シンプル フィーチャの略歴
1990 年代半ばに、シンプルなジオメトリ構造が注目されるようになりました。ディスク領域やハードウェアのコストは全般に低下する一方で、コンピュータの計算速度は向上しました。同時に、既存の地理情報システム(GIS)データセットが利用しやすくなり、主にデータの整備で占められていた GIS ユーザの作業に、データの使用、解析、共有が含まれるようになりました。この時、頻繁に使用されたのが「相互運用性」という言葉でした。
ユーザはデータを使用する際のパフォーマンスの向上を望むようになりました(たとえば、1,200 個のポリゴンのフィーチャ座標をできるだけ高速に取得したい、など)。これを実現するために、数千にのぼる GIS が使用され、膨大な数のデータセット形式が提供されていました。
この頃、Esri は Esri Shapefile フォーマットを開発し、公開しました。シェープファイルは、フィーチャ座標にもシンプルな格納モデルを使用しています。シェープファイルはそれぞれ 1 つのフィーチャクラス(ポイント、ライン、ポリゴン)を表し、フィーチャ座標にシンプルな格納モデルを使用しているため、シェープファイルは、多くの GIS システムから簡単に作成することができました。そのため、シェープファイルはデファクト スタンダードとして普及し、現在でも広く使用されています。
数年後、ArcSDE とリレーショナル データベース テーブルを使用した同様のシンプルなフィーチャ格納モデルが実現されました。フィーチャ テーブルは、1 行につき 1 つのフィーチャを保持することができ、ジオメトリを保持する列とその他のフィーチャ属性を保持する列で行を構成することができます。
次に、州ポリゴンのサンプル フィーチャ テーブルを示します。各行は州を表し、列はそれぞれの属性プロパティを保持します。列の 1 つ(Shape 列)は、各州のポリゴン ジオメトリ(図形情報)を保持します。
このシンプルなフィーチャ モデルは、SQL(structured query language)処理エンジンにうまく適合しています。リレーショナル データベースを使用することで、パフォーマンスを低下させずに、GIS データを前例のないデータサイズとユーザ数に対応させることが可能になりました。このときに、GIS データ管理へのリレーショナル データベース管理システム(RDBMS)の活用が始まりました。
シェープファイルは普遍的な存在となり、このシンプルなフィーチャ メカニズムは GIS 業界の基本的なフィーチャ格納モデルになりました。(相互運用性をサポートするために、Esri は Open Geospatial Consortium(OGC)および国際標準化機構(ISO)の Simple Feature Specification の策定作業に尽力しています。)
フィーチャのシンプルな格納モデルには、明らかな利点があります。たとえば、次のものがあります。
- 各フィーチャの完全なジオメトリが 1 つのレコードに保持されます。複数のオブジェクトからジオメトリを組み立てる必要ありません。
- データ構造(物理スキーマ)がシンプルであるため、高速かつスケーラブルです。
- プログラマがインタフェースを簡単に作成できます。
- 相互運用が可能です。これらのシンプルなジオメトリとその他の形式との間でデータをやり取りするシンプルなコンバータが数多く作成されています。シェープファイルは、データを使用および交換するための形式として広く導入されています。
シンプル フィーチャの詳細については、トポロジの基礎をご参照ください。