ジオデータベース トポロジを使用したパーセル データの移行について
このトピックは、ArcEditor および ArcInfo にのみ適用されます。
ArcGIS 10 では、トポロジ的にクリーンな、整合性チェックが済んでいるパーセル フィーチャクラス データをパーセル ファブリックへ直接移行することが可能です。ArcGIS 10 より前のバージョンでは、パーセル ファブリックへ移行するには、既存のパーセル データセットをファブリック ソース データセットの形式にすることが必要でした。
この方法では、ジオデータベース トポロジがフィーチャ データセットに作成されます。作成先となるフィーチャ データセットには、パーセル ラインのフィーチャクラスおよびパーセル ポリゴンのフィーチャクラス、また、オプションとしてポイント フィーチャクラス(パーセルのコーナー)が含まれています。トポロジは必要な一連のルールに対して整合チェックが行われ、トポロジがクリーンであれば、[トポロジをパーセル ファブリックへ読み込み(Load a Topology to a Parcel Fabric)] ジオプロセシング ツールを使用して、データをパーセル ファブリックに移行することができます。
トポロジは、どのようにフィーチャがジオメトリを共有するかを表現するのに使われるモデルであり、また、フィーチャ同士の空間的関係を設定して維持するメカニズムでもあります。
既存のパーセル データにポリゴンのみが含まれる場合、[ポリゴン → ライン(Polygon To Line)] ジオプロセシング ツールを使用してポリゴンからラインへ変換することが可能です。
トポロジ ルール
トポロジの整合チェックでは、トポロジに属するフィーチャは定義された一連のルールに照らしてチェックされ、ルールに反するフィーチャはエラーとして処理されます。
トポロジを使用してライン フィーチャやポリゴン フィーチャをパーセル ファブリックへ移行する場合、以下のルールが必要です。
- [ライン フィーチャクラス] は、[ポリゴン フィーチャクラス] の境界線上にある
- [ライン フィーチャクラス] は同一ライン内で重複しない
- [ライン フィーチャクラス] は同一ライン内で交差しない
- [ライン フィーチャクラス] は単一パートから構成される
- [ライン フィーチャクラス] は交差しない、または接しない
- [ポリゴン フィーチャクラス] の境界線が他のクラスのライン上にある
「[ポリゴン フィーチャクラス] の境界線が他のクラスのライン上にある」のルールで見つかったエラーは、例外としてマークすることができます。これにより、接続線と閉じていないパーセルをソース データから移行できます。接続線は、コントロール ポイントを接続するライン、またはパーセルのブロックを接続するラインです。閉じていないパーセルは、道路のセンターラインなどのパーセル タイプをモデル化するためのポリラインです。
トポロジの整合性は、ArcCatalog もしくは ArcMap でチェックします。ArcCatalog では、全データセットの整合性がチェックされます。ArcMap で、サブセット データを選択し、[トポロジ] ツールバーにある [現在の表示範囲でトポロジ整合チェック] もしくは、[指定エリア内のトポロジ整合チェック] を使用してチェックできます。
トポロジの整合性がチェックされると、トポロジ ルールの違反(エラー)が ArcMap のトポロジ レイヤにシンボル表示されます。トポロジ エラーは、ポイント、ライン、ポリゴンでシンボル表示されます。
トポロジ エラーは、[トポロジ] ツールバーの [エラー インスペクタ] ダイアログ ボックス でも確認できます。[エラー インスペクタ] に、現在の表示範囲のトポロジ エラーが表示されます。すべてのトポロジ エラーを表示させることも可能です。ルールに違反したものがエラーとして表示されます。
整合チェックされたトポロジがクリーンで、エラーがなかった場合、フィーチャクラスのデータは移行できます。[トポロジをパーセル ファブリックへ読み込み(Load a Topology to a Parcel Fabric)] ツールは、ArcCatalog(もしくは、ArcMap のカタログ ウィンドウ)の [Toolboxes] → [System Toolboxes] → [Parcel Fabric Tools.tbx] → [データ移行] にあります。
ライン フィーチャおよびポリゴン フィーチャの移行
