ArcGIS Server 10 の新機能

ArcGIS Server 10 では、パフォーマンス、データ アクセス、編集、検索、マップ キャッシュ管理、その他の多くの機能が向上しています。ここでは、特に強化された機能の説明と、詳細情報へのリンクを示します。

一般

このセクションでは、ArcGIS Server バージョン 10 における一般的な変更点と改善点を紹介します。

インストール プロセスの柔軟性の向上

ArcGIS Server 10 のインストール プロセスは、GIS サービスと Web アプリケーションの 2 つのセットアップで構成されるようになりました。これによって、インストールするコンポーネントをより柔軟に選択できるようになっています。

GIS サービス

GIS サービスのセットアップには、サーバ オブジェクト マネージャ(SOM)、サーバ オブジェクト コンテナ(SOC)、Python、Web サービス(SOAP、REST)、GIS サービスの作成と管理ができる Manager の一部が含まれます。GIS サーバ上でマップ サービスやサーチ サービスといったサービスの作成、公開、ホストのみを行う場合は、通常は ArcGIS Server 10 GIS サービスのみインストールする必要があります。

Web アプリケーション

Web アプリケーションのセットアップには、Web Applications Developer Framework(ADF)、ArcGIS アプリケーションおよび ArcGIS Web API へのショートカット、ウィザードを使用して Web ADF アプリケーションを構築できる Manager の一部が含まれています。

GIS サービスのインストールおよび Web アプリケーションのセットアップ方法については、バージョン 10 の『ArcGIS Server インストール ガイド』をご参照ください。

データの抽出ツール

[サーバ] ツールボックスは、[データの抽出] ツールセットによって拡張されました。これらのツールを使用すると、対話型データのダウンロードを公開できます。これらは主に、ArcGIS Server ジオプロセシング サービスとして公開することを意図しています。これらは、これまでのバージョンの ArcGIS Server でドキュメントに記載されていた、「クリップ、圧縮、送信」に関するさまざまな例に似ています。一部のツールは、データを電子メールで受信者に送信することもできます。

SOC プロセスの監視の強化

各サーバ オブジェクト コンテナ(SOC)コンピュータ上で、ArcSOCMon.exe という新しいプロセスが実行され、SOC プロセスの状態を監視します。この監視の強化によって、予定外のダウンタイムの発生後に SOM をオンラインに復帰させるときの復旧がすばやくなります。

ログの SOC への移行による負荷の軽減

ArcSOCMon プロセスによって、ログ ファイルが各 SOC コンピュータ上で保持されるようになりました。ログを個々の SOC に分散して負荷を軽減することは、SOM がすべてのメッセージを 1 つのログ ファイルに保存していた以前のバージョンよりも、拡張性の高いアプローチです。Manager または ArcObjects Server API を使用して、すべての SOC コンピュータによって蓄積されたログ メッセージの年代順のリストを生成できます。

ログ ファイルのクリーンナップのオプション

ログ ファイルに対する新しいプロパティを使用すると、ログ ディレクトリ内に存在できるログの最大数を指定できます。制限を超えると、サーバが最も古いログを削除します。これにより、ログ ディレクトリが大きくなりすぎることを防ぐことができます。

無効なデータ接続のチェック

オプションで、サービスがアイドル状態のときに、無効な接続がないかサービスを定期的にチェックするように構成できるようになりました。これらのチェックを構成すると、サービスがアイドル状態のときに ArcSDE への接続が不良であると検出された場合、サーバはこの問題を即座に修復します。これにより、データベースへの接続が夜間などのダウンタイム期間に中断された場合に、サービスが応答しない事態がなくなります。

