サーバの構成ファイル

Server.dat ファイルには、サーバのプロパティが保持されます。SOM(サーバ オブジェクト マネージャ)は、起動時にこのファイルの内容を読み取ります。このファイルが正常に読み取られ、このファイルに詳述されている初期化が完了すると、サーバは正常に起動したことを報告します。このファイルにエラーが含まれている場合、SOM はエラーをログに記録し、欠けているプロパティや無効なプロパティについてはデフォルト値を使用して起動します。

SOM が最初にコンピュータにインストールされた時点では、Server.dat ファイルが存在しません。Server.dat は、SOM が起動され、SOC(サーバ オブジェクト コンテナ)コンピュータまたはサーバ ディレクトリが GIS サーバに追加された後に作成されます。

Manager または ArcGIS Desktop のカタログ ウィンドウで変更できるプロパティについては、Server.dat ファイルを手動で編集しないでください。

注意注意:

Server.dat ファイルを手動で編集する前に、ArcGIS SOM サービスを停止する必要があります。編集中にファイルを誤って破損してしまう場合に備えて、この時点で Server.dat ファイルのバックアップを取ることを検討してください。

次に、1 台の SOC コンピュータ(padisha)と 1 つの出力ディレクトリ(\\padisha\images)を持つ、ログ レベル 3 の GIS サーバの Server.dat ファイルの例を示します。

<Server>
	<SecurityEnabled>false</SecurityEnabled>                  
 <ServerMachines>
  <Machine>
   <Name>padisha</Name>
   <Description>Server container machine 1</Description>
			<Capacity>-1</Capacity>
  </Machine>
 </ServerMachines>
 <ServerDirectories>
  <Directory>
   <Path>\\padisha\arcgisserver\arcgiscache</Path>
   <URL>http://padisha/arcgiscache</URL> 
   <Description>Cache location</Description>
   <Type>cache</Type>
  </Directory>
  <Directory>
   <Path>\\padisha\arcgisserver\arcgisjobs</Path>
   <URL>http://padisha/arcgisjobs</URL>
   <Description>Geoprocessing jobs location</Description> 
   <Type>jobs</Type>
   <Cleaning>sliding</Cleaning>
   <MaxFileAge>21600</MaxFileAge>
  </Directory>
  <Directory>
   <Path>\\padisha\arcgisserver\arcgisoutput</Path>
   <URL>http://padisha/arcgisoutput</URL>
   <Description>Output directory location</Description>
   <Type>output</Type>
   <Cleaning>sliding</Cleaning>
   <MaxFileAge>600</MaxFileAge>
  </Directory>
 </ServerDirectories>
 <Properties>
  <LogPath>C:\Program Files\ArcGIS\Server\user\log\</LogPath>
  <LogSize>10</LogSize>
  <LogLevel>3</LogLevel>
  <ConfigurationStartTimeout>300</ConfigurationStartTimeout>
  <EngineContextTimeout>600</EngineContextTimeout>
		<AISServer>127.0.0.1:3982</AIServer>
	</Properties>
 <ErrorReportMode>2</ErrorReportMode>  
 <ErrorReportModeSOM>3</ErrorReportModeSOM>
 <ErrorReportDir>\\padisha\ErrorReports</ErrorReportDir>
	<ErrorReportEnableUpload>True</ErrorReportEnableUpload>
	<ErrorReportEmailAddress>myAdmin@myCompany.com</ErrorReportEmailAddress>
 <ErrorReportReportInterval>3600</ErrorReportInterval>
 <ErrorReportCacheSize>10</ErrorReportCacheSize>
</Server>
Server.dat タグ

次に、Server.dat ファイルのタグ、それらの意味、およびサンプル値を示します。

<SecurityEnabled>

サービスで設定しているセキュリティ ルールが適用されるかどうかを決定します。デフォルトでは、このタグは false に設定されます。Manager でサービスのセキュリティを有効にすると、このタグが true に設定されます。設定を false に戻すには、Server.dat ファイルを手動で編集するしかありません。この編集を手動で行う前に ArcGIS Server Object Manager サービスを停止してください。

<CrashDetectorFrequency>

SOM は定期的に SOC プロセスを ping して、それらがまだ応答するかどうかを確認します。CrashDetectorFrequency が経過すると、SOM はすべての SOC プロセスを ping します。このチェックが完了するまでの時間は、すべての SOC コンピュータで実行中の SOC プロセスの数によって決まります。チェックが完了すると、SOM はこの間隔で待機し、再びチェックを開始します。この間隔はデフォルトで 5000 ミリ秒(5 秒)に設定されます。

