ネットワーク データセット レイヤ
ネットワーク データセット レイヤ(ネットワーク レイヤ)を使用して、ArcMap でネットワーク データセットを視覚化できます。ネットワーク レイヤには、エッジ、ジャンクション、システム ジャンクション、ダーティ エリア、さらに利用可能な場合はターンと交通量のシンボルが格納されます。
ネットワーク解析レイヤは、ネットワーク データセットへのリンクなしでは作成できません。ネットワーク データセット レイヤを ArcMap に追加することで、ネットワーク データセットへのリンクを設定することにもなるので、続けて [Network Analyst] ツールバーを使用して解析レイヤを作成することができます。
ArcMap へのネットワーク レイヤの追加
ArcMap にネットワーク レイヤを追加するには、次の手順に従います。
- [スタート] → [すべてのプログラム] → [ArcGIS] → [ArcMap 10] の順にクリックして、ArcMap を起動します。
- [標準] ツールバーの カタログ ウィンドウ ボタン をクリックします。
ドッキング可能な カタログ ウィンドウが開きます。
- カタログ ウィンドウを使用して、ネットワーク データセットの場所に移動し、ネットワーク データセットをマップ上またはコンテンツ ウィンドウにドラッグします。
[ネットワーク レイヤの追加] ダイアログ ボックスが開きます。
- ネットワーク データセットのみをマップに追加する場合は [いいえ] をクリックします。必要に応じて、[はい] をクリックして、ネットワーク データセットとそのすべてのソース フィーチャクラスをマップに追加します。ヒント:
通常、ArcMap でフィーチャを描画する場合、そのロケーション情報はそれぞれのジオメトリ値から取得されます。ただし、ネットワーク データセットの内部には、ネットワーク エレメントのジオメトリは格納されません。その代わり、ソース フィーチャを参照して、そこからジオメトリを取得します。つまり、ネットワーク データセットを参照した後に、ソース フィーチャを参照する追加のステップが存在するのです。
ArcMap にソース フィーチャを追加し、コンテンツ ウィンドウでこれらをオンにして、ネットワーク データセットをオフにすることで、ネットワークの描画速度を上げることができます。この方法では、ユーザがネットワーク データセットを使用して解析レイヤを作成することは可能なまま、ジオメトリはソース フィーチャそのものから直接参照されます。ただし、交通量、ダーティ エリア、エッジ制限の矢印を描画する場合など、一部のケースでは、やはりネットワーク レイヤを表示する必要があります。
ArcMap では、ネットワーク データセットはネットワーク レイヤとして追加されます。
ネットワーク エレメントは、[Network Analyst] ツールバーの [ネットワークの個別属性] ツール と、[ツール] ツールバーの [個別属性] ツール で検索できます。ただし、ネットワーク エレメントを ArcMap で対話的に選択することはできません。また、[属性検索]、[空間検索]、[グラフィックスによる検索] を使用して、ネットワーク レイヤの選択セットを作成することもできません。
ネットワーク レイヤ シンボル
ネットワーク エレメントのシンボルは、ネットワーク レイヤの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [シンボル] タブで変更できます。
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスを開くには、コンテンツ ウィンドウでレイヤの名前をダブルクリックします。
ネットワーク エレメントの表示/非表示
マップ上の特定タイプのネットワーク エレメントを表示/非表示にするには、[表示] リストでそれぞれのチェックボックスをオン/オフにします。ネットワーク データセットが交通量データをサポートしている場合、交通量エレメントとエッジ エレメントがデフォルトでオンになっています。それ以外の場合、デフォルトではエッジのみがオンになっています。
ダーティ エリアとは
ダーティ エリアでは、前回ネットワーク データセットが構築された時点以降に、ソース フィーチャに対して編集が行われた部分を表示できます。ネットワーク データセットの中で編集によって最新の状態ではなくなった部分は、四角形で囲まれハイライト表示されます。
ネットワークを再構築する場合は、ダーティ エリアのみが再構築されます。この方がネットワーク全体を再構築するよりはるかに高速に処理できます。
次の 2 つの図のペアは、ダーティ エリアの生成シナリオを具体的に示すものです。
