演習 4a:マップ トポロジを使った共有フィーチャの編集

複雑さ: 中級者 データ要件: ArcGIS チュートリアル データのセットアップ データ パス: \ArcGIS\ArcTutor\Editing\Topology

マップ トポロジについて

ベクタ データセットの多くには、ジオメトリを共有するフィーチャがあります。フィーチャは、線分などのエッジ、またはセグメントの端点であるノードを共有することができます。たとえば、流域界ポリゴンは、境界線に沿って共通のエッジを持ち、湖ポリゴンは陸地ポリゴンと湖岸線エッジを共有することができます。3 つの流域界は山の頂上で 1 つのノードを共有し、3 つの河川フィーチャは合流点でノードを共有することができます。[トポロジ] ツールバーには、トポロジ的に関連するフィーチャの作業を行うときに使用するツールが用意されています。

マップ トポロジは、一致すると見なされるフィーチャ間に、トポロジカルな関係を作成します。マップ トポロジに追加するフィーチャクラスは指定することができます。エッジや頂点が一致すると見なされるための距離、つまりクラスタ許容値も選択することができます。マップ トポロジ作成時にトポロジ編集ツールを使用して、共有エッジと共有ノードを同時に編集することができます。

ArcView ユーザはマップ トポロジを作成して編集することができます。この演習で使用するのはこのタイプです。ArcEditor および ArcInfo のユーザはジオデータベース トポロジも編集することができ、フィーチャ データセットに属するフィーチャクラス間の関係について一連のルールが定義されます。ジオデータベース トポロジの編集は、別の演習で行います。

マップ トポロジを作成する

前提条件:

ArcMap を起動し、[エディタ][スナップ]、および[トポロジ] の各ツールバーを表示します。

この演習では、マップ トポロジを作成して、2 つのフィーチャクラス内の複数の境界フィーチャを更新します。

手順:
  1. [標準] ツールバーの [開く] ボタン 開く をクリックします。
  2. チュートリアル データをインストールした「\Editing\Topology」ディレクトリにある「MapTopology.mxd」マップ ドキュメントを開きます(デフォルトの場所は「C:\ArcGIS\ArcTutor」)。
  3. マップをクリックして [開く] をクリックします。
  4. 前回の演習からマップ ドキュメントを開いたままにしていて、閉じるように促すメッセージが表示されたら、変更内容を保存せずに閉じることができます。
  5. マップが開いて、次のように表示されます。
    マップ トポロジ調査地域

    このマップには 2 つのフィーチャクラスがあります。「Hydro_region」には、米国の南西部の 3 つの大きな水源地域を表すポリゴン フィーチャがあります。「Great Basin Region」の一部は、チュ―トリアル データセットから省略されています。「Hydro_units」には、これらの地域内のより小さな流域界を表すポリゴン フィーチャが存在します。「Hydro_region」フィーチャが半透明なので「Hydro_units」フィーチャクラス内のフィーチャを確認することができます。

    「Hydro_region」は、「Hydro_units」を地域ごとにディゾルブ処理しているので、「Hydro_region」内のフィーチャの境界は小さい流域界の境界と一致しています。この演習では、マップ トポロジを作成して、共有エッジを構成する頂点を編集したり、複数のフィーチャの交点を定義するノードを移動します。

  6. [エディタ] ツールバーの [エディタ] メニューをクリックし、[編集の開始] をクリックします。
  7. [フィーチャ作成] ウィンドウを閉じます。この演習では、これは必要ありません。
  8. マップ トポロジを作成する前に、編集するエリアを拡大します。エリアを拡大すると、トポロジ キャッシュの構築時にマップ トポロジによって解析されるフィーチャの数が少なくなります。
  9. [ブックマーク] メニューをクリックして、「3 Region Divide」をクリックします。

