窪地の抽出(Sink)ツールの詳細
シンクとは、流向として、流向ラスタの 8 つの有効な値のいずれも割り当てることができない 1 つのセルまたは空間的に接続している一連のセルのことです。これは、すべての隣接セルが処理セルよりも高い場合、または 2 つのセルが相互に流れ込んでループが形成されている場合に発生します。
シンクの流向は未定義であると考えられ、シンクには考えられる方向の合計である値が割り当てられます。たとえば、セルが最も急な落下であるため、流向が右(1)と左(16)の両方で同じである場合、そのセルの流向方向として 17 という値が割り当てられます。
流向を正確に表現するには(累積流量を正確に表現するために)、シンクがないデータセットを使用することが最適です。すべてのシンクを削除するために処理された DEM(Digital Elevation Model: デジタル標高モデル)は、「Depressionless DEM(凹地のない DEM)」と呼ばれます。
標高データのシンクは、データ内の誤差が原因で発生するのが最も一般的です。これらの誤差は、多くの場合、効果がサンプリングされ、標高が整数に四捨五入されることで発生します。セル サイズが 10 メートル以上の標高データのシンクが氷河やカルスト地域以外で自然に発生することはまれであり(Mark、1988)、一般的に誤差と見なされます。通常、セル サイズが大きくなるにつれて、データセット内のシンクの数も増えます。
陥没のない DEM を作成する際にシンクを特定して除去する操作は、反復的なプロセスです。シンクが平滑化されると、平滑化された領域の境界でさらに新しいシンクが作成されることがあり、このシンクも平滑化する必要があります。陥没のない DEM を作成する方法の詳細については、[ゾーン フィル(Zonal Fill)] ツールに関するトピックをご参照ください。
1 つのシンク、またはシンクのグループの深さを知っておくと便利な場合があります。この情報は、[サーフェスの平滑化 (Fill)] ツールの [Z 制限] に設定するために適切な値を決定するため、またはデータ内の誤差のタイプを把握するために使用できます。
例
シンクを平滑化するためのジオプロセシング ツールを使用した手順を次に示します。
- [シンク(Sink)] ツールを使用して、深度をコードとしてもつシンクのラスタを作成します。
入力流向ラスタ:flowdir
出力ラスタ:sinks
- [集水域ラスタの作成(Watershed)] ツールを使用して、各シンクの集水域のラスタを作成します。
入力流向ラスタ:flowdir
流出点データの入力ラスタ、またはフィーチャ:sinks
出力ラスタ:sink_areas
- [ゾーン統計(Zonal Statistics)] ツールの統計情報で最小値を使用して、各シンクのある集水域ので最小標高値を表すラスタを作成します。
入力ラスタ、またはフィーチャ ゾーン データ:sink_areas
ゾーン フィールド:Value
入力値ラスタ:elevation
出力ラスタ:sink_min
統計情報の種類:MINIMUM
- [ゾーン フィル(Zonal Fill)] ツールを使用して、各シンクのある集水域において最大標高値を表すラスタを作成します。
入力ゾーン ラスタ:sink_areas
入力加重ラスタ:elevation
出力ラスタ:sink_max
- [Minus] ツールを使用して、最小値を最大値から減算し、深度を算出します。
入力ラスタ 1:sink_max
入力ラスタ 2:sink_min
出力ラスタ:sink_depth
これは、ArcPy でマップ代数演算を使用するのと同じ手順です。
sinks = Sink(flowdir sink_areas = Watershed(flowdir, sinks) sink_min = ZonalStatistics(sink_areas, "Value", elevation, "Minimum") sink_max = ZonalFill(sink_areas, elevation) sink_depth = Minus(sink_max, sink_min)
参考文献
Mark, D. M., "Network Models in Geomorphology," in Modelling Geomorphological Systems, M. G. Anderson ed., (New York: John Wiley, 1988), pp.73 – 97.