例:sdetable コマンドを使用した PostgreSQL でのデータベース ビューの作成
sdetable コマンドを使用して、PostgreSQL のジオデータベースにビューを作成できます。作成したビューは自動的に ArcSDE に登録されます。
このトピックの例では、特定のデータへのユーザ アクセスを制限するために sdetable コマンドを使用してビューを作成する方法を示します。例は次のように定義されたテーブルに基づいています。
CREATE TABLE employees( emp_id integer not null, name varchar(32), department smallint not null, hire_date timestamp without time zone not null );
テーブルには、ArcSDE の RowID として使用できる NULL でない整数列が含まれています。
sdetable コマンドを使用したビューの作成
部署 101 の管理者に、employees テーブルで部署 101 の従業員の行についてのみ、すべての列を表示させたい場合を考えます。sdetable コマンドを使用して、部署番号が 101 のすべての行からなるビューを作成します。-w オプションは、ビューの定義に格納されるクエリの WHERE 句を指定します。
sdetable –o create_view –T view_dept_101 –t employees –c "emp_id,name,department,hire_date" -w "where department = 101" –u gdb –p gdb.bdg –i sde:postgresql:mypgdbserver -s mypgdbserver -D testdb Attribute Administration Utility __________________________________ Successfully created view view_dept_101.
sdetable コマンドの詳細については、『コマンド リファレンス』をご参照ください。
sdetable コマンドは、PostgreSQL のシステム カタログにビューを定義します。これは、SQL ステートメントを使用してビューを作成した場合と同じです。これを表示するには、PostgreSQL の pg_views システム ビューを検索します。
SELECT schemaname,viewname,viewowner,definition FROM pg_views WHERE pg_views.viewname = 'view_dept_101';
スキーマ名 | ビュー名 | ビュー所有者 | 定義 |
---|---|---|---|
gdb | view_dept_101 | gdb | SELECT employees.emp_id,employees.name,employees.department,employees.hire_date FROM gdb.employees WHERE (employees.department = 101); |
ビューの名前とビューの所有者は小文字で格納されることに注意してください。したがって、これらの特定のテキスト値を検索する場合は、小文字で入力する必要があります。
sdetable -o create_view コマンドを使用して登録済みのビューを作成した後、SQL を使用してビューの定義を変更することがあります。これは、複雑な sdetable -o create_view コマンド ライン構文(特に -c オプション)を避けるためか、外部データベースへの接続を使用するものなど、より複雑または拡張されたビュー定義を使用するためです。ビューを変更することで問題を解決できることもありますが、それにより ArcSDE や、ArcGIS Desktop などの ArcSDE クライアントにうまく対応しないビューが作成される可能性があります。
ビューの権限の付与
ビューの所有者は、ビューの権限を特定のユーザに付与することができます。また、これらのユーザにベース テーブル(employees)へのアクセスを許可する必要はありません。この例では、ユーザ mgr100 はビュー view_dept_101 の SELECT 権限を付与されています。
c:\work>psql testdb gdb Enter password for gdb: testdb=> GRANT SELECT ON view_dept_101 TO mgr100;
この例では、テーブルの所有者とビューの所有者は同じユーザです。これらの所有者が異なるユーザである場合、テーブルの所有者はビューの所有者にテーブルの SELECT 権限と、他のユーザに SELECT 権限を付与する権限を与えます。SQL を使用して権限を付与する場合は、ステートメントに WITH GRANT OPTION を指定します。sdetable コマンドに grant 操作を指定して権限を付与する場合は、継承(-I)オプションを指定します。
権限のテスト
mgr100 としてログインし、view_dept_101 のレコードを選択します。
c:\work> psql testdb mgr100 Enter password for mgr100: testdb=> SELECT * FROM gdb.view_dept_101; emp_id name dept hire_date 29 YAN WU 101 2002-04-15 08:11:27 67 LEE VAN 101 2004-11-01 09:32:01 78 SUE CHOO 101 2005-05-31 08:26:05 105 DAN HO 101 2006-10-01 10:19:52 111 ANN ANG 101 2006-12-15 14:02:03 135 BILL BO 101 2007-10-15 07:57:30
期待どおり、部署 101 の従業員のレコードだけが返されます。
ビューはそれらに設定されるテーブルにかかわらず、スキーマ オブジェクトとして存在します。次のクエリでは、ユーザ mgr100 はテーブル gdb.employees にアクセスできないため、このユーザはテーブルを検索できません。
testdb=> SELECT * FROM gdb.employees; ERROR: permission denied for relation employees