    ブックマークしたエリアが拡大します。これで小さい流域界のラベルを確認することができます。

  10. [トポロジ] ツールバーの [マップ トポロジ] ボタン マップ トポロジ をクリックします。
  11. [マップ トポロジ] ダイアログ ボックスが表示されます。トポロジに含まれるフィーチャクラスを選択し、クラスタ許容値を選択することができます。クラスタ許容値は、フィーチャの各部分が一致していないにしても、いかに近似しているかを定義します。
  12. [すべて選択] をクリックします。すべてのフィーチャをマップ トポロジに含めます。
  13. デフォルトのクラスタ許容値は、必要最低限のクラスタ許容値であり、座標系の単位で表されます。この場合、データセットは、横メルカトル座標系を使用していて単位はメートルです。デフォルトのクラスタ許容値を使用します。
  14. [OK] をクリックします。

共有フィーチャを検索する

[トポロジ編集] ツールを使用してマップ トポロジの編集を開始し、エッジを選択して、どのフィーチャがそのエッジを共有しているかを特定します。また、[共有フィーチャを表示] ダイアロ ボックスを使用して、どのフィーチャが所定のトポロジ エッジまたはトポロジ ノードを共有するかを調査し、特定のトポロジ エレメントに対して行う編集が特定のフィーチャ同士で共有されるかどうかを制御することもできます。

手順:
  1. [トポロジ] ツールバーで [トポロジ編集] ツール トポロジ編集ツール をクリックします。
  2. 「East Fork Sevier. Utah」ポリゴン(#16030002)「Kanab. Arizona. Utah」ポリゴン(#15010003)が共有しているエッジをクリックします。
  3. エッジが選択され、色が変わります。このエッジは、より大きい地域ポリゴンでも共有されています。これを確認するには [共有フィーチャを表示] コマンドを使用します。
  4. [トポロジ] ツールバーの [共有フィーチャを表示] 共有フィーチャの表示 をクリックします。
  5. マップ トポロジ内の両方のフィーチャクラスの名前「Hydro_region」と「Hydro_units」は、このダイアログ ボックスでチェックが付いて表示されています。これは、選択トポロジ エレメントがこれらのフィーチャクラスのフィーチャによって共有され、共有エッジに対して行われるあらゆる編集の影響を受けることを意味します。次は、どのフィーチャがこのエッジを共有しているのかを調べます。
    選択エッジを共有するフィーチャ
  6. 「Hydro_units」をダブルクリックします。プラス記号がマイナスに変わり、「Hydro_units」の下にさらに 2 つの分岐が展開します。これらは、エッジを共有しているフィーチャを表します。
  7. 「East Fork Sevier. Utah (51)」をクリックします。

    「Hydro_units」フィーチャクラスのフィーチャ番号 51、「East Fork Sevier」がマップ上で点滅します。

  8. 「Hydro_region」をダブルクリックして「Great Basin Region (1)」をクリックします。

    「Hydro_region」フィーチャクラスのフィーチャ番号 1、「Great Basin」地域がマップ上で点滅します。

  9. [共有フィーチャ] ダイアログ ボックスを閉じます。

マップ トポロジで共有されているエッジを編集する

更新する必要のあるフィーチャがこのエッジを共有していることが分かったので、地形にもっと正確に一致するよう流域界の境界を更新します。

手順:
  1. 「Hillshaded_terrain.sid」をクリックして ArcMap のコンテンツ ウィンドウでこの画像をオンにします。
    陰影起伏レイヤが表示された調査地域
  2. これは米国地質調査が出版した「National ElevationDataset Shaded Relief Image Service」から抽出した陰影起伏地形です。この画像とそれに追加したガイドラインを使用して流域界データを更新します。
  3. Z キーを押したままにします。ポインタが [拡大] ツールになります。
  4. Z キーを押したまま、選択したエッジの周囲のボックスをドラッグします。
  5. 領域界データは、米国地質調査と米国環境保護局から出版されている中解像度の「National Hydrography Dataset」から取っています。このデータは、1:100,000 の縮尺で作られています。「National Elevation Dataset」の陰影起伏は、縮尺 1:24,000 のデジタル標高モデル データから取っています。より解像度が高い陰影起伏データを使用して流域界の境界を改善します。
  6. エッジをダブルクリックします。これでこのエッジの形状を決める頂点(緑)を確認することができます。
    エッジを構成する頂点の表示
  7. ポインタをエッジの東端から 2 つめの頂点に移動します。ポインタが 4 つの矢印付きのボックスに変わったら、頂点をクリックして、北西にドラッグし、青いガイドライン上にドロップします。
    頂点をガイドラインへドラッグする
  8. 頂点ごとにエッジの形状変更を更新することもできますが、もっと速く更新する方法があります。
  9. マップ上でエッジ以外の場所を 1 度クリックして選択を解除します。次に、もう一度エッジをクリックして再選択します。