ヘルプ検索の強化

ヘルプの [検索] タブにランキング ロジックが使用され、最も関連性の高いトピックが結果の一番上に表示されるようになりました。

サービス

このセクションでは、ArcGIS Server 10 で利用できる新しいサービスと、既存のサービスの一部の変更点を一覧します。

フィーチャ サービスの追加

ArcGIS Server 10 ではフィーチャ サービスが導入され、ベクタ フィーチャ ジオメトリと属性へのアクセスが可能になります。フィーチャ サービスの大きな利点は、JavaScript、Flex、および Silverlight アプリケーションを使用してフィーチャの編集ができることです。フィーチャ サービスはマップ ドキュメントから公開され、ソース データセットが単一の ArcSDE ジオデータベース内に存在する必要があります。

サーチ サービスの追加

サーチ サービスを使用すると、組織全体の GIS コンテンツおよびフォルダのインデックスを作成し、ユーザが簡単にそれらを検索できるようにすることができます。それによって、イントラネット クライアントは、ArcGIS Desktop の更新された検索インタフェースを使用して、サーチ サービスに接続し、目的のコンテンツを見つけることができます。各クライアントは、その検索結果を各自のマップにドラッグできます。

サーチ サービスは、データの量が膨大であったり、データが多数のフォルダおよびジオデータベースに分散されていたりすることが原因で、データを参照することが面倒な作業であるシナリオで最も役立ちます。

Web 編集が強化されたジオメトリ サービス

ジオメトリ サービスは、ジオグラフィック フィーチャの編集に役立つ新しい方法を数多く公開しています。これらは、Web 編集シナリオで特に便利です。このため、Web API に公開されている一部の編集ウィジェットは、ジオメトリ サービスへの参照が必要です。新しい操作としては、次のものがあります。

  • 自動完成ポリゴン
  • 凸包
  • 切り取り
  • 頂点の挿入(9.3.1 の REST では利用できませんでした)
  • 差異
  • 距離
  • ジェネラライズ
  • インターセクト
  • オフセット
  • 形状変更
  • 切詰め/延長
  • ユニオン

MSD ベースのサービスによる Maplex、カートグラフィック リプレゼンテーション、および新しいレイヤ タイプのサポート

マップ サービス定義(MSD)は 1 つのファイル タイプで、これを使用すると、ArcGIS Server によって高速に描画できるマップを公開できます。MSD は、リリースごとに拡張している ArcGIS マッピング フィーチャのサブセットをサポートします。ArcGIS 10 は、MSD ベースのサービスにおいて、カートグラフィック リプレゼンテーションと Maplex ラベル エンジンのサポートを追加しています。

これらのフィーチャは元々計算負荷が高いため、MSD ベースのサービスを使用してマップ キャッシュ タイルを作成する場合に限り推奨されます。ただし、カートグラフィック リプレゼンテーションや Maplex をうまく利用すると、効果的で視覚的に美しいマップ キャッシュを作成できます。

ArcGIS 10 では、MSD ベースのサービスを通じて、クエリ レイヤ、パーセル ファブリック レイヤ、モザイク レイヤなど、新しいさまざまなマップ レイヤ タイプを利用できます。スタンドアロン テーブルにも MSD ベースのサービスを介してアクセスできます。

マップ サービスでの時間対応レイヤのサポート

ArcGIS では、時間の経過に伴うデータセットの状態に関する情報を格納した、時間対応のレイヤを提供しています。ArcMap を使用して、多くのレイヤを時間対応にすることができます。マップを ArcGIS Server に公開したときに、時間に対応する情報は維持され、マップ サービスを通してアクセスできます。この情報を使用して、マップの表示を変更したり、一時的なクエリを実行することができます。

マップ サービスによるフィーチャのアタッチメントの公開

ArcGIS 10 では、フィーチャのアタッチメントが導入されました。これは、ファイルをアップロードして、マップ内の特定のジオグラフィック フィーチャと関連付ける方法です。アタッチメントの例としては、フィーチャの補足情報を持つ TXT、PDF、画像ファイルなどが挙げられます。マップをサービスとして公開すると、クライアントはアタッチメントを表示およびダウンロードできます。

