空間統計ツールボックスのサンプル アプリケーション

疫学者、犯罪分析者、人口統計学者、緊急対応計画者、交通分析者、考古学者、野生生物学者、小売分析者などの多くの GIS 専門家は、高度な空間分析ツールをますます必要としています。空間統計は、このニーズに対応するために役立つツールの 1 つです。

空間統計を使用すると、以下の処理を行うことができます。

主要な特性の集計

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ツール

中心はどこか。

地理的中心の算出(Mean Center)地理的中間地点の算出(Median Center)

人口重心はどこであり、時間の経過とともにどのように変化しているか。

最もアクセス性の高いフィーチャはどれか。

中心フィーチャの算出(Central Feature)

新しいサポート センターを設置するにはどこが最適であるか。

最も優勢な方向または向きはどれか。

リニア平均方向の算出(Linear Directional Mean)

冬の主風向はどれか。

この地域の断層線の向きはどのようなものであるか。

フィーチャはどれほど分散しているか、どれほどコンパクトであるか、またはどれほど融合しているか。

標準距離の算出(Standard Distance)分布指向性分析(Directional Distribution(Standard Deviational Ellipse))

どのギャングが最も広い縄張りを支配しているか。

どのウイルスの株が最も広範に分布しているか。

動物の目撃情報に基づき、複数の種がどの程度融合しているか。

方向トレンドがあるか。

分布指向性分析(Directional Distribution (Standard Deviational Ellipse))

デブリの向きはどのようなものであるか。デブリが集中しているのはどこか。

統計的に有意なクラスタの識別

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ツール

ホット スポットはどこか。コールド スポットはどこか。クラスタリングの密度はどれほどか。

ホット スポット分析(Hot Spot Analysis (Getis-Ord Gi*))

クラスタ/外れ値分析(Cluster and Outlier Analysis(Anselin Local Moran's I))

富裕層区域と貧困層区域の間の最も明確な境界はどこか。

生物学的多様性と生息環境特性が最も高いのはどこか。

外れ値はどこにあるか。

クラスタ/外れ値分析(Cluster and Outlier Analysis (Anselin Local Moran's I))

大阪市内で変則的な消費パターンが見られるのはどこか。

リソースを最も効果的に配置するにはどうすればよいか。

ホット スポット分析(Hot Spot Analysis (Getis-Ord Gi*))

予想外に糖尿病罹患率が高いのはどこか。

住宅火災のうちの台所火災の割合が予想外に高いのはどこか。

日中の犯罪と夜間の犯罪の空間パターンは同じであるか。

問題から最も遠いロケーションはどれか。

ホット スポット分析(Hot Spot Analysis (Getis-Ord Gi*))

緊急避難場所はどこに設定すると最適か。

全体的な空間パターンの評価

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ツール

空間的な特性は異なるか。

空間的自己相関分析(Spatial Autocorrelation(Global Moran's I))

平均最近隣距離分析(Average Nearest Neighbor)

どのようなタイプの犯罪が最も空間的に集中しているか。

どの植物種がスタディ エリア全体にわたって最も分散しているか。

空間パターンは時間の経過とともに変化しているか。

空間的自己相関分析(Spatial Autocorrelation(Global Moran's I))

高/低クラスタ分析(High/Low Clustering(Getis-Ord General G))

富裕層と貧困層の空間的な分離は進んでいるかどうか。

薬品購入量に予想外の突出があるか。

時間が経過しても感染症発生場所が地理的に変化していないか。感染症が隣接区域に拡散しているか。

封じ込め措置は効果的であるか。

空間プロセスはよく似ているか。

Ripley の K 関数法(Multi-Distance Spatial Cluster Analysis(Ripley's K Function))

感染症の空間パターンは感染するおそれのある人口の空間パターンを反映しているか。

商業施設における窃盗の空間パターンは商業施設の空間パターンから逸脱しているか。

データに空間的な相関があるか。

空間的自己相関分析(Spatial Autocorrelation(Global Moran's I))

回帰残差が統計的に有意な空間的自己相関を示しているか。

モデルのリレーションシップ

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ツール

相関はあるか。リレーションシップの強度はどれほどか。リレーションシップはスタディ エリア全体にわたって一貫しているか。

最小二乗法(Ordinary Least Squares)(OLS)

地理空間加重回帰分析(Geographically Weighted Regression)(GWR)

学歴と所得の間のリレーションシップはどのようなものであるか。リレーションシップはスタディ エリア全体にわたって一貫しているか。

公共物破壊と空き巣の間に正のリレーションシップがあるか。

水塊フィーチャに近ければ近いほど疾病発生率が高いか。

ある特定の結果が生まれるのに最も寄与していると考えられる因子は、どれとどれか。同じ因果関係をもつ事柄は、ほかにあるか。

最小二乗法(Ordinary Least Squares)(OLS)

地理空間加重回帰分析(Geographically Weighted Regression)(GWR)

森林火災の高い頻度を説明する主要な変数はどれか。

どのような人口学的特性が公共交通機関の高い利用率の一因となっているか。

絶滅のおそれのある種を再野生化するために保護する必要のある環境はどれか。

抑止対策が最も効果を発揮するのはどこか。

最小二乗法(Ordinary Least Squares)(OLS)

地理空間加重回帰分析(Geographically Weighted Regression)(GWR)

生徒が一貫してテストで高い得点をあげるのはどこか。どのような特性が関連付けられているか。それぞのれ特性が最も重要であるのはどこか。

どのような要因が予想外に高い交通事故の発生比率と関連しているか。事故発生比率が高い現場のそれぞれの最も雄弁な予測子はどの要因であるか。

パターンはどのように変化する可能性があるか。それに対してどのような対策を取ることができるか。

最小二乗法(Ordinary Least Squares)(OLS)

地理空間加重回帰分析(Geographically Weighted Regression)(GWR)

緊急通報のホット スポットはどこか。どの変数が効果的に緊急通報量を予測するか。将来の予測に基づき、予想される緊急応答リソースに対する要求はどのようなものか。

このロケーションがホット スポットであるのはなぜか。このロケーションがコールド スポットであるのはなぜか。

ホット スポット分析(Hot Spot Analysis(Getis-Ord Gi*))

最小二乗法(Ordinary Least Squares)(OLS)

地理空間加重回帰分析(Geographically Weighted Regression)(GWR)

特定の区域で癌罹患率が異常に高いのはなぜか。

いくつかの地域で識字率が低いのはなぜか。

米国内に短命な人が異常に多い地域があるか。それはなぜか。

GIS では、さまざまな方法で空間データを分析できます。視覚的な分析だけで十分な場合もあります。その場合、マップが作成され、決定を下すために必要なすべての情報を明らかにします。マップだけで結論を出すことが困難な場合もあります。地図製作者は、マップを構成するにあたり、含めるフィーチャ、シンボルの割り当て方法(色分けの閾値や色の濃さなど)、タイトルの文言などを決定します。これらの地図作成エレメントは、分析対象の課題のコンテキストと範囲を表すために役立ちますが、表示される情報の特性を変更することもあるため、解釈に影響をおよぼすこともあります。空間統計は、主観的な要素を一部排除して、より直接的に空間パターン、トレンド、プロセス、およびリレーションシップを分析するために役立ちます。分析対象の課題が格別に難しい場合、または分析の結果として下した決定がきわめて重大である場合、データと課題のコンテキストをさまざまな視点から調べることが重要です。空間統計では、空間データ分析に適用される視覚的でカートグラフィックな従来の(非空間的な)統計手法を効果的に補足し、強化することができる強力なツールを使用できます。

参考資料:

関連項目


7/10/2012