時間参照を設定する理由

空間参照と同様、時間参照は、それぞれの時間がどのように計測されたかを表します。異なるタイム ゾーンで記録されたデータセットを ArcGIS で統合するときは、時間参照が重要になります。

時間参照を使用してデータを統合する方法

それぞれの地域のタイム ゾーンに基づいて記録された 2 種類の気象センサー データがあるとします。一方のデータは太平洋タイム ゾーン([GMT-08:00] 太平洋標準時 [米国およびカナダ])で記録され、もう一方のデータは東部タイム ゾーン([GMT-05:00] 東部標準時 [米国およびカナダ])で記録されています。これら 2 つのデータセットを ArcGIS のレイヤとして追加し、時間対応を有効にすれば、タイム スライダを使用して表示できます。ところが、両方のデータセットを一緒に再生すると問題が発生します。太平洋タイム ゾーンの 5:00 a.m は、東部タイム ゾーンの 5:00 a.m と同じではないためです。これらのデータを修正せずにアニメーション化した場合、太平洋標準時 5:00 a.m と東部標準時 5:00 a.m は 3 時間のずれがあるにもかかわらず、両方のデータが同じタイミングで表示されてしまいます。

この問題を解決するには、各レイヤで時間参照を設定します。太平洋タイム ゾーン レイヤで時間を有効にするときに、このレイヤを太平洋タイム ゾーンに設定します。同様に、東部タイム ゾーン レイヤで時間を有効にするときに、このレイヤを東部タイム ゾーンに設定します。これで、タイム スライダを使用してデータをアニメーション化したとき、太平洋タイム ゾーンの 5:00 a.m に収集したデータが、東部タイム ゾーンの 8:00 a.m に収集したデータと同じタイミングで表示されるようになります。

データの時間プロパティの設定について

タイム ゾーンが異なる 2 つのデータセットを統合する他、ArcGIS では、優先タイム ゾーンに基づいてデータを表示することもできます。たとえば、中央タイム ゾーン([GMT-06:00] 中央標準時 [米国およびカナダ])に基づいて、タイム スライダに時刻を表示する必要があるとします。タイム スライダを中央タイム ゾーンの 5:00 a.m に設定すると、太平洋タイム ゾーン レイヤには 3:00 a.m に記録したデータが表示され、東部タイム ゾーン レイヤには 6:00 a.m に記録したデータが表示されます。

タイム スライダのタイム ゾーン設定について

データのタイム ゾーンの選択

ArcGIS では、レイヤの時間参照に基づいてタイム ゾーンが適用されます。レイヤが有効な場合、タイム ゾーンおよびサマータイムのルールを含む時間参照を指定できます。

理想的なのは、時間値を収集したタイム ゾーンをそのデータのタイム ゾーンにする方法です。データを時間対応にする際、[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [時間] タブでタイム ゾーンを指定できます。デフォルトでは、レイヤにはタイム ゾーンが設定されていません。ドロップダウン リストに表示される選択肢から、適切なタイム ゾーンを選択できます。このドロップダウン リストには、世界のタイム ゾーンがすべて表示されます。

注意注意:

  • ドロップダウン リストに、GMT との時差が同じである複数のタイム ゾーンが表示されることがあります。これは、同じタイム ゾーンであっても、サマータイムのルールが異なる地域が複数存在するためです。
  • 時間参照を指定すると、タイム ゾーンとサマータイムのルールを両方設定したことになります。

データのタイム ゾーンの変更

[タイム ゾーンの変換(Convert Time Zone)] ジオプロセシング ツールを使用すれば、1 つのタイム ゾーンで収集された時間値を別のタイム ゾーンに変換できます。別のタイム ゾーンへ時間を変換し、異なる複数のタイム ゾーンで収集された時間データを標準化することで、タイム ゾーンが異なる複数の時系列データをタイム スライダを使って表示できるようになり、クエリのパフォーマンスも向上します。

たとえば、次の図で、Input_Time フィールドの時間値は、太平洋標準時([GMT-08:00] 米国およびカナダ)で収集されたものです。これらの時間値が東部標準時([GMT-05:00] 米国およびカナダ)の時間値に変換され、Output_Time フィールドに格納されています。東部標準時と太平洋標準時には 3 時間の時差があるので、[タイム ゾーンの変換(Convert Time Zone)] ジオプロセシング ツールを実行すると、Input_Time フィールドの時間値にこの時差が追加され、その結果が Output_Time フィールドに出力されます。

タイム ゾーンの変換

[タイム ゾーンの変換(Convert Time Zone)] ジオプロセシング ツールの詳細

サマータイム

サマータイムのルールは、データの時間参照の一部です。このルールにより、データを記録したときの時刻がサマータイムによってどのような影響を受けるかを指定します。この情報に基づいて、サマータイムを使用して記録されたデータと、サマータイムを使用せずに記録されたデータとが適切に統合されます。

サマータイムの詳細

関連項目


7/10/2012