演習 4:地形を表すための TIN の作成
ケンタッキー州にあるホース ケーブの町は、かつて町の飲料水と水力発電用水の供給源であった、鍾乳洞の上に位置しています。残念なことに、地表に投棄されて、くぼみに押し流された家庭ごみと産業廃棄物によって、鍾乳洞の中を流れる地下水が汚染されてしまいました。色素追跡調査と鍾乳洞の 3 次元測量によって、鍾乳洞の通路と町の関係が明らかになり、地表の投棄場所と、その下の鍾乳洞の地下水汚染とのつながりも明らかになりました。
1989 年に行われた地域の新たな汚水処理施設の開発、および Cave Research Foundation と ACCA(American Cave Conservation Association)の共同作業のおかげで、地下水は浄化され、鍾乳洞は復旧されました。鍾乳洞は、現在、観光用および教育用の場所として ACCA によって運営されています。
鍾乳洞のデータは、ACCA により提供されています。
鍾乳洞と景観を表示する
まず「BuildTIN」シーンを開き、鍾乳洞調査とテレイン データ レイヤの一部を表示します。このテレイン データを使用して TIN を作成し、その上に他のレイヤをドレープして、鍾乳洞と町との関係を視覚化します。
- [スタート] → [すべてのプログラム] → [ArcGIS] → [ArcScene 10] の順にクリックして、ArcScene を起動します。
- ArcScene の [はじめに] ダイアログ ボックスで、[既存のシーン] → [詳細検索] の順にクリックします。
- 「Exercise4」フォルダに移動して、「BuildTIN」ArcScene ドキュメントをダブルクリックします。
- チェックボックスをオンにして、[Cavesurvey] レイヤを表示します。
- 「Cavesurvey」を右クリックして、[レイヤの全体表示] をクリックします。
ポイント データから TIN を作成する
vipoints ポイントと呼ばれるポイント レイヤがあります。このカバレッジは、SPOT と呼ばれる属性を持つポイントで構成されます。SPOT 属性には、vipoints ポイントの標高値が含まれています。[TIN の作成(Create TIN)] ジオプロセシング ツールを使用して、vipoints ポイントから TIN サーフェス モデルを作成します。
ジオプロセシング ツールの使用時は、ドキュメント下部にあるプログレス バーに、現在実行中のツールの名前が表示されます。ツールの実行が終了すると、システム トレイにポップアップで通知が表示されます。この動作はバックグラウンド ジオプロセシングと呼ばれており、ソフトウェアをインストールして起動したときに、デフォルトで有効になっています。バックグラウンド ジオプロセシングを無効にするには、[ジオプロセシング] メイン メニューにある [ジオプロセシング オプション] ダイアログ ボックスを使用します。
- [カタログ] タブをクリックして、カタログ ウィンドウを展開します。
- スクロールして [Toolboxes] を見つけます。
- [Toolboxes] を展開し、[System Toolboxes] をクリックして、[3D Analyst Tools] ツールボックスを展開します。
- [TIN 管理] ツールセットに移動して、[TIN の作成(Create TIN)] ジオプロセシング ツールをダブルクリックします。
- [参照] ボタンをクリックし、[出力 TIN] の場所を設定します。
- [ホーム] ボタンをクリックして、「Terraindata」フォルダをダブルクリックし、出力 TIN 名を tin1 に変更して [保存] をクリックします。
- [入力フィーチャクラス] ドロップダウン リストをクリックして、「vipoints point」をクリックします。
- [OK] をクリックします。
- コンテンツ ウィンドウで [tin1] レイヤを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
- [シンボル] タブをクリックします。
- [追加] ボタンをクリックして、[レンダリングの追加] ダイアログ ボックスを開きます。
- [フェイスを標高でグラデーション描画] オプションをクリックして、[追加] をクリックします。
- [終了] をクリックして、[レンダリングの追加] ダイアログ ボックスを閉じ、[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスに戻ります。
- レンダリングのリストで、[フェイス] チェックボックスをオフにすることで、元の 1 色のレンダリングをオフにします。
- [OK] をクリックして [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じます。
TIN にフィーチャを追加する
これからハードとソフトのブレークラインを追加し、TIN に対するポリゴンをクリップします。ソフト ブレークラインとして「railroad」フィーチャを追加すると、サーフェス上に表現されますが、サーフェスの形状には影響を与えません。次に、標高値を使用して brklines フィーチャをハード ブレークラインとして追加し、対象のエリア内のサーフェスのシェープを調整します。最後に、TIN のエッジを滑らかに表示できるように、smclp ポリゴンをソフト クリップ ポリゴンとして追加します。
- カタログ ウィンドウでスクロールして [Toolboxes] を見つけます。
- [Toolboxes] を展開し、[System Toolboxes] をクリックして、[3D Analyst Tools] ツールボックスをクリックします。
- [TIN 管理] ツールセットに移動して、下部のウィンドウで [TIN の編集(Edit TIN)] ジオプロセシング ツールをダブルクリックします。
- [入力 TIN] のドロップダウン リストをクリックし、[tin1] をクリックします。
- [入力フィーチャクラス] ドロップダウン リストをクリックして、「railroad」をクリックします。
- [height_field] のドロップダウン矢印をクリックし、[<なし>] をクリックします。
- [SF_type] のドロップダウン矢印をクリックし、[softline] をクリックします。
- [入力フィーチャクラス] ドロップダウン リストをクリックして、「brklines」をクリックします。
- [入力フィーチャクラス] ドロップダウン リストをクリックして、「smclp」をクリックします。
