バージョンのリコンサイルの概要

このトピックは、ArcEditor および ArcInfo にのみ適用されます。

バージョンの編集が完了したら、親バージョンや DEFAULT バージョンなど、そのバージョンの上位バージョンに変更内容をマージすることができます。

変更内容をマージするには、すべての競合をリコンサイルして解決してから、ポストする必要があります。このトピックでは、このプロセスの最初のステップであるリコンサイルについて説明します。

バージョンの編集を開始した後に、他のユーザによって上位のターゲット バージョンに自分の編集と競合するような変更が加えられている場合があります。リコンサイルは、そのような競合を検索するプロセスです。競合は次のような状況で発生します。

• 編集中のバージョン（編集バージョン）とターゲット バージョンの両方で同じフィーチャが更新された場合
• あるバージョンで更新されたフィーチャが、別のバージョンで削除された場合
• トポロジ的に関連するフィーチャまたはリレーションシップ クラスが編集バージョンとターゲット バージョンの両方で変更された場合

リコンサイルを実行すると、編集中のバージョンがリコンサイルのターゲット バージョンの変更内容で更新されます。ターゲット バージョンにおけるフィーチャまたはレコードの挿入、更新、削除が編集セッションに適用される際、ディスプレイ上のフィーチャが変更されることがあります。

競合が存在する場合、ArcGIS はまず、編集中のバージョンまたはターゲット バージョンの状態のどちらかを優先して、競合を解決します。どちらを優先するかは、ユーザの設定によります。競合が最初に解決された後、競合の解決結果を 1 つずつ確認し、必要に応じて解決された状態を変更することができます。たとえば、競合が編集バージョンを優先して解決された場合には、ターゲット バージョンを優先した解決に置き換えることを選択するか、あるいは編集ツールを使用して別の方法で変更することができます。

注意:

リコンサイルによって更新されるのは編集バージョンだけであるため、ArcGIS で競合がないかをチェックすることは可能ですが、変更内容はターゲット バージョンにマージされません。リコンサイルが終了し、競合を確認した後は、ターゲット バージョンに変更内容をポストして、マージ プロセスを完了してください。

前提条件

リコンサイルを実行するには、次の条件が満たされている必要があります。

• リコンサイルを実行するユーザは、そのバージョンを編集している唯一のユーザでなければなりません。
• 他のユーザがターゲット バージョンを編集していないことが前提となります。ターゲット バージョンが DEFAULT の場合は例外で、他のユーザが DEFAULT バージョンを編集している場合でも、リコンサイルを実行することができます。
• リコンサイルを実行するユーザは、ターゲット バージョンを参照できなければなりません。つまり、ターゲット バージョンに対してパブリックまたはプロテクトの権限が許可されている必要があります。バージョンに許可されている権限がプライベートである場合は、ユーザはバージョンの所有者または ArcSDE 管理者でなければなりません。
• 編集するユーザとリコンサイルするユーザが別であるようなワークフローを使用している場合、リコンサイルを実行するユーザには、そのバージョンで変更されたすべてのフィーチャクラスおよびテーブルへの完全な権限が必要です。権限がない場合は、リコンサイルを実行することはできません。リコンサイルを実行するユーザには、変更されたリレーションシップがシンプルかコンポジットかを問わず、リレーションシップの関連先および関連元に完全な権限が必要です。この種のワークフローでは、リコンサイルを実行するユーザには適切なバージョン権限も必要です。リコンサイルを実行するユーザは、リコンサイルするバージョンを変更できる、つまり、そのバージョンにパブリックの権限が許可されている必要があります。さらに、ターゲット バージョンを参照できる、つまり、ターゲット バージョンを所有しているか、ターゲット バージョンにパブリックまたはプロテクトの権限が許可されている必要があります。

リコンサイル プロセス

リコンサイル プロセスは [バージョニング] ツールバーから開始します。[リコンサイル] ダイアログ ボックスが開いたら、以下の情報を指定します。

• ターゲット バージョン
• 競合の検出方法。次のオプションがあります。

  競合を定義するレベル	検出されるケース
  行	2 人目のユーザが同じ行またはフィーチャ、あるいはトポロジ的に関連するフィーチャを編集した場合。競合は異なる属性を編集した場合でも発生します。これがデフォルトです。
  列	2 人目のユーザがフィーチャまたはテーブルの同じ属性を編集した場合。

  競合（コンフリクト）を定義するためのオプション

• 競合（コンフリクト）の解決方法:編集中のバージョン（これ以降は「編集バージョン」と呼びます）とターゲット バージョンのどちらを優先するかを決定します。ターゲット バージョンを優先する場合は、現在の編集セッションにおいて競合するすべてのフィーチャが、ターゲット バージョンの状態に置換されます。複数のユーザによって編集されているバージョンで競合が検出された場合は、最初に保存されたフィーチャによって編集セッションの状態が置換されます。編集バージョンを優先する場合は、現在の編集セッションの競合するすべてのフィーチャはターゲット バージョンの競合するフィーチャよりも優先されます。

注意:

[元に戻す] 操作でリコンサイルの操作を元に戻すことはできません。[元に戻す] 操作はサポートされていないため、リコンサイルを元に戻そうとすると、エラー メッセージが表示されます。リコンサイルを元に戻すには、変更を保存せずに編集セッションを終了する必要があります。