1 台のコンピュータによる導入の構成
組織で ArcGIS Server の小規模な導入が要求される場合は、すべてのコンポーネントを 1 台のコンピュータにインストールすることができます。ArcGIS Server のすべてのコンポーネントを 1 台のコンピュータにインストールすると、開発やテストの目的にも役立ちます。
ArcGIS Server のインストールとポスト インストールは、1 台のコンピュータでの導入を容易にするために設計されています(Windows のみ)。たとえば、1 台のコンピュータでインストールを実行すると、キャッシュ用や出力用などのさまざまなサーバ ディレクトリが自動的に作成され、それぞれに適切な権限が与えられます。
ArcGIS Server を 1 台のコンピュータで実行するには、次の手順に従います。
- ArcGIS Server のインストール
- ポスト インストールの実行 - Windows のみ
- agsadmin および agsusers グループへのユーザの追加
- コンピュータのログオフまたは再起動 - Windows のみ
- データ ディレクトリへの権限の割り当て
- GIS サーバへの接続
- サービスの公開
- サービスの使用
ArcGIS Server のインストール
「動作環境の確認」に記載されている必要なコンポーネントをインストールしたら、ArcGIS Server ソフトウェアのインストールを開始することができます。1 台のコンピュータによる導入で最も一般的なのは、すべてのコンポーネントをインストールする構成です。
『ArcGIS Server インストール ガイド』には、ソフトウェアのインストール プロセスに関する詳細情報が含まれています。また、ArcGIS Server のシステム要件および前提条件のリストも含まれています。インストール ガイドは、Windows プラットフォームにインストールするときに、セットアップ ウィザードの最初のページで [インストール ガイド] ボタンをクリックしてアクセスします。
ポスト インストールの実行
ソフトウェアをインストールした後、ポスト インストール ウィザードが表示されます。このウィザードは、ArcGIS Server に必要なアカウント、権限、ディレクトリを構成する手助けをします。
ポスト インストールでは、GIS サーバによって使用されるアカウント(SOM、SOC、ArcGIS Web Services アカウント)の名前とパスワードを指定する必要があります。これらのアカウントの役割と、それらを構成するためのベスト プラクティスについては、「GIS サーバによって使用されるアカウント」をご参照ください。
セキュリティ上の理由から、SOM アカウントと SOC アカウントにはドメイン アカウントを指定するのではなく、ローカル アカウントを指定することが推奨されます。これにより、悪意を持つユーザがアカウントを利用して、ネットワーク内の他のコンピュータの管理者権限を手に入れることは不可能になります。
ポスト インストールでは、インスタンスの名前を指定する必要もあります。デフォルト名は「ArcGIS」です。ArcGIS Server ヘルプに記載されているサーバ ファイルのデフォルトの URL 構造およびパスの例の多くにインスタンス名が含まれるので、デフォルト名から変更する場合は、この部分が変化することに注意してください。
ArcGIS Web Services アカウントを指定するセクションでは、「GIS サーバによって使用されるアカウント」のガイドラインを念頭に置いてください。ポスト インストールを実行した後、このアカウントを操作することはほとんどありません。ほとんどの場合、デフォルトの設定で十分です。
SOM アカウントと SOC アカウントの完全名はそれぞれ「ArcGIS Server Object Manager Account」と「ArcGIS Server Object Container Account」です。これらのアカウントに権限を割り当てる際には、フルネームが表示されます。
agsadmin および agsusers グループへのユーザの追加
Linux/Solaris の場合、Server Manager を使用してローカル GIS サーバ ユーザ アカウントを管理します。インストールすると、ローカル GIS サーバ ユーザが 1 つ、ユーザ名 admin、パスワード admin で作成されます。Manager に初めてログオンするときは、admin/admin(ユーザ名/パスワード)を使用してログオンできます。ログオン後、Manager でローカル GIS サーバ ユーザの追加、編集、削除を行うことができます。「Manager でのローカル GIS サーバ ユーザの管理」をご参照ください。
Windows の場合、サーバへの管理アクセス権限を持つユーザと通常のアクセス権限を持つユーザを指定する必要があります。GIS サーバ ポスト インストールは、agsadmin と agsusers の 2 つのオペレーティング システム グループを作成します。agsadmin グループは、サービスを作成するユーザなど、管理者のためのものです。agsadmin グループには、管理者自身と、サーバを管理する立場にあるユーザを追加する必要があります。
