ArcGIS 10 のテーブルと属性の新機能

ArcGIS 10 では、属性テーブルを操作するための新機能と、その他多くの新機能が導入されています。

テーブル ウィンドウ

テーブル ウィンドウは、ArcMap で開いている属性テーブルをすべて表示するコンテナです。開いている属性テーブルはすべて テーブル ウィンドウ内でタブ化されており、タブをクリックするだけで特定のテーブルをアクティブにできます。テーブル ウィンドウにはツールバーといくつかのメニューもあり、それらを使用してテーブルの属性、および空間データの場合にはマップの属性を操作することができます。

ArcGIS でテーブル ウィンドウを使用する

テーブルの [選択] ビューで作業している場合、ウィンドウ上部のツールバーを拡張して、ハイライト表示されているレコードを操作するコマンドを表示することができます。

ハイライト表示されているレコードを操作するコマンド

複数のテーブルの表示

ArcMap で属性テーブルを開くと、テーブル ウィンドウ内に属性テーブルが配置されます。テーブル ウィンドウは、開いているすべての属性テーブルのコンテナの役割を果たします。テーブル ウィンドウ内では、開いている各テーブルにタブが割り振られ、タブをクリックしてテーブルを表示できます。また、属性テーブルのタブをドラッグしてテーブル ウィンドウ内に固定すると、複数のテーブルを一度に表示することもできます。

ArcGIS で複数のテーブルを表示する

また、[テーブル オプション] メニューで、次に示す [テーブルの整理] コマンドを使用して、テーブル ウィンドウ内でテーブルを移動することもできます。

ArcGIS でテーブルの配置を変更する

結合の操作

結合を作成する際は、事前に [結合] ダイアログ ボックス上の [結合の整合チェック] ボタンを使用して解析することができます。[結合の整合チェック] を使用すると、結合の作成中に発生するおそれのある潜在的な問題を突き止めることができます。結合の整合チェックでは、2 つの対象データセットを解析し、データに問題がないかどうかを確認します。以下は、データ内で有無がチェックされる項目の一覧です。

結合の整合チェックの操作方法の例

フィールド演算

ArcGIS 10 では、[フィールド演算] の機能が向上し、Python スクリプトを操作できるようになりました。VBA コード ブロックを使用することがなくなり、その代わりに VB Script と Python が完全にサポートされています。数値、文字列、日付の関数は、選択されたスクリプト言語に基づいて設定されます。

ArcGIS で Python を使用してフィールド演算を行う

テーブル ウィンドウの新しいオプションとコマンド

[テーブル オプション] メニューの [フィールド順序をデフォルトに戻す] を使用して、テーブル内のフィールドを元の順序に戻します。

行のショートカット メニューでは、[アタッチメント マネージャ] ダイアログ ボックスにアクセスして、フィーチャのアタッチメントを管理します。このコマンドを有効にするには、フィーチャクラスでアタッチメントを有効にする必要があります。このためには、[カタログ] ウィンドウでフィーチャクラスを右クリックして、[アタッチメント] → [アタッチメントを作成] の順に選択します。

[フィールド プロパティ] ダイアログ ボックスには、フィールドをハイライト表示したり、フィールドを読み取り専用に指定するための新しいオプションが用意されています。これらのプロパティを使用して、テーブル内の特定のフィールドをハイライト表示したり保護することができます。これらのプロパティは、[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [フィールド] タブで設定することもできます。

レイヤ内のフィールド操作の向上

[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [フィールド] タブの機能が向上し、システム全体におけるレイヤのフィールドの表示方法を詳細に制御できるようになりました(スタンドアロン テーブルのプロパティのダイアログ ボックスでも、[フィールド] タブの機能が向上しています)。