[トポロジをパーセル ファブリックへ読み込み(Load a Topology to a Parcel Fabric)] ジオプロセシング ツールは、パフォーマンス集約的なので、読み込めるパーセルの数は、使用するコンピュータの構成およびメモリによって違います。パーセル データセットで作業する場合、データセットを読み込めるサイズに分割するか、もしくはポリゴンやラインごとに読み込むことが可能です。
このツールでは、ライン フィーチャもしくはポリゴン フィーチャを入力として使用できます。ただし、ライン フィーチャクラスおよびポリゴン フィーチャクラスが正常に読み込まれることが必要です。
入力ポリゴン フィーチャクラスもしくは入力ライン フィーチャクラスで選択されているフィーチャがある場合、選択されたフィーチャのみがパーセル ファブリックに読み込まれます。ライン上で選択をする際、あるパーセルの境界線にあたるラインをすべて選択しないと、閉じていないパーセルがインポートされます。ラインが閉じていないパーセルの境界線で、たとえばダングル接続ラインなどを表している場合、ライン フィーチャは [カテゴリ] 属性を持ち、その属性値が([境界線] カテゴリの 0 の代わりに)3 に設定されている必要があります。ダングル ラインは、[他クラスのポリゴンの境界線上にある] というルールの例外としてマークされる必要があります。パーセル ライン フィーチャクラスに、[Category] フィールドを作成する必要があります。
また、ポリゴン フィーチャクラスおよびライン フィーチャクラスにユーザ定義の属性があれば、パーセル ファブリックおよび同じ属性を持つパーセル ファブリック テーブル内のラインへ移行されます。
パーセル ファブリックに正しく移行するために、パーセルに含めることができるラインの数には制限があります。パーセルに含まれるラインまたは線分が 5000 を超えると、トポロジを読み込む方法で移行することはできません。通常、自然境界を含むパーセルには、多数の境界線分が含まれます。
トポロジ フィーチャクラスの読み込みによるライン フィーチャクラス データおよびポリゴン フィーチャクラス データ移行の手順
パーセル フィーチャクラス データのセクションをファブリックに移行するには、次の手順に従います。
- 既存のポリゴン フィーチャクラスおよびライン フィーチャクラスを含むデータセットに、新規トポロジを作成します。
- 上記に示した、トポロジに必要なルールを追加します。
- ArcMap で、読み込み先のファブリックおよびトポロジ(ポリゴン フィーチャクラスとライン フィーチャクラスの両方を含む)を読み込みます。
- ファブリックへ読み込みたいエリアにズームします。
- 編集を開始し、現在のマップの範囲内にあるデータについて整合性をチェックします。([トポロジ] ツールバーの[現在の表示範囲でトポロジ整合チェック] ボタン をクリックします)。
- トポロジの整合性チェックでエラーが見つかった場合は修正します。選択してファブリックへ読み込むラインやポリゴンは、必ずクリーンである必要があります。エラーがあってはいけません。
- 編集を終了して、編集内容を保存します。
- [ツール] ツールバーにある、[四角形による選択] ツール を使用して、ファブリックに読み込むポリゴンを選択します。(代わりにラインを選択することも可能です)。
- カタログ ウィンドウで、[Toolboxes] → [System Toolboxes] → [Parcel Fabric Tools.tbx] → [データ移行] の順に選択して、[トポロジをパーセル ファブリックへ読み込み(Load a Topology to a Parcel Fabric)] ジオプロセシング ツールを開きます。
- [ターゲット パーセル ファブリック] としてマップに読み込まれたファブリックおよび [入力(トポロジ)フィーチャクラス] としてマップに読み込まれたパーセル ポリゴン フィーチャクラスを指定します。移行に必要なパラメータがあれば追加してツールを実行させます。
読み込みが完了したら、移行したファブリック パーセルが ArcMap に表示されます。
- 上記の手順を繰り返して、フィーチャクラス データをさらに移行します。
ポイント フィーチャの移行(オプション)
ポイントに関するユーザ定義の属性を、パーセル ファブリックの対応するポイントへ反映する必要がある場合、既存のポイント フィーチャをパーセル ファブリックへ移行することができます。ポリゴン フィーチャやライン フィーチャと同様に、ポイント フィーチャクラス レイヤで選択がされている場合、選択したポイントのみが移行されます。
システム属性の設定
