Oracle のジオデータベースに格納されているレプリカ

ジオデータベース レプリケーションを使用すると、2 つ以上のバージョン対応ジオデータベース間でデータの複製を作成できます。これにより、異なるジオデータベース間でデータへの変更を同期させることが可能になります。同期は、あるレプリカがデータ変更を送信し、相対レプリカがデータ変更を受信するという仕組みで実行されます。

双方向または一方向のレプリカを作成する前に、複製されるデータセットに GlobalID 列を追加する必要があります。この操作により、データセット内の行に、レプリケーションに参加するジオデータベース全体で常に一定となる一意の値が付与されます。（レプリケーションのためのデータセットの準備の詳細については、「レプリケーションのためのデータの準備」をご参照ください。）

レプリカの 1 つに変更が行われた後で、ジオデータベースを同期させることで、あるジオデータベースに対する変更を関連するジオデータベースにも反映できます。ジオデータベースがその関連ジオデータベースと同期すると、レプリカ ジオデータベース（関連ジオデータベースに変更を送信しているジオデータベース）のユーザのスキーマ内にテーブルが作成されて、変更内容を追跡します。

ArcGIS Desktop のレプリカ テーブル

同期に使用されるテーブルは、ArcGIS Desktop には表示されません。このテーブルは同期中にだけ、内部で自動的に使用されます。

ただし、カタログ ウィンドウでジオデータベースのプロパティをチェックすることで、ジオデータベースがレプリカ ジオデータベースとして使用中かどうか確認できます。ジオデータベースを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。[一般] タブに [分散ジオデータベースの状態] セクションがあります。ジオデータベースが複製元または複製先となっている場合は、「これはレプリカ ジオデータベースです。」 というステータス メッセージが示されます。

ArcMap では、レプリカに参加する 1 つ以上のレイヤが MXD ファイルに含まれている場合は、[分散ジオデータベース] ツールバーのほとんど（すべての場合もあり）のツールがアクティブになります。また、レプリカ マネージャを開くと、1 つ以上のレプリカが表示されます。

Oracle データベースでのレプリカ テーブル

データセットを複製する前に、データセットに GlobalID 列を追加して、バージョン対応登録する必要があります（ベース テーブル移行オプションを使用しないで登録）。このため、データベースでは、レプリカに含まれるすべてのデータセットのビジネス テーブルに、GUID 列およびデルタ テーブルが含まれます。

レプリカは、GDB_ITEMS、GDB_ITEMRELATIONSHIPS、および GDB_REPLICALOG ArcSDE ジオデータベース システム テーブルのデータベースで管理されます。これがレプリカであることは、GDB_ITEMTYPES システム テーブルに記録されます。「Oracle に格納されたジオデータベースのシステム テーブル」をご参照ください。

これらのテーブルは次のように関連しています。

Oracle のレプリカ テーブル

破線はテーブル間の暗黙的なリレーションシップを示しています。

すでに記載したとおり、データセットに複製対象の GlobalID 列が含まれている必要があります。次に示すのはバージョン対応フィーチャクラスの Districts で、このクラスには Global ID 列があります。

GlobalID 列を持つバージョン対応データセット

2 つのジオデータベース間で同期が実行される際、データセットの変更内容を追跡するために作成されるテーブルが SDE_UUID_TEMP$ テーブルです。このテーブルは複数のセッションで同時に使用できます。Oracle では、SDE_UUID_TEMP$ テーブルはグローバル一時テーブルとして作成されます。このテーブルの説明を次に示します。

SDE_UUID_TEMP$

SDE_UUID_TEMP$ テーブルは、対象のオブジェクトの系統をその GlobalID 値によって検出するために使用されます。

フィールド名

フィールド タイプ

説明

NULL？

REGISTRATION_ID

NUMBER(38)

TABLE_REGISTRY テーブルから取得したバージョン対応テーブルの登録 ID

GLOBALID

NCHAR(38)

バージョン対応データセットのビジネス テーブルにおける変更された行の GlobalID

次の図は、複製されたデータセットの 1 つが SDE_UUID_TEMP$ テーブルにどのように関連しているかを示しています。

1 つの複製されたデータセットの同期

セッションが終了しても SDE_UUID_TEMP$ テーブルは削除されません。別のセッションで再利用される可能性が高いためです。

XML ドキュメントのレプリカ テーブル

レプリカを作成するときに XML ドキュメントへの複製を選択すると、レプリカと複製されたデータセットに関する情報が次のように <GPReplica> タグに含まれます。

