モザイク データセットとは

モザイク データセットを使用することにより、小規模から大規模のラスタおよび画像データのコレクションを格納、管理、表示、検索できます。モザイク データセットは、カタログとして保存され、モザイク画像として表示されるラスタ データセット(画像)のコレクションを管理するために使用する、ジオデータベース内のデータ モデルです。モザイク データセットには、ラスタに対する高度な検索機能と処理機能が備わっており、イメージ サービスを提供するためのソースとしても使用できます。

モザイク データセットの構成要素は次のとおりです。

モザイク データセットはジオデータベース内で作成され、そこにはラスタ データセットを直接追加することができます。あるいは、ラスタ カタログやモザイク データセットの全体、または一部を選択して作成することもできます。モザイク データセットではラスタ データを、非管理ラスタ カタログと同じ方法で管理します。したがって、テーブルは類似し、データセットはインデックス付けされ、コレクションに対して検索を実行できます。データ管理 ツールボックスには、モザイク データセットを作成および編集するためのジオプロセシング ツールがあります。

モザイク データセット内のラスタ データは、隣接したり重なり合う必要はなく、接続されていない不連続のデータセットとして存在できます。たとえば、エリアを完全に含む画像や、(パイプライン沿いなど)相互に結合して連続画像を形成するわけではない多数の画像のストライプを含むことができます。

連続データのカバレッジ非連続データのカバレッジ

モザイク データセットのタイプ

モザイク データセットには 2 つのタイプがあります。1 つには、すべてのタイプのラスタ データを追加することができ、ラスタごとに適用されているモザイク データセット上のプロパティや関数を変更できます。これは、[モザイク データセットの作成(Create Mosaic Dataset)] ツールを使用して作成します。このモザイク データセットに対する制限はありません。

もう 1 つのモザイク データセットは、別のモザイク データセットまたはラスタ カタログのどちらかを参照するだけです。これは、[既存カタログからモザイク データセット作成(Create Referenced Mosaic Dataset)] ツールを使用して作成します。参照モザイク データセットの振舞いは通常のモザイク データセットとよく似ています。ただし、読み取り専用なので、モザイク データセットにラスタを追加したり、概観図を構築したり、ピクセル サイズの範囲を計算するようなことはできません。これは、従来のラスタ カタログや、さまざまなモザイク データセットレベルの関数を含むモザイク データセットを提供するのに使用します。たとえば、すべての DEM データを管理するモザイク データセットを作成し、参照モザイク データセットを作成して、ソースのモザイク データセットから陰影起伏や傾斜の成果物を作成することができます。または、1 つのモザイク データセット内のすべての画像データを管理しながら、参照モザイク データセットを作成して、特定の日付や画像のタイプに従って画像データを配布することもできます。参照モザイク データセットへのアクセスを共有することで、アクセスするユーザがソース モザイク データセットに対して、他のユーザに影響するような変更を行えないようにします。または、ラスタ カタログをイメージ サービスとして提供する場合は、ラスタ カタログを提供する参照モザイク データセットを作成できます。この場合、既存のラスタ カタログは標準のラスタ カタログか、Military Analyst エクステンションで作成する Military Analyst ラスタ カタログのどちらでも構いません。参照モザイク データセットは、*.amd ファイルとしてジオデータベース以外の場所に格納することもできます。

モザイク データセットとラスタ タイプ

モザイク データセットはラスタ タイプを利用して、ラスタ データセットから必要な情報を読み取って取得します。ラスタ タイプにより、ジオリファレンス、取得日、センサ タイプなどのメタデータが、ラスタ フォーマットとともに識別されます。ラスタ タイプは、TIFF や JPEG などのラスタ フォーマットを使用するだけの最も簡単な方法で、ラスタ データを読み込むことができます。[ラスタ データセット] ラスタ タイプではすべてのラスタ フォーマットが読み込まれますが、ピクセル データに特化して読み取りや表示を行うように作成された特定のラスタ タイプを使用し、特定のラスタ データセットに関連付けられた空間参照を適用したい場合もあります。

特定のラスタ タイプの多くは高度な機能を備えており、衛星画像の企業から提供されたような特定の画像に、複数のバンド、多様な空間解像度、および空間参照に影響するその他のメタデータが含まれていることを認識できます。したがって、ある製品が解像度 1 m のバンド 4 つと解像度 30 cm のバンド 1 つを持っている場合、その構成がラスタ タイプによって認識され、高解像度データによる低解像度データの鮮明化(パンシャープン)が実行されます。さらに、正確な RPC(Rational Polynomial Coefficient)情報が提供されている場合、ラスタ タイプを使用して、オルソ補正を実行することで融合したデータ製品を改善することもできます。正しいラスタ タイプを使用することで、ラスタ データセットにアクセスしたときにリアルタイムに適用される関数を、自動的に定義することができます。

