DB2 のジオデータベースをアップグレードする準備
ジオデータベースを含め、エンタープライズ システムをアップグレードする場合は、まず計画を立てます。開発サーバまたはテスト サーバで新しいバージョンをテストして、すべてのクライアント アプリケーションで動作することを確認します。
新しいシステムが想定したとおりに機能することが確認できたら、アップグレードのスケジュールを設定します。アップグレードに必要な人員を確保し、各担当者が割り当てられたタスクを実行するために必要な権限を持っていることを確認します。
- ArcSDE 9.2、9.3、または 9.3.1 ジオデータベースから ArcSDE 10 には直接アップグレードできます。お使いのジオデータベースがリリース 9.1 以下の場合は、まずサポートされているリリースにアップグレードしてから、ArcSDE 10 にアップグレードしてください。
- ソフトウェアのベータ バージョンからのアップグレードはサポートされていません。
- ジオデータベースがレプリカの一部である場合、親と子の両方のジオデータベースをアップグレードしてから同期させる必要があります。
- ジオデータベースを以前のバージョンにダウングレードするための正式のメカニズムはありません。ジオデータベースを新しいバージョンにアップグレードした後でダウングレードする必要が生じた場合は、旧版のデータベースをバックアップから復元する必要があります。
- ジオデータベースをいったんアップグレードすると、以前のバージョンの ArcGIS では開けなくなります。これは、旧バージョンの ArcGIS では、新しいバージョンのジオデータベースを読み込めないためです。
DB2 でジオデータベースをアップグレードする前には、次の手順を実行する必要もあります。
- ArcGIS Resource Center で ArcGIS Server のシステム要件をチェックして、ご使用のシステムが最小要件を満たしていることを確認します。
- データベースのバックアップを作成します。
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DB2 パラメータ DB2_SNAPSHOT_NOAUTH は非推奨になりました。sde ユーザは、PROCESS_INFORMATION システム テーブルから不要な ArcSDE プロセスを取り除くために、DB2 スナップショット API にアクセスする必要があります。したがって、sde ユーザが DB2 スナップショット API にアクセスできるようにするために、SYSMON 権限のあるオペレーティング システム グループに sde ユーザを追加する必要があります。
たとえば、sde ユーザを含む sdegroup というグループを定義する場合、次のコマンドを使用して、SYSMON_GROUP インスタンス パラメータの値を sdegroup に設定できます。
UPDATE DBM CFG USING SYSMON_GROUP sdegroup db2stop db2start
注意:この権限を付与しないと、アップグレードが失敗します。
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ArcSDE 9.2 ジオデータベースからのアップグレードを行う場合、DB2HOME sqllib\function および sqllib\function\unfenced ディレクトリから、sdesrvsp ファイルと sdesrvfn ファイルを削除します。
ArcSDE 9.3 以降のリリースのジオデータベースでは、sdesrvsp ファイルと sdesrvfn ファイルは必要ありません。UNIX または Linux 上の DB2HOME\sqlllib\function および sqlllib\function\unfenced ディレクトリから sdesrvsp および sdesrvfn へのリンクが削除できるのは、9.3 以降へのアップグレードが正常に完了した後のみです。
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データベース管理者が SYSIBM.SYSDUMMY1 カタログ ビューで SELECT 権限を取り消した場合、その管理者は PUBLIC に対してこの権限を再度割り当てるか、DB2 で ArcSDE ジオデータベースに接続するすべてのユーザにこの権限を付与する必要があります。この権限はデータベースに対する SQL クエリで必要です。
このカタログ ビューでユーザが SELECT 権限を持っていない場合、接続しようとすると次のようなエラーが表示されます。
SQL0551N "ANYA" does not have the privilege to perform operation "SELECT" on object "SYSIBM.SYSDUMMY1". SQLSTATE=42501
このビューの SELECT 権限を PUBLIC に割り当てるには、DBADM 権限を持つユーザとしてログインして、次のコマンドを実行します。
GRANT SELECT ON SYSIBM.SYSDUMMY1 TO PUBLIC;
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データベースを最初に DB2 UDB 7.2 で作成し、その後アップグレードした場合、DB2 db2updv8 コマンドを実行することで、DB2 システム カタログを更新する必要があります。