移行中、ファブリック パーセルとファブリック ライン テーブルのシステム属性と同じ属性がラインおよびポリゴンのフィーチャクラスに作成および設定された場合、これらの属性を設定できます。たとえば、パーセルおよびライン タイプ全体を移行するには、ポリゴンとラインのフィーチャクラスの両方の [タイプ] 属性が必要です。別の例としては、ラインを接続ラインとして移行する場合、ライン フィーチャクラスに [カテゴリ] 属性が必要です。
ライン フィーチャクラスの属性
次の属性をライン フィーチャクラスに作成できます。それらの値は、ファブリック ライン テーブルの対応するシステム属性を反映しています。
フィールド名 |
フィールド タイプ |
説明 |
---|---|---|
カテゴリ |
Long integer |
ラインのカテゴリ(境界線や接続線など) |
Calculated |
Long integer |
計測値がライン シェープ ジオメトリから転化される場合、[True] になります。 |
タイプ |
Long integer |
ラインのサブタイプをカスタマイズするのに使用します(道路の間口の線や区画の奥側の境界線など)。 |
AccuracyCat(もしくは、ACCURACY) |
Long integer |
ラインの正確度レベル |
[Type] フィールドは、ソース パーセル ラインに独自のカスタム サブタイプがある場合に使用します。移行を正常に行うには、パーセル ファブリックのライン テーブルで、システムの [Type] フィールドに同じサブタイプを作成する必要があります。
ソース パーセル ラインで何らかのオプション フィールドが欠けている場合、パーセル ファブリックのライン テーブル内の対応するフィールドは次の値をとります。
- [Category] フィールドがない場合:[Category] = [境界線](パーセル ファブリックのすべてのラインが [境界線] カテゴリに設定されます。)
- [Calculated] フィールドがない場合:[Calculated] = NULL
- [Type] フィールドがない場合:[Type] = NULL
- [AccuracyCat] フィールドがない場合:正確度レベル = 3
ポリゴン フィーチャクラスの属性
次の属性をポリゴン フィーチャクラスに作成できます。それらの値は、ファブリック パーセル テーブルの対応するシステム属性を反映しています。
フィールド名 |
フィールド タイプ |
説明 |
---|---|---|
Area(もしくは、StatedArea) |
Double |
プランあるいは測量記録の元となっているパーセルの面積 |
PlanName(もしくは、Plan) |
文字列 |
プランもしくは測量記録の名前 |
AccuracyCat(もしくは、Accuracy) |
Long integer |
パーセルの正確度 |
タイプ |
Long integer |
トポロジのサブタイプとして使用(たとえば、売地もしくは住宅用パーセルなど) |
Historical |
Long integer |
パーセルが履歴を持つ場合、True(1)をとります。 |
LegalStart(もしくは、LegalStartDate) |
Date |
パーセルが作成された、法定日付(つまり、測量記録を実施した日付) |
LegalEnd(もしくは、LegalEndDate) |
Date |
パーセルが無くなった法定日付。つまり、置き換わるパーセルを調査した日付。 |
ソース パーセル ポリゴンで何らかのオプション フィールドが欠けている場合、パーセル ファブリックのポリゴン テーブル内の対応するフィールドは次の値をとります。
- [Area] フィールドがない場合:[StatedArea] = ポリゴンのシェープ ジオメトリの面積
- [PlanName] フィールドがない場合:[Plan] = 移行するフィーチャクラス名(たとえば、[AlachuaCounty_polygon] テーブルに [PlanName] フィールドがない場合、すべてのパーセルのプラン名が [AlachuaCounty] となります。)
- [AccuracyCat] フィールドがない場合:すべてのパーセルの正確度 = 3(デフォルト)
- [Type] フィールドがない場合:[Type] = NULL
- [LegalStart] フィールドがない場合:[LegalStartDate] = NULL
- [LegalEnd] フィールドがない場合:[LegalEndDate] = NULL
- [Historical] フィールドがない場合:[Historical] = NULL(または、False)