Web GIS の概要
ArcGIS ユーザが行う共通のタスクは、組織内、または組織を超えて他の人が使用する GIS マップの設計と作成です。GIS サーバとアプリケーションを使用してマップを公開すると、エンド ユーザはこのマップを使用して質問の回答を導き出したり、業務や問題に対応したりすることでしょう。
このヘルプ セクションでは、このマップ作成タスクの概要と、ArcGIS を使用した効果的なマップの設計と作成のガイドを示します。このセクションでは、特に ArcGIS Server を使用して Web に配置されるマップの構築方法に注目し、解説します。
印刷されたマップとコンピュータ上のマップの比較
印刷されたマップは、ページ上にジオグラフィック フィーチャ、シンボルおよび説明テキストが編成され、視覚表現化されています。マップの主要なエレメントとしてマップ フレームがあり、このマップ フレームによってマップの地理情報の表示が提供されます。マップ フレーム内には、特定のマップ範囲をカバーする一連のマップ レイヤ（道路、河川、地名、建物、政治的境界、標高、衛星画像のマップ レイヤなど）として、地理エンティティが表示されます。ほとんどのマップは 2 次元ですが、3D 表示が使用できる場合もあります。
電子マップまたはデジタル マップは、コンピュータに表示され、使用されるマップです。デジタル マップにはさまざまな種類があります。最も単純なものは、目的のエリアの地理的外観を表すマップの画像または写真です。たとえば、次の画像は、USGS Digital Raster Graphic（DRG）のデジタル マップ ピクチャからのものです。
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USGS デジタル ラスタ グラフィック（DRG）の一部で、USGS の 1:24,000 の縮尺の米国の地形図シリーズをスキャニングおよびジオリファレンスして作成されています。 |
これらの単純な種類のマップはジオリファレンスされ、他のマップ情報と組み合わせて使用することができます。マップを画面移動、ズームおよびナビゲートして、さまざまなエリアを表示できます。ただし、マップは比較的単純な表示（精巧な地図作成法の場合もあります）であり、単なる画像です。ユーザがこの種のコンピュータ マップ上にデジタル情報をオーバーレイ（あるいは「マッシュアップ」）することもあります。
GIS システムは、どちらの種類のマップの作成にも使用できます。しかし、この 2 種類とは別の種類のマップがあり、このマップ ビューを使用すると、マップ内のフィーチャの詳細にアクセスできます。このようなタイプの高機能なマップは、エリアに対して豊富な地理情報のウィンドウを提供します。これらは対話型であり、地理情報にアクセスして操作するためのツールや演算子のセットも含まれています。これを GIS マップと呼びます。
GIS マップ
他の種類のマップと同様、GIS マップは、地理情報の視覚的表現を提供します。その他に 2 つの非常に重要な機能も提供します。
- GIS マップは、ジオグラフィック データベースのウィンドウを提供します。GIS マップを、マップのレイヤごとの地理情報を処理するユーザ インタフェースとして使用できます。たとえば、フィーチャを指定して、その説明情報と属性情報を表示することができます。また、特定の条件（特定の魚種がいて、水流が閾値を超えている河川など）に合うフィーチャを選択できます。
- GIS マップには、一連の空間演算子も含まれ、1 つ以上のジオデータベースに格納されている豊富な地理情報を操作できます。主な GIS 演算子によって、ジオグラフィック データセットに固有の空間リレーションシップを利用できます。たとえば、マップの道路をバッファし、これらのバッファ ゾーンをイベントの場所と重ね合わせて、重要なリレーションシップを調査できます（幹線道路または高速道路から 100 メートル以内に住み、喘息を患う子供の位置表示、小児喘息と幹線道路への近さのリレーションシップを示す空間統計サマリの実行など）。
各 GIS マップは、視覚化の力と、地理学を基本とする強力な分析とモデリング フレームワークを組み合わせます。豊富な GIS データベースと高度な空間演算子を利用できることが、各 GIS マップでさまざまな問題やニーズに対応できる理由です。
