ArcSDE サービスのトラブルシューティング

ArcSDE サービスの起動に関連する問題のほとんどは、システム環境の問題により発生します。多くの場合は、ソフトウェアのインストールまたは設定時に、重要な手順を実行しなかったことが原因です。

以下のトラブルシューティングのヒントでは、何種類かの管理コマンドに言及しています。これらのコマンドを使用する方法については、『ArcSDE コマンド リファレンス』をご参照ください。

giomgr の終了コードについては、ArcSDE Developer ヘルプをご参照ください。ArcSDE Developer ヘルプは、ArcSDE インストール メディアおよび「ジオデータベース Resource Center」サイトからご利用いただけます。

問題の特定

UNIX サーバでの ArcSDE サービスのトラブルシューティング

システム パス変数の問題

システム パス変数が正しく設定されていない、またはまったく設定されていない場合、次のエラーが発生する可能性があります。ArcSDE のインストール ガイドで、ArcSDE 製品のパス変数を設定する方法を確認してください。

ArcSDE サービスが起動済みの場合

ArcSDE サービス ライセンスがインストールされていない場合、アプリケーション サーバは起動しません。sdemon -o update_key 管理コマンドを使用して、ライセンスをインストールする必要があります。有効なライセンスの取得については、Esri カスタマー サポートまでお問い合わせください。

入出力(I/O)マネージャがすでに起動している場合には、次のメッセージが表示されます。

SDE Already Running
ArcSDE server license has not been installed

一時ファイルの権限の問題

ArcSDE の一時ファイルが存在し、それらの所有者が ArcSDE 管理者でない場合には、次のエラー メッセージが表示されます。

ERROR: Cannot Initialize Shared Memory (-79)
Delete /tmp/<service name> and /tmp<service
name>.lock if present.
Could not start ArcSDE - Check Network,
$SDEHOME disk, DBMS settings and dbinit.sde.

このエラーを修正するには、一時ファイル /tmp/<サービス名> および /tmp/<サービス名>.lock を削除します。たとえば、サービス名が ESRI_sde の場合は、/tmp/ESRI_sde ファイルと /tmp/ESRI_sde.lock ファイルを削除します。これらのファイルを削除するには、root ユーザとしてログインしなければならない場合があります。

ファイルが /tmp から削除されている場合

ArcSDE サービスが起動された後、/tmp ディレクトリに格納されていたファイルが削除された場合、ArcSDE サービスはユーザが接続または切断に失敗します。ArcSDE サービスは、/tmp ディレクトリに作成される UNIX ソケット プロトコル ファイルを使用します。原則として、/tmp ディレクトリのファイルは削除しないでください。ただし、どうしても削除しなければならない場合は、その前に ArcSDE サービスを終了してください。この方法の詳細は、「Linux または UNIX でのローカル ArcSDE サービスの停止」「Windows でのローカル ArcSDE サービスの停止」「リモート ArcSDE サービスの停止」をご参照ください。

DBMS に関連する問題

Solaris サーバでの SE_OUT_OF_MUTEXES (-109) エラー

Solaris オペレーティング システムでは、ArcSDE が使用する POSIX 共有セマフォを実装するファイルを使用します。オペレーティング システムがクラッシュした、または停電が発生した後にこれらのファイルが残っていると、問題の原因になることがあります。これらのファイルの場所は、Solaris オペレーティング システムによって制御されます。これらのファイルは、次に示すように、/tmp または /var/tmp ディレクトリにあります。

/tmp/.SEMD/
SDE_9.0_<instance>_iomgr_shared_semaphore
/tmp/.SEML/
SDE_9.0_<instance>_iomgr_shared_semaphore

または

/var/tmp/.SEMD/
SDE_9.0_<instance>_iomgr_shared_semaphore
/var/tmp/.SEML/
SDE_9.0_<instance>_iomgr_shared_semaphore

オペレーティング システムがクラッシュした後、ArcSDE サービスを起動しようとして「-109」エラーが発生した場合は、おそらく 2 つの共有セマフォ ファイルが存在することが原因です。/tmp または /var/tmp ディレクトリでこれらのファイルが見つかった場合は、それらを削除してから、再度 ArcSDE サービスを起動してください。