マップ トポロジで共有されているエッジを形状変更する

手順:
    ここで編集スケッチを使用して、共有エッジの形状を変更します。[エッジの形状変更] ツールを使用して、分水界エッジにスナップする必要があります。
  1. エッジ スナップが有効になっていることを確認します。有効になっていない場合は、[スナップ] ツールバーで [エッジ スナップ] エッジ スナップ をクリックします。
  2. [トポロジ] ツールバーの [エッジの形状変更] ツール エッジの形状変更ツール をクリックします。
  3. 選択されたトポロジ エッジと青いガイドラインが分岐するエッジの上に、ポインタを移動します。
    トポロジ エッジの形状変更
  4. エッジをクリックして編集スケッチを開始します。
  5. ガイドラインに沿って、頂点の追加を継続します。青いラインに沿って形状変更ラインを配置するのが難しい場合、Space キーを押したままにして、スナップを一時的にオフにすることができます。
  6. スケッチに追加する最後の頂点が、移動した頂点の近くのエッジにスナップすることを確認してください。
  7. マップ上のどこかを右クリックし、[スケッチ終了] をクリックします。
  8. スケッチを終了すると、エッジは次のように表示されます。
    形状変更された後のエッジ

マップ トポロジの共有ノードを移動する

流域界境界で共有されているエッジをアジャストしたので、既存のデータの別な問題を解決しなければなりません。エッジの東端のノードは、「Great Basin」、「Upper Colorado」、「Lower Colorado Region」の流域界が合流する点です。この共有ノードを指定メートル分だけ移動します。

手順:
  1. [トポロジ] ツールバーで [トポロジ編集] ツール トポロジ編集ツール をクリックします。
  2. マップ上でエッジ以外の場所を 1 度クリックして選択を解除します。
  3. N キーを押したままにします。これによって、選択可能なトポロジ エレメントを一時的にノードに限定します。
  4. N キーを押したままドラッグし、ノードをボックスで囲みます。
    トポロジ ノードの選択
  5. ノードが選択されます。これを正しい場所へ移動します。
  6. 右クリックしてから、[相対移動] をクリックします。
  7. このノードを x 方向(東)に 460 メートル、y 方向(北)に 410 メートル移動します。
  8. x および y ボックスにそれぞれ「460」と「410」を入力して Enter キーを押します。

    ノードが新しい位置に移動し、マップ トポロジでそれを共有するすべてのフィーチャが更新されます。トポロジ エッジの頂点を移動したときのように、ノードをドラッグすることで移動することもできます。

    エッジの形状を変更し、トポロジ ノードを移動した後のチュートリアルの結果

  9. [エディタ] ツールバーの [エディタ] メニューをクリックし、[編集の終了] をクリックします。
  10. [はい] をクリックして編集内容を保存します。
  11. チュートリアルが完了したら、ArcMap を閉じます。マップ ドキュメントを保存する必要はありません。
  12. 次の演習を続ける場合は「演習 4b:ライン エラーを修正するためにジオメトリ トポロジを使用する」をクリックしてください。

この演習では、マップ トポロジを作成する方法とトポロジ編集ツールを使用してエッジとノードを共有する複数のフィーチャを編集する方法を学びました。マップ トポロジでは、2 つの異なるフィーチャクラスの 4 つのフィーチャを同時に編集した後で 6 つのフィーチャを同時に編集しても、フィーチャ間の共通の境界を維持することができました。さらに、[トポロジ編集] ツールと [トポロジ編集] タスクを使用して、ジオデータベース トポロジ内のエッジとノードを編集することもできます。


7/10/2012