ArcGIS Server とは
ArcGIS Server は、先進的 Web GIS サービス、アプリケーション、およびエンタープライズ ジオデータ管理機能を装備した包括的なサーバベースの GIS です。
ArcGIS Server は、ワークグループ、部門、およびエンタープライズの GIS アプリケーションの構築の他、Web GIS の配置にも使用されます。ArcGIS Server は集中管理型で、複数ユーザをサポートし、充実した GIS 機能へのアクセスを提供し、業界標準に準拠して構築されています。
ArcGIS Server は、次のような特徴があります。
- GIS およびマップに関する一連の包括的なサービスおよびタスク
- ArcGIS サービスへのアクセスおよび利用を目的とした、標準準拠の公開 Web サービス インタフェース
- ArcGIS Server インストールの設定および管理を目的とした、管理者コンソール
- 数種の DBMS での強力なエンタープライズ ジオデータベース管理
- Oracle
- SQL Server と SQL Server Express
- DB2
- Informix
- PostgreSQL
上記のサーバ機能は ArcGIS Desktop で使えるだけでなく、Web アプリケーションでアクセスして使うこともできます。また、公開 Web 上のコンテンツ(たとえば、ArcGIS.com の GIS コンテンツや、Bing Maps および Google のコンシューマ マップ)と組み合わせても使えます。
GIS サービス
ArcGIS Desktop ユーザはマップおよび高精細な地理情報エレメント(要素)(たとえば、解析モデル、解析ツール、ジオデータベース、住所ロケータ、地名ロケータ、3D グローブ、レイヤ パッケージ)を作成します。これらのエレメントは、ジオグラフィック データだけでなく、そのデータの表示および利用を可能にする方法もカプセル化します。
ArcGIS Server を使用してこれらの GIS 情報エレメントを公開 Web サービスとして公開することによって、一連の GIS 情報にアクセスできるようになります。たとえば、ArcMap で作成されたマップ ドキュメントは、マルチスケールのベースマップをはじめとするマップ サービスの作成に使用することができます。
詳細については、ArcGIS Server ヘルプの「サービスとは」をご参照ください。
GIS Web アプリケーション
いったん作成された GIS Web サービスは、GIS Web アプリケーションまたはモバイル アプリケーションに組み込むことができます。さまざまな Web 環境から複数の GIS サービスをアクセスして利用できます。
詳細については、「ArcGIS.com での Web アプリケーションの構築、共有」をご参照ください。
統合が容易な標準準拠のサービス
ArcGIS Server は、広く採用されている Web 標準をサポートするために、Web 準拠という第 1 原則を基にエンジニアリングされます。ArcGIS Server を使用して情報を公開すると、これらのサービスをさまざまな環境で容易に利用できるので「手間要らず」です。
ArcGIS Server では、すべてのサービスに標準 Web インタフェースが利用されています。以下はその例です。
- SOAP XML
- REST
- KML
- OGC サービス(たとえば、WMS、WCS、WFS)
- マルチユーザ ジオデータベース管理用 SQL
これにより、さまざまな種類の GIS クライアントから、高精細な地理情報にアクセスできるようになります。
ジオデータベースの管理
ArcGIS Server では、いくつかの DBMS 内でマルチユーザ ジオデータベースを管理できる機能が搭載されています。大勢のユーザが同時に編集および使用できる大型のマルチユーザ ジオデータベースが必要な場合は、ジオデータベースが適しています。ArcSDE Server では、共有のマルチユーザ ジオデータベースを管理できるだけでなく、バージョンベースの重要な GIS ワークフローを管理することもできます。組織のエンタープライズ リレーショナル データベースを利用できることは、重要な利点です。
マルチユーザのトランザクション ジオデータベースは、さまざまな DBMS ストレージ モデル(IBM DB2、Oracle、PostgreSQL、SQL Server)に対応し、ArcSDE ジオデータベースは、DBMS のアーキテクチャを完全に利用して、次の機能をサポートします。
- 大規模な連続する GIS データベース
- 多くの同時ユーザ
- ロング トランザクションとバージョン対応のワークフロー
- GIS データを管理するためのリレーショナル データベース サポート(スケーラビリティ、信頼性、セキュリティ、バックアップ、整合性などの利点を提供)
- サポートされているすべての DBMS(Oracle、SQL Server、PostgreSQL、DB2)の空間に対応した SQL タイプ
- 膨大なユーザ数に対してもスケーリングできる高いパフォーマンス
GIS データに必要な大規模なジオメトリ エレメント タイプを含むレコードの取得と処理に DBMS が効率的であることが、大規模なジオデータベースの実装を繰り返す過程でわかっています。さらに、GIS データベースのサイズとサポートされるユーザの数は、ファイルベースの GIS データセットをはるかに上回る可能性があります。