また、マップ サービスでフィーチャ アクセス機能を有効にした場合は、クライアントがアタッチメントをアップロードおよび削除することもできます。

マップ サービスによるシンボル情報の公開

マップ サービスには、マップ内のベクタ フィーチャの描画のために使用するレンダリングとシンボルに関する情報も含まれるようになりました。この情報は、ArcGIS APIs for JavaScript、Flex、または Silverlight で構築した Web クライアント内のレイヤを表示する場合に、特に便利です。グラフィックスに独自のシンボルを作成しなくても、クライアント側のグラフィックスにマップ サービスから取得したシンボルを割り当てることができます。

マップ サービスによるサブタイプとドメインの公開

マップ サービスを操作するときにデータの整合性を維持することは、サブタイプとドメインのサポートが追加されたことで、さらに簡単になりました。サブタイプとドメインによってデータを整理する方法が提供され、属性の整合性を維持しながら、編集などの特定の操作をさらに効率的に実行できるようになります。たとえば、国の土地利用基盤データベースで Web 編集セッションを実行している場合、必要なサブタイプ(都市など)を選択し、住宅地、商業、工業などの適切なドメインを選択できます。ドメインの説明である「Residential」がコード値 R の代わりに表示されます。

マップ サービスによるリレートおよびスタンドアロン テーブルの公開

マップ サービスは、リレートおよびスタンドアロン テーブルに関する情報を公開できるようになりました。リレートでは、2 つのテーブル間の関係のみが定義され、関連付けられたデータはそれぞれのテーブルに付加されません。多くの場合、リレートによってスタンドアロン テーブルが示されます。スタンドアロン テーブルにはジオメトリはありませんが、通常これには重要な属性情報が含まれています。たとえば、都市区画と区画所有者のスタンドアロン テーブル間のリレートを含んでいるマップ サービスを公開した場合、検索、クエリ、個別属性表示タスクを実行することで、区画の所有者とロケーションを表示できます。

サポートされているすべてのスタンドアロン テーブル タイプを確認するには、ヘルプの「MSD ベースのマップ サービスでサポートされる機能」トピックのデータ タイプのセクションをご参照ください。

マップ サービスによるラスタ フィールドの検索のサポート

マップ サービスは、ラスタ フィールドの検索をサポートするようになりました。たとえば、市の街灯のベクタ データセットを所有しているとします。このデータセットで、ラスタ フィールドを作成して、各街灯のピクチャを格納しています。マップ サービスの QueryRasterValue という新しいメソッドを使用すると、このピクチャを取得して、クライアントに表示することができます。

最大レコード数の増加と ArcCatalog および Manager からの指定

ArcGIS Server で、1 つのサービスがクエリに応答して返すことのできるデフォルトのレコード数が、1,000 まで増やされました。これまでは、この数を変更する方法は、サービスの構成ファイルを手動で編集する方法のみでした。ArcGIS Server 10 では、このプロパティは、ArcCatalog および Manager のサービス プロパティで指定できます。

モザイク データセットのサポート

モザイク データセットは、イメージ サービス、グローブ サービス、またはマップ サービスとして使用できる新しいデータセットです。モザイク データセットから生成したイメージ サービスにクエリを実行し、操作するための機能も用意されています。

機能強化されたイメージ サービス パラメータ

イメージ サービスのプロパティ ページで、より多くのデフォルト サービス パラメータを指定できるようになりました。たとえば、ユーザが要求できるデータ量、要求可能な情報の種類、使用できるモザイクと圧縮方法などを指定できます。

  • リクエストあたりの最大イメージ サイズ
  • モザイクあたりの最大ラスタ数
  • デフォルトのリサンプリング方法
  • 許可される圧縮方法
  • 許可されるモザイク手法
  • 1 回のリクエストで返される最大レコード数
  • メタデータ レベル
  • 許可されたフィールド
  • リクエストあたりの最大ダウンロード数

