Oracle のジオデータベースをアップグレードする準備

ジオデータベースを含め、エンタープライズ システムをアップグレードする場合は、まず計画を立てます。開発サーバまたはテスト サーバで新しいバージョンをテストして、すべてのクライアント アプリケーションで動作することを確認します。

新しいシステムが想定したとおりに機能することが確認できたら、アップグレードのスケジュールを設定します。アップグレードに必要な人員を確保し、各担当者が割り当てられたタスクを実行するために必要な権限を持っていることを確認します。

注意注意:
  • ArcSDE 9.2、9.3、または 9.3.1 ジオデータベースから ArcSDE 10 には直接アップグレードできます。お使いのジオデータベースがリリース 9.1 以下の場合は、まずサポートされているリリースにアップグレードしてから、ArcSDE 10 にアップグレードしてください。
  • ソフトウェアのベータ バージョンからのアップグレードはサポートされていません。
  • ジオデータベースがレプリカの一部である場合、親と子の両方のジオデータベースをアップグレードしてから同期させる必要があります。
  • ジオデータベースを以前のバージョンにダウングレードするための正式のメカニズムはありません。ジオデータベースを新しいバージョンにアップグレードした後でダウングレードする必要が生じた場合は、旧版のデータベースをバックアップから復元する必要があります。
  • ジオデータベースをいったんアップグレードすると、以前のバージョンの ArcGIS では開けなくなります。これは、旧バージョンの ArcGIS では、新しいバージョンのジオデータベースを読み込めないためです。

Oracle でジオデータベースをアップグレードする前には、次の手順を実行する必要もあります。

手順:
  1. ArcGIS Resource Center で、システムが最小要件を満たしていることを確認します。
  2. ArcSDE 10 for Oracle にアップグレード中で、現在 Oracle9i を使用している場合は、まず Oracle データベースを最低でも Oracle 10g R2 にアップグレードします。既存の Oracle インストールとデータベースを新しいリリースの Oracle に移行する方法については、Oracle のマニュアルをご参照ください。

    それぞれの ArcSDE for Oracle インストールでサポートされている正確な Oracle バージョンとパッチ レベルについては、ArcGIS Resource Center(http://resources.esri.com)で ArcGIS Server のシステム要件を表示して、[ArcGIS Products] [Server] [System Requirements] [Relational Database Management Systems] [Oracle] の順に移動します。

  3. Oracle Text コンポーネントがインストールされていることを確認します。

    Oracle 10g と 11g ではデフォルトで Text コンポーネントがインストールされますが、デフォルトのインストールを実行していない場合、Text コンポーネントがインストールされていない可能性があります。

    インストールされているかどうかを確認するには、SYSTEM としてログインするか、データベースの DBA 権限を持つユーザとしてログインして、次の SQL ステートメントを実行します。

    SELECT owner, object_name
    FROM all_objects
    WHERE object_type = 'PACKAGE'
      AND object_name = 'CTX_DDL'
    レコードが何も返されない場合は、Text コンポーネントがインストールされていません。Oracle インストールを実行して Text コンポーネントをインストールしてください。

  4. データベースのバックアップを作成します。
  5. IBM AIX ユーザのみの処理:AIX にインストールする場合、ArcSDE のアップグレードまたはインストールを行う前に slibclean を実行して、アクティブでないライブラリをメモリから削除することをお勧めします。現在の ArcSDE サービスを停止して、ルート ユーザとして slibclean を実行します。slibclean コマンドの詳細については、AIX システム管理者用のマニュアルをご参照ください。
  6. ArcGIS の外部で、ArcSDE ジオデータベース システム テーブルへ追加したカスタム機能(トリガや追加のインデックスなど)をすべて削除します。

    アップグレード手順では、システム テーブルに対して行ったカスタマイズは認識されません。このようなカスタマイズによってシステム テーブルのスキーマ変更が妨げられた場合、アップグレードが失敗します。

