DB2 に格納されたジオデータベースのラスタ データセットとラスタ カタログ
ラスタ データは、同じサイズのセルの行と列の配列として表される空間データです。ラスタ データは 1 つ以上のラスタ バンドで構成できます。ラスタ データとその属性の詳細については、このヘルプの「ラスタ データの概要」をご参照ください。はじめに、「ラスタ データとは」をご参照ください。
ArcGIS Desktop のラスタ
ArcGIS では、ラスタ データは単一のラスタ データセット、ラスタ カタログ、またはモザイク データセットに格納できます。これらラスタの格納タイプについては、「ラスタ データの構成」をご参照ください。
カタログ ツリーでは、DB2 の各ラスタ データセットは次のアイコンで表示されます。
ラスタ カタログは、カタログ ツリーに次のアイコンで表示されます。
DB2 のラスタ カタログとラスタ データセットの名前には、データベースの名前、ラスタ カタログまたはラスタ データセットの所有者の名前、およびラスタ カタログまたはラスタ データセット自体の名前が含まれます。
たとえば、データベース「global」でユーザ「rock」に所有されているラスタ データセット「world」は、カタログ ツリーでは「GLOBAL.ROCK.WORLD」と表示されます。
モザイク データセットのジオデータベースへの格納方法の詳細については、「DB2 に格納されたジオデータベースのモザイク データセット」をご参照ください。
IBM DB2 データベースのラスタ テーブル
DB2 データベースの ArcSDE ジオデータベースは、ラスタ データを DB2 のネイティブ バイナリ形式で格納します。
DB2 のネイティブ バイナリ形式は、ArcSDE Compressed Binary タイプと似ています。バイナリ タイプの詳細については、DB2 のドキュメントと「ArcSDE Compressed Binary 格納」をご参照ください。ビジネス テーブルにラスタ列が追加され、ラスタ列の各セルに別のラスタ テーブルに格納されたラスタへの参照が含まれます。このため、ビジネス テーブルの各行はラスタ全体を参照します。
ラスタを ArcSDE ジオデータベースにインポートすると、選択したビジネス テーブルにラスタ列が追加されます。ラスタ列の各セルには、別のラスタ テーブルに格納されたラスタへの参照が含まれます。このため、ビジネス テーブルの各行はラスタ全体を参照します。ArcSDE では、ラスタ列はビジネス テーブルにつき 1 つに制限されます。
DB2 の列の命名規則に準拠していれば、ラスタ列に任意の名前を付けることができます。
DB2 のネイティブ バイナリ格納を使用するラスタ データセットは、5 つのテーブル(ビジネス テーブル、補助テーブル、ブロック テーブル、バンド テーブル、ラスタ属性テーブル)で構成されます。次に、WORLD_TIF という名前のラスタ データセットのビジネス テーブルとラスタ テーブルを示します。
SDE_BLK、SDE_AUX、SDE_RAS、および SDE_BND テーブルの名前に含まれる数字は、RASTER_COLUMNS テーブルの RASTERCOLUMN_ID に対応します。
ラスタ データの性質により、ラスタを含んでいるデータベースのサイズは大きくなる傾向があります。ラスタ データセットとラスタ カタログのサイズが数 GB より小さくなることはまれで、DBMS で数 TB を占める場合もあります。したがって、大きなサイズのラスタ データに対処するのは簡単ではありません。ArcSDE ジオデータベースでのラスタ データの管理方法に関するアドバイスとサンプルについては、support.esri.com からダウンロードできる『Raster data in ArcSDE』をご参照ください。
ビジネス テーブル
ビジネス テーブルは属性を格納する DBMS テーブルであり、ラスタ列の追加により空間に対応します。ビジネス テーブルは、ラスタのフットプリントを格納(エリアを定義)します。上の例では、ビジネス テーブルは WORLD_TIF テーブルです。
ラスタ列を持つビジネス テーブルが、1 つのラスタ データセットまたはラスタ カタログです。ラスタ データセットはビジネス テーブル行を 1 つしか含むことができませんが、ラスタ カタログは複数の行を含むことができます。ラスタ列に関する情報は、RASTER_COLUMNS システム テーブルで管理されます。すべてのビジネス テーブルに関する情報は、テーブルに空間列またはラスタ列があるかどうかにかかわらず、TABLE_REGISTRY システム テーブルに維持されます。
ラスタ イメージ テーブル
実際のラスタ イメージは、これらのテーブルに格納されます。
ラスタ テーブルは、ラスタ データがジオデータベースにある場合にのみデータベースに表示されます。
ラスタ補助テーブルには、イメージ カラーマップ、イメージ統計、およびイメージ オーバーレイとモザイク処理に使用されるビット マスク(オプション)が格納されます。
ArcSDE は、イメージ統計、カラー マップ、ビット マスクなどの既存のイメージ メタデータをすべて、自動的にラスタ補助テーブルに格納します。ラスタ補助テーブルの rasterband_id 列は、ラスタ バンド テーブルの主キーに対する外部キー参照です。ラスタ バンドのメタデータにアクセスするときに、ArcSDE はこの主キーと外部キー参照で 2 つのテーブルを結合します。