これらのエンタープライズ ジオデータベースは、ArcGIS Server の一部である ArcSDE テクノロジを使用して有効化されます。ArcSDE ジオデータベースのアーキテクチャの詳細、および ArcSDE ジオデータベースでリレーショナル データベース テクノロジが利用されるしくみについては、ブックで「ジオデータベースのアーキテクチャ」以降のヘルプ トピックをご参照ください。
ArcGIS Server 用にサポートされている環境
ArcGIS Server は、独自サーバ(構内)または Amazon EC2(クラウド)を使用して配備できます。構内では、ArcGIS Server は Windows および Linux の両方の環境で動作します。
ArcGIS Server 製品オプション
機能レベル
ArcGIS Server の機能エディション レベルには、Basic、Standard、および Advanced の 3 通りがあります。
Basic: このレベルでは、空間データ管理用の包括的な GIS サーバが提供されています。ArcSDE テクノロジを駆使したジオグラフィック データセットの体系化および管理ができます。
Standard: このレベルでは、空間データ管理およびマッピング用の包括的な GIS サーバが提供されています。たとえば、2D マッピング、3D グローブ サービス、および一連の関連機能(たとえば、Web 編集、ジオコーディング、ルーティング)などがあります。Standard エディションには、Basic エディションのすべての機能が含まれています。
Advanced: このレベルでは、空間データ管理、マッピング、3D サービス、および編集用の包括的な GIS サーバの他、包括的なジオプロセシング、空間解析およびモデリング機能も提供されています。Advanced エディションには、Basic エディションと Standard エディションのすべての機能が含まれています。
ArcSDE テクノロジを使用したマルチユーザ ジオデータベース サポートは、ArcGIS Server の 3 つのエディションすべてに組み込まれています。
Basic(基本) | Standard(標準) | 高度な設定 | |
---|---|---|---|
マルチユーザ ジオデータベース | はい | はい | はい |
Web ベースのレプリケーション | はい | はい | はい |
マップ サービス | いいえ | はい | はい |
イメージ サービス | いいえ | はい | はい |
グローブ サービス | いいえ | はい | はい |
Web 編集 | いいえ | はい | はい |
ジオプロセシング | いいえ | 制限付き | はい |
Web アプリケーション | いいえ | はい | はい |
Windows Mobile アプリケーション | いいえ | いいえ | はい |
iPhone アプリケーション | いいえ | いいえ | はい |
SharePoint Web パーツ | いいえ | いいえ | はい |
規模
ArcGIS Server は、次に示すようにワークグループ環境単位およびエンタープライズ単位で実装することができます。
- ArcGIS Server Workgroup:1 台のコンピュータ上で動作するように制限され、ジオデータベースをサポートするために Microsoft SQL Server Express データベース エンジンが含まれています
- ArcGIS Server Enterprise:複数のコンピュータ上で動作し、任意の DBMS(SQL Server、IBM DB2、PostgreSQL、Oracle)を使用できます
- マルチユーザ ジオデータベースに対する無制限の同時接続をサポート
- 無制限のストレージ 規模
- 単一サーバ上に、または複数のサーバ間に分散してインストール可能(サーバごとにライセンスが必要)。
ArcGIS Server のオプションのエクステンション
特殊なソフトウェア機能によっては、ArcGIS Server のアドオン エクステンションとして出回っているものもあります。各エクステンションを入手すれば、ラスタ ジオプロセシング、3D GIS、ネットワーク解析などの機能を追加できます。
次の図は、ArcGIS Server エクステンションについて簡単にまとめたものです。
ArcGIS Server エクステンション | Advanced レベル | Standard レベル |
---|---|---|
3D Extension: 高度な 3D モデリングと解析 | 搭載 | オプション |
Geostatistical Extension: 高度な統計モデリングおよび解析 | 搭載 | オプション |
Network Extension: 高度なネットワーク モデリングおよび解析 | 搭載 | オプション |
Spatial Extension: 高度なラスタ データ モデリングおよび解析 | 搭載 | オプション |
Data Interoperability Extension: インターネット経由で数百ものデータ フォーマットを利用できます。 | オプション | オプション |
Image Extension: リアルタイムで動的に多量の画像を供給し、多数のフォーマットで処理します。 | オプション | オプション |
Workflow Manager Extension: GIS ワークフロー管理機能 | オプション | オプション |
Geoportal Extension: GIS リソースの体系化、共有、および検出を目的とした、ポータルの作成に使用されます。 | オプション | オプション |
Schematics Extension: 高度なネットワーク ダイアグラムおよびモデル | オプション | オプション |