Java Web アプリケーションの作成

Java Enterprise Edition を利用する Web アプリケーションを構築したい場合、または JavaScript API では対処できない要件がある場合は、ArcGIS Server Web ADF(Application Developer Framework)の使用を検討してください。Web ADF は、Java Enterprise Edition 環境で Web アプリケーションを開発するためのツールとテンプレートを提供します。

Web ADF のインストール時に、以下を提供する Eclipse および NetBeans 用開発者プラグインにアクセスできます。

サポートされる開発者 IDE には Eclipse および NetBeans が含まれています。これらは、Web マッピング アプリケーションを拡張するための、生産性向上に貢献するツールです。Web ADF では、テキスト ボックスやボタンに加えて、マップやコンテンツ ウィンドウなどを Web アプリケーションに直接追加することができます。開発者ヘルプは、この開発環境にすでに精通していることと、標準の Java Enterprise Edition JSF コントロールを理解していることを前提としています。

Web マッピング アプリケーションの作成

Web ADF には、すぐに使用できるアプリケーション テンプレートである [Web マッピング アプリケーション] が含まれています。Web マッピング アプリケーションは、Manager アプリケーションから、または IDE プラグインの 1 つを使用して簡単に作成できます。Web マッピング アプリケーションは、Manager から直接実行してコードを記述せずにそのまま導入することも、開発者 IDE にインポートすることによってカスタム アプリケーションを作成するための出発点として利用することもできます。また、Web マッピング アプリケーションに含まれているコードやファイルを独自のプロジェクトのガイドとして使用することもできます。

新しい Web アプリケーションの作成

Web ADF に含まれているツールを使用して、テンプレートを使用したり、ArcGIS Server Manager で以前に作成したアプリケーションを使用したりせずに、Java Enterprise Edition の開発者 IDE で新しい Web アプリケーションを作成することができます。プラグインをインストールして Eclipse または NetBeans を使用する場合、各プロジェクトのクラス パスに ADF の Web コントロールを追加することにより、それらを利用することができます。

Web コントロールを使用する必要がない場合、またはそれらが提供するデフォルトの機能では不十分な場合は、ArcGIS Server に付属しているライブラリを使用して、サービスが実行されているサーバにプログラムから接続し、操作することができます。各ライブラリには、ライブラリのクラスとそれらの関係を視覚的に理解するのに役立つオブジェクト モデル ダイアグラムが含まれています。オブジェクト モデル ダイアグラムは、開発者ヘルプの「Library Reference」セクションにあります。

Web ADF の活用

Web ADF は、Web アプリケーションと Web サービスにおいて、次の数種類の GIS サービスへの接続をサポートするように設計されています。

数種類の GIS サーバにアクセスできるだけでなく、そのサーバ上で実行されている GIS サービスを 1 つのマップに統合することもできます。Web ADF では、複数のマップ サービスを 1 つのマップ画面に追加して、同じサーバ上で、またはさまざまなタイプのサーバ上で実行されているマップ サービスをシームレスに統合することができます。たとえば、ArcIMS サーバ上で実行されているマップ サービスと ArcGIS Server 上で実行されているマップ サービスを組み合わせることができます。このマルチサービス アーキテクチャにより、マップ サービスの透過的なオーバーレイが可能になります。

Web ADF がサポートする各種サービスには、専用の API があります。このことは、マップが数種類のサービスで構成されている場合、複数の API に対処しなければならない可能性があることを意味します。たとえば、マップで ArcGIS Server サービスと ArcIMS サービスを結合する場合は、ArcObjects と ArcIMS API を使用したプログラミングが必要になる可能性があります。幸い、Web ADF には、数種類のサービスで構成されたマップを操作および検索するための共通の API があります。つまり、マップ全体を対象とした操作(特定範囲へのズームなど)については、各サービスの API を使用してコードを記述するのではなく、Web ADF のコンビニエンス クラスを使用してコードを記述することができます。

特定の種類のサービスで高度な機能を開発したい場合、ADF には Java 環境でサービスの API にアクセスする方法があります。たとえば、Java クラスを使って ArcIMS サービスを操作するには、ArcIMS API を使用することができます。開発者ヘルプには、数種類のサービスのプログラミングに関する情報と、それらの API にアクセスする方法が含まれています。

Web ADF は、上記のサービス タイプに加えて、マップにグラフィックスを追加する機能もサポートしています。多くの場合、Web ADF のグラフィックス レイヤは、フィーチャクラスをプログラムから作成するといったデータを格納するためのより高度な手法に代わる、軽量で容易な選択肢として使用することができます。

Web ADF の拡張

Web ADF は柔軟に設計されているため、次のカスタマイズが可能です。

Web ADF に含まれている Toolbar コントロールは、マップのナビゲーションおよび検索のためのデフォルトのツールとコマンドで構成されています。カスタム ツールとカスタム コマンドのコードを記述して、それらをツールバーにツールとして追加することもできます。そのための一般的な方法は、開発者 IDE プロジェクトにクラス ライブラリを追加して、カスタム コードを記述することです。その後、クラス ライブラリのコードを実行するように各ツールとコマンドを構成することができます。

Web ADF には、アプリケーションに追加できるタスクがいくつか用意されています。これには、検索、解析、編集のためのタスクが含まれています。これらのタスクはすべて、Web コントロール ライブラリの共通フレームワークで構築されたものです。同じフレームワークを使用して、カスタム タスクを開発することもできます。

Web ADF では、ArcGIS Server サービス、ArcIMS サービス、WMS サービスなど数種類のサービスの表示と検索がサポートされています。Web ADF では、サービスはデータ ソースと呼ばれます。Web ADF には、これらのデータ ソースに加えて、カスタム データ ソースを開発するためのフレームワークが含まれています。

ヘルプの表示

Web ADF をインストールすると、開発者ヘルプが自動的にインストールされます。開発者ヘルプは、デスクトップから起動したり、Linux/Solaris のコマンド ラインから起動したり、サポートされている開発者 IDE 内で起動することができます。

デスクトップから開発者ヘルプを起動する手順は次のとおりです。

  1. [スタート] > [すべてのプログラム] > [ArcGIS] > [Developer Help] > [Open Java Help] を選択します。
  2. [アプリケーションの開発] をクリックします。

開発者ヘルプを Linux/Solaris のコマンド ラインから起動する手順は次のとおりです。

Linux/Solaris で以下を実行し、インストール所有者として Java 開発者ヘルプを開きます。

開発者ヘルプを Eclipse 環境で起動する手順は次のとおりです。

  1. [ヘルプ] > [ヘルプ目次] をクリックします。
  2. [ArcGIS Server] をクリックします。
  3. [アプリケーションの開発] をクリックします。

ライブラリ参照

ライブラリ リファレンスには、Web ADF の各クラスとメンバの簡単な説明が含まれています。クラスおよびメンバによっては、詳細な説明やコード サンプルが含まれているものもあります。さらに、パッケージについてのオブジェクト モデル ダイアグラムが存在する場合は、それをライブラリ リファレンスで確認することもできます。

ライブラリ リファレンスを表示するには、開発者ヘルプを表示する手順に従います。目次の [ArcGIS Server] の下にある [アプリケーションの開発] をクリックすると、「Reference」 という項目が表示されます。


3/6/2012