フィールド名 |
フィールド タイプ |
説明 |
NULL? |
---|---|---|---|
RASTERBAND_ID |
INTEGER |
ラスタ バンドを表す数字。たとえば、2 つのラスタ バンドを持つラスタ データセットでは、このフィールドに 2 つの異なる値(1 と 2)が含まれます。 |
NOT NULL |
TYPE |
INTEGER |
含まれる値 2 = ラスタ統計情報 3 = カラーマップ 4 = 座標変換 5 = ジオデータベースで予約済み 6 = その他 |
NOT NULL |
OBJECT |
BLOB |
実際のデータ(カラーマップ インデックス、ラスタ統計情報、または座標変換) |
NOT NULL |
ラスタ ブロック テーブルには、画像の各バンドの実際のイメージ データが格納されます。
ラスタ ブロック テーブルには、各ラスタ バンドのピクセルが格納されます。ArcSDE は、ユーザ定義の範囲に従って、ピクセルをブロックにタイル分割します。ArcSDE にはデフォルトの範囲がありませんが、ラスタ データを ArcSDE ジオデータベースに格納するアプリケーションには、デフォルトの設定があります。たとえば、ジオプロセシング ツールと ArcCatalog は、デフォルトで 1 ブロックあたり 128 x 128 ピクセルのラスタ ブロックの範囲を使用します。ラスタ ブロックの範囲と圧縮方法(指定されている場合)により、各ラスタ ブロックの格納サイズが決定されます。ラスタ ブロック テーブルの各行が DBMS に適合するように、ラスタ ブロックの範囲と圧縮方法の組み合わせを選択してください。
ラスタ ブロック テーブルには RASTERBAND_ID 列が含まれます。この列は、ラスタ バンド テーブルの RASTERBAND_ID 主キーに対する外部キー参照です。ラスタ バンドのブロックにアクセスするときに、この主キーと外部キー参照でこれらのテーブルが結合されます。
Linux、UNIX、および Windows 上の DB2 では、非常に大きな表スペースを作成して BLK(ラスタ ブロック)テーブルを格納し、中くらいのサイズの別の表スペースを作成して残りのラスタ テーブルとインデックスを格納してください。
DB2 にラスタ ブロック テーブルのための表スペースを作成する場合は、エクステント サイズを 64 にすることをお勧めします。エクステント サイズは、次のコンテナに進む前にコンテナに書き込まれるページの数を指定します。エクステント サイズは表スペースの作成時に定義され、後から簡単に変更することはできません。ラスタ テーブルには、ラスタ属性テーブルという追加タイプがあります。これらのテーブルには、ラスタ内のセル値に基づく属性値が格納されます。
ラスタ ブロック テーブルの値は、ピラミッドの解像度の低下に従って設定されます。ピラミッドの高さは、アプリケーションによって指定されたレベル数に基づいて決定されます。ジオプロセシング ツールや ArcCatalog などのアプリケーションでは、ユーザがレベルを定義したり、ArcSDE にレベルを計算するよう要求したり、これらの両方を選択することができます。ピラミッドはベース(レベル 0)から始まり、このレベルには画像の元のピクセルが含まれます。ピラミッドは頂点に向かって進み、前のレベルの 4 つのピクセルが現在のレベルの 1 つのピクセルに結合されます。このプロセスは ArcSDE が頂点に到達するまで続けられます。この動作は自動的に定義されるか、ユーザが定義できます。
ピラミッドのレベルを追加すると、ラスタ ブロックの数が 3 分の 1 増加します。ただし、レベルの数を指定できるため、ピラミッドのサイズを小さくすることが可能です。ピラミッドの第 1 レベルは、ベースの 25% になります。ピラミッドの第 1 レベルはスキップできることにも注意してください。これにより、ピラミッドのサイズを大幅に削減することができます。
ピラミッドを構築する場合、前のレベルを順次ダウンサンプリングすることにより、頂点に到達するまでに 2 倍のラスタが作成されます。アプリケーションが表示を縮小してラスタ セルが解像度の閾値より小さくなるたびに、ArcSDE はピラミッドの上位のレベルを選択します。ピラミッドの目的は、表示のパフォーマンスを最適化することです。
フィールド名 |
フィールド タイプ |
説明 |
NULL? |
---|---|---|---|
RASTERBAND_ID |
INTEGER |
ラスタ バンドを表す数字。たとえば、2 つのラスタ バンドを持つラスタ データセットでは、このフィールドに 2 つの異なる値(1 と 2)が含まれます。 |
NOT NULL |
RRD_FACTOR |
INTEGER |
ピラミッド レベル。ピラミッド レベルは 0 から始まり、ここから増えていきます。 |
NOT NULL |
ROW_NBR |
INTEGER |
タイルの行位置番号 |
NOT NULL |
COL_NBR |
INTEGER |
タイルの列位置番号 |
NOT NULL |
BLOCK_DATA |
BLOB |
タイルに格納されるピクセル データ |
NOT NULL |
ラスタ バンド テーブルには、画像のバンドに関する情報が格納されます。ラスタ バンドごとにレコードが 1 つあります。