  7. ArcSDE 管理者に、ジオデータベースのアップグレードに必要な権限を付与します。
  8. アップグレードを実行するためのジオデータベースに直接接続できるコンピュータ上に、最新リリースの ArcGIS クライアント(ArcGIS Desktop の ArcEditor または ArcInfo、ArcGIS Engine Runtime と Geodatabase Update エクステンション、または ArcGIS Server Standard または Advanced)をインストールします。
    注意注意:

    ジオデータベースを Linux 上の ArcGIS クライアントからリリース 10 にアップグレードする場合は、クライアントに 10 Service Pack 1 を適用する必要があります。この操作が必要な理由については、ArcGIS Resource Center の技術資料 37974 をご参照ください。

  9. ArcGIS クライアントがインストールされているコンピュータ上で、Oracle クライアントがインストールおよび設定されていることを確認します。

    アップグレードには ArcGIS クライアントからジオデータベースへのダイレクト コネクションが必要なので、この手順は必須です。詳細については、「Oracle へのダイレクト コネクションの設定」をご参照ください。

  10. アップグレード対象のジオデータベースに接続しているユーザがいないことを確認します。sde マスタ ジオデータベースをアップグレードする場合も、Oracle データベース内のユーザ スキーマ ジオデータベースに接続しているユーザがいないことを確認します。

    接続の有無は sdemon コマンドを使用して確認できます。アップグレード対象のジオデータベースの接続を確認します。マスタ ジオデータベースをアップグレードする場合は、すべてのユーザ スキーマ ジオデータベースの接続を確認します。手順については、「接続されているセッションの表示」をご参照ください。

  11. sdemon -o shutdown コマンドを使用して、実行中の ArcSDE サービスをシャットダウンします。または、Windows サーバ上でサービスが実行中の場合は、sdemon コマンドを使用する代わりに、Windows サービス インタフェース上でサービスを停止できます。

    sdemon コマンドについての詳細は、『ArcSDE コマンド リファレンス』をご参照ください。

  12. ArcSDE の古いリリースをアンインストールします。手順については、「ArcSDE の Windows からのアンインストール」または「ArcSDE の Linux または UNIX からのアンインストール」をご参照ください。
  13. Windows で、ArcSDE サービスを実行中の場合は、アンインストールの過程で削除するように求められます。新しいリリースの ArcSDE をインストールする場合は、[はい] をクリックしてサービスを削除します。サービス パックまたはパッチをインストールする場合は、サービス パックまたはパッチの手順でサービスを再作成するように指定されていない限り、[いいえ] をクリックしてサービスを再利用することができます(たとえば、サービス パックまたはパッチがサービスの機能の一部を修正している場合は、再作成が必要になる可能性が非常に高くなります)。
  14. ArcSDE の新しいリリースをインストールします。

    Windows オペレーティング システムでは、ポスト インストール ウィザードを実行しないでください。ポスト インストール ウィザードは新しいインストール専用です。

    ArcSDE 10 を Linux にインストールする場合は、Service Pack 1 を適用します。

    注意注意:

    ArcSDE を以前とは異なる場所にインストールするときに、以前のリリースのジオデータベースの EXTPROC が ST_Geometry 用に設定されている場合は、listener.ora ファイルが新しいライブラリの場所を指すように再構成し、Oracle リスナーを再起動する必要があります(UNIX および Linux のデフォルト ディレクトリは、ArcSDE のバージョンによって異なります)。詳細については、「SQL を使用するための Oracle リスナーの設定」をご参照ください。

  15. ArcSDE が Oracle データベースとは異なるサーバにインストールされている場合は、st_shape ライブラリを、SDEHOME の bin(Windows の場合)または lib(UNIX/Linux の場合)ディレクトリから ORACLE_HOME の lib ディレクトリにコピーします。ST_Raster タイプを使用する予定がある場合は、libst_raster_ora ライブラリも SDEHOME から ORACLE_HOME ディレクトリにコピーします。

    手順については、「異なるサーバへの Oracle と ArcSDE のインストール」をご参照ください。

これで、ジオデータベースをアップグレードする準備ができました。ArcGIS Desktop の [ジオデータベースのアップグレード(Upgrade Geodatabase)] ツール、または ArcGIS クライアント コンピュータで実行する Python スクリプトを使用できます。

関連項目


7/10/2012