<ServerMachines>

SOC コンピュータのリスト。このタグには、サーバ コンピュータごとに <Machine> サブタグが含まれます。

<Machine>

SOC コンピュータ。このタグには、<Name>、<Description>、<Capacity> の 3 つのサブタグが含まれます。

<Name>

SOC コンピュータの名前を表す文字列。このタグが指定されていない場合、<Machine> タグの残りの部分は無視されます。SOM は起動時にこのタグの値が有効な SOC コンピュータかどうかを確認しません。このタグの値が無効である場合は、SOM がそこにサービスを作成しようとしたときエラーになり、ログに記録されます。コンピュータ名は一意でなければなりません。重複する名前は無視されます。

<Description>

SOC コンピュータを説明するオプションの文字列。

<Capacity>

コンピュータ上で実行可能なサービス インスタンスの最大数を表す整数。値 -1 は、インスタンスの数に制限がないことを示しています。

次に、<ServerMachines> タグ、<Machine> タグ、およびそのサブタグの例を示します。

  
<ServerMachines>
 <Machine>
  <Name>padisha</Name>
  <Description>Server container machine 1</Description>
  <Capacity>25</Capacity>
 </Machine>
 <Machine>
  <Name>melange</Name>
  <Description>Server container machine 1</Description>
  <Capacity>25</Capacity>
 </Machine>
</ServerMachines>
<ServerDirectories>

サーバ ディレクトリのリスト。このタグには、サーバ ディレクトリごとに <Directory> サブタグが含まれます。

<Directory>

サーバ ディレクトリ。このタグには、<Path> サブタグとオプションのサブタグがいくつか含まれます。

<Path>

サーバ ディレクトリのパスを表す文字列。このプロパティは必須であり、サーバごとに一意でなければなりません。<Path> タグが重複するディレクトリは無視されます。ただし、1 つの場所に複数のパスが関連付けられている場合、SOM はそれらを同じディレクトリとして認識しません。

<URL>

<Path> タグで指定された物理ディレクトリをポイントする仮想ディレクトリの URL を表すオプションの文字列。URL の形式は、http://padisha/images のようになります。

<Description>

サーバ ディレクトリを説明するオプションの文字列。

<Type>

サーバ ディレクトリのタイプを表す文字列。cachejobsoutputindex のいずれかになります。ここにサーバの入力ディレクトリを指定することはできません。代わりに、ファイルの <Properties> セクションの <InputDir> タグを使用してください。

<Cleaning>

サーバ出力ディレクトリとサーバ ジョブ ディレクトリに含まれる古いファイルの削除方法を指定するオプションの文字列。有効な値は、「off」、「sliding」、または「absolute」。<Cleaning> の値が「off」である場合、サーバはそのディレクトリからファイルを削除しません。<Cleaning> の値が「sliding」である場合、サーバは最後にアクセスされてから <MaxFileAge> タグで指定された時間が経過したファイルを削除します。<Cleaning> の値が「absolute」である場合、サーバは作成されてから <MaxFileAge> タグで指定された時間が経過したファイルを削除します。このタグが指定されていない場合のデフォルト値は「sliding」です。

<Cleaning> タグは、サーバ ジョブ ディレクトリと出力ディレクトリでのみ使用されます。サーバのキャッシュ ディレクトリ、インデックス ディレクトリ、または入力ディレクトリでは使用されません。

ファイルまたはフォルダをサーバ出力ディレクトリからクリーンアップするには、そのファイルまたはフォルダに接頭辞 _ags_ が付加されている必要があります。

<MaxFileAge>

ファイルが最後にアクセスされてから(sliding)、または作成されてから(absolute)削除されるまでの経過時間を秒数で表すオプションの正の整数。このタグが指定されていない場合のデフォルト値は「10」です。

