ラスタ データをベクタ変換するための準備について

ラスタ データをベクタ変換するための準備に必要な作業は、イメージごとに異なります。入力ラスタに最低限の変更を行うだけで済む場合もあれば、変更する必要がない場合もあります。しかし、通常は、変換できる状態にするために相当の編集を行う必要があります。ArcScan では、編集作業を ArcMap 環境内で行うことができます。以下は、ArcScan でのラスタ クリーンナップの概要です。

クリーンナップ セッション

ArcScan では、ArcMap の編集セッションと同様のクリーンナップ セッションを使用します。[ラスタ クリーンナップ] メニューで使用できるコマンドや、[ラスタ ペイント] ツールバーのツールをアクティブにするには、クリーンナップ セッションを開始する必要があります。ラスタに対するすべての編集は、アクティブなクリーンナップ セッションでのみ行うことができます。ラスタの編集作業が終了したら、クリーンナップ セッションを終了できます。クリーンナップ セッションを終了する時点で、ラスタの変更内容を保存するかどうかを確認するメッセージが表示されます。

ノイズとフィーチャの除去

[ラスタ クリーンナップ] ツールで行う最も一般的な作業の 1 つがラスタ セルの除去です。この作業では、ノイズやラスタ内の情報を表すエレメントを削除できます。ノイズには、スキャン処理によって生じる傷や、スキャンされた元のソース ドキュメント内の欠陥などがあります。フィーチャには、テキスト、ポイント、ライン、およびポリゴンを表すセルを含めることができます。

ラスタからセルを削除するには、いくつかの方法があります。たとえば、[ラスタ ペイント] ツールバーの [消しゴム] および [スーパー消しゴム] ツールを使用して、一度に 1 ピクセルずつ消去したり、接続した一連のセルを消去したりすることができます。また、[選択セルの消去] コマンドを使用すると、現在選択されているセルを除去できます。この方法では、ラスタ選択ツールを使用する必要があります。また、この方法を使用すると、クリーンナップ処理をより効率的に行うことができます。ラスタをどの程度クリーンナップする必要があるかにかかわらず、ArcScan には、クリーンナップ作業を容易にするツールが用意されています。

新しいセルの追加

[ラスタ ペイント] ツールバーのツールを使用して、ラスタに新しいセルを追加できます。これらの作業には、[ブラシ]、[塗りつぶし]、および [図形描画] ツールを使用します。描画ツールには、ライン、四角形、ポリゴン、および楕円用があります。ブラシのサイズや、ラインの幅を変更できます。これにより、ラスタにさまざまな幾何学的形状を作成できます。上記のどのツールを使っても、現在の前景色で新しいセルが作成されます。ただし、前景色と背景色を切り替えるには、[ラスタ ペイント] ツールバーの [前景色/背景色の切り替え] ボタンをクリックします。[ラスタ ペイント] ツールバーのセル作成ツールは、他の一般的なグラフィック用のツールと同様に機能します。この設計により、使い慣れた描画テクニックを利用することができます。

ラスタの編集内容の保存

ラスタのクリーンナップ セッションで行った編集は、元のラスタ レイヤに直接保存できます。また、変更内容を新しいラスタ ファイルに保存することもできます。これにより、元のソース ラスタに影響することなく、必要なすべての変更を行うことができます。ラスタの編集内容は、クリーンナップ セッション中または終了時に保存できます。クリーンナップ セッションを終了する前に編集内容を保存していない場合は、クリーンナップ セッションの終了時に、編集内容を保存するかを確認するメッセージが表示されます。ただし、ベクタ変換を適用するために編集内容を保存する必要はありません。必要に応じて変更を行ったり、データをベクタ変換したり、編集内容を破棄することができます。