最小二乗アジャストのサマリについて
このトピックは、ArcEditor および ArcInfo にのみ適用されます。
最小二乗アジャストの実行が完了すると、[最小二乗アジャスト サマリ] ダイアログ ボックスにアジャスト結果のサマリが表示されます。アジャストが正常に完了すると、[最小二乗アジャスト サマリ] ダイアログ ボックスの最上部に「調整が完了しました」というメッセージが表示されます。
アジャストが正常に完了しなかった場合は、アジャスト レポートに「アジャストに失敗しました」というメッセージが出力されます。アジャストに失敗した理由は、統計レポートの下に示されます。
プロジェクト オプション設定のサマリ
プロジェクト オプション設定のサマリには、アジャスト入力パラメータに関する情報が示されます。これらのパラメータには、データの座標系、方位角と距離に使用される許容値などがあります。[座標のアジャスト] ダイアログ ボックスの [依存ラインを標準の境界線として処理する] オプションをオンにすると、[依存ライン] が [はい] に設定されます。アジャストに履歴のパーセルとラインが関係している場合は、[履歴データ] が [はい] に設定されます。デフォルトでは、アジャストの境界は固定されません。アジャスト済みのパーセルを元のパーセル ファブリックにシームレスに統合できるように、アジャスト対象のパーセルと隣り合うパーセルにも、アジャスト対象のパーセルと同じアジャストが適用されます。
ArcObjects を使用してアジャストを実行する場合は、ICadastralAdjustment インタフェースの PerformAdjustment メソッドの FixBoundary プロパティを True に設定することによって、アジャスト境界を固定することができます。
アジャストの統計サマリ
[アジャストの統計サマリ] には、使用されたコントロール ポイントの数、アジャスト対象のパーセルの数、座標の残差、ネットワークの冗長性など、アジャストに関する統計情報が示されます。
指定された許容値の範囲外でアジャストが行われたラインの数、および見つかったクローズ ポイントとライン ポイントの数について、概要を手早く確認することもできます。[最小二乗アジャストのサマリ] ダイアログ ボックスで下方に進むと表示されるパーセル ライン レポート、近接ポイント レポート、およびライン ポイント レポートには、許容値を超えるデータに関する詳細が示されます。
不明の数および冗長性
[アジャストの統計サマリ] で不明の数として示される値は、最小二乗アジャストによって処理する必要がある実際の作業の指標です。ファブリック内のポイントごとに、不明な要素は 2 つあります(X 座標の補正と Y 座標の補正)。ファブリック ポイント座標の補正のほかに、パーセル回転補正も存在し、この補正も不明な要素です。
パーセル ラインの方位角と距離は、アジャストにおいては「既知」の要素です。それぞれの方位角、それぞれの距離に対して、式が生成されます。パーセル ライン上にライン ポイントが存在する場合は、そのラインに対して 2 つの方位角が生成されます。これが、方位角の数が距離の数よりも多い理由です。次に示す例では、この特定のアジャストに対する方位角の数は 1,832、距離の数は 1,482、未知の数は 1,177 です。
冗長性は、方位角の数と距離の数の和から未知の数を引いた値です。たとえば、前述の例では、冗長性は 1,832 + 1,482 - 1,177 = 2,137 です。冗長性が未知の数より大きい場合は、最小二乗アジャストによって最適解を決定でき、これらのラインには統計的に推測されたものとしてフラグが立てられます。冗長性が未知の数以下である場合、最小二乗アジャストを適切に実行することはできず、最適解は決定できません。前述の例では、パーセル ネットワークの条件は良く、冗長性は未知の数のほぼ 2 倍です。
座標の残差
[アジャストの統計サマリ] には、座標シフトの統計も表示されます。最大の座標シフトが生じたポイントが、すべてのポイントの平均座標シフトと共にリストされます。
ファブリックの最小二乗アジャストは、最大および平均の座標シフトが 0.0 になるか、変わらなくなるまで繰り返し実行してください。