ArcSDE ジオデータベースは、ラスタ バンドをラスタ バンド テーブルに格納します。ArcSDE は、RASTER_ID 列でラスタ バンド テーブルをラスタ テーブルに結合します。ラスタ バンド テーブルの RASTER_ID 列は、ラスタ テーブルの主キーに対する外部キー参照です。
フィールド名 |
フィールド タイプ |
説明 |
NULL? |
---|---|---|---|
RASTERBAND_ID |
INTEGER |
ラスタ バンドを表す数字。たとえば、2 つのラスタ バンドを持つラスタ データセットでは、このフィールドに 2 つの異なる値(1 と 2)が含まれます。 |
NOT NULL |
SEQUENCE_NBR |
INTEGER |
ラスタ データセット内のラスタ バンドの順序 |
NOT NULL |
RASTER_ID |
INTEGER |
ラスタ データセットの一意の識別子。ビジネス テーブルのラスタ列の値に対応します。 |
NOT NULL |
NAME |
VARCHAR(65) |
オプションのラスタ バンド名 |
|
BAND_FLAGS |
INTEGER |
バンドに関するプロパティを含むビットマスク |
NOT NULL |
BAND_WIDTH |
INTEGER |
バンドのピクセル幅 |
NOT NULL |
BAND_HEIGHT |
INTEGER |
バンドのピクセルの高さ |
NOT NULL |
BAND_TYPES |
INTEGER |
バンドに関するプロパティを含むビット マスク |
NOT NULL |
BLOCK_WIDTH |
INTEGER |
ブロックのピクセル幅 |
NOT NULL |
BLOCK_HEIGHT |
INTEGER |
ブロックのピクセル高さ |
NOT NULL |
BLOCK_ORIGIN_X |
DOUBLE |
ラスタの原点の X 座標 |
NOT NULL |
BLOCK_ORIGIN_Y |
DOUBLE |
ラスタの原点の Y 座標 |
NOT NULL |
EMINX |
DOUBLE |
ラスタ バンドの X 座標の最小値 eminy、emaxx、および emaxy とともに、ラスタ バンドのエンベロープを定義します。 |
NOT NULL |
EMINY |
DOUBLE |
ラスタ バンドの Y 座標の最小値 eminx、emaxx、および emaxy とともに、ラスタ バンドのエンベロープを定義します。 |
NOT NULL |
EMAXX |
DOUBLE |
ラスタ バンドの X 座標の最大値 eminx、eminy、および emaxy とともに、ラスタ バンドのエンベロープを定義します。 |
NOT NULL |
EMAXY |
DOUBLE |
ラスタ バンドの Y 座標の最大値 eminx、eminy、および emaxx とともに、ラスタ バンドのエンベロープを定義します。 |
NOT NULL |
CDATE |
INTEGER |
ラスタ バンドの作成日 |
NOT NULL |
MDATE |
INTEGER |
ラスタ バンドの最終更新日 |
NOT NULL |
ラスタ説明テーブルは、ラスタ列内の画像の説明を格納します。
フィールド名 |
フィールド タイプ |
説明 |
NULL? |
---|---|---|---|
RASTER_ID |
INTEGER |
ラスタ データセットの一意の識別子。ビジネス テーブルのラスタ列の値に対応します。 |
NOT NULL |
RASTER_FLAGS |
INTEGER |
将来使用するために予約済み |
|
DESCRIPTION |
VARCHAR(65) |
ラスタ データセットの説明 |
ラスタの管理に使用するその他のシステム テーブル
他のタイプのデータと同様に、ラスタ カタログとラスタ データセットは GDB_ITEMS テーブルと LAYERS テーブルで管理されます。ラスタ タイプの列は RASTER_COLUMNS テーブルで管理されます。ラスタ列を含むテーブルごとに 1 つのエントリがあります。
ラスタ データセットまたはラスタ カタログの一部として、属性テーブルを追加できます。ラスタ データセットにはラスタ属性テーブルを 1 つしか追加できませんが、ラスタ カタログには複数のテーブルを追加できます。ラスタ属性テーブルは、特定のラスタ セル値の属性を定義するために使用されます。これらのテーブルの使用方法については、「ラスタ データセットの属性テーブル」をご参照ください。
[データ管理] ツールボックスの [ラスタ] ツールセットで、[ラスタ プロパティ] ツールセットの [ラスタ属性テーブルの構築(Build Raster Attribute)] ツールを使用できます。このツールの詳細については、「ラスタ属性テーブルの構築(Build Raster Attribute Table)(データ管理)」をご参照ください。
ラスタ データセットでは、追加の属性テーブルの名前は SDE_VAT_<raster_column_ID> という形式になります。ラスタ カタログでは、テーブル名は SDE_VAT_<raster_column_ID>_<Object_ID> という形式になります。
View a diagram of a raster dataset in DB2.