イメージ サービスに対して新たにサポートされる操作

イメージ サービスは拡張されて、より多くの操作が可能になりました。[イメージのエクスポート] ではモザイクの規則とプロパティを指定できます。さらに、クエリ、個別属性表示、ダウンロードも追加されています。

ネットワーク解析サービスによる 3 つの新しい解析の公開

3 つの新しい Network Analyst 解析が、SOAP API、Web ADF、ArcObjects API を通して公開されています。これらの解析は以下のとおりです。

  • OD コスト マトリックス解析
  • 配車ルート(VRP)解析
  • ロケーション-アロケーション解析

ジオコード サービスによる 1 行形式の住所のサポート

ArcGIS ジオコーディングでは、「300 peachtree st nw atlanta ga」のように、住所を 1 行の文字列で入力できるようになりました。この拡張は、REST API を含むジオコード サービスを通して公開されます。

OGC サービスのその他の拡張

ArcGIS Server 10 で拡張された Open Geospatial Consortium(OGC)サービス(WMS、WFS、WCS)のサポート内容は、以下のとおりです。

  • WMS GetFeatureInfo リクエストから返された情報に特定のスタイル テンプレートを適用できます。
  • 公開者がより多くの CRS 情報をサービス構成 ファイルに追加できるようになりました。この情報は、サーバに読み取られ、「ケーパビリティ」応答の一部として表示されます。
  • 名前文字列を使用して、WMS レイヤが参照できるようになりました。この文字列は、マップのコンテンツ ウィンドウ内で使用されているレイヤ名と一致する必要があります。これまでは、ArcGIS Server によって公開された WMS サービスのレイヤには、コンテンツ ウィンドウ内のレイヤの位置を表す 0 から始まる整数を使用してアクセスしていました。
  • WMS GetMap リクエストでスタイルを指定できるようになりました。これにより、SLD 情報を SLD ファイルに保持するのではなく、「動的に」送信できるようになりました。
  • イメージ サービスがモザイク データセットに基づいている場合、WCS/WMS を使用して個々の画像にアクセスできるようになりました。ArcGIS を使用して、ベース WMS の URL に個々の画像の /RasterID を追加した URL を入力すると、その画像だけの WMS/WCS サービスを取得できます。これにより、大きなカタログ内にある画像に個別にアクセスできるようになりました。これによる大きな利点は、画像のカタログが各画像の個別の URL を返すことができることです。これには、多くの用途があります。たとえば、衛星画像のサービスにおいて、1 つの画像だけの WMS/WCS が欲しい場合などがあります。
  • WFS サービスが、ソース MXD からのエイリアス、フィルタ設定、およびフィールド表示設定を適用できるようになりました。
  • ラスタ シンボライザで SLD がサポートされるようになりました。

マップ キャッシュ

このセクションでは、マップ キャッシュに対する改善点を紹介します。マップ キャッシュとは、Web マップを高速表示するために、タイル分割されたマップ イメージの大きな塊を事前に生成するプロセスのことです。

コンパクト キャッシュの格納形式

各タイルを別々のファイルとして格納するのではなく、複数のタイルを大きなバンドル ファイルにグループ化する、コンパクト キャッシュ形式を使用できるようになりました。コンパクト キャッシュは、従来のエクスプロード キャッシュよりも少ない数のファイルで全体を構成し、より少ないディスク領域を使用します。コンパクト キャッシュは、コンピュータ間でよりすばやく移動できるため、ステージング環境とプロダクション環境の間でキャッシュをコピーするときに便利です。

混合モード キャッシュ

混合モード キャッシュでは、1 つのキャッシュ内でさまざまなイメージ形式のタイルを使用できます。これは、ラスタ キャッシュを別のラスタ キャッシュの上に表示する場合に役立ちます。タイルの一部が透過表示される必要のあるキャッシュの外周には PNG32 を使用し、キャッシュの中央ではタイルに JPEG を使用して、相対的にファイル サイズを低く抑えることができます。

