ArcGIS Server .NET Help - ワークフロー: ArcObjects ラスタフィールドの作成

難易度: 上級データ要件独自のデータを使用目的: 非空間ラスタフィールドを作成してデータ投入し、ArcGIS でアクセスできるよう準備します。

一部のアプリケーションでは、ポイントフィーチャ、ラインフィーチャ、またはポリゴンフィーチャをよりわかり易く図解するために交通標識の絵や川、建物といった画像が表示されます。これらの画像は、空間参照されている場合とされていない場合があります。非空間ラスタ列を備えたテーブルの作成には、SQL を使用できます。

次のワークフローでは、ラスタ列を作成してデータ投入し、ArcGIS によるアクセスの準備をする方法について説明します。

ラスタ列を持つテーブルの作成とデータ投入

手順:

SQL エディタからデータベースに接続します。
たとえば、SQL*Plus から Oracle に、pgAdminIII または psql コマンドプロンプトから PostgreSQL に、Management Studio から Microsoft SQL Server に接続します。

ST_Raster 列を持つテーブルを作成します。

Oracle

CREATE TABLE real_estate (address nvarchar2(255),
sde.st_raster picture);

PostgreSQL

CREATE TABLE real_estate (address varchar(255), 
sde.st_raster picture);

SQL Server

CREATE TABLE real_estate (address varchar(255), 
dbo.st_raster picture);

SQL Server のジオデータベースが SDE ユーザのスキーマに格納されている場合は、関数の先頭に sde を追加します。

ST_Raster_Util Initialize メソッドでラスタ列を初期化します。

以下の例では、データが空間参照されていないので、projectID 引数が NULL になっています。

Oracle

BEGIN
SDE.ST_RASTER_UTIL.INITALIZE ('real_estate','picture',NULL,'defaults');
END;
/

PostgreSQL

SELECT st_raster_util_initialize  
('real_estate','address',4326,'DEFAULTS');

SQL Server

EXEC dbo.st_raster_util_initialize 
'sde','bobby','real_estate','address',4326,NULL,'DEFAULTS'

このメソッドを実行すると、ラスタ列が ArcSDE に登録されて、ラスタ列の機能が利用できるようになります。

ST_Raster コンストラクタで TIFF 画像を変換します。

以下の例では、ST_Raster コンストラクタで TIFF 画像ファイル 30551_independence を変換して、30551 Independence Ave に所在する物件の図が real_estate テーブルに入力されています。

Oracle

INSERT INTO REAL_ESTATE (address, sde.st_raster)
VAULES
('30551 Independence  Ave',
SDE.ST_RASTER('C:\30551_independence.tif','compression=lz77'));

PostgreSQL

INSERT INTO real_estate (address, sde.st_raster)
VAULES
('30551 Independence Ave',  
sde.st_raster('C:\30551_independence.tif'));

SQL Server

INSERT INTO real_estate (address, dbo.st_raster)
VALUES
('30551 Independence Ave',
ST_Raster::construct('C:\30551_independence.tif'));

ヒント:

画像へのパスは、必ずデータベースサーバがアクセスできるものにしてください。

このテーブルには追加のデータを挿入することもできます。

登録済みの行 ID のテーブルへの追加

ArcGIS では、ArcSDE テーブルの各行をカーソル移動できるようにするために、ArcSDE 登録済みの行 ID の列（ObjectID とも呼ばれます）をテーブルに設定する必要があります。行 ID の追加には sdetable コマンドを使用できます。

手順:

alter_reg 操作で sdetable コマンドを実行して、ArcSDE に登録されたテーブルに行 ID の列を追加します。

Oracle

sdetable -o alter_reg -t real_estate -c objectid -C SDE 
-i sde:oracle11g -s myserver -u tblowner -p ulook.away -N

PostgreSQL

sdetable -o alter_reg -t real_estate -c objectid -C SDE -N
-i sde:postgresql:myserver -s myserver -D pgdb -u tblowner -p ulook.away

SQL Server

sdetable -o alter_reg -t real_estate -c objectid -C SDE -N
-i sde:sqlserver:myserver\ssinstance -D ssdb -u tblowner -p ulook.away

これで、ArcGIS Desktop のユーザインタフェースにこのテーブルのラスタを表示できるようになりました。

ArcGIS でのテーブルの編集を望む場合、またはサブタイプやリレーションシップクラスといったジオデータベースの機能にテーブルを関与させることが必要な場合は、テーブルをジオデータベースに登録する必要があります。

ジオデータベースへのテーブルの登録

テーブルをジオデータベースに登録する場合は、ArcGIS Desktop を使用します。

手順:

ArcMap を起動してカタログウィンドウを開くか、ArcCatalog を起動します。
登録するテーブルを含む ArcSDE ジオデータベースに接続します。

これで、カタログツリーの [Database Connections] ノードで、接続が確立されるようになりました。必ずテーブルの所有者として接続してください。
real_estate テーブルを右クリックします。
[ジオデータベースに登録] をクリックします。

既存の ObjectID フィールドを選択するか、新しいフィールドを作成するかを確認するメッセージが表示されます。

sdetable コマンドで追加した ObjectID フィールドを使用するよう、選択します。
[OK] をクリックします。

ワークフロー: ArcObjects ラスタ フィールドの作成

ラスタ列を持つテーブルの作成とデータ投入

登録済みの行 ID のテーブルへの追加

ジオデータベースへのテーブルの登録

関連項目

ワークフロー: ArcObjects ラスタフィールドの作成