ArcGIS での LIDAR からの明度画像の作成

明度とは、ポイントごとに、そのポイントを生成しているレーザー パルスが返される強度を計測し、集計したものをいいます。明度は、レーザー パルスが当たった際のオブジェクトの反射率に一部基づきます。その他に、明度は「リターン パルス振幅」や「反射率の後方散乱強度」などと言い換えることができます。反射率は近赤外線で最もよく使用される波長に属する機能であることに注意してください。明度は、フィーチャの検出/抽出や LIDAR ポイントの分類を補助するものとして、また、使用可能なデータがないときの航空画像の代用に使用されます。LIDAR データに明度値が含まれている場合は、白黒の航空写真に似た画像をそれらのデータから作成することができます。ArcGIS は、LIDAR データから明度画像を作成する機能を備えています。

LIDAR 明度画像

1. 明度を含むポイントの読み込み

ArcGIS で明度画像を作成するには、最初のステップとして、ソース ポイントをマルチポイントとしてジオデータベースにインポートします。ソース LIDAR データセットは LAS または ASCII XYZI ファイル形式のいずれかでなければなりません。

データが LAS 形式の場合は、以下の図に示すように、インポート対象の属性に明度を選択して、[LAS → マルチポイント(LAS to Multipoint)] ジオプロセシング ツールを使用します。データが ASCII XYZI 形式の場合は、[ASCII 3D → フィーチャクラス(ASCII 3D to Feature Class)] ジオプロセシング ツールを使用します。

最初のリターン LIDAR データを使用して明度画像を作成するのが最も一般的です。LIDAR データが ASCII 形式である場合は、最初のリターン ポイント データを表している ASCII ファイルを書式設定します。LIDAR データが LAS 形式の場合は、最初のリターン LIDAR データを表すためのクラス コードを [LAS → マルチポイント(LAS to Multipoint)] ダイアログ ボックスに指定します。このツールはポイントをフィルタリングして最初のリターン ポイントだけをマルチポイントにインポートします。

データが読み込まれた結果として、明度値を含む属性フィールドを持つマルチポイント フィーチャクラスが作成されます(以下を参照)。これらの属性は、マルチポイント フィーチャクラスの BLOB(Binary Large Object)にパックされているため直接読み取ることはできません。マルチポイントの頂点ごとに、BLOB にマッピングされ当該マルチポイント レコード用に格納されている明度が存在しています。

BLOB に格納されている明度値

2. 明度画像の生成

[ポイント → ラスタ(Point to Raster)] ジオプロセシング ツールを使用して、マルチポイント フィーチャクラスから明度画像を生成します。[入力フィーチャ] にマルチポイント フィーチャクラスの名前を入力し、[値フィールド]明度 BLOB を指定します。ラスタ化方法として [セルの割り当て方法] オプションから [MEAN] を選択します。[セル サイズ] に平均ポイント間隔の約 4 倍の値を設定します。このジオプロセシング ツールが実行された結果として表示されるラスタが LIDAR 明度画像です。

その他のいずれかの [セルの割り当て方法] オプションも解析に役立つことがあります。たとえば、フィーチャ検出で使用する変数として明度の [RANGE] を使用できます。

[ポイント → ラスタ(Point to Raster)] ツール

最後に、NoData エリアの存在を確認します。出力セル サイズが LIDAR ポイントの密度を比べて小さすぎる場合は、多数の NoData セルが出力されます。NoData セルを確認するには、ラスタの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [シンボル] タブでそれらのセルに色を割り当てます。データが提供されていないエリアが複数存在する場合は、最も簡単な方法として、[ポイント → ラスタ(Point to Raster)] ジオプロセシング ツールに戻ってより大きなセル サイズを指定できます。または、Spatial Analyst 演算の式を使用して、欠落している値を設定することもできます。「大規模 LIDAR ポイント コレクションからのラスタ DEM および DSM の作成」をご参照ください。

画像の表示

データがどのように収集され処理されたかの詳細を知らずに、画像内の値の範囲を予測することは困難です。この 1 つの理由は、元の明度値がセンサーに依存しているからであり、もう 1 つの理由は、値がベンダーによって調整されている(0 ~ 255 の範囲に正規化されているなど)可能性があるからです。これらの不確定要素によって、明度画像に最適な表示オプションを決定することが困難になっています。明度ラスタ レイヤのストレッチ タイプやコントラストを実際に試してみてください。共一次内挿法リサンプリングの調整もお勧めできる方法です。さらに表示の可能性を追求したい場合は、明度を陰影起伏などの他の変数と組み合わせて使用することを検討してみてください。以下の明度画像は、最初に戻されたサーフェスの陰影起伏の上に 50 パーセントの透過度で表示されています。

陰影起伏の上にドレープされた明度画像

LIDAR ポイントごとに戻された明度を収集することで、画像を作成することができます。これらの画像は、フィーチャの検出や抽出など、GIS アプリケーションでさまざまな用途に使用されます。ArcGIS は、これらの画像を作成するためのツールを備えています。


7/10/2012