ArcGIS ユーザの共通のタスクの 1 つに、組織のユーザが使用する GIS マップを作成し、公開することがあります。これらの GIS マップを利用することにより、日常業務や、問題状況の視覚化、理解と洞察、効果的なコミュニケーションに役立ちます。
GIS マップの特性
GIS マップは、人々が地理情報を使用し、操作する方法を定義および標準化するための、強力なメタファです。GIS マップは、ほとんどの GIS アプリケーションで主要なユーザ インタフェースとなります。ユーザは、対話型の 2D マップ、3D シーン、3D グローブなどのジオグラフィック ビューをマップに表示することで新たな関係を見付けたり、編集や解析を行って結果を効率よく伝えることができます。
各 GIS マップは、コンピュータまたはモバイル デバイスでアクセスおよび使用する対話型のコンピュータ アプリケーションと見なすことができます。GIS マップは、GIS へのユーザ インタフェースとなります。各 GIS マップ アプリケーションには、マップ ビューに加え、マップのコンテンツを操作するツールや演算子が含まれています。これらの GIS マップの主な特性は、次のとおりです。
- GIS マップは複数の縮尺を使用できます。マップの表示を拡大、縮小、画面移動すると、さまざまな縮尺で自動的に情報を表示するよう設計されている Web 上のマップが増えています。たとえば、Web 上には、世界全体の表示から、全国、州全体、地域、市、通りまたは街区レベルの表示にまで移動できるマップがあります。Google Earth、Microsoft Bing Maps、Google Maps などの Web 上のコンシューマ マップは、複数の縮尺を持つマップを非常に効果的に利用しています。その結果、エンド ユーザの GIS マップの複数縮尺の振舞いに対する期待も変化しています。多くのユーザは、マップ アプリケーションを拡大および縮小すると、同様の多重解像度によってマップが表示されることを期待します。ArcGIS を使用するマップの作成者は、目的のエリアに対して、組織の業務サポートに必要な縮尺で多重解像度のマップを作成して共有できます。
- GIS マップは対話型です。マップ内でフィーチャを選択して問い合わせることで、フィーチャの情報を表示できます。特定の問題に対応したり、タスクを行うために、必要に応じて、新規または導出された情報を表示する新しいマップ レイヤを追加できます。
- 各 GIS マップには、マップのコンテンツを操作する（つまり、マップ レイヤとこれらが表すデータセットを操作する）ユーザ インタフェースの一部としてツールのセットが含まれています。一般的なマップのクエリ タスクや識別タスクから、経路の検索、データのコンパイルと編集、モデリング、地理解析まで、さまざまな機能があります。多くのマップにはカスタム ツールが含まれ、エンド ユーザがワークフローに含まれる重要なタスクを実行する際に役立ちます。
- 各 GIS マップには、マップの操作と使用をサポートする GIS マップ アプリケーションが関連付けられています。各マップ アプリケーションには、マップのコンテンツの操作に使用できるさまざまな GIS ツールと演算子が含まれています。
たとえば、GIS マップは、ハイエンドで専門的な GIS アプリケーション（ArcMap、ArcScene または ArcGlobe）を使って導入されたり、3D マップ（ArcGIS Explorer）、Web マッピング アプリケーションでの使用、ArcGIS Engine を使用して構築された専用マップ アプリケーション、現場に持って行ける GPS 対応のモバイル マップ（ArcGIS Mobile を使用して構築）として配置されることがあります。
- 多くの場合、GIS マップはさまざまな Web マップ サービスからの情報を統合します。複数のソースからの情報やツールをマッシュアップする機能は非常に強力です。たとえば、GIS マップ レイヤを Google Earth や Google Maps の表示と統合して利用することがしばしばあります。
- 一部の GIS マップでは、時間の流れに沿って情報を動的に表示したり、動画化して表示したりできます。