モザイク データセットでのラスタ関数の適用

関数は、どのモザイク データセットにとっても重要なコンポーネントです。関数によって、モザイク データセットは動的にモザイク化した画像を提供することができます。また、関数を使用して、オルソ補正、拡張、画像代数演算などの処理演算をリアルタイムに適用することで、モザイク化画像の製品を機能強化することもできます。関数はモザイク データセットに追加するか、モザイク データセット内の個々のラスタに追加することができます。または、モザイク データセットにデータを追加したときに自動的に追加されることもあります。たとえば、特定のラスタ データ製品(衛星用センサーによるものなど)がモザイク データセットに追加されると、ラスタ データにはいくつかの関数が自動的に追加されます。上で説明したように、オルソ補正され、パンシャープンされた画像の生成に使用するラスタ データセットを追加することができます。この画像を生成するには、ラスタ データにアクセスするときに、パンシャープン関数とオルソ補正関数の両方がラスタ データに適用されます。これによって、ソースのデータセットと前処理されたデータセットを両方とも格納する必要がなくなるので、ディスク領域を節約でき、とても便利です。さらに、同じデータを別の方法で処理したい場合、同じデータを別のモザイク データセットに追加して、別の関数を適用することができます。オルソ補正関数を使用しながら、植生指標を生成するような場合です。このためには、代数関数や NDVI 関数を使用します。

モザイク データセットでの複数の解像度の管理

モザイク データセットは、さまざまな解像度(空間解像度、スペクトル解像度、時間解像度、放射解像度)でデータを処理するように設計されています。モザイク データセットのラスタ タイプと関数は、このすべてのデータを処理および表示する方法に対して、強力な役割を果たします。さらに、モザイク データセットは、空間情報と時間情報をラスタ データの属性として特に認識します。モザイク データセットは、セル サイズに基づいて、最も適切な縮尺で画像を表示します。いくつかの追加の表示コントロール プロパティ(モザイク手法と呼ばれる)によって、ユーザは時間情報を制御することができ、必要な日付の画像を表示できます。

モザイク データセットのモザイク手法を使用して、(モザイク データセットから)毎回モザイクを表示するときに、どのラスタ データを表示するのかを制御できます。デフォルトでは、画像の中心に最も近いラスタ データセットを表示することで、モザイクは生成されます。別のモザイク手法では、取得日や雲量などの属性に基づいてクエリを定義できます。これらのモザイク手法とクエリ機能によって、ユーザはモザイク データセット内のすべてのラスタ データセットに(重なり合う部分があっても)アクセスできます。

モザイク データセットを使用していると、ピクセル データやメタデータの損失がありません。ソース ピクセルは決して変更または変換されることがなく、ファイルは決して移動されないので、すべてのメタデータ ファイルがそれぞれの位置に止まっているからです。モザイク データセットではソース データとその位置は変更されないので、ピクセル値が変更されることはありません。さらに、モザイク データセットによって実行されるモザイク化は、モザイク データセットにアクセスしたときに動的に発生します。ユーザはモザイク化した画像とソース データにアクセスできるので、重なり合ったデータセットでデータ損失が発生することはありません。

概観図はラスタ ピラミッドのようなものですが、これをモザイク データセット用に生成することができます。概観図は低解像度データセットで、モザイクを表示するときの速度を向上させるために生成されます。デフォルトの概観図は、モザイク データセット全体に対して生成することができます。または、ダウンサンプリング比率、範囲、特定の空間解像度などを定義することで、これらの作成方法を制御することもできます。

モザイク データセットの利点

モザイク データセットは、データの格納や管理を行うための優れたデータ モデルです。モザイク データセットはユーザが直接アクセスして利用できるので、データの配布に適しています。サーバ管理者は、モザイク データセットの多くのプロパティ(最大画像サイズ、メタデータのレベル、ダウンロードの最大数など)を変更することで、サーバから最大のパフォーマンスを引き出し、ユーザのニーズに応えることができます。クライアントはサーバに接続し、モザイク化した画像を表示し、そのモザイク化の手法その他のプロパティを、直接接続のユーザがするのと同じように制御できます。必要なラスタ データセットを選択してローカルにダウンロードすることも可能です。モザイク データセットはデータを管理して視覚化するだけでなく、画像を配布するためのツールでもあるのです。

関連項目


7/10/2012