この例では、レプリカの名前は toagency で、これはジオデータベース バージョン PHASE1 から複製されたものです。

<GPReplica xsi:type="esri:GPReplica">
  <Name>manager.toagency</Name> 
  <ID>-1</ID> 
  <ReplicaVersion>sde.PHASE1</ReplicaVersion> 
  <CreationDate>2007-04-23T12:13:07</CreationDate> 
  <GUID>AFC2DA1A-B751-4096-82DE-7AC9E601A563</GUID> 
  <Role>esriReplicaRoleChild</Role> 
  <AccessType>esriReplicaChildReadOnly</AccessType> 
  <MyGenerationNumber>0</MyGenerationNumber> 
  <SibGenerationNumber>0</SibGenerationNumber> 
  <SibMyGenerationNumber>0</SibMyGenerationNumber> 
  <ReplicaState>esriReplicaStateWaitingForData</ReplicaState> 
  <SibConnectionString>SERVER=liljoe;INSTANCE=5151;VERSION=sde.PHASE1;AUTHENTICATION_MODE=DBMS;ProgID=esriDataSourcesGDB.SdeWorkspaceFactory.1</SibConnectionString> 
 <GPReplicaDescription xsi:type="esri:GPReplicaDescription">
  <ModelType>esriModelTypeFullGeodatabase</ModelType> 
  <SingleGeneration>false</SingleGeneration>
<SpatialRelation>esriSpatialRelIntersects</SpatialRelation> 
 <QueryGeometry xsi:type="esri:EnvelopeN">
  <XMin>-5543912.2421665</XMin> 
  <YMin>3741401.908035</YMin> 
  <XMax>-5538272.6904335</XMax> 
  <YMax>3743452.058665</YMax> 
 <SpatialReference xsi:type="esri:ProjectedCoordinateSystem">
  <WKT>PROJCS["Asia_South_Albers_Equal_Area_Conic", GEOGCS["GCS_WGS_1984", DATUM["D_WGS_1984",SPHEROID["WGS_1984",6378137.0,298.257223563]], PRIMEM["Greenwich",0.0], UNIT["Degree",0.0174532925199433]], PROJECTION["Albers"], PARAMETER["False_Easting",0.0], PARAMETER["False_Northing",0.0], PARAMETER["Central_Meridian",125.0], PARAMETER["Standard_Parallel_1",7.0], PARAMETER["Standard_Parallel_2",-32.0], PARAMETER["Latitude_Of_Origin",-15.0], UNIT["Meter",1.0]], VERTCS["Ha_Tien_1960", VDATUM["Ha_Tien_1960"], PARAMETER["Vertical_Shift",0.0], PARAMETER["Direction",1.0], UNIT["Meter",1.0]]</WKT> 
  <XOrigin>-21663300</XOrigin> 
  <YOrigin>-10280500</YOrigin> 
  <XYScale>207890747.363998</XYScale> 
  <ZOrigin>0</ZOrigin> 
  <ZScale>1</ZScale> 
  <MOrigin>-100000</MOrigin> 
  <MScale>10000</MScale> 
  <XYTolerance>0.001</XYTolerance> 
  <ZTolerance>2</ZTolerance> 
  <MTolerance>0.001</MTolerance> 
  <HighPrecision>true</HighPrecision> 
  </SpatialReference>
  </QueryGeometry>
<GPReplicaDatasets xsi:type="esri:ArrayOfGPReplicaDataset">
 <GPReplicaDataset xsi:type="esri:GPReplicaDataset">
  <DatasetName>projects.editor.roads</DatasetName> 
  <DatasetType>esriDTFeatureClass</DatasetType> 
  <RowsType>esriRowsTypeFilter</RowsType> 
  <IsPrivate>false</IsPrivate> 
  <UseGeometry>true</UseGeometry> 
  </GPReplicaDataset>

その他のデータセットの定義

 </GPReplicaDatasets>
  <TransferRelatedObjects>true</TransferRelatedObjects> 
  </GPReplicaDescription>
  <ReconcilePolicy>esriReplicaResolveConflictsNone</ReconcilePolicy> 
</GPReplica>

関連項目

Oracle に格納されたジオデータベースのバージョン対応テーブル

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7/10/2012