ パッケージを作成します。レイヤ パッケージは、バージョン 10 および 9.3.1 で開くことができます。バージョン 9.3.1 で使用したいレイヤが複数ある場合は、グループ レイヤを作成してからそのレイヤをパッケージするか、レイヤごとにレイヤ パッケージを作成します。

リリースの異なる ArcGIS のジオデータベースを操作する場合は、一般的に次の点に注意してください。

ArcGIS 10 から ArcGIS 9.3 への保存

ArcGIS 10 には、以前のバージョンの ArcGIS では利用できない新しい機能とプロパティが追加されています。ここでは、ArcGIS 9.3 への保存を行うときに注意するヒントを説明します。

ArcMap

  • マップ ドキュメントのデフォルトのジオデータベース プロパティは、9.3 へ保存するときに削除されます。
  • カスタマイズしたレイヤ フィールドの順序は、レイヤを 9.3 へ保存するときに削除されます。
  • レイヤの時間プロパティは、レイヤを 9.3 へ保存するときに削除されます。
  • データ フレームの時間プロパティは、レイヤを 9.3 へ保存するときに削除されます。
  • フィールドのハイライト表示または読み取り専用を示すフィールド プロパティは、レイヤを 9.3 へ保存するときに削除されます。
  • ダイナミック テキスト エレメントは、9.3 へ保存するときに、静的テキストに変換されます。
  • モザイク レイヤは、9.3 へ保存するときに削除されます。
  • フィーチャ テンプレートは、9.3 へ保存するときに削除されます。
  • グループ レイヤの透過表示は、ArcGIS 10 ではサブレイヤと最上位レベルのグループ レイヤの両方で設定できます。以前のバージョンへ保存するときに、マップの外観はこの状況でも保存されますが、透過値は変更されます。
  • ベースマップ レイヤは、9.3 へ保存するときにグループ レイヤに変換されます。
  • アクセラレートされたラスタ レイヤは、9.3 へ保存するときにラスタ レイヤに変換されます。
  • データ ドリブン ページは ArcGIS 9.3 には存在していません。したがって、マップ ドキュメントから削除されます。
  • あるデータ フレームの範囲を別のデータ フレームから自動的に取得する機能は、9.3 へ保存するときに削除されます。
  • 表示範囲枠は、9.3 へ保存するときに長方形の枠になります。
  • 特定のレイヤをクリップするためのデータ フレームのクリップ オプションは、9.3 へ保存するときに削除されます。
  • 3D 回転とフィールドによって制御されるサイズ設定のレイヤ シンボル オプションは、レイヤから削除されます。
  • ダイナミック サービス レイヤの画像形式のプロパティは、9.3 へ保存するときにサービス レイヤから削除されます。

ArcGIS 10 から ArcGIS 9.2 への保存

ArcGIS 10 から 9.3 へ保存するときにサポートされない機能やプロパティは、ArcGIS 9.2 でもサポートされません。ここでは、ArcGIS 9.2 へ保存するときに固有の注意事項を説明します。

ArcMap

  • 10 では、データ フレーム内のレイヤに透過表示が設定されていると、コンテンツ ウィンドウおよびレイアウト ビューの凡例は、自動的に明るい色を使用して透過表示を反映します。このシミュレートされた透過表示は、9.2 へ保存するときに削除されます。
  • 10 のディメンション レイヤは、ディメンション フィーチャがラベリング プロセスのバリアと見なされるように、ラベル ウェイト ランキングをサポートします。このプロパティは、9.2 へ保存するときに削除されます。
  • HTML ポップアップをサポートするすべてのレイヤ タイプで、HTML ポップアップ プロパティが削除されます。
  • 並べ替え順序が保存されているフィールドでは、順序が削除されます。
  • JPEG 2000 ピクチャ エレメントは削除されます。
  • WCS レイヤは、9.2 へ保存するときにデータ フレームから削除されます。
  • WMS レイヤのスタイル名は、レイヤから削除されます。
  • パラメータを含むフィールドベースのハイパーリンクは、9.3 より前のリリースでは動作しません。10 の *.mxd ファイルを 9.2 へ保存する場合、パラメータは自動的にダイナミック ハイパーリンクから削除されますが、ドキュメントへのリンクはそのまま機能します。
  • NTFS グラフィックス レイヤは、データ フレームから削除されます。
  • 不連続カラー レンダリングを使用するラスタ レイヤは、9.2 へ保存するときにデフォルトのレンダリングに戻されます。
  • 縮尺テキストの区切り文字プロパティは、9.2 へ保存するときに縮尺テキスト グラフィックスから削除されます。
  • 10 の凡例表示で非表示にマークされたリプレゼンテーション ルールは、9.2 へ保存すると表示されます。
  • エバリュエータ(グローバル ターン遅延エバリュエータと関数エバリュエータ)を含むネットワーク データセットを参照するネットワーク レイヤおよびネットワーク解析レイヤは、9.2 ドキュメントに保存されますが、ArcGIS 9.2 で開いたときにネットワーク データセットから切断されます。
  • 10 の ArcGIS Publisher で作成されたパブリッシュ マップ ファイル(*.pmf)は、ArcReader 9.2 またはそれ以前のバージョンでは開くことができません。以前のバージョンの ArcReader で開くことができる *.pmf ファイルを作成する必要がある場合は、*.mxd ファイルを以前のバージョンで保存し、このファイルを古いバージョンの ArcGIS を備えるコンピュータで公開します。別の方法としては、*.pmf ファイルの受信者が無償の ArcReader 10 をダウンロードしてインストールします。