キャッシュのラスタ データセットとしての使用

[データの追加] ボタンを使用して、キャッシュをラスタ データセットとして ArcMap または ArcGlobe に直接追加することができます。ディスク上のキャッシュ ディレクトリの位置を選択して、他のデータセットと同じように、キャッシュを追加します。このオプションでは、基となるマップ サービスとの依存性が無い状態でキャッシュが追加されます。

共同作業可能なキャッシュ構築ツールの追加

キャッシュ タイルをキャッシュ ディレクトリからインポートしたりエクスポートする新しいツールが追加されています。これにより、同じタイル スキーマを使用する複数の組織および部署間のネットワークにおいて、より簡単にキャッシュを共同で構築できるようになりました。

ArcGIS Server の分散環境でのキャッシュの高速化

コンパクト格納形式のマップ キャッシュ上で多くの SOC コンピュータが動作している場合、タイルをサーバ上のローカル キャッシュ ディレクトリに書き込むという新しいオプションを選択できるようになりました。これを使用すると、最初に(コンパクト バンドル形式の)タイルをローカルに書き込んでから、完了時にそのバンドルを共有キャッシュ ディレクトリにコピーすることで、パフォーマンスが向上します。このアプローチは、全てのコンピュータがタイルを共有キャッシュ ディレクトリに直接書き込む場合よりも高速です。

デフォルトのタイル サイズの 256 x 256 への変更

デフォルトのタイル サイズが 256 x 256 に変更されました。これは、Google マップや Bing Maps によって使用されるタイル サイズに対応するものです。

ArcGIS Explorer および ArcGlobe によるマップ キャッシュの直接描画

ArcGIS Online、Google マップ、または Bing Maps のタイル スキーマで 2D キャッシュを構築するとき、キャッシュはグローブ キャッシュを使用する場合と比べてより高速に ArcGIS Explorer および ArcGlobe による 3D モードで直接描画できます。これにより、1 つのキャッシュのみを維持しながら、2D モードと 3D モードの両方の ArcGIS Explorer ユーザにサービスを公開できます。

REST API

このセクションでは、REST API の主な新機能について説明します。これらの変更点の多くは、ArcGIS APIs for JavaScript、Flex、および Silverlight からアクセスできます。すべての新機能のリストについては、REST API のオンラインの「新機能」ページを参照するか、ArcGIS Services Directory を開いて右上隅にある [API リファレンス] をクリックしてから、[What's New] をクリックします。

AMF 出力形式のサポート

ArcGIS 10 の REST API は、出力形式として Action Message Format(AMF)をサポートします。AMF は、Flash クライアントが直接読み取ることのできるバイナリ形式です。AMF を使用すると、クエリやジオプロセシングの結果を読み取るパフォーマンスが向上します。

最寄り施設と到達圏のネットワーク解析のサポート

ArcGIS Server のネットワーク解析サービスを使用して、REST を通じて最寄り施設と到達圏の解析を実行できるようになりました。

REST でのマップ サービスが利用できるサーバ オブジェクト エクステンション

サーバ オブジェクト エクステンションを利用すると、カスタム ArcObjects コードを通してサービスの基本機能を追加できます。ArcGIS 10 では、REST を通じてサーバ オブジェクト エクステンションの機能を公開できるようになりました。これは、マップ サービスでのみ利用可能です。サーバ オブジェクト エクステンションを構築するには、ArcObjects SDK をインストールする必要があります。

座標系での WKT のサポート

WKT(Well-known text)は、座標系を指定するための有効な形式としてサポートされるようになりました。これまでは、座標系は、REST API で数値 ID によってのみ指定できました。これからは、特別な形式のテキスト文字列を使用して座標系を示すことができ、中央子午線や標準緯線のようなカスタマイズされたプロパティを許可するようになりました。