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破線は、列の間の暗黙的なリレーションシップを示しています。実線は、リレーションシップが明示的に定義されていることを示します。灰色のテーブルはビューを表します。
XML ドキュメントのラスタ
XML ドキュメントでは、ラスタ データセットは DataElement タグで囲まれます。タグには、「esri:DERasterDataset」の値が含まれます。
次に、WORLD_TIF ラスタ データセットのエントリを示します。
<DataElement xsi:type="esri:DERasterDataset"> <CatalogPath>/V=sde.DEFAULT/RD=global.ROCK.world_TIF</CatalogPath> <Name>global.ROCK.world_TIF</Name> <Children xsi:type="esri:ArrayOfDataElement"> <DataElement xsi:type="esri:DERasterBand"> <CatalogPath>/V=sde.DEFAULT/RD=global.ROCK.world_TIF/RB=Band_1</CatalogPath> <Name>Band_1</Name> <DatasetType>esriDTRasterBand</DatasetType> <DSID>-1</DSID> <Versioned>false</Versioned> <CanVersion>false</CanVersion> <HasOID>true</HasOID> <OIDFieldName>ObjectID</OIDFieldName> <Fields xsi:type="esri:Fields"> <FieldArray xsi:type="esri:ArrayOfField"> <Field xsi:type="esri:Field"> <Name>ObjectID</Name> <Type>esriFieldTypeOID</Type> <IsNullable>false</IsNullable> <Length>4</Length> <Precision>0</Precision> <Scale>0</Scale> <Required>true</Required> <Editable>false</Editable> </Field> <Field xsi:type="esri:Field"> <Name>Value</Name> <Type>esriFieldTypeInteger</Type> <IsNullable>true</IsNullable> <Length>0</Length> <Precision>0</Precision> <Scale>0</Scale> </Field> <Field xsi:type="esri:Field"> <Name>Count</Name> <Type>esriFieldTypeInteger</Type> <IsNullable>true</IsNullable> <Length>0</Length> <Precision>0</Precision> <Scale>0</Scale> </Field> </FieldArray> </Fields> <Indexes xsi:type="esri:Indexes"> <IndexArray xsi:type="esri:ArrayOfIndex" /> </Indexes> <IsInteger>true</IsInteger> <MeanCellHeight>0.175996089009095</MeanCellHeight> <MeanCellWidth>0.176000337991447</MeanCellWidth> <Height>1024</Height> <Width>2048</Width> <PixelType>U8</PixelType> <PrimaryField>1</PrimaryField> <TableType>esriRasterTableValue</TableType> <Extent xsi:type="esri:EnvelopeN"> <XMin>-179.906382261841</XMin> <YMin>-90.1303147686327</YMin> <XMax>180.542309944643</XMax> <YMax>90.089680376681</YMax> <SpatialReference xsi:type="esri:GeographicCoordinateSystem"> <WKT>GEOGCS["GCS_WGS_1984",DATUM["D_WGS_1984", SPHEROID["WGS_1984",6378137.0,298.257223563]], PRIMEM["Greenwich",0.0], UNIT["Degree",0.0174532925199433]]</WKT> <XOrigin>-400</XOrigin> <YOrigin>-400</YOrigin> <XYScale>11258999068426.2</XYScale> <ZOrigin>0</ZOrigin> <ZScale>1</ZScale> <MOrigin>0</MOrigin> <MScale>1</MScale> <XYTolerance>8.98315284119521E-09</XYTolerance> <ZTolerance>2</ZTolerance> <MTolerance>2</MTolerance> <HighPrecision>true</HighPrecision> <LeftLongitude>-180</LeftLongitude> </SpatialReference> </Extent> </DataElement>