アジャストを繰り返し実行するたびに、アジャストの反復が実施されます。アジャストの反復は [座標のアジャスト] ダイアログ ボックスの [実行] をクリックするか、[最小二乗アジャスト サマリ] ダイアログ ボックスの [了解] をクリックして実行します。[座標のアジャスト] ダイアログ ボックスの [実行] をもう一度クリックすると、アジャストをもう一度反復できます。[座標のアジャスト] ダイアログ ボックスで [OK] をクリックすると、アジャストが完了し、それ以上反復されません。アジャストが最適な解に収束すると、最大および平均の座標シフトが 0.0 になるか、変化しなくなります。
近接ポイント レポート
近接ポイント レポートは、指定された許容値よりも互いに接近していて、相互間にディメンションが存在しないポイントを示します。近接ポイントは、単一の共通ポイントにマージできる可能性が高いポイントを適切に示す指標です。
ライン ポイント レポート
ライン ポイント レポートは、ラインからずれている距離が指定された許容値を超えているライン ポイントを示します。隣接したパーセル ラインから大幅にずれているライン ポイントは、データが不正確であることや、パーセルの結合が不適切であることを示しています。
パーセル ライン レポート
パーセル ライン レポートは、方位角または距離のアジャスト結果が指定された許容値の範囲外にあるラインをすべて示します。アジャストを実行すると、ネットワーク内のすべてのパーセル ポイントに対して最適な位置が検出され、パーセル ポイントの新しい座標が計算されます。パーセル ラインの形状は、アジャスト済みのパーセル ポイントを使用して再計算されます。次に示すパーセル ライン レポートで、(c-o)は計算値と計測値の差を示しています。計算値と計測値の差は、再計算されたライン形状の距離または方位角と、ラインに元からある距離または方位角の属性(計測値)の差です。つまり、パーセル ライン レポートは、アジャスト結果のライン形状と、元から記録されているライン属性の方位角と距離にどれだけの差があるかを報告します。
[座標のアジャスト] ダイアログ ボックスの [方位角] および [距離] に指定された許容値を超えるアジャストが行われたラインのみが、パーセル ライン レポートに示されます。ネットワーク内のすべてのラインに対するアジャストを確認するには、[座標のアジャスト] ダイアログ ボックスの [拡張] レポート タイプを選択します。
ラインの方位角や距離のアジャスト幅が指定された許容値の 3 倍を超えると、アジャストが失敗する原因になります。パーセル ライン レポートで、これらのラインは「##」を付けて表示されます。
プラン構造の制約
[座標のアジャスト] ダイアログ ボックスの [プラン構造の制約] で [ライン ポイントの許容値] または [直線の許容値] のどちらかのオプションをオンにした場合、最小二乗アジャストのサマリには、移動されたポイントを示すレポートが表示されます。[プラン構造の制約] は後処理オプションで、アジャストの完了後に実行されます。
ラインに拘束されたライン ポイント
隣接するパーセル ラインに移動されたライン ポイントのリストが、[ライン上に必ず配置されるラインポイント] の下に表示されます。ライン ポイントが移動した距離もリストに示されます。ライン ポイントがラインからずれている距離が、指定された許容値よりも大きいことが検出された場合は、これらのライン ポイントもリストに示されます。
直線レポート
直線の制約を適用するときには、アジャストの後処理で一連のポイントが検討されます。これらのポイントは、同じプランに含まれる隣接したパーセル上にあり、同じ方位角をもつラインによって接続されます。一連のポイントのベクトルが計算され、これら一連のポイント間の距離とベクトルが測定されます。距離が直線に対して指定された許容値を下回る場合は、ポイントがベクトル ライン上に移動され、同一直線上に配置されます。
推測されるポイントとライン
アジャストの後、ネットワーク内にあるすべてのポイントおよびラインの標準偏差が計算されます。アジャスト対象のネットワーク全体の標準偏差の 3 倍を超える標準偏差をもつポイントとラインが、[推測されるポイントとライン] レポートに報告されます。