シンボルの描画パフォーマンスの向上
マップでのシンボルの描画速度を最適化するには、いくつかの処理が考えられます。
シンボルの簡素化を検討してみます。複雑なシンボルや多くのレイヤから成るシンボルは、単純に構築されたシンボルよりも描画に時間がかかります。通常、ビットマップ(*.bmp)ピクチャ ファイルやハローを含むシンボルは、描画速度が低くなります。
ESRI_Optimized スタイルのシンボルを使用することを検討してみます。ここには、パフォーマンスに優れ、Esri スタイルを使用した場合に近い表示を保つ、ライン シンボルと塗りつぶしシンボルが含まれます。ESRI_Optimized スタイルのライン シンボルと塗りつぶしシンボルの描画速度は、Esri スタイルと比べて約 60% 速くなります。
レガシ:ArcGIS 9.2 以降では、Esri スタイルのアウトライン付き塗りつぶしシンボルとその他多くのスタイルが、アウトラインにカートグラフィック ライン シンボルではなくシンプル ライン シンボルを使用しています。これにより、描画パフォーマンスは多くの場合、ポリゴン データで最大で 65%、平均して約 25% 改善されます。ArcGIS 9.2 より前のスタイルのシンボルで構築されたマップ ドキュメントやレイヤ ファイルでは、古いシンボルがそのまま使用されています。描画パフォーマンスが問題になった場合は、これらのマップのシンボルを更新してみることをお勧めします。マーカー シンボルの描画パフォーマンスは、ポイントのシンボル表示に使用するか、他のシンボル タイプの要素として使用するかにかかわらず、シンプル マーカーと単一レイヤの絵文字マーカー シンボルを使用することで大幅に改善することができます。大きなポイント フィーチャ データセットをシンボル表示するには、これらを選択するのが最適です。
マスクの描画速度は大幅に改善することができます。マスクを絵文字マーカーやシンプル マーカーに追加する代わりに、シンボルを表す *.emf ファイルを作成し、*.emf ファイルの内容を表示するピクチャ マーカー シンボルを使用することができます。さらに、*.bmp ベースのピクチャ マーカー シンボルを *.emf マーカーと置き換え、それらのシンボルでパフォーマンスを改善することもできます。
ライン シンボルが複雑になるほど、描画やエクスポートのパフォーマンスが低下する可能性が高くなります。もちろん、描画パフォーマンスは、適切なカートグラフィック表現や伝達のために必要な描画の詳細度とバランスをとる必要があります。シンプル ライン シンボルは最も高速に描画できますが、表示オプションは制限されています。構造が非常に複雑なカートグラフィック ライン シンボルは、描画速度も遅くなります。複数レイヤ、パターン テンプレート、オフセット、極端に幅の広いラインなどは、描画時間を増やす要因となります。
さらに、シンボル タイプを組み合わせてマルチレイヤ シンボルを作成した場合も、パフォーマンスが低下します。これは、レイヤ タイプごとにデータセットのレンダリングを実行しなければならないためです。たとえば、基本的な鉄道スタイルのライン シンボルで行われるように、カートグラフィックとハッシュ ライン シンボルを組み合わせると、データはカートグラフィック シンボルに対して一度描画され、ハッシュ シンボルに対して再度描画されます。
ピクチャ ライン シンボルを使用すると、描画とエクスポートにかかる時間が大幅に増大し、しかも一般的に、見た目のよい結果が得られません。他のいずれかのライン シンボル タイプを代わりに使用することが推奨されます。
描画速度を最大化するには、可能な限り、ポリゴンのアウトラインにシンプルなライン シンボルを使用します。高度な機能のプロパティが必要な場合のみ、塗りつぶしのアウトラインにカートグラフィック ライン シンボルを使用します。ピクチャ塗りつぶしシンボルでは、*.emf ピクチャの方が *.bmp ピクチャより高速に描画されます。