既存の EGDB Amazon EC2 インスタンスへのサービス パックの適用
Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)上の EGDB(エンタープライズ ジオデータベース)インスタンスにサービス パックを適用するには、次の 2 つの方法があります。
- サービス パックを既存の EGDB EC2 インスタンスに適用します。
既存の EGDB EC2 インスタンスをカスタマイズ(追加のユーザの作成、postgresql.conf ファイルの変更、PostGIS のインストールなど)している場合は、新しいインスタンスを作成してデータを移動するよりも、既存の EGDB インスタンスにサービス パックをインストールする方が簡単になる可能性があります。
- サービス パックがすでに適用されている EGDB AMI(Amazon Machine Image)を使用して新しいインスタンスを作成し、データを移動します。
新しい EGDB EC2 インスタンスを作成する場合は、サービス パックがすでに適用されている AMI を使用します。新しいインスタンスを作成し、既存の EGDB EC2 インスタンスから新しいインスタンスにデータ ボリューム(D ドライブ)を移動することもできます。
このトピックでは、サービス パックを既存のインスタンスに適用する方法について説明します。サービス パックがすでに含まれる新しいインスタンスを作成し、データを移動して、ジオデータベースをアップグレードする手順については、「サービス パックを適用済みの新しい EGDB インスタンスへのデータの移動」をご参照ください。

Esri ではパッチのリリース毎に新しい AMI は作成しません。パッチを適用するには、必ず既存の EC2 インスタンスにパッチを直接ダウンロードして、インストールする必要があります。
サービス パックやパッチをダウンロードして適用する詳細な手順は次のとおりです。
- 既存の EGDB EC2 インスタンスのイメージを作成します。
これはバックアップになります。アップグレードして、すべてが期待どおりに機能することをテストで確認した後で、このイメージを削除できます。
- ArcGIS Resource Center の ArcGIS Server ソフトウェア アップデートのページで、Windows 向け PostgreSQL の ArcSDE サービス パックをダウンロードします。
- サービス パックのインストール ファイルを EGDB EC2 インスタンス サーバにアップロードします。
データを転送するときと同じ方法を使用できます。方法のリストについては、「Amazon へのデータ転送方法」の「データをクラウドに転送するためのオプション」セクションをご参照ください。
- EGDB EC2 インスタンス サーバで *.msp ファイルを実行して、サービス パックをインストールします。
- データベース内の sde ユーザが、PostgreSQL でのスーパーユーザ権限を引き続き所有していることを確認します。
sde ユーザはこの権限をデフォルトで所有しています。この権限を sde ユーザから取り消している場合は、再度付与するだけです。
- ジオデータベースを一時停止して、アップグレードする前に新しい接続が行われないようにします。
pause 操作を指定した sdemon コマンドを使用して、ジオデータベースへの新しい接続を防止します。
- EGDB EC2 インスタンス サーバで MS-DOS コマンド ウィンドウを開きます。
- pause 操作を指定した sdemon コマンドを実行します。
sdemon -o pause -i sde:postgresql:<server name> -D <database name> -u sde
- sdemon コマンドを実行して、他のユーザがジオデータベースに接続していないことを確認します。
sdemon -o info -I users -i sde:postgresql:<server name> -D <database name>
このコマンドで何らかの接続が返された場合は、EGDB のアップグレードを進める前に切断する必要があります。
- EGDB インスタンスに適用したものと同じサービス パック バージョンを使用して、ArcGIS Server インスタンスを作成し、構成します。
- ArcGIS Server の EC2 インスタンス サーバに対してリモート デスクトップ接続を行います。
- ArcCatalog を起動します。
[スタート] → [すべてのプログラム] → [ArcGIS] → [ArcCatalog 10] の順にクリックします。
- EGDB インスタンス上のジオデータベースに sde ユーザとして接続します。
- カタログ ツリーの [Database Connections] ノードの下で、EGDB インスタンス上のジオデータベースの接続ファイルを右クリックして、[接続プロパティ] をクリックします。
[空間データベース接続プロパティ] ダイアログ ボックスが開きます。
- [ユーザ名] として「sde」を入力します。
- [パスワード] テキスト ボックスに、sde データベース ユーザのパスワードを入力します。
- [OK] をクリックして [空間データベース接続プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じ、ジオデータベースに接続します。
- カタログ ツリーの [Database Connections] ノードの下で、EGDB インスタンス上のジオデータベースの接続ファイルを右クリックして、[接続プロパティ] をクリックします。
- ジオデータベース接続を右クリックし、[プロパティ] をクリックして、ジオデータベースにアップグレードが必要かどうかを確認します。
- [一般] タブをクリックします。
- [アップグレード ステータス] にアップグレード不要と示されている場合、このエンタープライズ ジオデータベースの移行は終了です。このジオデータベースの [ジオデータベース プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じます。
- [アップグレード ステータス] にジオデータベースをアップグレード可能と示されている場合は、次の手順に進みます。
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[ジオデータベースのアップグレード] ボタンをクリックします。
[ジオデータベースのアップグレード] ジオプロセシング ツールが開きます。このツールを [ジオデータベースのアップグレード] ボタンを使って起動すると、[入力ジオデータベース] テキスト ボックスにジオデータベース コネクション情報が入力されます。
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[ジオデータベースのアップグレード(Upgrade Geodatabase)] ジオプロセシング ツールでは、[前提条件を確認] および [ジオデータベースをアップグレード] オプションをオンのままにすることをお勧めします。これにより、ジオデータベースのアップグレードを続ける前に、アップグレードを行うための前提条件を満たしているかどうかが確認されます。
前提条件のチェックでは、ジオデータベースへの他のアクティブな接続を検出し、接続しているユーザにジオデータベースをアップグレードするための十分な権限が付与されているかどうか、データベースが XML 列をサポートできること、およびすべてのデータセットを開くことができることが確認されます。前提条件のいずれかが満たされていない場合、ツールは終了します。アップグレードの手順を再度実行する前に、問題を修正する必要があります。
このチェック結果は、ジオプロセシング ツールのダイアログ ボックス、およびシステムの TEMP ディレクトリ内の GDBUpgrade<n>.log にレポートされます。
- [OK] をクリックして、チェックとアップグレードを開始します。
- すべてのチェックに合格した場合、ツールはアップグレードに進みます。前提条件チェックとアップグレードの状態は、ジオプロセシング ツールの進行状況を示すダイアログ ボックスに表示されます。
- ツールが正常に終了したら、[閉じる] をクリックして、ジオプロセシング ツールの進行状況を示すダイアログ ボックスを閉じます。

クライアント コンピュータ上で他のジオプロセシング ツールがバックグラウンド プロセスとして現在実行中の場合は、[ジオデータベースのアップグレード(Upgrade Geodatabase)] ツールを実行できません。
これで、適用したサービス パック リリースに EGDB がアップグレードされました。追加のエンタープライズ ジオデータベース インスタンスがある場合は、上記手順を繰り返してアップグレードします。