Particle Track の仕組み
[粒子追跡 (Particle Track)] ツールが使用する粒子追跡 アルゴリズムは、Konikow と Bredehoeft(1978)が採用しているものに似ており、最も近いラスタ セルの中心から内挿されるローカル速度フィールドに基づいて粒子の位置を予測する予測子-補正子スキーマを採用しています。粒子の逐次位置は、ラスタ セルの解像度や位置に束縛されないので、速度フィールドに自由に浮いている状態です。
粒子追跡アルゴリズム
トラック ファイルに指定したソース位置 P から開始し、以下の図に示すように共一次内挿関数を使用して、最も近いラスタ セル中心の速度から、ローカル速度 V が計算されます。
パスの特定は、以下の図に示すように予測子-補正子スキーマで実行されます。ラスタ セルに依存しない位置であるポイント P から開始し、近傍のセル中心から速度 V が内挿され、この速度を使用して、ユーザ指定距離([ステップの長さ] 引数の値)にある粒子の位置 P' が予測されます。
ポイント P' で、その近傍から新しい速度ベクタ V' が内挿され、V と平均して補正速度 V'' が作成されます。この補正速度を使用して新しい位置 P'' が特定され、次の追跡ステップにおける移動の原点として使用されます。P から P'' への移動に必要な時間も、残り時間から差し引かれます。
この方法は、指定時間に達するか、粒子がラスタの外へ移動するか陥没に入るまで連続して適用されます(下図参照)。
各ポイントが計算されるたびに、累積時間、P の X, Y 位置、累積長、および流れの方向と大きさが前述のトラック ファイルに記録されます。
用途
地下水解析ツールを使用すると、地下水の構成物質の基本的な移流と分散をモデリングできます。[ダルシー フロー(Darcy Flow)] ツールは地質データから流速域を生成し、[粒子追跡(Particle Track)] ツールはポイント ソースから流域にわたる移流のパスをたどり、[多孔質媒体内の分散(Porous Puff)] ツールは流路に沿って移流する際の成分の瞬間ポイント リリースの流体分散を計算します。これらの関数を用いる移流分散のモデル化に関する詳細な考察が、Tauxe(1994)の文献に記載されています。
一般的に、地下水モデリングにおいては、[ダルシー フロー(Darcy Flow)] ツール、[粒子追跡(Particle Track)] ツール、[多孔質媒体内の分散(Porous Puff)] ツールの順に実行します。
例
- [粒子追跡(Particle Track)] ツールのダイアログ ボックスの設定の例を次に示します。
入力方向ラスタ:dir1
入力マグニチュード ラスタ:mag1
ソース ポイント X 座標:500
ソース ポイント Y 座標:650
出力粒子追跡ファイル:ttrack.txt
ステップの長さ:{デフォルト}
トラッキング タイム:{デフォルト}
出力トラック ポリライン フィーチャ:track_feat.shp
- マップ代数演算式:
ParticleTrack(dir1, mag1, ttrack.txt, 500, 650, 5, 100, track_feat.shp)
- 3 種類の地下水モデリング ツールの実行順序:
out_vol = DarcyFlow(head, poros, thickn, transm, dir1, mag1) ParticleTrack(dir1, mag1, ttrack.txt, 500, 650, "#", "#", track_feat.shp) out_puff = PorousPuff(ttrack.txt, poros, thickn, 3.2e7, 50000, 6, 3, 1, 250)
参考文献
Konikow, L. F., and J. D. Bredehoeft, "Computer Model of Two-Dimensional Solute Transport and Dispersion in Ground Water," USGS Techniques of Water Resources Investigations, Vol. 7, Chap. 2, (Washington, D.C.: U.S. Geological Survey, 1978).
Tauxe, J. D. 1994. "Porous Medium Advection–Dispersion Modeling in a Geographic Information System".Ph.D. diss., University of Texas, Austin.