分類済みラスタ画像のジェネラライズ
ジェネラライズ ツールの最も一般的な利用法は、リモートセンシング ソフトウェアから取得した分類済み画像のクリーンアップ処理です。分類処理を実行すると、多くの場合、孤立した小さい ゾーン データが多数発生します。これは、誤って分類されたデータ、またはその解析に無関係なデータを表しています。
衛星画像からジェネラライズされた土地利用マップの作成
ここでは、プレゼンテーションや別の解析に適したラスタ レイヤを生成するためのジェネラライズ ツールの一般的な手順を紹介します。
用途や目的に合わせて、各ツールを単独で使用することも、その他のデータ クリーンアップ ツールと組み合わせて使用することもできます。
未処理の衛星写真
以下の画像は、まだ分類されていない未処理の衛星写真です。具体的な分類プロセスには触れませんが、次のセクションでは、衛星画像をさまざまな用途で使用するには何らかの処理が必要である理由を詳しく説明します。
分類(解析)後の画像
教師付き分類では、衛星画像などの画像上でトレーニング サンプルを指定します。トレーニング サンプルは、さまざまな土地利用で使用され、水域、住宅地、広葉樹、針葉樹その他を指定します。これらのトレーニング サンプルにより、画像のすべてのセルが、既知の土地タイプまたは土地利用のいずれかに割り当てられます。ときとして、土地利用のシグネチャ(トレーニング サンプルから得られる統計情報)が類似しているために、2 つのクラスの区別が困難なことがあります。たとえば、既存のトレーニング サンプルを使用するときに、ハンの木が生えた沼地と広葉樹の生えた湿地を区別できないことがあります。この理由として、トレーニング サンプルの数が適切でない、または特定の土地利用がまったくサンプリングされていないということがあります。これらの制限は、特定の場所の誤分類につながります。
結果として、実際には周囲のセルのグループに属する 1 つのセル、またはセルの小グループが、周囲のセルとは異なるエンティティとして誤分類されることがあります。誤分類される別の典型的なエリアは、異なる土地利用間の境界です。多くの場合、結果はギザギザの非現実的な境界として表現されますが、頂点間引きツールによりスムージングすることができます。
以下の図に、衛星写真の分類を示します。画像全体に、孤立した単一セル、またはセルのグループが多数あることに注意してください。
この後のセクションでは、ジェネラライズ ツールを使用して最終的な分類済みラスタを生成する方法を説明します。
Spatial Analyst を使用した画像の分類について詳しくは、このドキュメントの「画像の分類とは」をご参照ください。
大多数フィルタ(Majority Filter)使用による誤分類のセルの削除
分類済み画像から個々の誤分類セルを削除するには、[大多数フィルタ(Majority Filter)] ツールを使用します。結果を下図に示します。多数あった小さいセルが除去されています。
境界のスムージング(Boundary Clean)によるゾーンのスムージング
ゾーン間の境界をなめらかにするには、[境界のスムージング(Boundary Clean)] ツールを使用します。境界を拡大/縮小することにより、下図のように、大きいゾーンが小さいゾーンに侵入します。ここでも、セルの小グループと細いグループが多数消えています。
リージョン グループ(Region Group)によるセル グループの識別
[大多数フィルタ(Majority Filter)] ツールと [境界のスムージング(Boundary Clean)] ツールは、誤分類された個々のセルまたごく少数のセルの集まりのみを対象に、それらのセルの周囲で最も頻出する値をそれらのセルに割り当てます。しかしながら、あるサイズ制限が設けられており、その制限より小さいセル グループは次の解析では無効とと見なす場合を想像してください。その場合、サイズ制限に満たないセル グループは、周囲のグループに融合させる必要があります。たとえば、土地利用カテゴリが同じであり、面積が 7,200 平方メートル未満の隣接するセル グループは、解析で有効と見なされません。ただし、孤立したこれらの領域にはゾーン全体と同じ土地利用値が割り当てられているので、これらの領域を個別に処理することはできません。
この問題を解決するには、[リージョン グループ(Region Group)] ツールを使用します。このツールは、入力ラスタ(分類済み画像)の各リージョンに一意の識別子を割り当てます。リージョンとは、互いに隣接しかつ同じ値を持つセルの集まりです。たとえば、ある 1 つのゾーンが隣接していない 2 つのリージョンで構成されているとします。[リージョン グループ(Region Group)] は、このゾーンを 2 つの異なる新しいゾーンと見なし、それぞれに一意な識別(ゾーン)値を割り当てます。元のゾーンの値は、出力属性テーブルの LINK フィールドに維持されます。結果として生成されるラスタを以下に示します。多数の出力ゾーンが表示されていることに注意してください。
閾値より小さい領域の除去
次に、[抽出] ツールボックスにある [属性で抽出(Extract by Attributes)] などの選択ツールを使用して、面積が閾値より小さいリージョンが除去された出力ラスタを作成します。
ニブル(Nibble)の使用による小さいリージョンの除去
分類済みイメージ ラスタの値を使用し、抽出ツールで得られたラスタ(除去するリージョンを特定)に対して [ニブル(Nibble)] ツールを実行することで、除去する各セルの位置が確認され、分類済みラスタの値を持つ最近隣セルに置き換えられます。
ジェネラライズされた最終的な土地利用マップ
[リージョン グループ(Region Group)] ツールの結果のリンク項目を使用して、分類済み画像の元のゾーンの値を、[リージョン グループ(Region Group)] ツールで作成された個々のリージョンに割り当てます。
結果として、ジェネラライズされた土地利用マップが生成されます。このマップはさらに別の解析で使用できます。