単語の短縮および切詰めについて
略語辞書
略語辞書を使って、ラベル エンジンで、長いラベルを小さなスペースに収まるように短縮できます。略語辞書を使う場合、Esri Maplex ラベル エンジンは、最初にラベルのフルテキストを配置し、次に配置できなかったラベルについて、辞書にある単語を略語にします。
略語辞書は、個々のラベル クラスに適用されます。略語は、独立した 1 つの単語または単語のグループに適用され、英語以外の特定の単語を除き、単語の一部には適用されません。Road や Street などの個別の単語を Rd や St に短縮したり、Post Office などのより長い文字列を PO に短縮することができます。単語の一部分は略されません。たとえば、辞書エントリで、Road に Rd という略語を割り当てた場合、Roadrunner Road というラベルは、Rdrunner Rd ではなく、Roadrunner Rd と略されます。Esri Maplex ラベル エンジンの場合、テキスト書式タグを含むラベルは略されません。
以下の図では、Plumas Street が、短いストリート セグメント内に収まるように、Plumas St というように略されています。同様に、Monterey Street も略されています。十分なスペースがある場合は、ラベルの最後は省略されません。
切詰め
配置するために必要であれば、ラベル内の単語は、切詰めによって短くされます。何文字かが除かれ、語の末尾にピリオドが付けられます。Esri Maplex ラベル エンジンは、最初に、ラベル内で最も長い単語から、先頭文字以外の母音を削除します。首尾よくラベルが短くならない場合は、切詰められたラベルの終わりの方の文字が、ラベルを配置できるようになるまで削除されます。あるいは、ラベルが配置できないと判断されます。ラベルが切詰められると、終わりの部分にピリオドが付けられます。
以下の図では、教会のラベルである Ascension Episcopal Church (Historical Site) が Asn.E.C.(H.Sit.) に切詰められています。ラベル内で切詰められているそれぞれの部分にピリオドが付けられます。
略語辞書エントリの種類
略語辞書のエントリには、「Keywords」、「Endings」および「Translations」の 3 種類があります。この 3 種類のうち、「Keywords」と「Endings」の 2 つは、スペース不足、ラベルとラベルの競合、またはラベルとフィーチャの競合のために元の文字列が配置できない場合にだけ、単語に適用されます。「Translation」エントリは、常にすべての一致する単語に適用されます。
- 「Keywords」は、文字列内の最後の単語を除くすべての単語に適用されます。キーワードを使って、Mount や International などの一般的な単語を Mt や Intl などの略語に置き換えることができます。
- 「Endings」は、文字列の最後の単語にだけ適用できます。この種類の略語は、Street を St、Road を Rd、Avenue を Ave というように、道路名の終わりの部分を短縮するために使います。
- 「Translations」は、常に、文字列のすべての単語に適用されます。「Translations」のエントリは、マップを別の言語に翻訳するとき、ラベル文字列から単語を削除したいとき、ある単語が出てきたら必ず略語にしたいときに便利です。この種類の略語は、長い道路名を短縮するために使います。たとえば、Martin Luther King Boulevard は MLK Blvd になります。
英語以外の道路名
ドイツ語系の言語では、たとえば、Fredrichstrasse というように、該当の道路の名前に汎用の道路名の語尾が追加されます。こうした特殊なケースに対応するために、Esri Maplex ラベル エンジンは、ストリート ラベルに対して長すぎる文字列の中に見つかったときに略語にすることができる 4 種類の特別な文字列を認識します。
- strasse ‐ ドイツ語
- gatan ‐ スウェーデン語
- straat ‐ オランダ語
- gade ‐ デンマーク語
- gaten - ノルウェー語
これらの単語のうちの少なくとも 1 つが略語辞書にある場合、略語のための特殊モードが Esri Maplex ラベル エンジンで有効になります。語尾がいずれの種類であっても、Maplex は、最後の単語ではなく、文字列の終わりの部分の文字について、使えそうな略語を探し、略語がそれらの文字に一致するかどうか試します。スペースが限られているために略語を使用する必要がある場合は、終わりの部分にハイフンを付けることや、終わりの部分を改行することもできます。
この種類の省略が行われる場合、他の文字列が文字列内に含まれていても略すことはできません。
以下の図では、オランダ語の略語辞書を使用して、3 つの道路名が次のように略されています。
- GRAVENSTRAAT = GRAVENSTR
- DAMRAKSTEEG = DAMRAKSTG(DAMRAK-STG というようにハイフン付きで改行)
- ZOUTSTEEG = ZOUTSTG
辞書への略語の入力
略語辞書に単語を追加するには、辞書テーブルに行を追加して、キーワード列に単語を入力し、空白で区切った 1 つ以上の略語を入力し、辞書エントリの種類(「Translation」、「Keyword」、「Ending」のいずれか)を指定します。複数の語のキーワードと、略語およびアルファベット以外の文字は、二重引用符で囲む必要があります。たとえば、2 つの単語から成る文字列 "Post Office" を PO と略すなどがあります。
形式について
- 単語を二重引用符で囲むことにより、単語のグループの略語を作成できます(例: "Post Office")。
- エントリをスペースで区切ることにより、1 つの単語について複数の略語を追加できます(例: Str St)。
- 略語にスペースを含める場合は、文字列を二重引用符で囲みます(例: "P. O")。
略語辞書の使用
略語辞書を作成したら、使いたい略語のラベル クラスに割り当てることができます。略語辞書は、保存して新しいマップ ドキュメントに読み込むことにより、他のマップ ドキュメントで使用できます。辞書は、辞書ファイルに保存することも、テーブルとして保存することもできます。辞書ファイルは、テキスト ファイルとしてフォーマットされ、*.dic という拡張子が付けられて保存されます。テーブルは、データベース内に格納したり、*.dbf テーブルなどのように単独で使用したりすることができます。
略語辞書のファイル形式
アスタリスク(*)文字で始まる行は、コメント行です。略語エントリの形式は以下のとおりです。
<単語> <オプション 1> <オプション 2> <オプション N> <タイプ>
略語ファイルの例
* Maplex Extension Dictionary File - v1.0 * Format: TEXT ABBREVIATION(S) TYPE * where TYPE=[Translation|Keyword|Ending] "Street" Str St Ending "Road" Rd Ending ""Post Office"" "Post Off." PO Keyword * [end]
略語テーブルの形式
略語テーブルは、[キーワード]、[略語]、[行タイプ] という、3 つのフィールドから構成されます。[キーワード] フィールドと [略語] フィールドの形式は、上記のトピック「辞書への略語の入力」で概説しているとおりです。[行タイプ] フィールドには、略語辞書の 3 種類のエントリに応じて、以下の 3 つの整数値が入ります。
- 0 - Translation
- 1 - Keyword
- 2 - Ending