サーフェス モデリングのブレークライン
ブレークラインは、なめらかさと連続性に関するサーフェスの状態を定義しコントロールします。ブレークラインは、その名のとおりライン フィーチャです。サーフェス モデルに組み込まれたブレークラインは、サーフェスの定義に関して大きな効果を発揮します。ブレークラインにより、サーフェスの状態の変更を定義して実行できます。ブレークライン上の Z 値は、一定の場合と長さとともに変化する場合があります。
3 種類のブレークラインがサーフェスを表現するのに用いられます:
- ソフト ブレークライン
- ハード ブレークライン
- フォルト
ソフト ブレークライン
ソフト ブレークラインを使用すると、ライン フィーチャに沿って不規則三角形網(TIN)で Z 値を維持できます。また、ブレークラインを TIN エッジとして使用することにより、TIN サーフェス モデル内でライン フィーチャとポリゴン エッジを維持することもできます。しかし、ソフト ブレークラインではサーフェスのなめらかさの中断を定義することはできません。
次の例は、ソフト ブレークラインを組み込むことにより、異なるサーフェスの状態を作成する方法を示します。TIN 内でラインが維持されるので、ブレークラインに沿ってどのように頂点が追加されるかに注意してください。追加されるノードの Z 値は、ブレークラインに沿って一次内挿を基に作成されます。
TIN を作成する入力データに、4 つのポイントと 2 つのノードがある 1 つのラインが含まれているとします。
ポイントとノードを標高点として処理した場合の TIN。
ラインがブレークラインとして使用された場合、TIN 内でラインが維持されます。新たにノードが追加されます。そのノードの Z 値に注意してください。
すべてのブレークラインと同様、ソフト ブレークラインの Z 値は一定の場合と変化する場合があります。たとえば、高さが一定のパイプのセクションをソフト ブレークラインとして定義できます。対照的に、高さが上下するハイウェイをソフト ブレークラインとして TIN サーフェス モデルに組み込むこともできます。
ハード ブレークライン
ハード ブレークラインは、サーフェスのなめらかさの中断を定義します。ハード ブレークラインは、おそらく、最も一般的でわかりやすいブレークラインです。ハード ブレークラインは一般的に、河川、隆起、海岸線、建物、ダムなど、サーフェスが急激に変化する場所を定義するのに使用されます。
ここでは、なめらかなサーフェスが湖岸によって中断されています。サーフェス モデルに含まれる太いブレークラインによって、2 種類の異なるサーフェスの境界が定義されています。湖岸の線は、湖面の平坦なサーフェスと周囲の岸のなめらかなサーフェスとの間の急激な変化を表します。
河川を定義するハード ブレークラインの場合、ブレークラインの Z 値は長さに沿って変化します。サーフェスは河川の両側のなめらかな状態を表しますが、傾斜角の法線はブレークラインの両側で急激に異なります。
フォルト
フォルトは、サーフェスの連続性の中断を表します。地質学上のフォルトはフォルトの最も一般的な種類であり、そのサーフェスの連続性の中断の度合いをずれと呼びます。次の例では、地球の表面が垂直方向にずれたため、サーフェスに「階段状」の不連続が発生しています。垂直方向のずれでは、フォルトの上と下の両方の同じ X、Y 位置に、高さが存在します。
垂直方向のフォルトでは 1 つの X、Y 位置に複数の Z 値があります。
フォルトは垂直面に限定されるものではなく、垂直方向と水平方向の両方に移動、つまり変形することがあります。ファンクション サーフェスでは 1 つの X、Y 位置に対して 1 つの Z 値しか保存できないため、垂直方向のフォルトをそのまま保存することはできません。この場合、フォルトの上の Z 値を格納するブレークラインと フォルトの下の Z 値を格納するブレークラインの 2 つの平行なブレークラインを使用して、垂直のフォルトを近似的に表すことができます。
垂直面と水平面のずれがある変形フォルト垂直面と水平面にずれがある変形フォルトをファンクション サーフェス上で近似するには、垂直方向のフォルトの上部と下部をオフセットします。
サーフェス モデリングでのブレークラインの使用
ハード ブレークラインとソフト ブレークラインの違いがわかるのは、TIN を内挿してなめらかなサーフェスを作成するとき(ジオプロセシングの TIN をラスタに変換するツールの Natural Neighbors 内挿法など)のみです。ハード ブレークラインは、水面の境界、材質の変化、建物または道路などのフィーチャによって発生するサーフェスの状態の急激な変化をモデリングするときに使用できます。またハード ブレークラインを使用して、深い水路や尾根が存在するサーフェスの表示やコンター マップで、ライン フィーチャの外観を向上することができます。ソフト ブレークラインは、ラインを横切るサーフェスの状態を変更することなく、サーフェスについての情報を追加するときに使用されます。ソフト ブレークラインの例としては、サーフェス モデルの範囲を定義するための調査ラインや調査領域の境界などがあります。