- [height_field] のドロップダウン矢印をクリックし、[<なし>] をクリックします。
- [OK] をクリックします。
次のステップ以降で、サーフェスに対して比較的ならされた地層に沿って鉄道が走っていることが分かります。
TIN からフィーチャのベース標高値を設定する
次に、新しい TIN から道路と鉄道のためのベース標高値を設定します。
- [roads] を右クリックして、[プロパティ] をクリックします。
- [基準高度] タブをクリックします。
- [指定したサーフェス上に配置する] をクリックします。
- ドロップダウン矢印をクリックして、[tin1] をクリックします。
- [OK] をクリックします。
- [railroad] を右クリックして、[プロパティ] をクリックします。
- [基準高度] タブで、[指定したサーフェス上に配置する] をクリックします。
- [OK] をクリックします。
TIN からラスタのベース標高値を設定する
市街地の航空写真をシーンに取り込むと、鍾乳洞と市街地の関係が明確になります。ここでは、ラスタを TIN にドレープして部分的に透過表示にし、サーフェスの下の鍾乳洞を確認できるようにします。
- [photo.tif] を右クリックして、[プロパティ] をクリックします。
- [基準高度] タブをクリックします。
- [指定したサーフェス上に配置する] をクリックします。
- ドロップダウン矢印をクリックして、[tin1] をクリックします。
- [表示] タブをクリックします。
- [透過表示] テキスト ボックスに「30」と入力します。
- [OK] をクリックします。
- コンテンツ ウィンドウで [photo.tif] をオンにして、シーンに表示されるようにします。
これで、航空写真の透過性が 30% になりました。TIN と写真の描画優先度が同じであるため、TIN の大規模なパッチが写真上に表示されます。TIN を写真の下に表示する場合は、TIN の [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [レンダリング] タブで、描画優先度を 10(最低)に変更します。TIN または写真の基準高度を少しオフセットすることもできます。
シーンを修正する
シーンをきれいにするために、不要ないくつかのレイヤの表示をオフにし、鍾乳洞ライン シンボルを大きくします。
- [vipoints point] をオフにします。
- [brklines] をオフにします。
- [tin1] をオフにします。
- [Cavesurvey] レイヤのライン シンボルをクリックします。
- [幅] ボックスに「5」と入力します。
- [OK] をクリックします。
地形の断面図を作成する
鍾乳洞は、谷底の向きに沿っています。谷の形状を把握するためには、TIN の断面図を作成します。断面図を作成するには、まず、3D ライン(フィーチャまたはグラフィックス)が必要です。ArcMap を起動し、TIN をマップに追加して、ラインをデジタイズして、断面図を作成します。
- [スタート] → [すべてのプログラム] → [ArcGIS] → [ArcMap 10] の順にクリックして、ArcMap を起動します。
- [ArcMap - はじめに] ダイアログ ボックスで、[新規マップ] を選択して [参照] をクリックし、デフォルトのジオデータベース パスを「D:\3DAnalyst\3D_Default.gdb」に設定します。
- [OK] をクリックして [はじめに] ダイアログ ボックスを閉じます。
- [カスタマイズ] をクリックし、[ツールバー] をポイントして、[3D Analyst] をクリックします。
- [カスタマイズ] → [エクステンション] の順にクリックします。
- [3D Analyst] がオンになっていない場合はオンにします。
- [閉じる] をクリックします。
- カタログ ウィンドウを開いて、チュートリアル データをローカルに保存した [フォルダ接続] パスにある「Exercise4\Terraindata」フォルダに移動します。
- 「tin1」レイヤをクリックしてマップ ビューにドラッグし、マウス ボタンを放します。
- [3D Analyst] ツールバーの [ラインの内挿] ボタンをクリックします。
- TIN の左上をクリックし、ラインを右下にドラッグ、ダブルクリックしてデジタイジングを停止します。
- [断面図グラフ] ツール ボタンをクリックします。
- [断面図グラフ タイトル] を右クリックし、[レイアウトに追加] をクリックします。
- [断面図グラフ] ウィンドウを閉じます。
- [データ ビュー] ボタンをクリックしてデータ ビューに戻ります。
地形に対して、見通し線を作成する
地形を確認するには、見通し線を作成する方法もあります。見通し線には、観測点から目標点を見通したときに、サーフェスの見える部分と見えない部分が表示されます。
- [見通し線作成] ボタンをクリックします。
- [観測点オフセット] テキスト ボックスに「2」と入力します。
- TIN の右上にある高地の南側傾斜部分(観測点)をクリックし、右下にラインをドラッグして、目標点でマウス ボタンを放します。
- [見通し] ダイアログ ボックスを閉じます。
- [編集] → [すべてのエレメントを選択] の順にクリックします。
- [編集] → [コピー] の順にクリックします。
- ArcScene に戻り、[編集] → [貼り付け] の順にクリックします。
- ArcScene で [保存] ボタンをクリックします。
- ArcMap で [ファイル] をクリックし、[終了] をクリックします。
- 変更の保存に対して [いいえ] をクリックし、ArcMap を閉じます。
この演習では、ArcScene と ArcMap を使用して TIN サーフェス モデルの作成方法と作業方法について説明しました。TIN データセットを構築、シンボル化して、正確に 3D サーフェスを表現する方法が分かりました。ブレークラインとポリゴンを追加して、鉄道や地形の標高値などのサーフェス フィーチャを追加表現しました。航空写真を TIN 上にドレープされたラスタ レイヤとして使用して詳細なサーフェス解析を行いました。最後にライン内挿を使用して TIN モデル上の 3D サーフェス解析を行い、ArcMap で断面図グラフを作成しました。
TIN モデルを使用したサーフェスの表現方法を学習したので、ArcGIS 3D Analyst Extension の他の領域の学習に進むことができます。次の演習では、ArcGlobe でアニメーションの作成方法と作業方法について説明します。