ArcGIS Server に含まれているもの

ArcGIS Server には、サーバ ベースの GIS を構成する部品として次のアイテムが含まれています。

GIS サーバ

GIS サーバは GIS サービスをホストおよび管理し、サーバ オブジェクト マネージャ(SOM)および 1 つ以上のサーバ オブジェクト コンテナ(SOC)の、2 つから構成されます。SOC は GIS サービスをホストし、SOM はこれらのサービスを管理してクライアントが使用できるように提供します。

ArcGIS Server Manager

ArcGIS Server Manager は、GIS サーバを管理するために使用するアプリケーションです。Manager の機能は ArcGIS Server のインストール プロセスによって提供されます。このプロセスは、GIS サービスと Web アプリケーションの 2 つのセットアップで構成されています。

GIS サービスのセットアップにより、Services Manager がインストールされます。Services Manager は ArcGIS Server Manager の一部であり、以下の操作を行うことができます。

Web アプリケーションのセットアップにより、Applications Manager がインストールされます。Applications Manager は ArcGIS Server Manager の一部であり、以下の操作を行うことができます。

Services Manager および Applications Manager の機能が必要な場合、GIS サービスと Web アプリケーションの両方のセットアップをインストールしてください。

ArcGIS Web API

Esri は、ArcGIS Server を使用したアプリケーションの構築に役立つ、Web アプリケーション プログラミング インタフェース(API)を提供しています。ArcGIS APIs for JavaScript、Flex、および Microsoft Silverlight 用の ArcGIS API は、概念ヘルプ、サンプル、および API リファレンス トピックに詳しくドキュメント化されており、どの API も同等な機能が得られるように設計されているので、対象のプラットフォームの中からプログラミングに最も快適なものを選択するとよいでしょう。

ArcGIS JavaScript API

ArcGIS Server は、Web アプリケーションに ArcGIS Server へのアクセスを埋め込むために、3 つの JavaScript API で使用することができます。すべてのコードはブラウザで実行され、クライアントと Web サーバのどちらにも GIS ソフトウェアがインストールされている必要はありません。次の 3 つの JavaScript API が利用できます。

ArcGIS API for JavaScript

ArcGIS API for JavaScript は、パフォーマンスが高く、簡単に使用できる Web アプリケーションを開発するための、ブラウザ ベースの API です。この API を使用すると、ArcGIS Server サービスに基づいて、簡単にマップを Web ページに埋め込むことができます。

ArcGIS Extension for Bing Maps

ArcGIS Extension for Bing Maps は、Microsoft の Bing Maps の使いやすいマッピング機能と、ArcGIS Server の機能を結合するものです。この API を使用するには、ArcGIS Server で作成された、インターネットやローカル ネットワークから使用可能になっているサービスを利用します。

ArcGIS Extension for the Google Maps API

ArcGIS Extension for the Google Maps API では、Google Maps API が ArcGIS Server サービスを使用できるように拡張できます。このエクステンションを使用すると、独自のデータを Google マップに追加し、このマップをユーザの Web ページに埋め込むことができます。

ArcGIS API for Flex

ArcGIS API for Flex では、直観的で美しく、レスポンスに優れたユーザ インタフェースを使って Web アプリケーションを作成できます。ArcGIS API for Flex は、ArcGIS Server サービスのマッピング、ジオコーディング、およびジオプロセシング機能を最大限に利用します。

ArcGIS API for Microsoft Silverlight

ArcGIS API for Microsoft Silverlight は、Web 用の対話型アプリケーションを構築して提供するための、クロスブラウザ、クロスプラットフォーム開発環境を提供します。対話的で表現豊かな Web アプリケーションを、ArcGIS Server、MapIt、Bing Maps リソース(マップ、ロケータ、ジオプロセシング モデルなど)、Microsoft Silverlight コンポーネント(グリッド、ツリービュー、グラフなど)を利用しながら作成することができます。

ArcGIS の構築可能な Web アプリケーション

無料でダウンロードできる ArcGIS Viewer for Flex および ArcGIS Mapping for SharePoint は、ArcGIS Server と連携する、構成可能な Web アプリケーションであるため、プログラミングを行わずに GIS サービスの機能を簡単に Web 上で作成することができます。

ArcGIS Viewer for Flex

ArcGIS Viewer for Flex は、すぐに導入できる、ArcGIS API for Flex で構築された構成可能な Web アプリケーションです。また、プログラミングを行わずに、独自の GIS Web アプリケーションを作成できます。ArcGIS Viewer for Flex は、ArcGIS Server サービスと ArcGIS.com を操作できるように設計されており、Web 編集をサポートしています。