REST 管理キャッシュのプログラムでのクリア

ArcGIS Server は、REST API の使用時のパフォーマンスを向上するために、サービス情報のキャッシュを保持しています。このキャッシュは、新しいサービスや削除されたサービスなどの変更を検出するために、時々クリアする必要があります。これからは、開発者が REST API を使ってプログラムでキャッシュをクリアできるようになりました。これにより、サービスが更新されたら、即座に最新情報に更新できるようになりました。

Web アプリケーション

ArcGIS Server 10.0 には、GIS サービスを利用する Web アプリケーションの作成に使用できる、新しいオプションがあります。

いつでも利用可能な Web アプリケーション

ArcGIS.com マップ ビューアと ArcGIS Explorer Online はいつでも利用可能な Web アプリケーションで、対話型のマップを構築し、他のユーザと共有することができます。ベースマップを選択し、対象エリアを見つけたら、情報レイヤを追加します。これらのレイヤは、ArcGIS.com、自分の ArcGIS Server、またはその他の公開されている ArcGIS Server から取得することができます。マップの構築が終了したら、調整して個人のワークスペースに保存し、他のユーザと共有することができます。

上記にリストした、いつでも利用可能な Web アプリケーションについては、以下のリンクを参照してください。

Creating maps(ArcGIS.com マップ ビューアを使用したマップの作成)

Exploring the world of maps with ArcGIS Explorer Online(ArcGIS Explorer Online を使った地図の世界の探索)

構築可能な Web アプリケーション

ArcGIS には、ArcGIS Viewer for Flex および ArcGIS Mapping for SharePoint の 2 つの構成可能な Web アプリケーションがあり、無料でダウンロードできます。

ArcGIS Viewer for Flex

ArcGIS Viewer for Flex は、ArcGIS API for Flex で構築された構成可能な Web アプリケーションです。これをカスタマイズするだけで、独自の GIS 対応 Web アプリケーションを迅速に、プログラミングなしで作成できます。ArcGIS Server および ArcGIS Online Web サービスを使用するように設計されており、Web 編集や時系列データのサポートといった、ArcGIS Server 10 で提供される新機能を完全にサポートします。

詳細については、ArcGIS Resource Center の「ArcGIS Viewer for Flex」ページをご参照ください。

ArcGIS Mapping for SharePoint

ArcGIS Mapping for SharePoint は、Microsoft SharePoint のフレームワークを利用し、対話的で構成可能なマッピング コンポーネントを提供します。このマッピング コンポーネントは、ArcGIS Online、ArcGIS Server、または Bing Maps ベースマップ上で ArcGIS Server マップ サービスや SharePoint リストに格納された ジオグラフィック データを操作するために使用できます。

詳細については、ArcGIS Resource Center の「ArcGIS Mapping for SharePoint」ページをご参照ください。

ArcGIS Web API の新しいバージョンのリリース

Esri が提供する新しいバージョンの ArcGIS Web API では、編集、到達圏、最寄り施設、時間対応レイヤ、ジオメトリ サービスのユニオン、ジェネラライズといった、ArcGIS Server 10 で使用可能な新機能を利用します。

ArcGIS Web API では、GIS サービスによって強化される、機能満載のインターネット アプリケーションを構築できます。これらについては、概念ヘルプ、サンプル、および API リファレンス トピックに詳しくドキュメント化されており、どの API も同等な機能が得られるように設計されているので、対象のプラットフォームの中からプログラミングに最も快適なものを選択するとよいでしょう。

ArcGIS Server 10 の Web API の新機能については、以下のリンクをご参照ください。

ArcGIS API for JavaScript の新機能

ArcGIS API for Flex の新機能

ArcGIS API for Microsoft Silverlight/WPF の新機能

Applications Manager と Web ADF

このセクションでは、Applications Manager または Web Application Developer Framework(ADF)のいずれかで構築される Web マッピング アプリケーションの改善点をリストします。