ネットワーク データセットのプロパティが変更された場合は、ネットワーク データセット全体がダーティ エリアで覆われ、ネットワークのすべてのエレメントを再構築する必要があることが示されます。
エッジ、ジャンクション、システム ジャンクション、ターン、ダーティ エリアのシンボルの変更
ネットワーク データセット レイヤ内に含まれるアイテムのデフォルトのシンボルを変更する必要が生じる場合があります。次の手順は、エッジ、ジャンクション、システム ジャンクション、ターン、ダーティ エリアのシンボルの変更方法を示しています(交通量のシンボルの変更については後で説明します)。
- ArcMap のコンテンツ ウィンドウにあるネットワーク データセット レイヤをダブルクリックして [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスを表示します。
- [シンボル] タブをクリックします。
-
[表示] リストで、別のシンボルで表示したいエレメントの名前をクリックします。
エレメント名が選択されます。
- 右側の [シンボル] セクションで、現在のシンボル例が表示されている大きなボタンをクリックします。
- [シンボル選択] ダイアログ ボックスが開くので、そこでエレメントの新しいシンボルを定義します。
-
[OK] をクリックします。
[シンボル選択] ダイアログ ボックスが閉じます。
-
[OK] をクリックします。
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスが閉じます。
交通量の表示
交通量は、一日の時刻や曜日によって変化します。特定の時点の交通量を表示するには、タイム スライダを使用する必要があります。
- 交通量をサポートするネットワーク データセットを ArcMap に追加します。
- [ツール] ツールバーにある [タイム スライダ ウィンドウ] ボタン をクリックします。
- 交通量を表示したい時刻と日付を選択し、それに合わせてタイム スライダを調整します。注意:
入力する時刻と日付は、[タイム スライダ オプション] ダイアログ ボックスで設定されるタイム ゾーンに固有のものです。つまり、時刻と日付を入力すると、知らないうちに、現地時間に対応する別の時刻と日付が表示されます。たとえば、[タイム スライダ オプション] ダイアログ ボックス上のタイム ゾーンは東部標準時に設定されていて、ユーザはヒューストン(中部標準時)の交通量を確認しているとします。さらに、ユーザが見ているネットワーク エッジには、中部標準時に設定されているタイム ゾーン属性があるとします。タイム スライダを午前 11 時に移動すると、エッジには、ヒューストンの午前 10 時の交通量が表示されます。入力した時刻が現地時間に変換されるからです。
正しい時間を表示するには、ユーザが自分でタイム スライダをオフセットして時差を調整するか、ArcMap で表示するエリアと一致するように [タイム スライダ オプション] ダイアログ ボックスでタイム ゾーンを変更することができます。
ネットワーク データセットにタイム ゾーン属性がない場合は、タイム ゾーンは無視されるので調整は必要ありません。
交通量のシンボルの変更
エッジ上の交通量は、現在の速度と順調に流れているときの速度との比率で表示され、渋滞、遅い、緩やか、順調という 4 つの範囲に分類されます。これらのグループのシンボルや範囲の値は、次の手順で変更できます。
- ArcMap のコンテンツ ウィンドウにあるネットワーク データセット レイヤをダブルクリックして [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスを表示します。
- [シンボル] タブをクリックします。
- [表示] リストで、[交通量] をクリックして選択します。
- ダイアログ ボックスの右側で、[属性] ドロップダウン リストから時間依存の交通量属性を選択します。
- 変更したいカテゴリのシンボルを右クリックして、[選択シンボルのプロパティ] を選択します。
- [シンボル選択] ダイアログ ボックスが開くので、そこでカテゴリの新しいシンボルを定義します。
-
[OK] をクリックします。
[シンボル選択] ダイアログ ボックスが閉じます。
-
[OK] をクリックします。
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスが閉じます。
シンボルの範囲の値をカスタマイズするには、[速度比率範囲] 列で、変更したい値をクリックして、新しい値を入力します。入力した値が範囲の上限になります。下限は、その下にある範囲の上限によって決定されます。[渋滞] の下限は常に 0 で、[順調] の上限は常に 1 です。
