測地フィーチャについて
測地フィーチャとは、計測値によって投影空間固有の歪みが表現されるフィーチャです。測地フィーチャは、海洋上を経由する飛行経路など、長距離にまたがるフィーチャを作成する場合に便利です。
ArcMap で描画するフィーチャは、[測地フィーチャの作図] コマンドを使用するか、または [方位距離 → ライン(Bearing Distance To Line)]、[テーブル → 楕円(Table To Ellipse)]、[XY 座標 → ライン(XY To Line)] のうちのいずれかのジオプロセシング ツールを使用して作成された場合を除き、測地フィーチャではありません(平面です)。ただし、測地フィーチャはテレインの変化を表しません。
マップと地理空間データにはもともと歪みが含まれています。地球などの 3D 球面を取得し、それを平坦な 2D 空間に投影する処理を行うと、元のサーフェス上の位置間で空間的な関連性が幾何補正されます。問題を複雑にしているのは、地球が完全に球面でも完全に平坦でもない点です。地球は両極点では平らで、赤道上では膨らんでいます。地図投影によってこれらの不規則性が補正されますが、それでもなお、空間的な歪みは存在しています。投影法および座標系の詳細については、「地図投影とは」をご参照ください。
測地フィーチャには、接続された一連の頂点で作成された形状を示す高密度のジオメトリが含まれています。たとえば、高密度曲線は、曲線の軌跡全体に沿って連続して並んだポイントから構成されますが、これに対してベジェ曲線は滑らかです。高密度のジオメトリは、標準的なジオメトリと比べて、保存と操作により多くのリソースが必要とされ、編集がより困難です。測地フィーチャを編集または移動すると、結果としてそれらのフィーチャは測地フィーチャではなくなります。従って、測地フィーチャを変更または移動する必要がある場合は、代わりにそれらのフィーチャを再作成してください。
作成可能な測地フィーチャのタイプ
- 測地線 - 回転楕円体(楕円体)上の地表上の 2 つのポイント間の最も短いライン。測地線の使用例として、2 都市間を結ぶ飛行機の飛行経路における最短距離の決定があります。その他の例としては、ミサイルの発射地点から落下地点までの経路の作成があります。楕円体ではなく球体の場合、大円となります。測地線タイプでは、ラインのみ作成できます。さらに、1 つのライン フィーチャを構成している一連の測地線であるマルチセグメント ラインを作成できます。複数のストップから全体の経路が構成されている航空路など、ウェイポイントを使用して飛行機の飛行経路を作成したいときに、マルチセグメント ラインが使用できます。
- 測地円 - 定点から一定の測地距離で定義されるエッジを持つ形状。表示される座標系によっては、円にならない場合があります。兵器システムの距離環を作成する場合、たとえば兵器の射程範囲を表示する場合などに、測地円を使用する場合があります。測地円を使用して、ラインまたはポリゴンを作成できます。
- 測地楕円 - 2 定点からの測地距離の和が一定な点の軌跡。測地楕円を使用して、信号エラー楕円を作成できます。長軸と短軸が同じ長さの場合は、測地円となります。測地楕円タイプでは、ラインまたはポリゴンを作成できます。
- 大楕円 - 回転楕円体の中心とセグメントの始点と終点を通る平面によるサーフェスでの交差によって定義される回転楕円体(楕円体)上のライン。球体を使用している場合、大円となります。大楕円タイプでは、ラインのみ作成できます。
- 航程線 - 航程線は、2 点間の最短距離ではなく、方位角が一定の線として定義されます。大円ルートは多くの場合、いくつかの航程線に分解され、ナビゲーションをシンプルにします。「等角航路」ともいいます。航程線タイプでは、ラインのみ作成できます。