ラスタ表示オプションのデフォルト設定

ラスタ データの表示を変更するオプションをいくつか定義することができます。これらのオプションは、すべての ArcGIS プログラムに使用されます。これにより、手間を省き、ラスタ データを一貫して表示することができます。どの ArcGIS Desktop アプリケーションでも、メイン メニューの [カスタマイズ] → [オプション](たとえば、[ArcMap オプション])をクリックして、[オプション] ダイアログ ボックスにアクセスできます。ラスタ データを操作するパラメータは、[ラスタ] タブにあります。次に、[オプション] ダイアログ ボックスの [ラスタ] タブの例を示します。

[オプション] ダイアログ ボックスの [ラスタ] タブ

ラスタ オプションは、[デフォルト RGB バンドの割り当て]、[ラスタ データセット]、[ラスタ カタログ]、[ラスタ レイヤ]、および [モザイク データセット] の 5 つのグループに分かれています。

デフォルト RGB バンドの割り当て

[デフォルト RGB バンドの割り当て] では、マルチバンド ラスタ データを開くときに特定の表示色を割り当てるためのデフォルト バンドを選択することができます。デフォルトでは、このバンドは RGB コンポジット レンダラを使用して適用されます。このレンダラは、赤、緑、青のコンポジットを表示するために使用されます。

ArcGIS では、3 バンド ラスタや 4 つ以上のバンドを持つラスタ データセットのデフォルト RGB 割り当てを設定することができます。これらのデフォルト設定は、表示するすべての種類のラスタ レイヤに使用されます。ただし、挿入されたピクチャには適用されません。

マルチバンド ラスタを表示するためのデフォルト バンドの設定についての詳細

[ラスタ データセット] タブ

[ラスタ データセット] タブでは、次に示す 6 種類のデフォルトを設定することができます。

デフォルトのピラミッド構築オプションでは、ピラミッドを持たないラスタ データセットに対して、表示の前にピラミッドを構築するかどうかを選択することができます。この設定には、常にピラミッドを構築する、ピラミッドを構築しない、またはピラミッドを構築するかどうかを選択するプロンプトを表示する(デフォルト)の 3 つのオプションがあります。

[ファイル フォーマット] ボタンを押すと、[ラスタ ファイル フォーマット プロパティ] ダイアログ ボックスが開きます。このダイアログ ボックスでは、ArcGIS が読み取って表示するラスタ ファイル フォーマットを選択できます。ラスタ ファイル フォーマット プロパティについての詳細は、「特定のラスタ形式を表示する」をご参照ください。

[ワールド ファイルを使用してラスタの座標値を定義する] チェックボックスを使用して、ラスタ データの地理座標を関連したワールド ファイルから読み取るかどうかを選択することができます。ArcGIS のデフォルト設定では、ヘッダー ファイル、補助ファイル、またはラスタ ファイル形式(GeoTIFF など)からジオリファレンス情報を読み取ります。ジオリファレンス情報がない場合は、ワールド ファイルが使用されます。ワールド ファイルをヘッダー情報または補助ファイルよりも優先したい場合は、このチェックボックスをオンにします。

[サブデータセット選択のメッセージ] チェックボックスでは、サブデータセットを含む HDF ファイルまたは NITF ファイルを追加したときに [サブデータセットの選択] ダイアログ ボックスを表示するかどうかを選択することができます。[サブデータセットの選択] ダイアログ ボックスでは、ArcMap に追加するサブデータセットを選択することができます。チェックボックスがオンになっていない場合、ダイアログ ボックスは表示されず、最初のサブデータセットのみが追加されます。適切なサブデータセットを追加できるようにするために、このチェックボックスをオンにすることをお勧めします。

[タイル分割された TIFF の作成] チェックボックスでは、ピクセルのストリップをタイル状に並べて配列した TIFF を作成するかどうかを選択できます。このチェックボックスをオンにすると、ピクセルをタイル状に配列した TIFF ファイルが作成されます。このチェックボックスをオフにすると、データのストリップごとにピクセルを配列した TIFF ファイルが作成されます。