交通量の周囲に枠を表示する場合は、コンテンツ ウィンドウで現在のネットワーク データセット レイヤの下に重複する同じレイヤを追加して、さまざまな速度比率範囲のシンボルが同じ色(グレーなど)になるように変更し、これらの幅をもう 1 つのネットワーク データセット レイヤ内の相当するシンボルより少しだけ広くします。
制限を矢印でシンボル表示
ネットワーク レイヤ内の矢印は、エッジや交通量エレメント上に表示できるシンボルで、一方通行の道路、双方向の道路、両方向で規制されている道路を示します。次の手順は矢印の表示方法を示しています。
- ArcMap のコンテンツ ウィンドウにあるネットワーク データセット レイヤをダブルクリックして [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスを表示します。
- [レイヤプロパティ] ダイアログ ボックスの [シンボル] タブをクリックします。
- [表示] リストで、[エッジ] または [交通量] をクリックして選択します。
-
右側の [シンボル] セクションで、[矢印] をクリックします。
[矢印] ダイアログ ボックスが表示されます。
- [エッジに矢印を描画] チェックボックスをオンにします。
- シンボルをエッジの真ん中と端のどちらに配置するのかを選択します。
- [規制属性] ドロップダウン リストから、シンボル表示する規制を選択します。
-
ネットワーク エッジにシンボルを描画する規制の事例を選択します。
一方向
一方向エッジにシンボルを配置します。デフォルトのシンボルは、許可された移動方向を指している矢印です、
両方
規制されていないエッジにシンボルを配置します。どちらの方向にも移動が許可されます。
通過不可
移動が完全に禁止されたエッジにシンボルを配置します。
- [OK] をクリックします。
[矢印] ダイアログ ボックスが閉じます。
-
[OK] をクリックします。
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスが閉じます。
ソース フィルタの適用
ソースのフィルタ設定によって、マップ上に描画するネットワーク エレメントのサブセットを選択できます。前のセクションで示した、ネットワーク エレメントを表示/非表示にする方法は、派生元のソース フィーチャクラスに基づいていました。SQL 式を作成することで、ネットワーク エレメントの描画をさらに制限することができます。式で指定した条件に合致するフィーチャのみが描画されます。
次に、ソースのフィルタ設定の作成手順を示します。
- ArcMap のコンテンツ ウィンドウにあるネットワーク データセット レイヤをダブルクリックして [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスを表示します。
- [レイヤプロパティ] ダイアログ ボックスの [シンボル] タブをクリックします。
- [表示] リストで、次のいずれかのアイテムの名前をクリックします。[エッジ]、[交通量]、[ジャンクション]、[システム ジャンクション]、または [ターン]。
-
右側の [ソースのフィルタ設定] セクションで、[ソースのフィルタ設定] ボタンをクリックします。
[ソースのフィルタ設定] ダイアログ ボックスが表示されます。
- [表示するソース] リストで、マップに表示するソース フィーチャクラスをオンにします。
-
[表示するソース] リストでソース フィーチャクラスの名前をクリックして、[検索条件式] フレームを使用して SQL クエリを入力します。
クエリで指定した条件に合致するフィーチャのみがマップに表示されます。
[表示するソース] リストで、その他のソース フィーチャクラスに対して同じステップを繰り返すことができます。
-
[OK] をクリックします。
[ソースのフィルタ設定] ダイアログ ボックスが閉じます。
-
[OK] をクリックします。
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスが閉じます。
クエリ式を作成することで、マップに描画するソース フィーチャクラスのエレメントをさらに制限することができます。
その他のネットワーク レイヤの表示設定
ネットワーク レイヤは、ネットワーク レイヤを表示する縮尺を指定する、縮尺範囲をサポートしています。これは、[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [一般] タブで設定できます。
[表示] タブでは、基準縮尺が設定されているときにシンボルの縮尺を構成できます。ここでは、ネットワーク レイヤの透過表示やマップチップも設定できます。ネットワーク レイヤのマップチップは、ネットワーク エレメントのエレメント ID、または任意のネットワーク属性の値の表示に使用できます。