データ ソースとしての ArcWeb Services の削除

ArcWeb Services 製品ラインの廃止に伴い、ArcWeb Services を利用するお客様に ArcGIS Server および ArcGIS Online 機能への移行を推奨しています。このため、Web ADF アプリケーションのデータ ソースとしての ArcWeb Services は削除されました。

場所検索タスクの削除

ArcWeb Services に依存する場所検索タスクは、Web ADF から削除されました。住所検索タスクまたは属性検索タスクで同様の機能を実行できます。

Esri は、Web アプリケーションに地名検索機能を追加できるジオコード サービスを、ArcGIS.com 上で利用できるようにしています。世界中の 600 万を超える場所のジオデータベースが、ロケータによって参照されます。

ジオコード サービスへの REST URL リンクは以下のとおりです。

http://sampleserver1.arcgisonline.com/ArcGIS/rest/services/Locators

このリンクから Services Directory に移動し、サービスの詳細を閲覧できます。この URL を使用して、REST ベースの Web アプリケーション(たとえば ArcGIS JavaScript API や ArcGIS API for Flex で構築されたアプリケーション)からサービスにアクセスすることができます。

Manager でジオコード サービスに接続し、それを住所検索タスクのサポート サービスとして使用することができます。これを行うには、ArcGIS Server インターネット接続に http://sampleserver1.arcgisonline.com/arcgis/rest/services を追加し、Locators フォルダのサービスを参照する必要があります。

印刷タスクでの縮尺または範囲の保持

.NET Web ADF の印刷タスクに、ページを印刷するときにマップの縮尺または範囲を保持するかどうかを選択できるようにするオプションが追加されました。印刷タスクは、印刷用としてより高解像度のマップをリクエストするため、常に縮尺と範囲の両方を保持できるわけではありません。

Manager でのマップ リソースの拡大鏡設定

Manager で .NET Web アプリケーションを作成するときに、[拡大鏡] ツールで表示されるレイヤを選択できるようになりました。ArcGIS Server 10 より前は、このプロパティは Visual Studio でしか変更できませんでした。

ポイントの結果を拡大表示するときの拡大率の設定

Manager で .NET Web アプリケーションに追加したタスクを使用すると、結果にズームできます。結果にポリゴン、ライン、またはマルチポイントが含まれている場合、拡大率は簡単に計算できます。単一ポイントの結果の適切なズーム率を決定することは多少困難ですが、Manager で結果が単一ポイントである場合の拡大率を制御できるようになりました。

Web マッピング アプリケーションに追加されたズーム用のツール

Manager を使って作成する .NET Web マッピング アプリケーションには、ズームのための 2 つの新しいツールが含まれています。1 つは特定の縮尺にズームするツールで、もう 1 つは指定した XY 座標にズームするツールです。

ESRI.ArcGIS.Server.WebControls アセンブリの削除

9.2 リリースよりも前の .NET Web ADF のアーキテクチャを示す ESRI.ArcGIS.Server.WebControls アセンブリが削除されました。このアセンブリは、新しいアーキテクチャへの移行を容易にする目的で、9.2 および 9.3 でも提供されていたものです。現行および最新のアーキテクチャでは、以前のアーキテクチャで利用できたすべての機能が提供されます。

Amazon EC2 への導入

ArcGIS Server は Amazon Machine Image(AMI)として Esri から入手できます。これにより、ArcGIS Server を Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)に導入できるようになりました。ArcGIS Server をクラウドに導入する際にインストールとポストインストールが実行されるため、セットアップの多くの作業が不要になります。また、Amazon から入手できるさまざまな仮想コンピュータの仕様から選択して、支払いは必要なハードウェアだけにすることができます。最後に、クラウド内で動作する場合、需要に応じて導入のサイズを迅速に変更できます。


3/6/2012