<MaxFileAge> タグは、サーバ ジョブ ディレクトリと出力ディレクトリでのみ使用されます。サーバ キャッシュ ディレクトリでは使用されません。

次に、<ServerDirectories> タグ、<Directory> タグ、およびそのサブタグの例を示します。

<ServerDirectories>
 <Directory>
  <Path>\\padisha\arcgisserver\arcgiscache</Path>
  <URL>http://padisha/arcgiscache</URL>
  <Description>Cache location</Description>
  <Type>cache</Type>
 </Directory>
 <Directory>
  <Path>\\padisha\arcgisserver\arcgisjobs</Path>
  <URL>http://padisha/arcgisjobs</URL>
  <Description>Geoprocessing jobs location</Description>
  <Type>jobs</Type>
  <Cleaning>sliding</Cleaning>
  <MaxFileAge>21600</MaxFileAge>
 </Directory>
 <Directory>
  <Path>\\padisha\arcgisserver\arcgisoutput</Path>
  <URL>http://padisha/arcgisoutput</URL>
  <Description>Output directory location</Description>
  <Type>output</Type>
  <Cleaning>sliding</Cleaning>
  <MaxFileAge>600</MaxFileAge>
 </Directory>
</ServerDirectories>
<Properties>

ログ プロパティとサービス作成タイムアウトを含む、GIS サーバのプロパティのリスト。<Properties> のすべてのサブタグはオプションです。

<AISServer>

ArcGIS Image Server を ArcGIS Server に登録している場合にのみ表示されるオプション タグ。タグ構造は、<Image Server IP アドレス>:<ポート> です。

<ConfigurationStartTimeout>

GIS サーバがサービスの起動を待機する時間(秒数)を表すオプションの整数。サービスの起動に <ConfigurationStartTimeout> よりも時間がかかる場合、サービスはタイムアウトし、ログにエラーが記録されます。デフォルトのタイムアウトは 300 秒です。

<EngineContextTimeout>

使用されなくなったサービス(空のサーバ コンテキスト)をクライアントが保持できる最大時間(秒数)を表すオプションの整数。この時間が経過すると、空のサーバ コンテキストは自動的に解放されます。デフォルトは 600 です。

<InputDir>

サーバの入力ディレクトリへのパスを表す文字列。これにはローカル コンピュータまたは UNC パスを指定できます。

<LogLevel>

サーバのログ ファイルの詳細レベルを示すオプションの整数。レベルは次のとおりです。

0(なし)

1(エラー)

2(標準)

3(情報: 簡易)

4(情報: 標準)

5(情報: 詳細)

100(冗長)

デフォルトのログ レベルは 2 の [標準] です。ログ レベルの詳細については、「ログ ファイルの解釈」をご参照ください。

<LogPath>

ログ ファイルが書き込まれるディスク上の場所へのパスを表すオプションの文字列。デフォルトは、Windows では <インストール ディレクトリ>\server\user\log です。GIS サーバ アカウントにこの場所への [書き込み] アクセスの権限が必要であることに注意してください。

<LogSize>

新しいログ ファイルを作成する目安となるログ ファイルの最大サイズ(MB)を表すオプションの整数。デフォルトは 10 です。

<LogMaxFiles>

ログ ディレクトリ内に存在できるログ ファイル ペア(companion .xml ファイルと *.dat ファイル)の最大数を指定する整数。この最大数に達すると、最新のファイル用の容量を確保するために最も古いログ ファイル ペアが削除されます。デフォルト値 -1 は、最大数が指定されず、ログ ファイルが削除されないことを意味します。

<LogUser>

ログ メッセージに対応するサーバ リクエストを開始したユーザの名前を含めるかどうかを示すブール値のプロパティ。デフォルト値は true です。このタグは ArcGIS Server のセキュリティが有効になっているときに最も役立ちます。

<MachinePingAttempts>

ping に失敗した場合に SOC コンピュータへのアクセスを繰り返す回数を指定するオプション タグ。SOM は n 秒ごとに SOC コンピュータを定期的に ping します。n は <MachinePingInterval> タグで指定された値です。SOC コンピュータが応答しない場合、SOM は <MachinePingAttempts> の値に達するまでその SOC への ping を試み、<MachinePingAttempts> の値に達した時点でその SOC を無効としてマークします。無効な SOC への ping はその後も実行され、それらが応答性があると判断された時点で整合チェックが実行され、SOC のグループに再び追加されて、SOM からのリクエストに対処できるようになります。

デフォルト値は 2 です。

<MachinePingDelay>

SOC コンピュータへの最初の ping に失敗した場合に、それ以降の ping の間隔をミリ秒単位で指定するオプション タグ。詳細については、このヘルプ トピックの <MachinePingInterval>、<MachinePingTimeout>、<MachinePingAttempts> の定義をご参照ください。

