Oracle でのユーザ スキーマ内にあるジオデータベースのアップグレード
1 つの Oracle データベースに複数のジオデータベースを作成することができます。これを実行する場合は、sde ユーザ以外のスキーマにジオデータベースを作成します。このため、これらのジオデータベースはユーザ スキーマ ジオデータベースと呼ばれます。これらのジオデータベースには独自の ArcSDE およびジオデータベース システム テーブルが含まれています。
ただし、ArcSDE for Oracle ジオデータベース内で、sde ユーザ以外のユーザのスキーマに作成したジオデータベースは、必要な機能を完全には備えていません。ArcSDE サービスやユーザ定義タイプなどいくつかの機能は、sde ユーザのスキーマ内にあるマスタ ジオデータベースにのみ備わっています。このため、次のことが当てはまります。
- データベース全体のバックアップを作成する必要があります。つまり、ユーザのスキーマのバックアップのみを作成しても、ユーザ定義タイプやいくつかの機能はバックアップに含まれません。
- マスタ ジオデータベース上で ArcSDE サービスを停止すると、ユーザ スキーマ ジオデータベースへのサービス接続が無効になります。
- ユーザ スキーマ内のジオデータベースをアップグレードするには、その前にマスタ ジオデータベースをアップグレードする必要があります。
- マスタ ジオデータベースのアップグレード中は、ユーザ スキーマ ジオデータベースをアップグレードすることはできません。
ユーザのスキーマ内のジオデータベースは、マスタ ジオデータベースをアップグレードした後で個別にアップグレードする必要があります。また、sde ユーザではなくスキーマ所有者が自身のスキーマ内にあるジオデータベースをアップグレードする必要があるので、スキーマ所有者にアップグレードの権限が付与されていることが必要です。
マスタ ジオデータベースをアップグレードする前にユーザ スキーマ ジオデータベースをアップグレードしようとすると、次のようなメッセージが表示されます。
Cannot upgrade a user schema geodatabase when the master schema geodatabase is at a previous release. The master schema geodatabase must be upgraded first. ERROR: Geodatabase schema object install not completed.
同じ Oracle インスタンスに属するジオデータベースはすべて、同じ ArcGIS リリースに保つことをお勧めします。ただし、ジオデータベースへのダイレクト コネクションを使用する場合は、Oracle データベース内のユーザ スキーマ ジオデータベースをすべてアップグレードする必要はありません。
- 「Oracle でのジオデータベースのアップグレードの準備」に記載されている手順のとおりに行います。
- Oracle データベース全体のバックアップが作成されたことを確認します。
- マスタ ジオデータベースがすでにアップグレード済みであることを確認します。
- ArcCatalog を起動するか、ArcMap、ArcGlobe、または ArcScene を起動して [カタログ] ウィンドウを開きます。
- [データベース コネクション] ノードを展開します。
- スキーマ所有者としてログインして、ユーザ スキーマ ジオデータベースへのダイレクト コネクションを行います。
- ジオデータベースを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
- [一般] タブをクリックします。
アップグレードが必要な場合には、[ジオデータベースのアップグレード] ボタンが有効になります。
[ジオデータベースのアップグレード] ボタンがアクティブになっていない場合は、接続元クライアントが ArcSDE ジオデータベースと同じバージョンであるか、使用している DBMS がアップグレード可能バージョンとしてサポートされていないか、ジオデータベースに対してダイレクト コネクションではなく ArcSDE サービス接続を使用しているか、または接続元となった ArcGIS Desktop クライアントが ArcView ライセンスで稼働している可能性があります。
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[ジオデータベースのアップグレード(Upgrade Geodatabase)] ジオプロセシング ツールでは、[前提条件を確認] および [ジオデータベースをアップグレード] オプションをオンのままにすることをお勧めします。これにより、ジオデータベースのアップグレードを続ける前に、アップグレードを行うための前提条件を満たしているかどうかが確認されます。
前提条件のチェックでは、ジオデータベースへの他のアクティブな接続を検出し、接続しているユーザにジオデータベースをアップグレードするための十分な権限が付与されているかどうか、およびデータベースが XML 列をサポートできるかが確認されます。また、すべてのデータセットを開くことができること、ユーザ スキーマ ジオデータベースをアップグレードする前にマスタ ジオデータベースがアップグレードされていること、およびデータベースとライブラリのリリースが同じであることが確認されます。前提条件のいずれかが満たされていない場合、ツールは終了します。アップグレードの手順を再度実行する前に、問題を修正する必要があります。
このチェック結果は、ジオプロセシング ツールの進行状況を示すダイアログ ボックス、およびシステムの TEMP ディレクトリ内の GDBUpgrade<n>.log にレポートされます。
- [OK] をクリックして、チェックとアップグレードを開始します。
- すべてのチェックに合格した場合、ツールはアップグレードに進みます。前提条件チェックとアップグレードの状態は、ジオプロセシング ツールの進行状況を示すダイアログ ボックスに表示されます。
- ツールが正常に終了したら、[閉じる] をクリックして、ジオプロセシング ツールの進行状況を示すダイアログ ボックスを閉じます。
[ジオデータベースのアップグレード] ツールは、他のジオプロセシング ツールがクライアント コンピュータでバックグラウンド プロセスとして実行されている場合には、実行できません。
ユーザ スキーマ ジオデータベースが最新の ArcGIS リリースにアップグレードされます。
ユーザ スキーマ ジオデータベース内のネットワーク データセット、Cadastral Fabric、またはパーセル ファブリックをアップグレードするには、[ネットワークのアップグレード(Upgrade Network)] または [パーセル ファブリックのアップグレード(Upgrade Parcel Fabric)] ジオプロセシング ツールを使用するか、Python スクリプトを使用します。
ネットワーク データセット、および Cadastral Fabric またはパーセル ファブリックのアップグレードはオプションです。ただし、これらをアップグレードしない場合、ネットワーク データセットおよびパーセル ファブリックの最新機能にアクセスできません。