空間参照のプロパティ
空間参照は、現実の世界でのフィーチャの位置を説明します。空間参照は、ジオデータベースのフィーチャ データセットまたはスタンドアロン フィーチャクラスを作成するときに定義します。空間参照には、X、Y、Z 値の座標系と、X、Y、Z、M 値の許容値と解像度値が含まれます。
座標系
XY 座標は、地理座標系または投影座標系でジオリファレンスされます。地理座標系(GCS)は、測地基準系、メジャーの角度単位(通常は度)、および本初子午線によって定義されます。投影座標系(PCS)が、メジャーの距離単位(通常はメートルまたはフィート)、マップ投影、マップ投影に使用される特定のパラメータ、および地理座標系で構成されます。
地理座標系または投影座標系は、オプション プロパティとして鉛直座標系を持つことができます。鉛直座標系(VCS)は、Z 値をジオリファレンスし、主に標高を示すために使用されます。鉛直座標系には、測地基準系または鉛直測地基準系、メジャーの距離単位、軸の方向、および鉛直シフトが含まれます。
M(メジャー)値は座標系を持ちません。
空間参照に不明な座標系(UCS)が含まれる場合は、許容値のみを指定します。不明な座標系に関連付けられているフィーチャをジオリファレンスすることはできません。XY 座標系が不明である場合、鉛直座標系を定義することはできません。いずれにしても、不明な座標系を使用すべきではありません。有効な領域とメジャーの単位が不明なので、解像度値と許容値がデータに適さない可能性があります。
解像度
解像度は、フィーチャクラスがフィーチャクラス内のフィーチャ(レコード)の位置と形状を記録するために使用される、フィーチャ座標における一意の X 値と一意の Y 値を分断するマップ単位での最小距離です。たとえば空間参照の XY 解像度が 0.01 の場合、X 座標 1.22 と 1.23 は異なる座標値として格納されますが、X 座標 1.222 と 1.223 はどちらも 1.22 として格納されます。これを図で示すと以下のようになります。値の変化が XY 解像度より小さいため、X 座標の後者のペアは最後の数字が切り捨てられます。これは Y 座標にも当てはまります。
ArcGIS は解像度の値を用いて座標値をきわめてメッシュの細かいデカルト格子上に表される整数座標で管理すると考えることができます。メッシュの間隔が座標の解像度で定義されます。すべてのフィーチャ座標は、選択された座標系に従ってジオリファレンスされ、座標グリッドにスナップされます。このグリッドは座標解像度グリッドと呼ばれ、座標値の精度(有効桁数)を決定する解像度によって定義されます。解像度は、フィーチャクラスまたはフィーチャ データセットの範囲をカバーする座標解像度グリッドの細かさを設定します。すべての座標がこのグリッドにスナップされます。グリッドの個々の線がどれくらい離れているかは解像度によって定義されます。
座標精度値は、関連する座標系と同じ単位で表されます。たとえば、空間参照にメートル単位の投影座標系が使用される場合、解像度値はメートル単位で定義されます。デフォルトの解像度値は、0.0001 メートル(1/10 ミリメートル)、またはマップ単位でそれに相当する値です。たとえば、フィーチャクラスが State Plane Feet で格納される場合、デフォルトの解像度は 0.0003281 フィート(0.003937 インチ)です。座標が緯度経度で記録される場合、デフォルトの解像度は 0.000000001 度となります。
XY 解像度が小さい(細かい)ほど、フィーチャ座標の精度は高くなります。ただし、XY 解像度が非常に小さいと、必要な格納領域の増加に伴うディスク I/O の増加によりパフォーマンスが悪化する場合があります。XY 解像度の値を大きくする(粗くする)と、フィーチャ座標に関連付けられている精度が低くなり、フィーチャの境界が滑らかになるか、単純になるか、あるいはまったく表示されなくなります。
次の図で示すように、XY 解像度が大きい座標グリッドではポリゴン フィーチャをあまり高い精度で格納できません。逆に、XY 解像度が小さい座標グリッドでは高い精度でポリゴン フィーチャを格納でき、形状が適切に保たれます。
ほとんどの場合、デフォルトの XY 解像度はパフォーマンスも十分であり、適切な座標精度を保持することができるので、デフォルトの値を使用することをお勧めします。
許容値
空間参照には、許容値も含まれます。X、Y、Z、M 座標のすべてに、座標データの正確さを反映した許容値が関連付けられます。許容値は、ArcGIS においてなんらかの空間解析処理を行う際に用いられる座標間の最短距離です。一方の座標がもう一方の座標の許容値内にある場合、それらは同じ場所として解釈されます。たとえば、リレーショナル/トポロジ処理において、2 つのポイントが同じ座標値を割り当てるのに十分なほど近いか、または別々の座標値が割り当てられるほど離れているかどうかを判断する際に使用されます。
たとえば、以下の図では、同じフィーチャクラスにランクの等しい 2 つのライン フィーチャが存在しています。トポロジの整合チェック中に、頂点 V2 が別の頂点 V1 の XY 許容値内にある(またはその逆の)場合、V2 と V1 両方が新しい場所(座標間の加重平均距離など)に移動します。
デフォルトの許容値は、0.001 メートル、またはマップ単位でそれに相当する値に設定されます。これはデフォルトの解像度値の 10 倍であり、ほとんどの場合に推奨されます。カスタムの XY 許容値も設定できますが、データの解像度に近い値には設定しないようにします。最小限の XY 許容値は、XY 解像度の 2 倍です。
許容値が異なると、リレーショナル/トポロジ処理の結果が異なる場合があります。たとえば 2 つのジオメトリが、許容値がある値より小さい場合では分断されている(共通のポイントがない)と分類され、ある値よりも大きい許容値では同一であると分類されて同じ座標位置を割り当てられる場合があります。
XY 許容値を使用する処理の詳細については、「フィーチャ許容値」をご参照ください。