演習 2: 自動ベクタ変換
この演習では、スキャナで取り込んだ区画マップを編集し、ベクタ変換対象範囲外のセルをラスタから削除します。ラスタをクリーンナップしたら、バッチ ベクタ変換モードでフィーチャを生成します。はじめに ArcMap を起動し、ラスタ データセットと 2 つのシェープファイルが追加されているマップ ドキュメントを読み込みます。
ArcScan 環境の設定
この演習では、前の演習で指定しておいた ArcMap 設定を応用します。ArcScan エクステンションと従来の編集スナップを有効にして、[ArcScan] ツールバーと [エディタ] ツールバーを表示しておく必要があります。
- [標準] ツールバーの [開く] ボタン をクリックします。
- チュートリアル データをインストールした ArcScan ディレクトリで、ArcScanBatch.mxd マップ ドキュメントに移動して選択します(デフォルトの場所は C:\ArcGIS\ArcTutor)。
- [開く] をクリックします。
- ArcScan のツールおよびコマンドを使用するには、ラスタ レイヤを 2 色イメージとしてシンボル表示する必要があります。ラスタ シンボルを [ストレッチ] から [個別値] に変更します。ArcMap コンテンツ ウィンドウで [ParcelScan.img] ラスタ レイヤを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスが表示されます。
- [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [シンボル] タブをクリックします。
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[表示] ボックスで [個別値] をクリックします。
- [OK] をクリックします。
ベクタ変換のためのラスタの準備: ラスタ ペイント
バッチ ベクタ変換を実行する際には、フィーチャを生成する前にラスタ イメージの編集が必要になることがあります。このプロセスはラスタ クリーンナップと呼ばれ、ラスタ イメージからベクタ変換する必要のない不要なセルを削除します。ArcScan には、ラスタ クリーンナップを実行するツールが用意されています。[ラスタ クリーンナップ] ツールで、ParcelScan イメージから不要なテキストを削除します。
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[ブックマーク] をクリックし、[Raster cleanup] をクリックして、現在のビューを演習の編集エリアとして設定します。
- [エディタ] ツールバーの [エディタ] メニューをクリックし、[編集の開始] をクリックします。
- ファイル ジオデータベース ワークスペースの編集開始を選択し、[OK] をクリックします。
- [ArcScan] ツールバーの [ラスタ クリーンナップ] メニューをクリックし、[ラスタ クリーンナップの開始] をクリックして、ラスタ クリーンナップ セッションを開始します。
- [ラスタ クリーンナップ] メニューをクリックし、[ラスタ ペイント ツールバー] をクリックして、[ラスタ ペイント] ツールバーを表示します。
- [ラスタ ペイント] ツールバーの [消しゴム] ツール をクリックします。
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土地区画の最上部にあるテキスト(59.96)をクリックし、マウス ボタンを押しながら消去します。
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[消しゴム] ツールによる消去作業は、対象のテキストが画像からなくなるまで続けます。
- [ラスタ ペイント] ツールバーの [スーパー消しゴム] ツール をクリックします。
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土地区画の中央にある削除対象のテキスト(001)の周囲にボックスをドラッグします。
これでテキストがラスタから削除されます。
ベクタ変換のためのラスタの準備: セルの選択
前の手順では [消しゴム] ツールと [スーパー消しゴム] ツールを使用し、ラスタ イメージから不要なセルを削除する方法を学習しました。しかし、大量のクリーンナップが必要なイメージでは、この方法では時間がかかってしまいます。セル選択ツールと[ラスタ クリーンナップ] ツールを組み合わせて使用すると、このプロセスの効率化に役立ちます。
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Cell selection というブックマーク範囲にズームし、編集エリアを見やすくします。[ブックマーク] をクリックし、[セル選択] をクリックします。
- [セル選択] メニューをクリックし、[接続セルの選択] をクリックします。
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[接続セルの選択] ダイアログ ボックスで、ラスタ ピクセル単位の合計面積として 500 を入力します。この条件を満たすすべてのラスタ セルが選択されます。
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[OK] をクリックします。ラスタ内のテキストを表すセルが選択されました。
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[ラスタ クリーンナップ] メニューをクリックし、[選択セルの消去] をクリックして、選択したセルを削除します。選択したセルが消去されました。
ベクタ変換設定を指定する
バッチ ベクタ変換は、生成されたフィーチャのジオメトリに影響するユーザ定義設定に依存します。これらの設定は、操作対象のラスタ データのタイプに応じて異なります。ラスタの適切な設定を決定したら、それらをマップ ドキュメントまたは別のファイルに保存することができます。設定を適用するには、[ベクタ変換設定] ダイアログ ボックスを使用します。
- [ベクタ変換] メニューをクリックし、[ベクタ変換設定] をクリックして、[ベクタ変換設定] ダイアログ ボックスを開きます。ここで、最適な結果でフィーチャが生成されるようベクタ変換設定を変更します。
- [最大ライン幅] の値を 10 に設定します。
- [頂点間隔許容値] の値を 0.1 に変更します。
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[適用] をクリックして設定を更新します。
- [閉じる] をクリックします。
フィーチャを作成する
ArcScan では、フィーチャを生成する前に、バッチ ベクタ変換をプレビューできます。これにより、設定がベクタ変換にどのように反映されるのかを確認できるため、作業時間を短縮するのに役立ちます。設定を変更した場合は、[ベクタ変換設定] ダイアログ ボックスの [適用] ボタンをクリックすることで、プレビューを更新できます。このような設計により、ベクタ変換設定の微調整が可能となっています。
バッチ ベクタ変換プロセスの最後のステップは、フィーチャの生成です。[フィーチャ作成] ダイアログ ボックスでは、新しいフィーチャの保存およびベクタ変換の実行に使用するためのベクタ レイヤを選択できます。
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[ベクタ変換] メニューをクリックし、[プレビューの表示] をクリックします。マップにベクタ変換プレビューが表示されます。
- [ベクタ変換] メニューをクリックし、[フィーチャ作成] をクリックします。
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[ParcelLinesBatch] フィーチャ テンプレート(まだアクティブなライン フィーチャ テンプレートになっていない場合)をクリックします。
- [OK] をクリックします。
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ArcMap のコンテンツ ウィンドウの [ParcelScan.img] ラスタ レイヤを右クリックし、[レイヤの全体表示] をクリックすると、生成された新しいフィーチャがすべて表示されます。
- [エディタ] ツールバーの [エディタ] メニューをクリックし、[編集の終了] をクリックします。
- [はい] をクリックして編集内容を保存します。
- ラスタ クリーンナップの編集内容を保存するかどうかを尋ねるメッセージが表示されたら、[いいえ] をクリックします。
- 操作が完了したら、マップ ドキュメントおよび ArcMap を閉じてかまいません(変更内容を保存する必要はありません)。
これで ArcScan チュートリアルは完了です。この演習では、[ラスタ クリーンナップ] ツールと [セル選択] ツールを使用してラスタ レイヤの編集、ベクタ変換設定の適用、ベクタ変換のプレビューおよびフィーチャ生成を行う方法を学習しました。以上の手順では、バッチ ベクタ変換プロセスの主な過程を取り上げました。