ArcGIS Mapping for SharePoint

ArcGIS Mapping for SharePoint は Microsoft SharePoint framework を利用して、Microsoft SharePoint サイトで使用するための構成可能なマッピング コンポーネントを提供します。ArcGIS Server サービス、ArcGIS.com、Microsoft Office ドキュメント ライブラリ、および Esri MapIt Spatial Data Services を操作できるように設計されています。

Services Directory

Web アプリケーションの開発時に、サーバ上のリソースの URL を指定しなければならないことがあります。ArcGIS Services Directory は、REST(Representational State Transfer)テクノロジを使用して、サーバに関する情報と開発時に使用できる対応する URL を検出できるツールです。

Services Directory は、閲覧や検索を通してサーバを「検出」する最良の方法でもあります。たとえば、Services Directory を通じて、サーバのユーザは、利用可能なすべてのサービスの地理的なフットプリントにアクセスし、それを ArcGIS Explorer で開くことができます。また、サービスに関するサービス レベルのメタデータを取得して、Web ブラウザ、ArcMap、ArcGIS Explorer、Google Earth でプレビューすることもできます。

[スタート] メニューのショートカットから、または Web ブラウザに http://<サーバ名>/<インスタンス名>/rest/services を入力することにより、Services Directory を開くことができます。

ArcGIS Server Web ADF

ArcGIS Server には、GIS Web アプリケーションを構築するためのツールが含まれた Web ADF(Application Developer Framework)が搭載されています。Web ADF のコントロールを Web フォームにドラッグして、マッピング、編集、属性検索、ジオプロセシングなどを実行するアプリケーションをすばやく作成することができます。高度な GIS アプリケーションの場合は、Web ADF の開発者ライブラリを通じて ArcObjects の威力を引き出すことができます。

Web ADF をインストールすると Visual Studio の開発環境に自動的に統合されるので、次回 Visual Studio、Eclipse、または NetBeans を実行するときから Web ADF を使用することができます。

ArcGIS Mobile とモバイル プロジェクト サーバ

ArcGIS Mobile では、車載用 Windows デバイスおよびハンドヘルド Windows Mobile デバイスに導入できるフィールド プロジェクトを作成して管理することができます。これらのプロジェクトには、さまざまな野外ワークフローを実行するために使用される、一連のマップ リソースとタスクが含まれています。Web サーバに ArcGIS Server をインストールすると、モバイル プロジェクト サーバが作成されます。このプロジェクト サーバは Web サーバ側の新しいディレクトリで表されます。このディレクトリに展開用モバイル プロジェクトを格納できます。このディレクトリに入るモバイル プロジェクトを構築するには、ArcGIS Mobile をインストールする必要があります。詳細については、ArcGIS Mobile ヘルプをご参照ください。

ArcGIS Server エクステンション

ArcGIS Server のエクステンションを使用して、システムに機能を追加したり、高度な機能を利用するアプリケーションを作成したりできます。最新のエクステンションの一覧については、http://www.esri.com/software/arcgis/arcgisserver/extensions.html をご参照ください。次のエクステンションがあります。

3D Extension

ArcGIS Server 3D Extension は、サーフェスを作成および解析するための 3D の GIS 機能を提供します。これには、傾斜角、傾斜方向、陰影起伏などが含まれます。

Spatial Extension

ArcGIS Server Spatial Extension は、セルベースのラスタ データの作成、検索、解析を可能にする強力な機能を提供します。

ArcGIS Server Spatial Extension を使用して、データに関する情報の抽出、空間リレーションシップの識別、適切なロケーションの検索、トラベル コスト サーフェスの計算、およびさまざまなラスタ ジオプロセシング処理を実行することができます。

Geostatistical Extension

ArcGIS Server Geostatistical Extension は、ArcGIS Desktop で実行された高度な地球統計学的解析結果から Web サービスを作成します。これらの Web サービスが提供するツールでは、統計的に有効なサーフェスを生成し、Spatial Analyst や 3D Analyst といったその他の ArcGIS のエクステンションを用いて、Web 上でそれらのサーフェスの GIS モデリングや視覚化を行うことができます。

Network Extension

ArcGIS Server Network Extension は、ルート検索、道案内、最寄り施設の検索、到達圏解析など、ネットワークベースの空間解析機能を提供します。開発者はこのエクステンションを使用して、カスタム ネットワーク アプリケーションを構築し、導入することができます。

Geoportal Extension

ArcGIS Server Geoportal Extension では、地理空間リソースのメタデータを管理して公開することができます。また、これらのリソースを検索および接続することもできます。規格ベースのクリアリング ハウスとメタデータ/サービス ディレクトリ アプリケーションをサポートします。