ジオプロセシング

ArcGIS 9.2 で利用できないソフトウェアの機能には、次のものがあります。

  • カスタム ツール整合性に対するスクリプト ツール プロパティ
  • シンボルを保存するためのモデル プロパティ
  • モデルに影響を与えるいくつかのデータ タイプの拡張

ArcGlobe

  • ArcGlobe の星と大気のハローは、9.2 へ保存するときに削除されます。
  • 完全キャッシュによる 10 のレイヤのキャッシュは、9.2 で使用された場合はオンデマンドで再生成されます。
  • スクリーン オーバーレイや COLLADA モデルなどの一部の KML エレメントは、Google Earth KML/KMZ ファイルから削除されます。
  • ArcGlobe のレイヤは、そのレイヤをサポートしているリリースにのみ保存できます。たとえば、テレイン レイヤは 9.2 以降でサポートされています。そのためテレイン レイヤは、9.2 または 9.3(または通常の 10)として保存できます。9.0/9.1 ではテレイン レイヤはサポートされていないので、これらのリリースとして保存することはできません。さらに、選択した ArcGIS のバージョンでは描画できないレイヤがグループ レイヤ内にある場合は、ダイアログ ボックスのリストにそれらのレイヤが表示されます。ここで、以前のバージョンの形式へのコピーの保存を続けるかどうかを決定することができます。

その他に Esri またはサードパーティによるエクステンションがある場合は、以前のバージョンの ArcGIS との互換性について製造元に確認してください。

ArcGIS 10 から ArcGIS 9.0/9.1 への保存

ArcGIS 10 から 9.3 または 9.2 へ保存するときにサポートされない機能やプロパティは、ArcGIS 9.0/9.1 でもサポートされません。ここでは、ArcGIS 9.0/9.1 へ保存するときに固有の注意事項を説明します。

ArcGIS 10 から ArcGIS 8.3 への保存

ArcGIS 10 から 9.3、9.2、9.0/9.1 へ保存するときにサポートされない機能やプロパティは、ArcGIS 8.3 でもサポートされません。ここでは、ArcGIS 8.3 へ保存するときに固有の注意事項を説明します。

以前のバージョンの ArcGIS へマップを保存する方法

手順:

  1. [ファイル] [コピーを保存] の順にクリックします。
  2. マップ ドキュメントを保存する場所に移動します。
  3. ファイル名を入力します。
  4. [ファイルの種類] ドロップダウン矢印をクリックし、保存するバージョンに応じて、[ArcMap 9.3 ドキュメント]、[ArcMap 9.2 ドキュメント]、[ArcMap 9.0/9.1 ドキュメント]、[ArcMap 8.3 ドキュメント] のいずれかをクリックします。
    注意注意:

    [ArcMap ドキュメント](バージョン番号のないオプション)を選択した場合は、マップが現在のソフトウェアのバージョンで保存されます。

  5. [保存] をクリックします。
    注意注意:

    • 9.3、9.2、9.0/9.1、8.3 のマップ ドキュメントがディスクに保存されます。ArcGIS 10 ドキュメントは開かれたままです。
    • 現在のドキュメントに以前のバージョンでは描画できないレイヤが含まれている場合は、ダイアログ ボックスにリスト表示されます。ArcGIS 9.3、9.2、9.0/9.1、8.3 形式でコピーの保存を続けるかどうかを決定できます。

ヒントヒント:
[コピーを保存] コマンドは、[名前を付けて保存] コマンドとは異なります。[名前を付けて保存] コマンドでは、ドキュメントを新しい名前またはファイルの場所を指定して保存できます。[名前を付けて保存] コマンドを使用する場合、新しく名前を付けて保存したドキュメントが、現在のドキュメントとしてアプリケーションに読み込まれます。

[コピーを保存] コマンドでは、ドキュメントのコピーがディスクに保存され、ドキュメントはアプリケーションに再読み込みされません。また、[コピーを保存] コマンドでは、以前のバージョンの ArcGIS で開くことができるように、ドキュメントを保存することもできます。


7/10/2012