フィールドの表示方法の制御の向上

ArcGIS 10 では、フィールドの表示順序はレイヤのプロパティになっているので、フィールドを並べ替えしたレイヤ(またはスタンドアロン テーブル)を使用すると、システム全体にその表示順序が反映されます。これまでのリリースでは、テーブル ウィンドウでフィールドを並べ替えできましたが、この順序はレイヤのプロパティとして格納されず、フィールドを表示する他のダイアログ ボックスには反映されませんでした。新しい [フィールド] タブを使用すると、タブ上にあるボタンを使用するか、リスト内を上下にドラッグすることで、レイヤ(またはスタンドアロン テーブル)内のフィールドの順序を変更することができます。さらに、[テーブル オプション] メニュー ボタンを使用して、フィールドをアルファベット順に並べ替えたり、基本のデータ ソースのフィールド順序に戻すこともできます。以前と同じように テーブル ウィンドウでも、列を左右にドラッグすることでフィールドを並べ替えることができます。テーブル ウィンドウで並べ替えを行うと、レイヤのフィールド順序が更新されます。

[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [フィールド] タブ

フィールドの表示方法を調整するために [フィールド] タブで行ったすべての変更内容は、データを編集するときに [属性] ウィンドウに適用されるようになりました。これまでは、[属性] ウィンドウにこれらの設定は適用されず、このウィンドウでフィールド表示を調整して編集タスクを簡素化することは困難でした。

フィールドにエイリアスを設定するには、[フィールド] タブの右側の [表示設定] グリッドにある [エイリアス] テキスト ボックスに、エイリアスを入力します。エイリアスを指定後も、[フィールドの詳細] グリッドには実際の名前が表示され、そのフィールドのデータ タイプに関する情報も表示されます。

フィールドを ArcMap 内で読み取り専用にすることができます。これによって、ファイルやデータベースの権限に関わりなく、そのフィールドは表示できるが編集できない状態になります。これで、編集したくないフィールドを読み取り専用にできるので、レイヤ内の特定の属性を編集しやすくなります。特定のフィールドをハイライト表示することもできます。ハイライト表示指定されたフィールドは、テーブル ウィンドウ、個別属性 ウィンドウ、および 属性 ウィンドウで、黄色の背景付きで表示されます。これによって、検索や参照を行うときに、重要なフィールドを簡単に見つけることができます。

フィールド プロパティ、エイリアス、テーブ表示オプションの詳細

新しい表示式

これまでのリリースでは、システムのさまざまな場所でレイヤ内のフィーチャの個別属性を表示したり表現するために使用する主フィールドを、すべてのレイヤに対して選択できました。主フィールドは、たとえば、マップチップの値を設定したり、個別属性 ダイアログ ボックスおよび 属性 ウィンドウのフィーチャのリストに値を設定するために使用されていました。ArcGIS 10 では、主フィールドの概念が強化され、生成されたテキスト文字列をカスタマイズして、複数のフィールドや静的テキストの値を含めることができるようになりました。これは表示式として、[表示] タブに表示されています。表示式は、ラベル条件式とまったく同じ方法で指定できます。表示式は、デフォルトではユーザのレイヤにある 1 つのフィールドに設定されます。これは以前のリリースの主フィールドと同じ方法です。

[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [表示] タブ

表示式の使用方法の詳細

その他

[個別属性] ウィンドウがドッキング可能になりました。表示にドッキングできるようになっただけでなく、他のウィンドウ(コンテンツ ウィンドウなど)と重ねて表示したり、自動非表示(たたみ込み)にして、レイヤ内のフィーチャを個別属性表示するときに自動的に表示されるようにすることもできます。

レイヤのフィーチャにファイルを属性としてアタッチ

ArcGIS 10 で導入されたフィーチャクラスのアタッチメントによって、フィーチャに関連する追加情報を柔軟に管理することができます。アタッチメントを使用すると、ファイルを個々のフィーチャに追加できます。アタッチメントには、画像、PDF ファイル、テキスト文書など、任意のタイプのファイルを使用できます。たとえば、建物を表すフィーチャがある場合、建物の権利書や税金の情報を含む PDF ファイルと一緒に、その建物をさまざまな角度から撮影した何枚もの写真を、アタッチメントを使用して追加することができます。

アタッチメントはハイパーリンクに似ていますが、複数のファイルをフィーチャに関連付けたり、アタッチされたファイルをジオデータベースに格納したり、さまざまな方法でファイルにアクセスしたりできます。アタッチメントは、[個別属性] ウィンドウ、属性 ウィンドウ(編集時)、属性テーブル ウィンドウ、および HTML ポップアップに表示されます。

アタッチメントの使用方法の詳細


7/10/2012