ArcGIS Geostatistical Analyst 10 の新機能
ArcGIS Geostatistical Analyst エクステンションには、強力な空間のモデル化と解析の機能が多数あります。Geostatistical Analyst のバージョン 10 では、パフォーマンスと新しいツールが大幅に強化されました。
新しいジオプロセシング ツール
ArcGIS 10 の Geostatistical Analyst には 11 の新しいジオプロセシング ツールが追加されています。
これらのツールのうち、4 つは新機能で、残りの 7 つは、これまで Geostatistical Wizardや [Geostatistical Analyst] ツールバーでしか利用できなかったものです。
Diffusion Interpolation With Barriers
Diffusion Interpolation With Barriersでは、熱方程式に基づくカーネルを使用して、ラスタ データセットとフィーチャ データセットの組み合わせをバリアとして機能させることができます。
Kernel Interpolation With Barriers
Kernel Interpolation With Barriersは、ポイント間の最短距離を使用する移動ウィンドウ推定です。下の図では、データの位置(黒い円)から推定(赤い正方形)の必要な位置までのパスが示されています。
Global Polynomial Interpolation
Global Polynomial Interpolationは、1 枚の紙を(値の高さに)突出したポイント間に当てはめることに似ています。これは、トレンド サーフェス解析と呼ばれることがよくあります。
Local Polynomial Interpolation
Local Polynomial Interpolationでは、近傍範囲ごとに 1 つの多項式が当てはめられます。近傍範囲は一定の大きさの楕円で囲まれるポイントの集団であり、その楕円が、少し重なりながら移動することにより、複数の近傍範囲において内挿点が近似されます。このツールの新機能には、推定分散サーフェスの作成機能や、最適化および診断ルーチンの包含などがあります。
IDW(Inverse Distance Weighted)
IDW 内挿は、相互に近接している物同士は離れている物同士よりもよく似ているという仮説を明示的に実装します。この方式では、推定位置から離れているポイントよりも推定位置に近いポイントの方に大きなウェイトが置かれます。Inverse Distance Weighted(逆距離加重法)という名前はここから来ています。
Radial Basis Functions
Radial Basis Functions方式は、正確な内挿手法の連続です。つまり、サーフェスは各サンプルの計測値を必ず通過します。
Create Spatially Balanced Points
Create Spatially Balanced Pointsでは、事前確率に基づいて一連のサンプル ポイントが生成されます。結果のサンプル設計は均等分布されます。つまり、サンプル間の空間的な独立性が最大化され、調査領域をランダムにサンプリングするよりも効果的に設計できるようになります。
Densify Sampling Network
Densify Sampling Networkは、事前定義された地球統計学的なクリギング レイヤに基づいています。特に、推定分散サーフェスを使用して、必要な新しい位置や削除可能な位置を決定します。
Extract Values To Table
Extract Values to Tableでは、ポイントまたはポリゴン フィーチャクラスに基づいて、ラスタ セットのセルの値をテーブルに抽出します。ポイント フィーチャクラスを使用している場合、出力テーブルには、ポイントと、データのあるラスタごとのレコードが存在します。ポリゴン データはポイント データとして処理されるので、入力ラスタのセル中心によってポイントの数が決まり、これを使用してセルがポリゴン内に含まれるかどうかも決定されます。このツールを使用して、Gaussian Geostatistical Simulations ツールによる結果をさらに解析することができます。
Cross Validation
Cross Validationでは、1 つのデータの位置を削除し、残りの位置のデータを使用して関連するデータを推定します。さらに、残りの位置に対してもこの手順を繰り返します。この方法では、推定した値と観測した値を比較し、モデルに対する意思決定に関して有益な情報を得ることができます。
Subset Features
サブセット Subset Featuresは、推定値とフィールド内で計測した値を比較することで、最も厳正な方法の 1 つを使用して出力サーフェスの品質を評価しています。ソリューションの 1 つとして、元のデータセットを 2 つの部分に分割する方法が挙げられます。片方の部分は、空間構造をモデリングしてサーフェスを作成するために使用し、もう一方の部分は、出力サーフェスを比較して整合チェックするために使用できます。
ウィザードの改善点
Geostatistical Wizard は、内挿モデルを構築し、そのパフォーマンスを評価するプロセスを順を追って実行するために設計されたページのダイナミックなセットです。
サイズ変更可能なウィンドウ
- ウィンドウ全体のサイズを変更できます。
- 個々のパネルのサイズも変更できます。
新しいダイアログ ボックスのレイアウトと機能
- Cross validation を使用して、多くのモデル パラメータを最適化できます。
- ダイアログ ボックスでパラメータのヘルプを利用でき、さらに追加のヘルプが必要な場合は、コンパイルされたヘルプを利用できます。
セミバリオグラムの視覚化
- ビューには、元の bin にグループ化された値、bin ごとの平均値、さまざまな方向のデータ相関を示す滑らかなラインが表示されます。
サーフェス プレビュー
- サーフェス プレビューが変更され、データセット プレビューとサーフェス プレビューの表示を切り替えできるようになりました。
新しい内挿法
- Diffusion Interpolation With BarriersとKernel Interpolation With Barriersという 2 つの新しい内挿法がウィザードで使用できるようになりました。これらは個別のジオプロセシング ツールとしても使用できます。下の図は、湖の沈泥層の深さを示しており、湖の境界は検索近傍を制限しています。
Local Polynomial Interpolation の強調点
- 推定標準誤差は、それぞれの位置の推定値に関連付けられた不確実性を示しています。
- 条件数は、数値モデルの安定性における変数を示し、推定の不確実性に関する追加情報を提供します。推定分散サーフェスはモデルが正しいという前提で作成されるので、モデルの不安定性には理由が存在しません。
- モデルの最適化によって、Bandwidth、Spatial Condition Number、Neighborhood の値が変更されます。さらに、cross validation チェックの統計情報を使用してモデルが最適化されます。
その他の拡張点
新しい条件計測エラー フィールド
Gaussian Geostatistical Simulations ツールに、新しく条件計測エラー ツールが追加されました。これは、入力セミバリオグラム モデルにおいて、すべての入力データに対する一定の計測エラーを指定できる場合に使用されます。ただし、各サンプリング位置の計測エラー値が同じでない場合、このフィールドを使用して指定できます。
大容量のデータセットの処理
- 一部の内挿法では、非常に大容量の入力データセットを管理できるようになりました。
- およそ 20 億の入力ポイントを含む IDW(400,000 以上のマルチポイントを含む)では、250 列 x 250 行の出力ラスタが約 20 時間で作成されました。
新規および更新されたヘルプ
例として、「Geostatistical Analyst の概要」が追加されました。
新しいチュートリアル
ArcGIS Geostatistical Analyst チュートリアルの概要説明が更新されました。