agsusers グループは、GIS サーバへのローカル接続を確立し、管理アクセスは必要としないユーザのためのグループです。agsusers グループには、認証されたユーザを追加する必要があります。すでに agsadmin グループに属しているアカウントを agsusers グループに追加する必要はありません。
また、SOM アカウントと SOC アカウントを agsadmin グループと agsusers グループに追加する必要はありません。これらのアカウントは、GIS サーバが内部でのみ使用するアカウントです。
データ ディレクトリへの権限の割り当て
フォルダにサービスによって使用されるデータが含まれる場合は、次の手順を実行する必要があります。
Linux/Solaris:
- SOC アカウントにそのデータの [読み取り] および [書き込み] ファイル権限を割り当てます。
- SOC アカウントにそのフォルダの [読み取り] および [書き込み] ファイル権限を割り当てます。このフォルダに至るまでのすべてのディレクトリに対して権限を割り当てる必要があります。上の例では、次のフォルダすべてに権限を割り当てる必要があります。
- /opt
- /opt/gisdir
- /opt/gisdir/server_output
Windows:
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フォルダが共有されている場合は、SOC アカウントにそのフォルダの [変更] 共有権限を割り当てます。Windows でフォルダの [プロパティ] ダイアログ ボックスを表示している場合は、[共有] タブで [アクセス許可] ボタンをクリックして、これらの権限を設定します。
-
SOC アカウントにそのフォルダの [読み取り] および [書き込み] ファイル権限を割り当てます。Windows でフォルダの [プロパティ] ダイアログ ボックスを表示している場合は、[セキュリティ] タブをクリックして、これらの権限を設定します。
これらの手順は、ソース ドキュメントを含んでいるフォルダだけでなく、ドキュメント内で参照されるデータを含んでいるフォルダにも適用されます。たとえば、2 つのデータ レイヤを表示するマップ ドキュメントがあるとします。マップ ドキュメントとデータが異なるディレクトリに存在する場合は、上記の手順に従って、マップ ドキュメントが含まれているフォルダとデータが含まれているフォルダの両方で権限を割り当てる必要があります。
より簡単な方法は、マップ ドキュメントとそのデータを同じフォルダに格納することです。そうすると、マップ ドキュメント内でのデータの参照に相対パスを使用できるようになります。これにより、1 つのフォルダに権限を割り当てるだけで済みます。
データに ArcSDE を通じてアクセスする場合は、ユーザ名とパスワードがデータベース コネクションに保存されている必要があります。ArcGIS Server を通じて ArcSDE データにアクセスする方法については、「リソースをサービスとして公開するための準備」をご参照ください。このトピックでは、データが格納されているコンピュータに ArcGIS Server の他のコンポーネントがインストールされていない場合についても説明します。
GIS サーバへの接続
この時点で、GIS サーバに接続する準備が整います。サーバに接続して管理するには、ArcGIS Server Manager または ArcCatalog のどちらかを使用することができます。ArcCatalog を他の ArcGIS Server コンポーネントと同じコンピュータにインストールする必要はありません。同じローカル ネットワーク上に存在し、ファイアウォールで遮断されていなければ、GIS サーバへ接続できます。
ArcGIS Server Manager を使ってサーバを管理する場合、管理者として接続する方法については、「ArcGIS Server Manager へのログイン」をご参照ください。
ArcCatalog を使用してサーバを管理する場合は、「ArcCatalog での ArcGIS Server への管理者接続の作成」をご参照ください。
サービスの公開
サーバへの接続が確立されたら、GIS リソースをサービスとして公開する作業に取りかかることができます。サービスを追加するには、「GIS リソースのサーバへの公開」の手順に従います。
サービスの GIS リソース(マップ サービスのマップ ドキュメントなど)を指定する際には、UNC パスかローカル パスのどちらかを使用することができます。Manager でローカル パスを使用する場合は、パスを入力するか貼り付ける必要があります。
サービスの使用
GIS サーバにサービスを追加した後は、そのサービスをクライアントから Web アプリケーションまたはデスクトップ アプリケーションで利用することができます。サービスは、Manager または ArcGIS Server に含まれている開発者ツールを使って作成された Web マッピング アプリケーションで使用することができます。また、ArcGIS Explore、ArcMap、ArcGlobe などの ArcGIS アプリケーションでも利用できます。サービスが適切に設定されていれば、モバイル デバイスからも利用することができます。