モバイル データ サービス
モバイル データ サービスは、モバイル アプリケーションが Web サービスを通じてマップ ドキュメントのコンテンツにアクセスできるようにします。モバイル データ サービスを作成するには、まず、アクセス可能にするデータを含んだマップ ドキュメントを作成します。続いて、[モバイル データ アクセス] ケーパビリティを有効にして、マップ ドキュメントをマップ サービスとして公開します。
マップ ドキュメントの準備
ArcMap は、各自の目的に応じて必要なレイヤが適切にレンダリングされたマップ ドキュメントを作成するためのツール一式を提供します。ただし、モバイル Web サービスは、Tablet PC、Windows Mobile デバイスなどのフィールド デバイスで実行されるモバイル アプリケーションから使用するためのものです。これらのデバイスには、ディスプレイ、メモリ、処理能力にハードウェア上の制限を持つものがあります。このため、モバイル アプリケーションに適したマップ ドキュメントを作成するためのガイドラインがあります。マップ ドキュメントを作成するための原則は「シンプルなものにする」ことです。たとえば、背景レイヤや参照レイヤでポリゴンをスムージングする、ラスタの解像度を下げるといった、データの単純化を検討します。これにより、マップの描画が高速になります。また、通常はデバイスの表示サイズが限られているため、マップ シンボルを単純にすることをお勧めします。
モバイル アプリケーションでの表示についてはさまざまなデータ形式がサポートされていますが、モバイル アプリケーションから更新データをサーバにポストバックできるのはジオデータベースに格納されるデータだけです。
ArcGIS Server で、マップ ドキュメントをモバイル データ サービスとして公開する前に、カスタム マップ範囲を ArcGIS Desktop で定義しておく必要があります。デフォルトでは、マップ ドキュメント データ フレームの全範囲がすべてのレイヤのユニオンになります。したがって、データを追加または削除する時点でデータ フレームの範囲を変更できます。ただし、モバイル データ サービスに関与するマップ ドキュメントは、範囲が固定されている必要があります。モバイル データ サービスでは、クライアントとサーバ間でデータが同期されるためです。モバイル サービスの範囲がクライアントとサーバで一致しない場合、両者間でデータを正常に同期できません。
モバイル データ アクセス用のマップ ドキュメントを準備する方法については、ArcGIS Desktop ヘルプの「ArcGIS Desktop を使用したモバイル マップの設計と作成法」をご参照ください。
マップ ドキュメントをモバイル データ サービスとして公開する
モバイル データサービスを作成するには、マップ サービスを公開する際に [モバイル データ アクセス] 機能を有効にする必要があります。手順は「GIS リソースのサーバへのパブリッシュ」に従います。パブリッシュする際には次の点に注意してください。
- [リソース] を指定する際には、モバイル デバイスで利用できるようにしたいデータが含まれたマップ ドキュメントを選択します。
- マップ サービスのためのケーパビリティを選択する際には、[モバイル データ アクセス] をその他の有効にしたいケーパビリティとともにオンにします。
- 作成されるサービスが要約された、ウィザードの最後のパネルで、モバイル データ サービスの URL を書き留めます。
サービスの高度なプロパティを設定する方法については、「サービスのチューニングと構成」をご参照ください。
モバイル データ サービスを使用する
モバイル データ サービスは、ArcGIS Mobile で構築されるアプリケーションに含まれる SOAP を使用して利用されます。これらは、標準のアプリケーション、またはカスタム アプリケーションのいずれでもかまいません。モバイル データサービスはまた、ArcGIS Services Directory 内での検索および参照を可能にするために、REST を通して制限付きの公開期間を持つことができます。ただし、クライアント アプリケーションでモバイル サービスを操作するための REST API はありません。
モバイルデータサービスをプログラムから使用する場合、URL を知る必要が生じます。
モバイル データ サービスの URL の形式は次のとおりです:
http://<サーバ名>/<インスタンス名>/services/<フォルダ名(必要に応じて)>/<サービス名>/<サービス タイプ>
たとえば、「LandUse」というモバイル Web サービスを「CityFolder」というフォルダ(オプション)で公開し、「myServer」という ArcGIS Server の「arcgis」インスタンスで実行している場合、モバイル アプリケーションの URL は次のようになります。
http://myServer/arcgis/services/CityFolder/LandUse/MobileServer
このモバイル Web サービスに ArcCatalog から接続してプレビューすることができます。あるいは、次の URL を Web ブラウザに入力して、このサーバから返された XML ファイルをプレビューすることもできます。
http://myserver/arcgis/services/CityFolder/LandUse/MobileServer?wsdl
一般的なシナリオでは、マップ ドキュメントを作成し、それをモバイル データ サービスとして ArcGIS Server で公開します。サービスの URL は、モバイル アプリケーションが ArcGIS Server に接続してデータを取得するために使用されます。さらに、このモバイル アプリケーションが実行されているハンドヘルド デバイスを、現場から接続モードまたは非接続モードで使用することもできます。どちらのモードでも、ローカル キャッシュから空間情報と属性情報を取得して更新することができます。これらの更新データは、現場での作業が完了したときに、サーバ インベントリにポストバックすることになります。
現場からオフィスにマップ データを同期する場合は、デバイスによるフィールド アクセスを実現できるようにサーバを定義することが重要となります。たとえば、サーバが DMZ に位置する場合は、ArcGIS Server Manager またはモバイル アプリケーションで URL(http://myserver.domainname.com/...)を指定するときに、外部とやり取りするサーバへのインターネット接続を使用します。
モバイル データ サービスの使用およびモバイル アプリケーションの構築に関する詳細については、「ArcGIS Mobile Resource Center」の ArcGIS Mobile ヘルプをご参照ください。