Windows サーバでの ArcSDE サービスのトラブルシューティング

次に、Windows での ArcSDEサービス の起動時によく発生するエラーと、それらのエラー番号、発生する場所、考えられる原因を示します。

997 Error starting esri_sde service

このエラーは、ArcSDE のインストールまたは設定が正しくない、または完了していない場合に発生する可能性があります。

"ESRI_sde service failed during initialization. 
Please check event log or error log files. 
Error starting ESRI_sde service(997) 
Could not start ArcSDE — Check Network, $SDEHOME disk, DBMS settings"

解決策:

1068 Dependency failure

ArcSDE サービスの接続先の DBMS が見つからないことを意味します。主な原因は次のとおりです。

DBMS サーバが存在し、サービスが起動され、DBMS コネクション情報が正しいことを確認します。それでも問題が解決されない場合は、sdeservice コマンドを使用して、ArcSDE サービスをいったん削除してから再作成してください。

1069 Login failure

このエラーは一般に、ArcSDE サービスを起動した Windows ユーザが Administrators または Power Users グループに属していないことを意味します。また、パスワードが正しくない可能性もあります。

ArcSDE サービスの起動にシステム管理者アカウントを使用しない場合は、そのユーザ アカウントが Administrators または Power Users グループのメンバであることを確認してください。

1072 Registry was busy

レジストリの ArcSDE サービスのエントリに問題があります。おそらく、sdeservice コマンドが delete オプションで実行されたか、サービスがレジストリ エディタで開かれていることが原因です。あるいは、OLE DB(Object Linking and Embedding Database)プロバイダに問題があることも考えられます。OLE DB プロバイダの適切なバージョンのインストール ガイドをご参照ください。

1075 Service dependency deleted

ArcSDE サービスが接続先の DBMS サービスを特定できないことを意味します。DBMS サービスが存在し、起動していることを確認してください。それでも問題が解決されない場合は、sdeservice コマンドを使用して、ArcSDE サービスをいったん削除してから再作成してください。

2140 Internal Windows error

ArcSDE サービスが起動プロセスを完了できないことを意味します。エラー ログ ファイル(%SDEHOME%\etc\sde_<sde インスタンス>.log)で、ArcSDE サービスが起動できない原因の手がかりがないか調べてください。

原因として考えられるものとその解決策

An error was encountered while running ArcSDE Post Installation.Operation Failed, Unable to start iomgr.DBMS error code: 2714

このエラーは、サービスが作成されていて一度サービスの起動を試みた後に、ポスト インストール ウィザードを使用してサービスを起動しようとしたときに SQL Server データベースで発生する可能性があります。

原因としては、ジオデータベースの名前が変更されていることが考えられます。この状況は、現在のデータベースをバックアップし、リストアをテストするために、同じ SQL Server インスタンスに異なる名前でリストアした場合に発生します。

いったん作成した ArcSDE ジオデータベースの名前を変更することは不可能です。元のデータベースの名前は、データベース オブジェクトにハードコーディングされています。ストアド プロシージャを使用してデータベースの名前を変更した、またはデータベースを異なる名前でリストアした場合、そのデータベースの ArcSDE サービスは起動しなくなります。

解決策:

次の手順に従って、データベースを元の名前に戻します。

  1. 変更するサービスを終了します。
  2. SQL Server Management Studio で次のクエリを実行します。

    ALTER DATABASE <データベースの名前> MODIFY NAME = <新しいデータベースの名前> 同じ名前のデータベースがすでに存在する場合は、パスを変更する必要があります。テスト用にデータベースを複製することが目的だった場合は、新しいデータベースを新しい名前で作成しなければなりません。ArcSDE のポスト インストール ウィザードは、リポジトリの設定、ソフトウェアの認証、サービスの作成に使用するものです。新しいデータベースを作成したら、ArcCatalog で元のデータベースのデータをコピーすることができます。

gsrvr.exe - DLL Initialization Failed or gsrvr.exe - Application Error:The application failed to initialize properly

Windows では、ArcSDE サービスは非対話型デスクトップとして起動します。非対話型デスクトップに割り当てられるヒープ メモリの最大サイズは、SharedSection という名前の Windows 初期化パラメータによって制限されます。このエラー メッセージが返された場合は、SharedSection パラメータを変更する必要があります。

また、SERVER_CONFIG テーブルの CONNECTIONS パラメータは、単一の ArcSDE サービスで許可される同時接続の最大数を制限しますが、このパラメータの値も増やす必要があります。


3/6/2012