<MachinePingInterval>

SOM は SOC コンピュータを定期的に ping して、それらが現在も利用可能であるかどうかを判断します。このタグは、SOC コンピュータへの接続が依然として有効かどうかを判断する SOM の ping の間隔をミリ秒間隔で指定します。応答しないコンピュータは無効なものとしてマークされる場合があります。<MachinePingInterval> はデフォルトで 3,000(3 秒)に設定されます。つまり、このタグを追加しなければ、SOM はこの値を使用します。

<MachinePingTimeout>

ping が失敗したと見なすまでに SOC コンピュータの応答を待機する時間をミリ秒単位で指定するオプション タグ。デフォルトは 1,000(1 秒)。ping に失敗した場合、SOM は SOC への ping を n 回まで繰り返します。n は <MachinePingAttempts> タグで指定した値です。

次に、Server.dat の <Properties> タグとそのサブタグの例を示します。

  
<Properties>
 <LogPath>/cup1/arcgis/server/user/log/</LogPath>
 <LogSize>10</LogSize>
 <LogLevel>3</LogLevel>
 <ConfigurationStartTimeout>300</ConfigurationStartTimeout>
 <EngineContextTimeout>600</EngineContextTimeout>
	<AISServer>127.0.0.1:3982</AIServer> 
	<MachinePingInterval>10000</MachinePingInterval> 
	<MachinePingTimeout>2000</MachinePingTimeout> 
	<MachinePingAttempts>3</MachinePingAttempts> 
	<MachinePingDelay>500</MachinePingDelay>
</Properties>
<ErrorReportMode>

ArcSOC.exe プロセスのクラッシュが許可されるかどうか、そしてクラッシュが発生したときにサーバがどのように対処すべきかを指定します。次の値を利用できます。

  • 0 - ArcSOC.exe プロセスはクラッシュできません。
  • 1 - ArcSOC.exe プロセスのクラッシュを許可し、ログ ファイルにメッセージを書き込みます。
  • 2 - ArcSOC.exe プロセスのクラッシュを許可し、ログ ファイルにメッセージを書き込み、<ErrorReportDir> タグで指定された場所にエラー レポートを書き出します。
<ErrorReportModeSOM>

ArcSOM.exe プロセスがエラー レポートを生成するかどうかを指定します。次の値を利用できます。

  • 0 - ArcSOM.exe プロセスはエラー レポートを生成しません。
  • 3 - ArcSOM.exe プロセスはエラー レポートを生成します。
注意注意:

このプロパティでは、値に 12 は使用しません。

<ErrorReportDir>

ArcGIS Server のエラー レポートが書き出されるディスク上のパス。このプロパティは、エラー レポートを生成する前に設定する必要があります。

任意のディレクトリを選択できますが、SOM と SOC アカウントが書き込める必要があります。ArcGIS Server コンフィグレーションに複数のコンピュータが含まれている場合は、このパスを共有ディレクトリをポイントする UNC パス、または各 SOC コンピュータ上の同じローカル パスに設定する必要があります。

ArcGIS Server のエラー レポートの詳細

<ErrorReportEnableUpload>

エラー レポートを Web を介して Esri に自動送信するかどうかを指定します。デフォルトは False です。値を True にすると、エラー レポートが送信されます。自動エラー レポートを有効化する前に、Esri 個人情報保護方針を読んで承諾する必要があります。

<ErrorReportEmailAddress>

Esri がエラー レポートの詳細についてシステム管理者と連絡する際に使用される電子メール アドレスを含むオプションのプロパティ。

<ErrorReportReportInterval>

ArcGIS Server が新しいレポートがないかエラー レポート ディレクトリをチェックする間隔(秒)。デフォルトは 3,600 秒(1 時間)です。チェック中に検出されたレポートは、(<ErrorReportEnableUpload> タグを使用して)自動アップロードを有効にしている場合は、Esri に自動的に送信されます。

<ErrorReportCacheSize>

エラー レポートの出力ディレクトリに保持されるエラー レポートの数。デフォルトは 10 です。ArcSOC.exe のクラッシュが頻発してレポートがすぐにたまってしまう場合は、このプロパティに高い値を設定します。エラー レポートを Esri に自動送信している場合、送信されたレポートはディレクトリから削除されます。ただし、SOM アカウントのユーザ プロファイル ディレクトリには、直近の 10 個のレポートが常に保存されています。


7/10/2012