[レンダリングする個別値の最大数] では、個別値レンダラによってレンダリングされるラスタ データセットに含まれる固有値の数を制限できます。デフォルトでは、固有値の最大数は 65,536 です。これより多い固有値を使用する場合はこのデフォルト値を増やすことができますが、値を増やすと固有値を表示するための計算にかかる時間が長くなるので注意してください。

[ラスタ カタログ] タブ

[ラスタ カタログ] タブでは、次に示す 4 種類のデフォルトを設定することができます。

ラスタ オプションと [ラスタ カタログ] タブ

デフォルトでは、表示ウィンドウにラスタ カタログのアイテムが 10 個以上ある場合にワイヤフレームで表示されます。ラスタ カタログが非常に大きいと各データセットのレンダリングに時間がかかることがあるので、すべてのラスタ データセットを表示する代わりにワイヤフレームが表示されます。(ワイヤフレームではなく)実際のラスタ カタログのアイテムをデフォルトで表示したい場合は、チェックボックスをオンにしてください。

ワイヤフレームを使用せずに描画すると、すべてのラスタを表示するためにかかる時間が非常に長くなることがあります。このため、表示されるラスタの数を制限できます。このためには、[描画する最大ラスタ数] テキスト ボックスに値を入力します。この数までのラスタが表示され、残りはワイヤフレームとして表示されます。

透過表示割合の設定では、カタログ内で選択したラスタ データセット アイテムを透過表示するレベルを選択することができます。ジオデータベース ラスタ カタログでは、選択セットに処理を実行することができます。選択したラスタ データセット アイテムはハイライト表示されます。ラスタ データセット アイテムを表示すると、選択したラスタに透過表示レベルが適用されます。

[カラー マッチングをするラスタの最大数] 一度にカラー マッチングできるラスタ データセットの最大数をテキスト ボックスで指定することができます。カラー マッチングは計算上の負荷がかかることがあるため、カラー マッチングの対象になるラスタ データセットの数を制限できます。デフォルトでは最大数は 200 に設定されています。

[ラスタ レイヤ] タブ

[ラスタ レイヤ] タブでは、次に示す 4 種類のデフォルトを設定することができます。

ラスタ オプションと [ラスタ レイヤ] タブ

リサンプリングは、ラスタ データからセル値を外挿してビューに表示する処理です。セル値が表示処理中に再投影される際に、座標系の変換が行われる場合があります。基本的には、リサンプリングにより、ラスタ データの表示方法が変化します。[表示時のリサンプリング方法] オプションによって、デフォルトで使用されるリサンプリング手法を設定できます。

表示のリサンプリングの詳細

ラスタ データセットの背景は、特定の色で表示することも、透過表示にすることもできます。これにより、背景を非表示にしたり、目立たせたりすることができます。特定の色で背景値を表示する場合は、チェックボックスをオンにしてから、背景値と色を指定します。通常、背景色は透明に設定されるので、背景は非表示になります。

NoData 色を使用すると、NoData 値を非表示にしたり、目立たせたりすることができます。通常、NoData 色は透明に設定されるので、NoData 値は非表示になります。

デフォルトでヒストグラム ストレッチを定義すると、ラスタ データを表示する際の見栄えを良くすることができます。通常使用しているラスタ データにはストレッチを設定する必要がない、またはすでにストレッチが設定されていてコントラスト調整を別途行う必要がない場合には、[ストレッチ タイプ] を [なし] に設定できます。[標準偏差] または [割合クリップ] のどちらかのストレッチ タイプを選択した場合は、適用する値を指定することもできます。[画像解析] ウィンドウのオプションを編集することによって、これらのデフォルト値を変更することもできます。

ヒストグラム ストレッチの詳細

[モザイク データセット] タブ

[モザイク データセット] タブでは、ArcGIS Desktop アプリケーション内でモザイク データセットがレイヤとして追加されるときにモザイク データセットのレイヤがどのように表示されるかについて、デフォルトを設定できます。デフォルトでは、モザイク データセットは境界、フットプリント、およびイメージの各レイヤを含む、カスタマイズされたグループ レイヤとしてコンテンツ ウィンドウに追加されます。展開表示を選択すると、モザイク データセット内にあるすべてのサブレイヤが表示されます。オプションで、これらのレイヤをデフォルトで表示するかどうかを選択できます。

モザイク データセット レイヤのオプション

7/10/2012