カスタマイズの保存の基礎

あるデスクトップ アプリケーションのユーザ インタフェースの構成を変更した場合、デフォルトでは変更内容は構成テンプレート ファイルに保存され、アプリケーションが起動するたびに読み込まれます。たとえば、ArcMap では Normal.mxt ファイルが使用され、ArcGlobe では Normal.3dt ファイルが使用されます。しかし、ドキュメントに変更内容を保存して、他のユーザがこのドキュメントを開いたときに、実行するワークフローに合うように特定のツールバー、メニュー、およびドッカブル ウィンドウを設定する場合があります。言い換えれば、このドキュメントを開いたユーザに対して、同じユーザ インタフェースを提供したい場合があります。

これを実現するには、[ユーザ設定] ダイアログ ボックスの [オプション] タブで、[すべてのカスタマイズ内容をドキュメントに保存] チェックボックスをオンにします。こうすると、すべてのカスタマイズが Normal.mxt から現在のドキュメントに移動し、これから行うすべてのカスタマイズもこのドキュメントだけに書き込まれるようになります。このオプションを設定したドキュメントを開くと、マップ ドキュメント自体のカスタマイズだけが適用されます。アプリケーションの構成テンプレート ファイル（たとえば、Normal.mxt など）に保存されているカスタマイズは無視されます。

[すべてのカスタマイズ内容をドキュメントに保存] チェックボックスをオフにすると、ドキュメントに現在保存されているすべてのカスタマイズの内容が削除され、ドキュメントは再びアプリケーションのコンフィグレーション テンプレート ファイルを参照するようになります。

カスタマイズの保存場所の決定

特定のドキュメントを操作するときだけ表示されるような変更を加えたい場合があります。たとえば、特定の *.mxd ファイルのときだけ表示される、検索と解析のカスタム ツールバーなどが考えられます。この場合、カスタマイズを現在のドキュメントに保存します。ArcMap/ArcGlobe/ArcScene を開くたびに表示されるような変更を加える場合は、変更内容を標準テンプレートに保存します。標準テンプレートにデフォルトで保存されるカスタマイズを以下にリストします。また、[ユーザ設定] ダイアログ ボックスの [すべてのカスタマイズ内容をドキュメントに保存] オプションを選択することで、ドキュメントにこれらのカスタマイズを保存することもできます。

• 組み込まれているツールバーまたはメニューにあるコマンド アイテムの位置の移動
• 組み込まれているツールバーへのコマンドの追加や削除
• 組み込まれているツールバーの表示設定と位置
• ドッカブル ウィンドウの表示設定と位置

ただし、[ユーザ設定] ダイアログ ボックスで作成した新規ツールボックスと新規メニューは、現在のドキュメントに保存され、デフォルトで [ドキュメント内に新しいツールバーとメニューを作成] オプションが選択されます。しかし、[ドキュメント内に新しいツールバーとメニューを作成] チェックボックスをオフにすることで、これらのカスタマイズを標準テンプレートに保存することもできます。

以下にリストしたカスタマイズは、ドキュメント レベルでのみ保存されます。これらのカスタマイズをテンプレートに保存することはできません。

• ツールバーやメニューに追加された UI コントロール
• ツールバーやメニューにボタンとして追加されたマクロ

注意:

ArcCatalog は特殊で、ドキュメントを使用しないため、すべてのカスタマイズは常に標準テンプレートに書き込まれます。

カスタム標準テンプレートの作成

管理者が、組織内のすべてのユーザがアクセスできるカスタム ツールバーやツール群を用意するとします。管理者は、カスタマイズされた標準テンプレートを作成し、組織内のすべてのユーザがその標準テンプレートをデフォルトの標準テンプレートの代わりに使用するようにできます。これを実現するには、管理者は標準テンプレートをカスタマイズしてから、その Normal.mxt ファイルを <ArcGIS Desktop のインストール場所>\Bin\Templates フォルダにコピーします。すると、すべてのユーザがこの標準テンプレートをデフォルトの標準テンプレートの代わりに使用して起動するようになります。次に、この仕組みについて説明します。

ArcMap の起動時に、プロファイルの場所に Normal.mxt ファイルがない場合、アプリケーションは <ArcGIS Desktop のインストール場所>\\Bin\Templates フォルダを参照します。Normal.mxt ファイルが存在する場合、そのファイルがユーザ プロファイルの場所にコピーされ、以後は個人の標準テンプレートして扱われます。そのため、組織のカスタマイズされた標準テンプレートのコピーを使って起動するようになります。ただし、その時点から、その標準テンプレートに独自のカスタマイズを追加できます。

Normal.mxt ファイルがプロファイルの場所や <ArcGIS Desktop のインストール場所>\Bin\Templates フォルダに見つからない場合、新しいデフォルトの Normal.mxt ファイルが作成され、プロファイルの場所に格納されます。