そうでない場合、ArcSDE ジオデータベースのアップグレード時に、次のようなエラー メッセージが表示されます。
ERROR in creating system functions. DBMS error code: -440 [IBM][CLI Driver][DB2/NT] SQL0440N No authorized routine named "APPLICATION_ID" of type "FUNCTION" having compatible arguments was found. LINE NUMBER=1. SQLSTATE=42884 42884 SDE release upgrade not completed(-1). ERROR installing/upgrading ArcSDE, Error = -1
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ArcGIS の外部で、ArcSDE ジオデータベース システム テーブルへ追加したカスタム機能(トリガや追加のインデックスなど)をすべて削除します。
アップグレード手順では、システム テーブルに対して行ったカスタマイズは認識されません。このようなカスタマイズによってシステム テーブルのスキーマ変更が妨げられた場合、アップグレードが失敗します。
- ArcSDE 管理者(sde)に、データベースの DBRAM 権限を付与します。これは、ジオデータベースをアップグレードするために必要です。
- IBM AIX ユーザのみの処理:AIX にインストールする場合、ArcSDE のアップグレードまたはインストールを行う前に slibclean を実行して、アクティブでないライブラリをメモリから削除することをお勧めします。現在の ArcSDE サービスを停止して、ルート ユーザとして slibclean を実行します。slibclean コマンドの詳細については、AIX システム管理者用のマニュアルをご参照ください。
- この時点で、データベースの 2 つめのバックアップを作成し、これまでの手順で実行した変更内容を保存しておくことをお勧めします。
- アップグレードを実行するためのジオデータベースに直接接続できるコンピュータ上に、最新リリースの ArcGIS クライアント(ArcGIS Desktop の ArcEditor または ArcInfo、ArcGIS Engine Runtime と Geodatabase Update エクステンション、または ArcGIS Server Standard または Advanced)をインストールします。
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アップグレードに使用する ArcGIS クライアントのインストールされているコンピュータ上で、DB2 クライアントがインストールおよび設定されていることを確認します。
アップグレードするにはジオデータベースへのダイレクト コネクションが必要なので、この手順は必須です。詳細については、「DB2 へのダイレクト コネクションの設定」をご参照ください。
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ジオデータベースに接続しているユーザがいないことを確認します。
接続の有無は sdemon コマンドを使用して確認できます。手順については、「接続されているセッションの表示」をご参照ください。
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sdemon -o shutdown コマンドを使用して、実行中の ArcSDE サービスをシャットダウンします。または、Windows サーバ上でサービスが実行中の場合は、sdemon コマンドを使用する代わりに、Windows サービス インタフェース上でサービスを停止できます。
sdemon コマンドについての詳細は、『ArcSDE コマンド リファレンス』をご参照ください。
- ArcSDE の古いリリースをアンインストールします。手順については、「ArcSDE の Windows からのアンインストール」または「ArcSDE の Linux または UNIX からのアンインストール」をご参照ください。
- Windows で、ArcSDE サービスを実行中の場合は、アンインストールの過程で削除するように求められます。新しいリリースの ArcSDE をインストールする場合は、[はい] をクリックしてサービスを削除します。サービス パックまたはパッチをインストールする場合は、サービス パックまたはパッチの手順でサービスを再作成するように指定されていない限り、[いいえ] をクリックしてサービスを再利用することができます(たとえば、サービス パックまたはパッチがサービスの機能の一部を修正している場合は、再作成が必要になる可能性が非常に高くなります)。
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ArcSDE の新しいリリースをインストールします。
Windows オペレーティング システムでは、ポスト インストール ウィザードを実行しないでください。ポスト インストール ウィザードは新しいインストール専用です。
これで、ジオデータベースをアップグレードする準備ができました。ArcGIS Desktop の [ジオデータベースのアップグレード(Upgrade Geodatabase)] ツール、または ArcGIS クライアント コンピュータで実行する Python スクリプトを使用できます。