Image Extension

Image Extension を使用すると、大量のラスタ データを処理して組織全体で使用できます。イメージ サービスには、さまざまな形式、投影法、解像度のデータセットを含めることができます。Image Extension の重要な機能の 1 つは、画像データをネイティブ形式でサポートし、特別な形式を作成する必要がないことです。

Data Interoperability Extension

ArcGIS Server Data Interoperability Extension は個別にインストールする必要があります。これを使用すると、さまざまな形式のデータの使用や配布が簡単に行えます。

Data Interoperability Extension を使用して、70 種類以上の空間データ形式を直接読み取り、50 種類以上のデータ形式にエクスポートすることができます。Data Interoperability Extension は、デスクトップ上の非ネイティブ データ ソースをサポートするマップとジオプロセシング タスクを作成し、ArcGIS Server にそれらを公開できるようにすることで、ArcGIS Server を補完します。Data Interoperability Extension の直接読み取り機能と Interoperability Connections を使用して、非ネイティブ データ ソースを含んだマップを公開することができます。また、Quick Import、Quick Export、Spatial ETL ツールなどの変換機能を含んだジオプロセシング タスクを公開することもできます。

Workflow Manager Extension

ArcGIS Server の Workflow Manager Extension では、プロジェクトのワークフローの整理、一元管理、および標準化が可能です。

Schematics Extension

ArcGIS Server Schematics Extension は、社内全体で、また ArcGIS Server 内で、Web 経由でスケマティック ダイアグラムを共有する能力に加え、Web アプリケーション内でのダイアグラムの生成と更新を可能にする一連の機能を提供します。

ArcPad Extension

ArcGIS Server ArcPad Extension を使用することにより、ArcPad プロジェクトを作成して ArcGIS Server に公開できます。また、インターネット接続を介して ArcPad と ArcGIS Server 間でデータを同期化することもできます。ArcGIS Server ArcPad Extension は、ArcPad 8.0 リリースで導入されたものです。このエクステンションの詳細については、「ArcGIS ArcPad のヘルプ」をご参照ください。

ArcSDE

ArcGIS Server には、ArcSDE が含まれています。ArcSDE は、DBMS 製品である IBM DB2、Microsoft SQL Server、Oracle、PostgreSQL のいずれかで GIS データを管理できるソフトウェアです。ArcSDE を使って中央のデータベースにデータを格納し、多くのデータ管理ワークフローに必要なマルチユーザによる同時編集をサポートすることができます。

ArcGIS.com

ArcGIS.com は、マップ、アプリケーション、およびツールを検索し、GIS サービスを他のユーザと共有できる Web サイトです。サイト内には、ArcGIS.com マップ ビューアや ArcGIS Explorer Online といった既製のアプリケーションがあり、GIS マップおよびサービスの構築と共有に使用することができます。また、リポジトリに含まれる便利なベースマップ、データ、アプリケーション、およびツールを表示して使用したり、コミュニティに参加して ArcGIS Server ユーザのニーズを把握することもできます。

ArcGIS Resource Center

ArcGIS Resource Center の 「ArcGIS Server」ページでは、ArcGIS Server に関する最新のヘルプと情報が Web 上で 1 か所にまとめられており、簡単にアクセスすることができます。ここでは、ArcGIS Server ヘルプ、ArcGIS Server ブログ、フォーラム、ビデオ、アイデア、知識ベース記事、システム要件、『ArcGIS Server インストール ガイド』などを参照できます。

ArcGIS 製品ファミリー

ArcGIS Server は、完全な GIS を構築するための統合 GIS ソフトウェア製品ファミリーの 1 つです。これには、ArcGIS Desktop、ArcGIS Engine、ArcGIS Explorer、ArcGIS Mobile が含まれます。それらの製品の詳細、および製品間の関連については、ESRI.com にアクセスしてください。

ArcGIS Desktop や ArcGIS Engine と同様に、ArcGIS Server は ArcObjects と呼ばれる共通の GIS ソフトウェア コンポーネント ライブラリに基づいています。ArcObjects コンポーネントは、複数の API を持つソフトウェア オブジェクトです。これには、COM(Component Object Model)、.NET、Java、C++ が含まれます。開発者はこれらの API を使用して、ArcObjects の機能を利用するアプリケーションを構築することができます。

ArcObjects はすべての ArcGIS 製品の中心に位置し、ArcGIS Server は ArcObjects をサーバ環境で実行するためのフレームワークを提供します。開発者は、サーバ オブジェクトのエクステンションを記述することにより、ArcObjects の柔軟性を活用できます。


7/10/2012